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第三章 アルリナの影とケントの闇
一人の男として
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私は少女を威圧している三人の戦士にやんわりと話しかけた。
「失礼。先ほどから、何やら揉めているようだが……何か厄介事かな?」
「あん、誰だてめえは? 気持ち悪ぃ目の色しやがって、殺すぞ」
三人の中で一番小柄な戦士が巻き舌を交え威嚇してきた。
彼のとても友好的な態度に、この先が思いやられる。
「通りすがりの者だ。何事かと思って声を掛けたんだが?」
「うっせいな。関係ねぇ奴は引っ込んでろよ! 殺すぞ」
男はまたもや殺すぞと威嚇してくる。これでは話にならない。
私は視線を奥にいる少女に投げた。
「何があった? 少し話が聞こえていたが、何らかの取引をしていたようだが?」
「あの、それは……ちょっと」
少女は言い淀む。私はもう一度、少女に問いかけようとした。
だが、小柄な戦士が追い払うような口調で私の声を止めた。
「ただの商売だよ。だから、てめぇには関係ねぇの。殺すぞ」
「殺すぞは口癖なのか?」
「あん?」
「何でもない。はぁ、仕方がない」
穏便に済ませたかったが、そうもいかないらしい。私は覚悟を決める。
「大人の男が三人で少女を囲んでいたら、あまり良い状況とは思えない。君たちは何をやっている?」
「んだとぉ~、いきなり俺らを犯罪者扱いかよ? 殺すぞ」
「違うというならば説明して欲しい」
「てめぇ、警吏でもねぇくせに、何の権利があって口を挟むんだよ? 殺すぞ」
「権利は有している。一人の男として、少女が怯えている姿は見過ごせない。それが犯罪に関わる可能性があるならば、なおさらな!」
「ギャハハハ、聞いたかよ? かっけ~な、おい。一人の男だってよ!」
「好きなだけ馬鹿にしろ。だが、何をしているのか説明してくれ。問題なければ、すぐに立ち去る」
「鬱陶しい奴だな~。てめぇの言った通り、こいつと商売してただけだよ。ちゃんとお互い納得した金額で商品を購入したのに、いまさらになって返せって言いやがる。どちらかというと俺らは被害者なんだぜ~」
「そうなのか?」
少女に顔を向けて問いかける。
すると、少女は力なく答えた。
「そうだけど。でも、あんなことに……」
「あんなこと、とは?」
「それは、あの……っ」
少女は口を噤んでしまった。代わりに小柄な戦士が盛大に笑う。
「ギャハハハ、ま、言えね~よな。俺たちは商売仲間。いまさら、誰かに助けを乞うなんてできねぇよな。そうだろぉ?」
「それは……でも、私は知らなかった!」
少女の声が路地裏に響き渡る。それはとても悲痛な叫び。
その叫びは、彼女が何を思い、何をしたのかわからないが、助けを求めていることは十分にわかる声だった。
痛みの宿る少女の声は、男たちの顔を醜く捻じ曲げさせる。
「くそ、うるせいなっ。グダグダ言いやがって。おい、てめぇら場所を変えっぞ。じゃねぇと、この男みてぇな鬱陶しい野郎が来るかもしれねぇからな」
小柄な戦士は顎をくいっと前に出した。
その指示に従い、戦士の一人が少女のか細い腕を握り締める。
「来い!」
「痛っ! やめて!」
「やめろ!」
私は大声を張り上げて彼らの不埒な行為を止めさせた。
その声が響くと同時に、男たちの雰囲気が変わる。
「マジ、うぜぇな。殺すぞ」
「悪いが、殺されても見過ごせないこともある」
「はっは~、かっけ~。だけどな、俺らはシアンファミリーの傭兵だぜ。覚悟はできてんだろうなぁ?」
「なに?」
シアンファミリー――港町アルリナを牛耳る一派。評判はすこぶる悪く、関わり合いになってはいけない連中。
(クッ、彼らがシアンファミリーの傭兵とは……)
私は顔を曇らせる。
それを見た戦士たちは表情をニヤつかせている。
「へへ、ビビりやがった。なっさけね。おい、お前ら行くぞ。こっちの正義の味方は休業するらしいからよ」
男たちは下卑た笑い声上げながら、私を横切っていく。
少女もまた、無理やり男たちに引きずられ、私の隣を通り過ぎようとした。
少女の淡い緑の瞳は恐怖に彩られている。
彼らは薄汚れた粗雑な指先で、ガラス細工のように儚い少女の腕を握り締めている。
私は……大きくため息をついた。
「はぁ、厄介事についてどうするかはあとで……考えるとしようっ!」
言葉を跳ねると同時に、剣の鞘で少女を握り締めていた男の腕を打つ。
「いでっ!」
男が痛みに負けて、少女の拘束を解く。
「こっちへ!」
私は少女の手を引き、自分の後ろへと回した。
男たちは殺気の宿る瞳で私を睨みつけてくる。
「てめぇ、何をしたのかわかってんだろうなぁ? シアンファミリーに喧嘩を売ったんだぜ。ぶっ殺すぞ!」
「ふん、相手が何者であろうと、幼い少女を怯えさせるような連中は見過ごせない。一人の男として、君たちに、いや、貴様たちにこの子を渡すわけにはいかない!」
「失礼。先ほどから、何やら揉めているようだが……何か厄介事かな?」
「あん、誰だてめえは? 気持ち悪ぃ目の色しやがって、殺すぞ」
三人の中で一番小柄な戦士が巻き舌を交え威嚇してきた。
彼のとても友好的な態度に、この先が思いやられる。
「通りすがりの者だ。何事かと思って声を掛けたんだが?」
「うっせいな。関係ねぇ奴は引っ込んでろよ! 殺すぞ」
男はまたもや殺すぞと威嚇してくる。これでは話にならない。
私は視線を奥にいる少女に投げた。
「何があった? 少し話が聞こえていたが、何らかの取引をしていたようだが?」
「あの、それは……ちょっと」
少女は言い淀む。私はもう一度、少女に問いかけようとした。
だが、小柄な戦士が追い払うような口調で私の声を止めた。
「ただの商売だよ。だから、てめぇには関係ねぇの。殺すぞ」
「殺すぞは口癖なのか?」
「あん?」
「何でもない。はぁ、仕方がない」
穏便に済ませたかったが、そうもいかないらしい。私は覚悟を決める。
「大人の男が三人で少女を囲んでいたら、あまり良い状況とは思えない。君たちは何をやっている?」
「んだとぉ~、いきなり俺らを犯罪者扱いかよ? 殺すぞ」
「違うというならば説明して欲しい」
「てめぇ、警吏でもねぇくせに、何の権利があって口を挟むんだよ? 殺すぞ」
「権利は有している。一人の男として、少女が怯えている姿は見過ごせない。それが犯罪に関わる可能性があるならば、なおさらな!」
「ギャハハハ、聞いたかよ? かっけ~な、おい。一人の男だってよ!」
「好きなだけ馬鹿にしろ。だが、何をしているのか説明してくれ。問題なければ、すぐに立ち去る」
「鬱陶しい奴だな~。てめぇの言った通り、こいつと商売してただけだよ。ちゃんとお互い納得した金額で商品を購入したのに、いまさらになって返せって言いやがる。どちらかというと俺らは被害者なんだぜ~」
「そうなのか?」
少女に顔を向けて問いかける。
すると、少女は力なく答えた。
「そうだけど。でも、あんなことに……」
「あんなこと、とは?」
「それは、あの……っ」
少女は口を噤んでしまった。代わりに小柄な戦士が盛大に笑う。
「ギャハハハ、ま、言えね~よな。俺たちは商売仲間。いまさら、誰かに助けを乞うなんてできねぇよな。そうだろぉ?」
「それは……でも、私は知らなかった!」
少女の声が路地裏に響き渡る。それはとても悲痛な叫び。
その叫びは、彼女が何を思い、何をしたのかわからないが、助けを求めていることは十分にわかる声だった。
痛みの宿る少女の声は、男たちの顔を醜く捻じ曲げさせる。
「くそ、うるせいなっ。グダグダ言いやがって。おい、てめぇら場所を変えっぞ。じゃねぇと、この男みてぇな鬱陶しい野郎が来るかもしれねぇからな」
小柄な戦士は顎をくいっと前に出した。
その指示に従い、戦士の一人が少女のか細い腕を握り締める。
「来い!」
「痛っ! やめて!」
「やめろ!」
私は大声を張り上げて彼らの不埒な行為を止めさせた。
その声が響くと同時に、男たちの雰囲気が変わる。
「マジ、うぜぇな。殺すぞ」
「悪いが、殺されても見過ごせないこともある」
「はっは~、かっけ~。だけどな、俺らはシアンファミリーの傭兵だぜ。覚悟はできてんだろうなぁ?」
「なに?」
シアンファミリー――港町アルリナを牛耳る一派。評判はすこぶる悪く、関わり合いになってはいけない連中。
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私は顔を曇らせる。
それを見た戦士たちは表情をニヤつかせている。
「へへ、ビビりやがった。なっさけね。おい、お前ら行くぞ。こっちの正義の味方は休業するらしいからよ」
男たちは下卑た笑い声上げながら、私を横切っていく。
少女もまた、無理やり男たちに引きずられ、私の隣を通り過ぎようとした。
少女の淡い緑の瞳は恐怖に彩られている。
彼らは薄汚れた粗雑な指先で、ガラス細工のように儚い少女の腕を握り締めている。
私は……大きくため息をついた。
「はぁ、厄介事についてどうするかはあとで……考えるとしようっ!」
言葉を跳ねると同時に、剣の鞘で少女を握り締めていた男の腕を打つ。
「いでっ!」
男が痛みに負けて、少女の拘束を解く。
「こっちへ!」
私は少女の手を引き、自分の後ろへと回した。
男たちは殺気の宿る瞳で私を睨みつけてくる。
「てめぇ、何をしたのかわかってんだろうなぁ? シアンファミリーに喧嘩を売ったんだぜ。ぶっ殺すぞ!」
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