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「あれ?
 お早いお帰りですね。
 それと何故同じ新人の方がいらっしゃるのですか。」

「生ゴミ?」

「えっと生ゴミではなく、同じく本日ギルドに入ったばかりの新人さんですよ。」

「そう。」

 この新人さんとてもやり辛い。
 話し方も必要最低限だし、表情で表すこともしない。
 一言で言うなら悪役(ヒール)、もう1人の元気一杯な少女が主人公ならさしずめ彼女は悪役という言葉がふさわしい。
 完全にもう1人の子ディスってるし。

 ん?
 さっきからこの子瞬きを両目でやってない。

 えっと繰り返し行われているのを訳すと。
 .-- .... . .-. . / ... .... --- ..- .-.. -.. / .. / - .... .-. --- .-- / .. - / .- .-- .- -.-- / .- -. -.. / ... - --- .-. . / .. - ..--..
 Where should I throw it away and store it?
 この子どこに捨てればいい?
 しかも英文モールスで送るな!

 翻訳するのに時間かかったわ。

「ええと、だからですねゴミではないのですから、きちんと療養を取っていただく必要があるわけです。
 私一人では運ぶのが大変なので手伝ってはくださいませんか。」

 そこでなんでってキョトンとした顔をするな!
 可愛いけど。
 こげ茶の瞳で疑問をあらわされるとこの子に教えたくなっちゃう男子の心が揺さぶれる情景が私の青春なんてもはあない学生時代の風景を蘇らせた。
 これがサークルの姫的クオリティか!
 大学言ったことないから解らないけど!
 東北大学ダメもとで受験して堕ちました!

 しかーし、甘酸っぱい青春を送りたかった私の燃え上がるハートは、恋愛小説を自作するまでに熱く指に集中した。
 これは見える、見えるぞ。
 高校で男子に好かれ女子にも好かれてはいるが、一部の女子からは猛烈に嫌われている青春案内図が。
 この彼氏いない歴イコール年齢を着々と更新しながらも高望みし続けるバカ女な私の恋愛の致命的欠陥センスが男子の心をうならせながらも、結婚したら長続きしない奴の見る眼だけは養われたこの観察眼を舐めるなよ。


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