僕の周りの人達には秘密がある

ノア オリバー

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第1章 石神 隼歌の秘密

彼女の秘密

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次の日、ぼくは朝早く学校に登校して自分の席に座り、読書をしていた。周りの女子達は来ていなかった。まぁいい。誰もいない静かな教室は最高の読書場だ。僕が黙々と本を読んでいると突然、
「雨流射君何読んでるんですか?」
「うおっ!?」
突然横から声が聞こえた。
「…って石神か、びっくりさせるなよ。」
石神だった。驚かされた、やるな?
「何読んでるですか?」
凄い笑顔で聞いてくる彼女に僕は思わず顔を背けてしまった。
「いや、ただのファンタジーだよ。吸血鬼の話。」
吸血鬼っていいよね。うん。生まれ変わったら女の子の吸血鬼になりたいなー。
「ほえー、そういうの好きなんですね!」
意外そうに見てくる石神に対し僕は。
「…立ち読みしてる時にいじめに対抗する主人公がかっこよくて買っちゃったんだ。」
彼女は一瞬黙ってやがて言った。
「そうなんですね!じゃあ私は席に行きますね!」
「…あぁ。そうかい。」
隼歌は自分の席に向かった。
「あぁ間違いないな。」
僕は小さく呟いた。今のちょっとの会話で、色々分かった。彼女の秘密、それは〝 いじめについて〟。僕がいじめという単語を出した直後から、彼女の瞬きの回数が増えた。これは動揺を隠そうと平然を装うとする時の人間に起きる心理現象だ。あと、少しだけ顔色も悪くなった感じがした。間違いない。〝 石神 隼歌という人間はいじめに恐怖心を抱いている。〟それが、自分が受けていたのか、友達がいじめられているのを見てから恐怖心を抱いたのか。それはよく分からないが、相当酷いいじめだったに違いない。今も彼女は震えている。話を聞ければ良いが…、話してくれるとは思えない。









1時間目の終わり。
「はぁ~疲れたー…ん?」
ふと廊下を見ると、石神 隼歌が数名の生徒に取り囲まれていた。遊びの約束でもしているのかと一瞬思ったが、雰囲気的に違うだろう。
「放課後、残ってろよ?みたいなありがちな展開か?僕の読んでる本と同じじゃないか。」
石神は怯えている感じだな。…少し僕も残って、石神の後をつけてみるか。ストーカーという気は全く無いので、大丈夫だ。僕は廊下から視線を戻し、机の中に入れて置いた本を取り出し、読むのだった。






私は、いじめられている。何故だかは分からない。別に知りたいとも思わない。私にあるのはいじめられている現実だからだ。ヒーローを求めていた。私をいじめから救ってくれるヒーローを。ヒロインになりたいわけじゃない。ただ、単に助けて欲しいのだ。何となく、彼は助けてくれるような気がした。雨流射 霊也という少年は私を救ってくれるヒーローだと思った。彼は救わないと応えた。私の質問にNoを返した。普通は皆からよく思われたいがために、YESと答える。でも彼は違った。その言葉の重さをちゃんと理解しているかのようだった。でも、やはりそんなヒーローはいなくて、今囲まれている状況でも誰も助けてくれ無いのが現実だ。そんなかっこいいヒーローはいない。放課後に、ボコボコにされるんだろうな…。私は、いじめっ子から解放された後、席に座り1人空を眺め、時間が流れていくことを呪い、そして願った。永遠に放課後が来ませんように、と。
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