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第七章 遺跡に繋がるもの
怖いもの知らず
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フィナを案内するために執務室から出る。
扉を開けたところで、ちょうどエクアと鉢合わせをした。
「おっと」
「あ、すみません」
「いや、こっちこそすまない。エクアが来たということは?」
「はい、お部屋の準備が整いました」
「そうか。フィナ、まずは部屋に案内しよう」
「うん? いえ、それよりも地下が見たいかな。あんまり狭かったらさすがに嫌だし」
そう、フィナが言葉を返すと、エクアは疑問の声を漏らす。
「地下?」
「フィナはしばらくトーワに滞在することになった。錬金術師として色々協力してくれるそうだ。それで、研究しやすい地下の部屋を貸すことにしたんだ。しばらくはエクアの用意してくれた部屋で寝泊まりするが、地下には片付けが済み次第にね」
「そうなんですか。えっと、私はエクア=ノバルティと言います。ケント様の下でお手伝いをしています。これからはよろしくお願いします」
「うん、よろしく。私はフィナって呼んでね。エクア」
「はい、フィナさんですね」
「さんはいらないんだけど。ま、いっか。あ、そうそう、初めて会った時に名字を言ったけど、それは忘れて」
「え?」
「色々と問題があってね。だから、私はフィナ。わかった?」
「はぁ、よくわかりませんけどわかりました」
「やだ、素直。この子可愛いねぇ、ケント」
「それはそうだ。君と比べれば、誰もが素直だろう」
「ふふ~ん、皮肉屋ねぇ。喧嘩なら買うよ」
「申し訳ない、売り切れ中でね」
「この、ヘタレ」
私とフィナは互いに笑顔のまま奥歯を噛み締める。
そんな私たちを見たエクアは……。
「お二人は……似た感じが、というよりも仲良しさん?」
「「それはない! あっ」」
互いの声がピタリと重なり合う。
私とフィナはばつの悪そうな顔を向け合い、エクアはくすくすと笑っている。
微妙な空気を一新すべく、私はわざとらしく咳払いをして話題を地下へ戻す。
「ゴホンッ。とにかく、地下へ案内しよう。まずはゴリンに頼んで階段を整備してもらわないといけないな」
「あっちこっち傷んでるみたいねぇ。そういえばさ、依頼が二つあるって言ってなかった? 銃弾製造しか依頼されてないんだけど?」
「ああ、忘れていた。実はポンプと風呂釜の調子を見て欲しくてね」
「なにそれ?」
「どうやらこの城にはかなり古い風呂の設備があるらしい。それを修理してもらいたい」
「なんで町の修理屋みたいな依頼をこの私に。ま、お風呂があるならあるに越したことはないから見てあげるけど……」
「悪いな、頼んだ」
私とエクアとフィナは三人そろって地下へ向かう。
一階に来ると、柱の修繕の様子を見ていたゴリンの姿が目に入った。
「ゴリン、ちょうどよかった。悪いが、急ぎ地下室へ続く瓦礫を撤去してくれないか?」
「ああ、それでしたらもう終わってやすぜ。そのことを報告しようとしたら、ちょうどお客人がいらしたようなんで、あとで報告しようと思っていたんでさぁ」
「そうだったのか。なら、すぐにでも地下の様子が見れるな」
「それが、ケント様……」
ゴリンの歯切れが悪い。どうしたんだろうか?
「何か、問題でもあったか?」
「はぁ、まぁ……地下の壁にはなんだか奇妙なものが書かれてまして。模様のような、魔法陣のような。若い大工連中の中には、呪いのまじないじゃないかという者もいて、とにかく不気味なんですわ」
「はは、そんなもの――」
「何それ? めっちゃ興味あるんですけど!」
「フィナ?」
「模様って絵ですか? うわ~、昔の人の絵かなぁ」
「エクアまで……」
二人は私の言葉を遮って飛び出してきた。
ゴリンは二人の勢いに気圧されて、言葉を詰まらせながら声を返す。
「さ、さぁ、そこまでは。ですが、お嬢さんらが興味を惹くようなものじゃないと思いやすよ」
「興味が惹くかどうかは見て判断する。行くよ、エクア!」
「はい、フィナさん! ほら、ケント様もっ」
二人は勇んで地下室に続く階段へ向かっていく。
取り残された私はゴリンへ声を掛けた。
「怖いもの知らずだな、二人とも」
「ええ、そうでやすな……」
扉を開けたところで、ちょうどエクアと鉢合わせをした。
「おっと」
「あ、すみません」
「いや、こっちこそすまない。エクアが来たということは?」
「はい、お部屋の準備が整いました」
「そうか。フィナ、まずは部屋に案内しよう」
「うん? いえ、それよりも地下が見たいかな。あんまり狭かったらさすがに嫌だし」
そう、フィナが言葉を返すと、エクアは疑問の声を漏らす。
「地下?」
「フィナはしばらくトーワに滞在することになった。錬金術師として色々協力してくれるそうだ。それで、研究しやすい地下の部屋を貸すことにしたんだ。しばらくはエクアの用意してくれた部屋で寝泊まりするが、地下には片付けが済み次第にね」
「そうなんですか。えっと、私はエクア=ノバルティと言います。ケント様の下でお手伝いをしています。これからはよろしくお願いします」
「うん、よろしく。私はフィナって呼んでね。エクア」
「はい、フィナさんですね」
「さんはいらないんだけど。ま、いっか。あ、そうそう、初めて会った時に名字を言ったけど、それは忘れて」
「え?」
「色々と問題があってね。だから、私はフィナ。わかった?」
「はぁ、よくわかりませんけどわかりました」
「やだ、素直。この子可愛いねぇ、ケント」
「それはそうだ。君と比べれば、誰もが素直だろう」
「ふふ~ん、皮肉屋ねぇ。喧嘩なら買うよ」
「申し訳ない、売り切れ中でね」
「この、ヘタレ」
私とフィナは互いに笑顔のまま奥歯を噛み締める。
そんな私たちを見たエクアは……。
「お二人は……似た感じが、というよりも仲良しさん?」
「「それはない! あっ」」
互いの声がピタリと重なり合う。
私とフィナはばつの悪そうな顔を向け合い、エクアはくすくすと笑っている。
微妙な空気を一新すべく、私はわざとらしく咳払いをして話題を地下へ戻す。
「ゴホンッ。とにかく、地下へ案内しよう。まずはゴリンに頼んで階段を整備してもらわないといけないな」
「あっちこっち傷んでるみたいねぇ。そういえばさ、依頼が二つあるって言ってなかった? 銃弾製造しか依頼されてないんだけど?」
「ああ、忘れていた。実はポンプと風呂釜の調子を見て欲しくてね」
「なにそれ?」
「どうやらこの城にはかなり古い風呂の設備があるらしい。それを修理してもらいたい」
「なんで町の修理屋みたいな依頼をこの私に。ま、お風呂があるならあるに越したことはないから見てあげるけど……」
「悪いな、頼んだ」
私とエクアとフィナは三人そろって地下へ向かう。
一階に来ると、柱の修繕の様子を見ていたゴリンの姿が目に入った。
「ゴリン、ちょうどよかった。悪いが、急ぎ地下室へ続く瓦礫を撤去してくれないか?」
「ああ、それでしたらもう終わってやすぜ。そのことを報告しようとしたら、ちょうどお客人がいらしたようなんで、あとで報告しようと思っていたんでさぁ」
「そうだったのか。なら、すぐにでも地下の様子が見れるな」
「それが、ケント様……」
ゴリンの歯切れが悪い。どうしたんだろうか?
「何か、問題でもあったか?」
「はぁ、まぁ……地下の壁にはなんだか奇妙なものが書かれてまして。模様のような、魔法陣のような。若い大工連中の中には、呪いのまじないじゃないかという者もいて、とにかく不気味なんですわ」
「はは、そんなもの――」
「何それ? めっちゃ興味あるんですけど!」
「フィナ?」
「模様って絵ですか? うわ~、昔の人の絵かなぁ」
「エクアまで……」
二人は私の言葉を遮って飛び出してきた。
ゴリンは二人の勢いに気圧されて、言葉を詰まらせながら声を返す。
「さ、さぁ、そこまでは。ですが、お嬢さんらが興味を惹くようなものじゃないと思いやすよ」
「興味が惹くかどうかは見て判断する。行くよ、エクア!」
「はい、フィナさん! ほら、ケント様もっ」
二人は勇んで地下室に続く階段へ向かっていく。
取り残された私はゴリンへ声を掛けた。
「怖いもの知らずだな、二人とも」
「ええ、そうでやすな……」
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