12 / 46
第3章 幻世 夢叶の秘密
秘めた思い
しおりを挟む
あれから3日が過ぎた。その間、隼歌は毎日お見舞いに来てくれた。少し心配しすぎじゃないか?でも轢かれたから心配してくれるのは当たり前なのかな…。それと、隼歌から聞いたのか愛澄花がお見舞いに来てくれた。すごい勢いで
「大丈夫!?痛くない!?何で轢かれたの?誰がやったの!?消すから、その人消すから。」
と言ってきたので僕は、
「大丈夫、大丈夫だから。不注意、不注意だから。けけ、決してスピード違反している大型トラックが信号無視してぶつかってきたとかじゃな、ないから。」
と返した。流石権力者の子供。本当にできることを言うから怖いんだよな。
「…、スピード違反している大型トラックが信号無視してぶつかってきたのね?」
「違うってーー。」
そんな楽しい会話をしたのだ。その人は逮捕されているだろうが…まぁ僕はお人好しなのだろう。轢かれた身だが…彼がこの世から消されないことを祈ろう。
今日は夢叶が誘ったデートに行く。おいおいちょっと待てって、お前事故って1週間経ってないだろって、思っている人もいるだろう。僕も思う。隼歌は全身骨折って言ってたから、僕は歩くこと、いや立つことすらできるはずがないのである。だが僕は立っている、足で床を蹴っている。詳しい検査をしたところ、何故か骨は全部元通りになっていたそうだ。何故治ってるのか自分でも分からないのに、先生は人外を見るような目で僕に、
「君、本当に人間?何で治ってるの?」
いや、だから
「人間ですよ!治ってるのなんて何で僕が知ってるんですか。きっと神様からのプレゼントですよ!」
「はえー奇跡ってあるんだねー」
と、信じていない目で言われてしまった。まぁ、一応、数日入院しとけということで入院してるんだが…。絶対次こんな病院行かねーと決意した日であった。
「ごめん、待たせたね。」
僕は、何故かあの変な医者に引き止められて待ち合わせの時間に遅れてしまった。一緒に病院から行けばいいのにと思ったのだが、何故か夢叶は、
「形から入るのよ。」
と聞かなかった。まぁ夢なんだからそういうこだわりはあって当然だよね。夢叶は余命があるが、動ける時に未練を無くすということで、外出許可は降りているそうだ。
「待ったけど、大丈夫!今日は楽しみましょ!」
そう言って夢叶は僕の手を握った。一瞬ビクッとして何で手を繋ぐかを聞こうとした。が、理由はすぐに分かり押しとどめることにした。夢だもんね。僕は頑張って平然を装うとしましょう。女の子と手を繋ぐのなんて初めてなんで。
僕らは一日を楽しんだ。映画を見たり、アクセサリーを買ったりもした。映画はホラー物で耐性がないのか、夢叶は目を潤ませていた。ハムスターみたいだったな…。可愛かった、と僕は映画を見終わったあとそんなことを考えるのだった。
アクセサリーは、お揃いのネックレスを買った。僕はウレキサイトという宝石のネックレスを、夢叶はアレキサンドライトという宝石のネックレスを買った。僕も夢叶も何故この宝石を選んだのか、その理由は単純で、自分にあってると思ったからだ。
僕らは一日を満喫した。そして遂に一日が終わる。楽しい一日が。
「今日はありがとう、お陰で夢は叶って、未練はないよ」
と夢叶は笑顔を見せてそう言った。
「…あぁ、僕も楽しかった。…夢叶。本当のことを話してくれないか…?」
彼女の笑顔はどこか痛々しかった。
「本当のこと?私はいつも本当のことを言ってるよ?」
彼女は作り笑いを浮かべ、僕の言った言葉を否定した。そんな彼女に僕は、抱きついてた。
「もう、隠さなくていい。本心を、心の底に秘めた思いを打ち明けてくれ!今日だけはお前の彼氏なんだ。今までの辛いことも隠してきた気持ちも全部僕が聞くから。君を救いたいから…」
僕はだからと一拍を置いて、さらに彼女を強く抱きしめて言った。
「僕に…話してくれよ。そんな痛々しい笑顔を浮かべないでくれよ」
と…。涙を流しながら言うのだった。
「大丈夫!?痛くない!?何で轢かれたの?誰がやったの!?消すから、その人消すから。」
と言ってきたので僕は、
「大丈夫、大丈夫だから。不注意、不注意だから。けけ、決してスピード違反している大型トラックが信号無視してぶつかってきたとかじゃな、ないから。」
と返した。流石権力者の子供。本当にできることを言うから怖いんだよな。
「…、スピード違反している大型トラックが信号無視してぶつかってきたのね?」
「違うってーー。」
そんな楽しい会話をしたのだ。その人は逮捕されているだろうが…まぁ僕はお人好しなのだろう。轢かれた身だが…彼がこの世から消されないことを祈ろう。
今日は夢叶が誘ったデートに行く。おいおいちょっと待てって、お前事故って1週間経ってないだろって、思っている人もいるだろう。僕も思う。隼歌は全身骨折って言ってたから、僕は歩くこと、いや立つことすらできるはずがないのである。だが僕は立っている、足で床を蹴っている。詳しい検査をしたところ、何故か骨は全部元通りになっていたそうだ。何故治ってるのか自分でも分からないのに、先生は人外を見るような目で僕に、
「君、本当に人間?何で治ってるの?」
いや、だから
「人間ですよ!治ってるのなんて何で僕が知ってるんですか。きっと神様からのプレゼントですよ!」
「はえー奇跡ってあるんだねー」
と、信じていない目で言われてしまった。まぁ、一応、数日入院しとけということで入院してるんだが…。絶対次こんな病院行かねーと決意した日であった。
「ごめん、待たせたね。」
僕は、何故かあの変な医者に引き止められて待ち合わせの時間に遅れてしまった。一緒に病院から行けばいいのにと思ったのだが、何故か夢叶は、
「形から入るのよ。」
と聞かなかった。まぁ夢なんだからそういうこだわりはあって当然だよね。夢叶は余命があるが、動ける時に未練を無くすということで、外出許可は降りているそうだ。
「待ったけど、大丈夫!今日は楽しみましょ!」
そう言って夢叶は僕の手を握った。一瞬ビクッとして何で手を繋ぐかを聞こうとした。が、理由はすぐに分かり押しとどめることにした。夢だもんね。僕は頑張って平然を装うとしましょう。女の子と手を繋ぐのなんて初めてなんで。
僕らは一日を楽しんだ。映画を見たり、アクセサリーを買ったりもした。映画はホラー物で耐性がないのか、夢叶は目を潤ませていた。ハムスターみたいだったな…。可愛かった、と僕は映画を見終わったあとそんなことを考えるのだった。
アクセサリーは、お揃いのネックレスを買った。僕はウレキサイトという宝石のネックレスを、夢叶はアレキサンドライトという宝石のネックレスを買った。僕も夢叶も何故この宝石を選んだのか、その理由は単純で、自分にあってると思ったからだ。
僕らは一日を満喫した。そして遂に一日が終わる。楽しい一日が。
「今日はありがとう、お陰で夢は叶って、未練はないよ」
と夢叶は笑顔を見せてそう言った。
「…あぁ、僕も楽しかった。…夢叶。本当のことを話してくれないか…?」
彼女の笑顔はどこか痛々しかった。
「本当のこと?私はいつも本当のことを言ってるよ?」
彼女は作り笑いを浮かべ、僕の言った言葉を否定した。そんな彼女に僕は、抱きついてた。
「もう、隠さなくていい。本心を、心の底に秘めた思いを打ち明けてくれ!今日だけはお前の彼氏なんだ。今までの辛いことも隠してきた気持ちも全部僕が聞くから。君を救いたいから…」
僕はだからと一拍を置いて、さらに彼女を強く抱きしめて言った。
「僕に…話してくれよ。そんな痛々しい笑顔を浮かべないでくれよ」
と…。涙を流しながら言うのだった。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする
夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】
主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。
そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。
「え?私たち、付き合ってますよね?」
なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。
「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。
女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語
kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。
率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。
一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。
己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。
が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。
志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。
遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。
その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。
しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。
月弥総合病院
僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。
また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。
(小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!
むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム
ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。
けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。
学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!?
大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。
真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。
罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語
ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。
だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。
それで終わるはずだった――なのに。
ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。
さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。
そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。
由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。
一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。
そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。
罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。
ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。
そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。
これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる