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第二章
女王の決断
しおりを挟むアリシアは、ダーゼルの街の冒険者ギルドで、無事に冒険者登録を済ませた。
ギルド長はセイレーンの母親であるフィリアで、レーヴェルランドの女性戦士は大抵A級かB級からのスタートになるが、アリシアはその実力からS級認定された。ちなみに、冒険者ランクは、最高位がS級で、その下へA→F級とランクが落ちていく。
レーヴェルランドの女性達がダーゼルの街で冒険者登録を行うのは、ダーゼルの街の冒険者ギルド長には、特別に登録時のランクを決定する権利が認められているからだ。
冒険者は一般的に、登録時はF級からのスタートで、着実に依頼を熟すかランクアップ試験を受けて昇格する仕組みではあるのだが、この特例は、聖石を持つレーヴェルランドの女性戦士達を実力通りの冒険者ランクとして登録し、諸々のトラブルを避ける為に、必要な措置でもあったからだ。
それでも、同じクラスの他の人間と比べれば、レーヴェルランドの女性達は出来ることが多いのだが。
アリシアは、レーヴェルランドの女性達の中でも際立って、更に歴代女王と比べても、その実力は最高であった。
先の戦争で、草原に地割れを起こし泥沼を作ってみせたが、あんなことは他の誰にも出来ない。
実力者であるミーシャやセイレーンをもってしても、自身を結界魔法で防護しながら、身体強化をかけ、得意属性の攻撃魔法を同時に無詠唱で行使しながら、武器を使っての攻撃を行う程度である。
一方、魔力を持つ一般的な人間はというと、詠唱して何らかの魔法を使うことが出来るという者が大半である。戦いや肉体労働を職業にする者は、身体強化魔法を自身に施す事が多い。また、魔法師と呼ばれる者達は、短縮詠唱や二重行使も可能だが、あまり効率的では無いため連続行使を訓練し、いくつかの魔法を連続して使うのが普通である。魔道具を開発したり、魔法薬を作ったりする者もいる。
無詠唱の多重魔法行使を可能にしているのは、レーヴェルランドの女性達の持つ聖石だが、これは体幹のどこかに現れ、色も赤、青、緑、黄、黒と様々であり、濃淡もあるが、濃い色であれば魔力が高いと言われている。
アリシアが歴代最強と呼ばれる所以は、額に現れる聖石の為で、濃い紫色で金色の小さな欠片が混じるアリシアの聖石は、かつての女王達の中で最も濃い色だった。
そんなアリシアは、ダーゼルからカルディス帝国の皇都近くまで、夜間に飛竜を飛ばして移動して来たのだが、流石に皇都へは徒歩で入った。冒険者カードがあれば、入国はスムーズだ。
皇都での滞在先を決めたアリシアは、最初の何日かで街の様子を自分の足で回って確認し、食事処や酒場で噂話を拾っていく。
セイレーンからは、セシルの護衛依頼が、レオンハルトとカルディス帝国の皇女の婚姻を結ぶための帝国行き、という連絡も受けた。
帝国がレーヴェルランドを探る理由が今ひとつ掴めないが、どうやらベルハルト王国への再侵攻を考えているから、という訳では無さそうである。
ならば、レオンハルト一行が皇都に到着するのを待つ間、近くで冒険者として依頼でも熟そうかと、少し遅めの時間に皇都の冒険者ギルドを訪れて、依頼を吟味していた時だった。
カルディス帝国皇帝に、捕まったのである。
ヴォルフガインは噂で聞くほど、残虐でも冷酷でもなく、極めて冷静でまともな為政者だった。
しかし、破天荒だ。
自身と周囲を守る為に戦いを選び、戦い続けて帝国を大国に押し上げ、それを成したら、今度は妹とその伴侶に国を任せて皇帝を辞めると言う。
そして、レーヴェルランドの女王であるアリシアと共に、冒険者として大陸を旅すると。
アリシアは、ヴォルフガインに引き止められ、仕方なく考える。
額の聖石には、歴代女王の記憶と共に、未来予測演算機能も備わっている。
これまでの女王達が成人した後、大陸中を冒険者として旅してきたのは、「女王の巡礼」とも言われ、各地を巡り、正確な情報を集め、それを基にして神の意志を問い、大陸の平穏に最も近い未来となるよう、働きかける為だ。
神の意志というのは曖昧だが、なんとなく自分がこの選択肢を選んだ方が良いという、天啓のようなものに従う感じだ。
ヴォルフガインの退位と彼の望むこれからは、大陸にとって良き未来を予感させた。
だから、渋々ではあるがアリシアは、条件付きでこれを了承することにしたのだ。
「…………いくつか条件がある」
そう言って挙げた条件は四つ。
1つ目、皇女や臣下をきちんと説得すること
2つ目、雇用契約は要らないから、旅の行き先は、アリシアの意見を優先すること
3つ目、必要に応じて互いに単独行動を認めること
そして最後は、アリシアはこの先何があってもレーヴェルランドの女王としての生き方を変えるつもりはないから、それを認めること。
ヴォルフガインは、アリシアの条件にしっかりと頷く。
「わかった。全て了承しよう。後で契約書を作っても良い」
ヴォルフガインが条件を受け入れ、守るつもりなら問題はない。
少々、いやかなり面倒ではあるが、この男と大陸中を旅することで、レーヴェルランドひいては大陸に住む人々が平穏に暮らしていけるだろう未来が予測されるなら、悪くもない。
今回の件で、帝国は落ち着いていくだろうが、周辺諸国や特に北部地方は、まだ争いが多く、荒れていると聞く。女性戦士達からは、痛ましい報告もチラホラ上がってきていた。
この男は皇帝なのにも関わらず、国内随一と言われるくらいには強い。アリシアも剣を合わせてみて、それを感じていた。この先争いが無くなるであろう帝国で、腐らせておくのは惜しかった。
それに、国や地方によっては女性では踏み込めない場面もあるが、男性であれば違うことも、アリシアは知っていた。そういう意味でもヴォルフガインは役に立つ。
「では決まりだ。後で書面で契約を交わそう。で、サーモン料理は?」
決断したアリシアは、男が再三提示したサーモン料理を要求する。ここまで巻き込まれてやったのだ。報酬をさっさと寄越せと催促した。
「お前な、見た目を裏切る食い意地だな」
ヴォルフガインが呆れたようにアリシアを見る。
「失礼だな、ヴォルフが言ったんでしょ? 見た目関係ないし」
この男は口で言うほど、アリシアの容姿にあまり頓着もしなければ、女王だからと言って、遠慮もない。それはアリシアも一緒だが、そういうところは気が楽だった。
「まあ、いい。ちょっと待ってろ」
ヴォルフガインはそう言って立ち上がると、部屋の扉を開け給仕を呼びつけた。
間もなく、まるで茶菓子のように綺麗に盛り付けられた一口サイズのサーモン料理が、アリシアの前のテーブルに用意される。良い香りのする紅茶も一緒だった。
一通り料理を並べると、給仕は部屋を出ていく。
ヴォルフガインはアリシアの前で詠唱し、毒探知の魔法を使って安全であることを示して見せた。
「これ、美味しい」
アリシアは早速一巡り口にしてから、スモークサーモンと半熟卵とチーズを小さなバケットに乗せたカナッペを指して、言った。
「良かったな。満足したら、お前の滞在する部屋に案内する」
ヴォルフガインは紅茶だけ飲みながら、品良くしかし素早く食べているアリシアを眺めて、そう口にした。
すると、アリシアの動きがピタリと止まり、やがて顔を上げる。
「…………私、宿に帰るけど」
「阿呆、他国の女王が、街の宿屋に泊まれると思うな」
「いや、普通に泊まってたし」
「現皇帝が、レーヴェルランドの女王を客人として饗すと言ってる。まだ冒険に出た訳じゃないんだ。甘んじて受けろ」
「え~、めんどくさい」
せっかく誰にも気を遣わずに、皇都でもそこそこ評判の上宿に泊まって、好きなように過ごしていたのに……と不満が漏れる。
ここで饗されるということは、女王として振る舞えということだ。ヴォルフガインの前で今更無表情でいても、この不満は伝え切れないと、地のままに思いっきりむくれて見せた。
この男に対して無表情の仮面を被ることは、あまり意味がない気がする。
「…………お前、これは決定だ。女性の騎士をやって、お前の荷物を引き取らせる。宿と部屋を教えろ」
アリシアの意図はどうやら伝わっているらしいが、ヴォルフガインはあっさり無視して、話を進めた。
一方、レオンハルトの一行は、皇都まで後3日ほどの距離まで来ていた。馬車の旅はゆっくりであるが、その行程中、街道の様子や宿泊の為立ち寄る街の様子で、帝国の状況を窺い知る事が出来る。
ヴォルフガイン皇帝に対する、国民の間での評判も聞くことが出来た。
対外的には戦争を繰り返し、周辺国を吸収合併させてきた皇帝だが、意外にも内部に向けた政策は悪くなかった。
汚職や、地方で悪政や重税を課していた貴族を、容赦なく断罪死刑にし、不正を犯すものや犯罪者を、自らの手で殺害するなど、やり方は乱暴で民にも恐れられていたが、結果的に生活は改善されていったので、支持は高かった。
また、中央にはかなり頭の回る経済担当や政治担当がいるのだろう。
国力も高く、不作や災害時の対応も悪くない。併合された国々の王族は、条件により根絶やしになったり、一貴族になって地方自治を任されたりといろいろだったが、大きな街の平民達は、貧富の差はあるものの、政策に不満は抱いてなさそうだった。
もっとも国境付近や、寂れた街道付近の治安はそれなりに悪いのだが、レオンハルト一行の邪魔になる程ではなかった。
その旅路を七割ほど経て、今朝も出立しようと宿を出たところで、セシルがレオンハルトを呼び止め、共に馬車に乗り込んできた。動き出した馬車の中で、セシルが切り出す。
「レオン、落ち着いて聞いてね?」
セシルがそう前置きするのを聞いて、レオンハルトは首を傾げる。
「なんです、姉上? 改まって」
何か問題が起こったのか?と、レオンハルトは身構えた。
「アリシアが、帝国皇帝に捕まった」
「え? 捕まったって? まさか」
思わず、ガタンと音を立てて、レオンハルトはその場で立ち上がった。
セシルは、それをなだめるように首を横に振って、手振りで座るように促す。
「ああ捕縛されたって意味じゃなく、どうやら皇都で皇帝に見つかって、皇城に滞在することになったって意味」
「一体、何故そんなことに」
それでも想定外の情報に、レオンハルトはアリシアに何が起こったのか心配になる。
なにせ彼女は、先の戦争で直接皇帝と対峙し、その力でもって帝国を敗戦に追い込んだのだ。皇帝が彼女に恨みを持っても不思議ではない。
アリシアの強さは理解しているが、一般市民を危険にさらすようなことや、レーヴェルランドの民を人質に取られたりすれば、無茶も出来ない。
そもそも、何故アリシアは、カルディス帝国の皇都にいたのか?
レオンハルトが瞳を眇め考え込むのを見て、セシルは続けた。
「私達は聖石を通して、簡単な意思の疎通は出来るけど、詳細までは無理だわ。そのうちアリシアから手紙で知らせが来ると思うけど……」
聖石を通して伝わる情報は不完全だ。アリシアとセシルの場合、肯定や拒否、快や不快、シンプルな意思や指示などは問題ないのだが、アリシアの血族や側近達程、自由な情報交換が出来るわけではない。
セシルに伝えられたのは、「皇帝に見つかった。皇城で待つ」という内容と、なんとなく苦々しい気持ちを抱いていることだけだ。
だからこの後、情報を補う形で、セシルにも知らせが届くだろう。
「わかりました。皇都までは後3日ほど。アリシアの知らせを待ちましょう。こちらの対応も、いろいろ想定して考えておかなければ」
どうやら皇女との婚約だけでは済まなそうな流れに、レオンハルトは気を引き締めて旅を続けるのだった。
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