僕の周りの人達には秘密がある

第1章 石神 隼歌の秘密

ヒーロー

いやー時というのは直ぐに過ぎていくものだ。もう、ホームルームだよ。早く帰りたいけど、今日はそうもいかない。僕は、先生の話を聞きながら石神 隼歌の方を見た。多分彼女は平然を装うのが上手いのだろうが、今は余程のことがあるのか震えが止まっていない。皆は気づいていないのだろうか…。ホームルームが終わりクラスはどんどん静かになっていく。石神 隼歌は何人かに一緒に帰ろうと誘われていたが、全部断っていた。それもそうだ、今ここでいじめっ子達から逃げたら、次の日痛い目を見るに違いない。懸命な判断だ、まぁいじめられたことないから知らないけど。皆下校していき、教室には僕と石神だけになった。僕は帰るふりをし教室を出て、外から教室を見た。石神は教室に誰もいないことを確認し、カバンを置いて教室を出た。咄嗟に僕は隠れて、石神を観察した。石神はどうやら隣のクラスに入ったようだ。完全に入ったのを見計らい、僕は隣のクラスの前に素早く移動し窓から様子を伺った。










時間が過ぎた。あれだけ願ったのに、神様は私に地獄を見せたいらしい。私はもう、どん底を何度も経験したのに。私だけに不幸がやってくる。私が神様に何をしたのだろう。

 
放課後になってしまった。私はクラスに人がいないことを確認すると、呼ばれていた隣の教室に入った。そこには5人のいじめっ子達がいた。
｢なんですか？｣
私は聞いた。もう、どうでも良くなった。
｢舐めた口聞いてんじゃねーよ！｣
いじめっ子達は、私に襲いかかってきた。私はされるがままに殴られた。痛いよ…ヒーロー…もしもみてるなら見てるなら助けてよ…。









うわひでーな。女殴ってるぞあいつら。男なのに、もっと他に力使えよ…。
｢っと、これでいいかな…。｣
これでアイツらが逃げてくれたらいいのだが…。いざと言う時は…潰すか。僕はドアを開けた。









ガラガラガラ。ドアが突然開いた、のと同時に爆音が鳴り響く。
『舐めた口きいてんじゃねーよ！』
さっき言っていた言葉が教室に響く。そして…
｢はいはーい。さっきの会話と今の出来事、全て録画したよ。警察に届けよーかな？君たちお縄に着きたいのかな？｣
彼、雨流射 霊也君はわざとウザイ感じに声を変え、こいつらを煽っていた。助けにくれたのだろうか…。彼はやはり…、私が考えているといじめっ子達が、
｢その動画を消せ、じゃないとどーなるか分かるよな？｣
いじめっ子は雨流射君を脅す。彼はそれに屈せず、言った。
｢テメーらの方こそわかんねーのか？｣
ゾワッと鳥肌がたち、背中に寒気を感じがした。彼の冷えきった声音、殺意丸出しの目、すべてにおいて私は恐怖した。殺される、そうも思うほど彼は凄かった。いじめっ子達も怯み、急いで教室を出ていった。彼は私に近づいてきて、
｢大丈夫か？｣
と聞いてきた。
｢私は…私は…！｣
震えが止まらなかった。囲まれて殴られたあの時を思い出して怖くて震えた。そして、ヒーローが助けてくれたことによる喜びで震えた。私の気持ちを察してか、彼はゆっくりとこう言った。心が落ち着くような笑顔で、声音で彼は言った。







｢僕に話してみなよ｣
と。