63 / 359
第六章 活気に満ちたトーワ
偏向の研究者
しおりを挟む
私は心地良さに微笑みを浮かべてゴリンに尋ねる。
「あまり距離を詰めるのは、ゴリンたちにとっては迷惑だろうか?」
「いえいえいえ、そんな。あっしらとしても、領主様と身近に接する機会が持てて嬉しく感じておりやすよ。ましてや、アルリナを救ってくださった英雄となれば。な、お前ら」
ゴリンが若い大工たちに声を掛けると、彼らは食事を止めて、コクコクと激しく首を縦に振った。
「ふふ、英雄扱いはよしてくれ。私はただのケントだ。だから、気軽に接してほしい」
「はい、かしこまらない程度にお付き合いさせていただきたいと願ってやす。失礼でしょうか?」
「いや、まったく。これからもよろしく頼む」
「こちらこそ」
私とゴリンは笑顔を向け合い、私はスプーンを動かすが、それは空を切る。
「おや、会話に夢中になって気づかなかった。エクア、お代わりを貰えるか?」
「はい」
底の深い皿をエクアに渡す。
その際、エクアは私の足元を見て、何かに気づいたようで尋ねてきた。
「あれ、ケント様。お召し物が土で汚れているみたいですけど? お洋服の格好も変ですし?」
「ああ、これか? さっきまで草むしりをしていたからな」
「草むしり? あれ、午前中は自室でアルリナに届ける書類を作成すると言っていませんでしたか?」
「ゴホンゴホン、あれは、なんだ。午後にでもやるよ」
「サボったんですね……」
「サボったわけじゃない。朝から気の滅入るような仕事を避けて、午後に回しただけだ。日の高いうちに畑づくりをしておきたかったからな」
「畑?」
「三枚目の防壁内にある井戸のそばに畑を作ろうと思ってな。せっかく、ゴリンたちが井戸を清掃してくれたんだ。利用しない手はないだろ」
トーワの防壁内部には無数の井戸が点在している。
訪れた時は鉄扉があった井戸以外、井戸内部には草木が折り重なり使い物にならなかったが、それらの一部をゴリンたちが片づけてくれていた。
「それで、雑草を毟っていたら、土塗れになってしまったというわけだ」
そう、言葉を返すと、ゴリンがパンを片手に声を返してきた。
「なんで草むしりなんかしているんだろうかと思ったら、そのためですかい。それならそうと、あっしらに一声掛けていただければ……アルリナから手伝いに来た身としては、領主様にそのような雑事をさせてしまっては申し訳が立たんのですよ」
「君たちは城の修繕のために来たのだ。それ以外のことは頼めぬよ」
「それは無用な気遣いで……」
「それにな、」
私はゴリンの耳傍でこそりと声を立てる。
「書類作成をサボる口実が欲しかった」
「ああ~、なるほど」
「聞こえてますよ、ケント様」
「ギウギウッ!」
「うぐっ、耳が良いな。エクアとギウは……」
エクアとギウは揃って、私に怒り顔を見せている。
ここ数日で、特にムキの屋敷から家財道具をせしめて以降、エクアの態度が変わっている気がするが、気のせいか?
「二人ともそう怒るな。書類はしっかり書き上げる。ゴリンたちの仕事ぶりを報告してやらないと満足な報酬を貰えないからな。ゴリン、ノイファン殿に覚えが良いよう、書いておくからな」
「そいつはありがてぇ話で」
「そういうわけだ、二人とも。雑草は取り終わったので、あとは鍬を入れて畑を形にしたら書類を書く予定だ」
「まぁ、私はケント様に指図する立場じゃありませんから強くは言いませんけど……でも、予定を変更されるなら、一言言ってもらわないと困ります。自室に行ったらケント様がいない、では……」
「そうか、そうだったな。すまない、これからは気をつける」
「お願いしますね……そういえば、ケント様は畑を作ったことがあるんですか?」
「いや、ないが。鍬を使い、土を掘り起こせばいいんだろう?」
「ええ、そうですけど」
「考えてみたら、なぜ、土を掘り起こすんだろうな。そのまま種や苗を植えては駄目なのか?」
私は顎に手を置いて、素直な疑問に首を捻る。
すると、一同は眉をひそめて私を見つめ、エクアは言葉を淡々と漏らす。
「なんだ、みんな? どうした?」
「いえ、知らないことに驚いたんです」
「いや~、恥ずかしながら畑いじりをする機会も知識を獲得する機会もなかったからなぁ。エクアの両親は画家で医者なのに、鍬を入れる理由を知っているのか?」
「一応、基本的なことは……鍬を入れるのは土に空気を入れて柔らかくするためです。土が固いままだと、根付きにくいですから」
エクアの言葉にゴリンの言葉が続く。
「土を混ぜることによって、土の中の養分を満遍なく広げられやすから。あとは畝を作ることによって水はけを良くしたりできやすんで」
「ああ、なるほど。地中にある窒素やリン酸。カリウム・マグネシウム・カルシウムなどが植物の栄養として与えやすくなるわけだ。もっとも、畑となると自然栽培とは違い、足りない分は肥料で補うのだろうが」
「はぁ?」
「そういえば、どこかで土の粒のことを土壌コロイドと呼ぶと聞いたことがあるな。そのコロイドは主に負の電荷を帯びていて、栄養素の高い肥料は正の電荷を持っている。そのため、栄養の陽イオンがコロイドに吸着保持される、だったか? ということは、この容量が大きいほど、ん?」
と、ここで、皆が無言になっていることに気づいた。
ゴリンは頭に巻き付けた鉢巻の部分をポリポリと掻く。
「土にある栄養が何なのかは知りませんが……ケント様は妙なことを知っておいでで」
「ははは、知識が偏っていると、よく人に言われる」
「まぁ、ケント様は貴族であられるから、あっしらが学ぶものとは種類が違うのでしょうな」
「どうだろうな? 自分で言うのもなんだが、私は変わり種の部類に入るからな。そうそう、カルシウムと言えば、ニワトリの卵の殻は肥料になるんじゃないか?」
「ええ、なりやすよ。手を加える必要はありやすが。あとでメモにでも肥料の作り方を纏めておきやす」
「それはありがたい。ふふ、卵は不思議に満ちているな」
「はい?」
この疑問の声に、私は音符が弾むような声を返した。
「いや、初めて卵を産んだニワトリを見て、とても驚いてなっ。まさか、肛門から排出されるとは! たしか、総排出腔だったか? 糞尿が出る場所から命が生まれる……生命の残骸と生命の輝きが同時に通る穴。実に、うん?」
饒舌に語る私。
すると、またもや全員が無言となる。
その中で、エクアは鋭い視線を見せてきた。
「ケント様……食事中ですよ…………」
「そ、そうだったな。すまない……」
「あまり距離を詰めるのは、ゴリンたちにとっては迷惑だろうか?」
「いえいえいえ、そんな。あっしらとしても、領主様と身近に接する機会が持てて嬉しく感じておりやすよ。ましてや、アルリナを救ってくださった英雄となれば。な、お前ら」
ゴリンが若い大工たちに声を掛けると、彼らは食事を止めて、コクコクと激しく首を縦に振った。
「ふふ、英雄扱いはよしてくれ。私はただのケントだ。だから、気軽に接してほしい」
「はい、かしこまらない程度にお付き合いさせていただきたいと願ってやす。失礼でしょうか?」
「いや、まったく。これからもよろしく頼む」
「こちらこそ」
私とゴリンは笑顔を向け合い、私はスプーンを動かすが、それは空を切る。
「おや、会話に夢中になって気づかなかった。エクア、お代わりを貰えるか?」
「はい」
底の深い皿をエクアに渡す。
その際、エクアは私の足元を見て、何かに気づいたようで尋ねてきた。
「あれ、ケント様。お召し物が土で汚れているみたいですけど? お洋服の格好も変ですし?」
「ああ、これか? さっきまで草むしりをしていたからな」
「草むしり? あれ、午前中は自室でアルリナに届ける書類を作成すると言っていませんでしたか?」
「ゴホンゴホン、あれは、なんだ。午後にでもやるよ」
「サボったんですね……」
「サボったわけじゃない。朝から気の滅入るような仕事を避けて、午後に回しただけだ。日の高いうちに畑づくりをしておきたかったからな」
「畑?」
「三枚目の防壁内にある井戸のそばに畑を作ろうと思ってな。せっかく、ゴリンたちが井戸を清掃してくれたんだ。利用しない手はないだろ」
トーワの防壁内部には無数の井戸が点在している。
訪れた時は鉄扉があった井戸以外、井戸内部には草木が折り重なり使い物にならなかったが、それらの一部をゴリンたちが片づけてくれていた。
「それで、雑草を毟っていたら、土塗れになってしまったというわけだ」
そう、言葉を返すと、ゴリンがパンを片手に声を返してきた。
「なんで草むしりなんかしているんだろうかと思ったら、そのためですかい。それならそうと、あっしらに一声掛けていただければ……アルリナから手伝いに来た身としては、領主様にそのような雑事をさせてしまっては申し訳が立たんのですよ」
「君たちは城の修繕のために来たのだ。それ以外のことは頼めぬよ」
「それは無用な気遣いで……」
「それにな、」
私はゴリンの耳傍でこそりと声を立てる。
「書類作成をサボる口実が欲しかった」
「ああ~、なるほど」
「聞こえてますよ、ケント様」
「ギウギウッ!」
「うぐっ、耳が良いな。エクアとギウは……」
エクアとギウは揃って、私に怒り顔を見せている。
ここ数日で、特にムキの屋敷から家財道具をせしめて以降、エクアの態度が変わっている気がするが、気のせいか?
「二人ともそう怒るな。書類はしっかり書き上げる。ゴリンたちの仕事ぶりを報告してやらないと満足な報酬を貰えないからな。ゴリン、ノイファン殿に覚えが良いよう、書いておくからな」
「そいつはありがてぇ話で」
「そういうわけだ、二人とも。雑草は取り終わったので、あとは鍬を入れて畑を形にしたら書類を書く予定だ」
「まぁ、私はケント様に指図する立場じゃありませんから強くは言いませんけど……でも、予定を変更されるなら、一言言ってもらわないと困ります。自室に行ったらケント様がいない、では……」
「そうか、そうだったな。すまない、これからは気をつける」
「お願いしますね……そういえば、ケント様は畑を作ったことがあるんですか?」
「いや、ないが。鍬を使い、土を掘り起こせばいいんだろう?」
「ええ、そうですけど」
「考えてみたら、なぜ、土を掘り起こすんだろうな。そのまま種や苗を植えては駄目なのか?」
私は顎に手を置いて、素直な疑問に首を捻る。
すると、一同は眉をひそめて私を見つめ、エクアは言葉を淡々と漏らす。
「なんだ、みんな? どうした?」
「いえ、知らないことに驚いたんです」
「いや~、恥ずかしながら畑いじりをする機会も知識を獲得する機会もなかったからなぁ。エクアの両親は画家で医者なのに、鍬を入れる理由を知っているのか?」
「一応、基本的なことは……鍬を入れるのは土に空気を入れて柔らかくするためです。土が固いままだと、根付きにくいですから」
エクアの言葉にゴリンの言葉が続く。
「土を混ぜることによって、土の中の養分を満遍なく広げられやすから。あとは畝を作ることによって水はけを良くしたりできやすんで」
「ああ、なるほど。地中にある窒素やリン酸。カリウム・マグネシウム・カルシウムなどが植物の栄養として与えやすくなるわけだ。もっとも、畑となると自然栽培とは違い、足りない分は肥料で補うのだろうが」
「はぁ?」
「そういえば、どこかで土の粒のことを土壌コロイドと呼ぶと聞いたことがあるな。そのコロイドは主に負の電荷を帯びていて、栄養素の高い肥料は正の電荷を持っている。そのため、栄養の陽イオンがコロイドに吸着保持される、だったか? ということは、この容量が大きいほど、ん?」
と、ここで、皆が無言になっていることに気づいた。
ゴリンは頭に巻き付けた鉢巻の部分をポリポリと掻く。
「土にある栄養が何なのかは知りませんが……ケント様は妙なことを知っておいでで」
「ははは、知識が偏っていると、よく人に言われる」
「まぁ、ケント様は貴族であられるから、あっしらが学ぶものとは種類が違うのでしょうな」
「どうだろうな? 自分で言うのもなんだが、私は変わり種の部類に入るからな。そうそう、カルシウムと言えば、ニワトリの卵の殻は肥料になるんじゃないか?」
「ええ、なりやすよ。手を加える必要はありやすが。あとでメモにでも肥料の作り方を纏めておきやす」
「それはありがたい。ふふ、卵は不思議に満ちているな」
「はい?」
この疑問の声に、私は音符が弾むような声を返した。
「いや、初めて卵を産んだニワトリを見て、とても驚いてなっ。まさか、肛門から排出されるとは! たしか、総排出腔だったか? 糞尿が出る場所から命が生まれる……生命の残骸と生命の輝きが同時に通る穴。実に、うん?」
饒舌に語る私。
すると、またもや全員が無言となる。
その中で、エクアは鋭い視線を見せてきた。
「ケント様……食事中ですよ…………」
「そ、そうだったな。すまない……」
0
あなたにおすすめの小説
私の薬華異堂薬局は異世界につくるのだ
柚木 潤
ファンタジー
薬剤師の舞は、亡くなった祖父から託された鍵で秘密の扉を開けると、不思議な薬が書いてある古びた書物を見つけた。
そしてその扉の中に届いた異世界からの手紙に導かれその世界に転移すると、そこは人間だけでなく魔人、精霊、翼人などが存在する世界であった。
舞はその世界の魔人の王に見合う女性になる為に、異世界で勉強する事を決断する。
舞は薬師大学校に聴講生として入るのだが、のんびりと学生をしている状況にはならなかった。
以前も現れた黒い影の集合体や、舞を監視する存在が見え隠れし始めたのだ・・・
「薬華異堂薬局のお仕事は異世界にもあったのだ」の続編になります。
主人公「舞」は異世界に拠点を移し、薬師大学校での学生生活が始まります。
前作で起きた話の説明も間に挟みながら書いていく予定なので、前作を読んでいなくてもわかるようにしていこうと思います。
また、意外なその異世界の秘密や、新たな敵というべき存在も現れる予定なので、前作と合わせて読んでいただけると嬉しいです。
以前の登場人物についてもプロローグのに軽く記載しましたので、よかったら参考にしてください。
転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~
名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜
Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。
幼女はリペア(修復魔法)で無双……しない
しろこねこ
ファンタジー
田舎の小さな村・セデル村に生まれた貧乏貴族のリナ5歳はある日魔法にめざめる。それは貧乏村にとって最強の魔法、リペア、修復の魔法だった。ちょっと説明がつかないでたらめチートな魔法でリナは覇王を目指……さない。だって平凡が1番だもん。騙され上手な父ヘンリーと脳筋な兄カイル、スーパー執事のゴフじいさんと乙女なおかんマール婆さんとの平和で凹凸な日々の話。
お前には才能が無いと言われて公爵家から追放された俺は、前世が最強職【奪盗術師】だったことを思い出す ~今さら謝られても、もう遅い~
志鷹 志紀
ファンタジー
「お前には才能がない」
この俺アルカは、父にそう言われて、公爵家から追放された。
父からは無能と蔑まれ、兄からは酷いいじめを受ける日々。
ようやくそんな日々と別れられ、少しばかり嬉しいが……これからどうしようか。
今後の不安に悩んでいると、突如として俺の脳内に記憶が流れた。
その時、前世が最強の【奪盗術師】だったことを思い出したのだ。
裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね
竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。
元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、
王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。
代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。
父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。
カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。
その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。
ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。
「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」
そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。
もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる