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第20話 1本目、交わる線。
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委員会の仕事はそれなりに楽しかった。クラスの準備も並行しつつだったからなかなかに大変だけど、これが高校生、みたいな感じがしてよかったんだ。
「遥香―、消耗品の買い出し終わった?」
「はい、さっき相上君と六井君、中嶋君と絵見ちゃんが行ってくれたので、大丈夫です」
遥香は絵見も名前で呼ぶくらいには仲良くなったみたい。徐々に徐々に、私たちとの関係性が深くなっている。
クラス発表の進行は、私と陽平以外には絵見、遥香と陽平・恵一の友達である中嶋君、相上君、六井君に任せることになった。特に中嶋君は面倒見の良いお兄さん的存在で絵見といい相性な気もしている。
恵一はクラス委員で他に仕事があるみたいで、あまりクラスには関わってはいないようだ。
「そっか、オッケー、ならとりあえず明日以降の作業は滞りなく進みそうだね」
放課後の誰もいない教室、私は遥香と一緒にノートに書き出した進捗予定のメモを確認している。
私は一番左に書いてある「ガムテープ・マスキングテープ・段ボール等の確保」のところに丸印をつける。
「明日は、今日の昼休みに決めた雰囲気のお化け屋敷をどういうふうに作るかを決めて、小道具・大道具・衣装で何が必要かをリストアップする、ですね?」
「そうだね、多分私と陽平はいないだろうから、遥香たちで決めちゃっていいから」
「了解です」
遥香と話していくなかで、チラリと彼女の横顔を見る。
陽平とも段々普通に関わるようになってきた……。
うかうかしていると、私の立ち位置は、遥香に取られてしまうかもしれない。
「じゃあ、それでよろしく。私、これから委員会あるから、もう行くね。バイバイ、遥香」
「バイバイ、茜」
彼女に背を向けた瞬間、崩していた表情を硬く結んで、会議室へと向かう。
廊下の先には、これから同じ場所に向かう陽平の姿があった。
「陽平―かえろ……う?」
委員会の仕事も終わり、陽平に声を掛けた。けど、
「高崎くーん、この後のことでちょっと相談したいことあって」
陽平は、同じグループの二年の先輩に話しかけられていた。
「はい、なんですか?」
一年生ながら、陽平の性格は委員会のなかでも目立っていて、先輩の興味を買い始めているんだろう。その様子を見て、私は引っ張り出していた「一緒に帰ろう」の一言をしまいこんだ。
「閉会式の台本なんだけど、生徒会の用意してるものだと少しインパクト薄い気がするんだよね、何か効果的な工夫つけたいんだけど……」
「そうですね、僕もそこは読んでいて弱いかなあって思っていまして……」
私は未練がましく先輩と話している陽平を眺めながら、会議室を後にする。
昨日今日と、一人で帰ることになっちゃった。それ自体は別になんだっていいんだけど、どこか陽平とすれ違い始めているのが、ちょっと。まだ二日だから、神経質だと言われたら、気にしすぎだと言われたらそうかもしれないけど。でも、距離詰めようとしたらこうだから……。
何か……話すきっかけ、ないかな……。信号待ちの間、スマホを開いて適当にサイトを渡っていく。
「あ……」
あるサイトで、私はひとつのイベントに行きついた。
花火大会。
夏休み始まってすぐに、豊平川で花火大会がある。それに、陽平を誘えれば……。きっと、何も言わないでいると、五人で行くことになりそうだから、そうなる前に。
うん、明日。明日にでも、陽平に聞いてみよう。
信号が赤から青になり、私はまた歩き始める。夕暮れ時に吹き付ける車の風は少しだけ生ぬるくて、近づいてきている夏の訪れを感じさせた。
「遥香―、消耗品の買い出し終わった?」
「はい、さっき相上君と六井君、中嶋君と絵見ちゃんが行ってくれたので、大丈夫です」
遥香は絵見も名前で呼ぶくらいには仲良くなったみたい。徐々に徐々に、私たちとの関係性が深くなっている。
クラス発表の進行は、私と陽平以外には絵見、遥香と陽平・恵一の友達である中嶋君、相上君、六井君に任せることになった。特に中嶋君は面倒見の良いお兄さん的存在で絵見といい相性な気もしている。
恵一はクラス委員で他に仕事があるみたいで、あまりクラスには関わってはいないようだ。
「そっか、オッケー、ならとりあえず明日以降の作業は滞りなく進みそうだね」
放課後の誰もいない教室、私は遥香と一緒にノートに書き出した進捗予定のメモを確認している。
私は一番左に書いてある「ガムテープ・マスキングテープ・段ボール等の確保」のところに丸印をつける。
「明日は、今日の昼休みに決めた雰囲気のお化け屋敷をどういうふうに作るかを決めて、小道具・大道具・衣装で何が必要かをリストアップする、ですね?」
「そうだね、多分私と陽平はいないだろうから、遥香たちで決めちゃっていいから」
「了解です」
遥香と話していくなかで、チラリと彼女の横顔を見る。
陽平とも段々普通に関わるようになってきた……。
うかうかしていると、私の立ち位置は、遥香に取られてしまうかもしれない。
「じゃあ、それでよろしく。私、これから委員会あるから、もう行くね。バイバイ、遥香」
「バイバイ、茜」
彼女に背を向けた瞬間、崩していた表情を硬く結んで、会議室へと向かう。
廊下の先には、これから同じ場所に向かう陽平の姿があった。
「陽平―かえろ……う?」
委員会の仕事も終わり、陽平に声を掛けた。けど、
「高崎くーん、この後のことでちょっと相談したいことあって」
陽平は、同じグループの二年の先輩に話しかけられていた。
「はい、なんですか?」
一年生ながら、陽平の性格は委員会のなかでも目立っていて、先輩の興味を買い始めているんだろう。その様子を見て、私は引っ張り出していた「一緒に帰ろう」の一言をしまいこんだ。
「閉会式の台本なんだけど、生徒会の用意してるものだと少しインパクト薄い気がするんだよね、何か効果的な工夫つけたいんだけど……」
「そうですね、僕もそこは読んでいて弱いかなあって思っていまして……」
私は未練がましく先輩と話している陽平を眺めながら、会議室を後にする。
昨日今日と、一人で帰ることになっちゃった。それ自体は別になんだっていいんだけど、どこか陽平とすれ違い始めているのが、ちょっと。まだ二日だから、神経質だと言われたら、気にしすぎだと言われたらそうかもしれないけど。でも、距離詰めようとしたらこうだから……。
何か……話すきっかけ、ないかな……。信号待ちの間、スマホを開いて適当にサイトを渡っていく。
「あ……」
あるサイトで、私はひとつのイベントに行きついた。
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夏休み始まってすぐに、豊平川で花火大会がある。それに、陽平を誘えれば……。きっと、何も言わないでいると、五人で行くことになりそうだから、そうなる前に。
うん、明日。明日にでも、陽平に聞いてみよう。
信号が赤から青になり、私はまた歩き始める。夕暮れ時に吹き付ける車の風は少しだけ生ぬるくて、近づいてきている夏の訪れを感じさせた。
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