オタク草食系男子は超肉食ヤンデレ宝石令嬢に美味しくいただかれます~純愛から狂愛へダイヤモンドの瞳は狙った獲物を逃さない~

スライム道

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トルマリンの石言葉は「忍耐」2

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「調理する班は3班合同だ。班番号に振られた竈門に並べよ」

まさかの竈門調理だがアイドル業界の人間はあまり苦とせずむしろ順応した態度で決められた竈門に向かっていく。
逆に役者などでデビューしている人間はとても嫌そうな顔をしていた。
ハイキングを企画されたときもそうだが役者や女優をやっている人間は田舎の常識が非常識過ぎるのだろうか?
私は一応社長令嬢の立場だけど蒼汰君と同じ地域に居る時間も長かったしカメムシだろうが火星で驚異的な進化をする生きた化石の昆虫だろうが平気で触れる。

「秋芽さん料理できる?」
「ごめん来夢ちゃん!できない!」
「自身を持って言わない。何ができない?」
「全部!」
「……聞こえなかった、もう一度言って」
「全部できない!包丁使ったらまな板斬れちゃうし!火を使ったらボヤ騒ぎになるよ!」

まだ班との合流をする前に来夢さんが秋芽生徒会長にどのくらい料理ができるか聞いていたがとても酷いものだった。
というかまな板が斬れるとは一体どんな包丁を使えば斬れるのだろうか?
肉切包丁?

「どんな包丁を使えばまな板ごと斬れるのかな?」

蒼汰君も気になってきたのか秋芽さんに話しかけていた。

「あ、蒼汰君!使った包丁は普通の三徳包丁だよ!でもどんな包丁使っててもなるよ!菜切りでも肉切包丁でもパン切りでもなるよ!」

三徳包丁
野菜、魚、肉全てにおいて切りやすい包丁。

菜切り包丁
主に葉物野菜を切るために作られた鉈のような包丁

肉切包丁
比較的大型の包丁で牛刀とも呼ばれる。肉の固まりなどを切るときに使う。家庭では刺身包丁の代用品にもなる。

パン切り包丁
フランベルジュのように刀身が波打った包丁だ。しかも切れ味がものすごく悪くパン専用の包丁でまな板が斬れるなんてことはまず起きない包丁。

これらに魚用の出刃を含めた5つの包丁が一般家庭に普及している包丁だ。
基本的には三徳包丁と牛刀、パン切り包丁を入れている家庭が多く菜切り包丁と出刃は住んでいる地域によって異なる。
畑などを持っている農家なら菜切り包丁を持っていてもおかしくは無いし漁港が近ければ自然と新鮮な魚をさばくために出刃のような小回りが利く包丁を持つようになる。

「パン切り包丁でなるとはこれ如何に?」
「ごめん居合術やっててその癖で斬っちゃうの!」
「斬っちゃうのって、あくまで居合術だよね。模造刀とかで藁を斬る奴なのになんで得物が違うのにまな板が斬れるのさ。ボヤ騒ぎは仕方が無いにしてもパン切り包丁でまな板に使われる芯にちかい木材や硬質プラスチックを食材を切るついでに切り落としてしまうってどんな切り方をすれば落ちるのか知りたい」
「なにってこうだよ!」

ものすごい速さの手刀

伝説の暗殺一家かスラム出身の盗賊団の団長と同じくらいのおそろしく早い手刀だったがそんな速度で包丁を振れば包丁の方も壊れそうなものだが……

「もっとゆっくりでいい」
「え?でもこのくらいじゃないと切れないよ!」
「力加減覚えて」
「無理!」

私がどんどん追及していく全く動じないというか開き直っている気がする。
いっそせいせいするくらいの馬鹿っぷりに呆れるほかないのかと追及し続けていると。

「蒼汰さん、秋芽さん、来夢さん、そろそろこっちに来てください。みんな待っていますよ」

秋芽さんの冗談に聞こえない底知れない裏切れない信頼のある会話に横から声がかかった。
集まる班の方を見ると甘夏さんの班と先ほどクマに襲われたところを助けた班が集まっていた。
玲菜さんに対しては蒼汰君に対応を任せることにする。

「同じ班だったんだ」
「一応先ほどのこともありましたしクマに襲われた班のみなさんが同じクラスの人で仲がいい人で固めたかったようですよ」
「忍先生の考えそうなことだから偶然ではなく必然かな。それで聞きたいんだけどそっちの班は料理できる人居る?」
「できるにはできるみたいですけど竈門でやったことのない人たちでかくいう私も竈門はピザ窯しか使ったことがありませんしコンロのように使うのは初めてですから火力の調整ができないとへたっぴになってしまうかもしれません」
「うーん確かに竈門でつくるってなるとあそこにおいてある薪を使うから普段使ってるガスよりも確実に火力が高くなってしまうからね。それにガスと違って火が安定しないしこれは手作りの竈門だからピザ窯と違って風の入り方も一定じゃないから余計にムラができるから初めてだと難しいかも……」

しかもよく見れば調理器具の類が一切ない。
まな板と包丁はあるがそれしかないのでこれと竈門を使ってどう料理をすればいいのか見当がつかない。
バーべキューのように焼こうとしても串が無い。
炒めたり煮込んだり茹でたりしようにも今度は鍋が無い。

他の合同班もそうらしく困惑の表情を浮かべていた。

「なんだお前ら採取物の得点欄見てなかったのか?」

生徒たちは一斉にハイキング開始前に配られたプリントを見た。
そこには調理器具として使用可能と書かれた素材が書かれていた。

どこまでサバイバルのか、私は蒼汰くんや玲菜さんと比べて忍先生とのかかわりは浅い。
だから冗談とそうでないものの区別がつかない。

もちろん付き合いは短いが秋芽さんのように同じ目標に向かう決意をした人物のような例外は存在する。
だがそれ以上に忍先生の考え方は異常にも見える。
まるでいじめられた側からの理想の教師像を演じて言うように見えていた。

「玲菜さん、とりあえず私が火の番をするから秋芽さんに料理の仕方教えてあげて、ほかのみんなは蒼汰君が教えてくれるから」
「わかりました」

秋芽さんの親友である玲菜さんに調理については押し付けることにした。
蒼汰君にはあとで事後承諾という形をとってもらうが玲菜さんは秋芽さんに対して教える忍耐が最後まで持つのか、ある意味気になった。
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