僕の周りの人達には秘密がある

第3章 幻世 夢叶の秘密

願い

目が覚めると僕は病院のベッドで寝ていた。体を起こしてみる。特に痛いわけでもなく、本当に轢かれたのか不思議に思うくらいだった。ふと、僕は横を見た。そこには、ベッドに顔を埋めて寝ている隼歌が居た。まさかずっと看病していてくれたのだろうか…。僕は少し罪悪感を感じたが、隼歌を起こすことにした。
｢…う、うーん。…。はっ！霊也君大丈夫！？痛くない！？｣
起きた瞬間、すごい勢いで聞いてきた。
｢う…うん。痛くないし多分大丈夫…。｣
｢良かったー。｣
隼歌の顔には、安堵の気持ちと絆創膏が貼ってあった。
｢…ごめんね隼歌。僕が突き飛ばしたから怪我しちゃったよね。｣
女の子の顔に怪我を負わせてしまった。
｢何言ってるの？霊也君のおかげで私は擦り傷だけで済んだんだよ！霊也君の方がもっと酷いよ、全身骨折してるって言ってた。…でもそんなに酷そうじゃない感じだね。｣
隼歌の言う通り、そんなに痛くないのだ。そんなことを考えていたら、隼歌があっと声を漏らした。
｢そういえば、霊也君が起きるまでは居ていいってお母さんに言われていたんだった。…帰るね。また明日来るよー。｣
｢うんありがとう。じゃあね。｣
僕はバイバイと手を振った。隼歌が病室を出ていくと、誰かが僕に話しかけてきた。
｢おはようございます。｣
｢あ、おはようございます。この部屋の人ですか？｣
声がした方を見ると、隼歌とは違うタイプの女の子がたっていた。隼歌が活発系なら、この子は少し大人っぽい。
｢はい、…実は余命命宣告されてて…。｣
すごい重大なことをスラッと言ったな。
｢…そうなんだ。何でそんなに冷静でいられるの？もっと生きたいとか思わないの？｣
僕は素直な疑問を投げかけた。すると彼女は一瞬黙って、こう言った。
｢…もう死にたいって思うほどですよ。諦めてるんで！…でも1つ最後に叶えたい夢？みたいのはあるんですよ。｣
｢…そうか。｣
…嘘をついたな？彼女の諦めてるにはなにか裏があるのだろう。彼女も隼歌達と同様に秘密がありそうだ。
｢それでその夢ってなんなんだ？｣
彼女は一拍を置いて言った。
｢外に出てデートすることです！カフェとかショッピングモールに行って買い物したいです。｣
｢…へぇ～叶うと良いね！｣
僕は心の底からそう思った。すると彼女は少し顔を赤らめて言った。
｢それで、私あなたに一目惚れしてしまいまして…さっきの人って彼女ですか？｣
｢いや、彼女じゃないけど…って一目惚れ！？僕に？｣
ははは、有り得ないな。顔も良いわけじゃないし…。
｢えぇあなたにです。さっきの人彼女じゃないんですか…。あのーお願いがあるんです。｣
｢何だ？｣
｢一日だけで良いんです。未練が残らない為に、私の彼氏になってくれませんか？｣
と言われた。僕は、彼女の秘密を知るために
｢わかった。良いよ。｣
と返したのだった。あ、自己紹介忘れてた。
｢僕の名前は、雨流射 霊也だよ。君の名前は？｣
｢幻世 夢叶(げんせ ゆめか)です！｣