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第4章 雨流射 霊夏の秘密
新しい家族
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「はぁ~。」
僕は大きなため息を着いた。とてもつまらない授業である。それと、朝クラスの中1人で大きな声をだしたことによる精神的苦痛も上乗せでとてもだるいのである。寝ることは無いんだけど…ノートもとったし先生寝てるしどうすんねん。と、あまり使ったことの無い関西弁を使ってみる。てか授業中寝るってどういうことなん?先生なのに…。まぁいっか。そんなこんなで授業は終わり、僕の席の周りは一瞬で埋まった。愛澄花に隼歌に夢叶である。
「何か見たことあると思ったら…あなた霊也君と同じ病室にいた子ね!」
隼歌が、やっとわかった!という感じに話した。
「そうだよ。雨流射君のお陰で、私は今生きてるの。」
「大袈裟だよ。僕はそんな大層なことしてないよ。」
あくまで頑張れと言っただけだ。それで頑張った夢叶がすごいのである。
「大袈裟でもないと思うな。」
そう、愛澄花が言った。
「分かる。夢叶ちゃんも助けてもらったんでしょ?愛澄花も私も助けてもらったし…。大袈裟でもないと思うな。」
と続けて隼歌もそう言った。
「…まぁいいや。その辺は好きに捉えてくれ。」
僕は話に区切りをつけるためそう言った。
「…あ、そういえば霊也君って家族いるの?」
と隼歌が聞いてきた。
「いるよ、母さんが。」
僕の家は母子家庭だから母さんと僕の2人暮らしだ。姉も兄も弟も妹もいない。
「そうなんだ。何か勝手にいないと思ってたかも。」
確かにと、首を縦に振る3人。まぁアニメやマンガの主人公とは違うからね。そこら辺は現実だから。そして僕らは次の授業の準備をするために1度席に戻った。僕は準備を早めに終わらせ、本を取り出した。新しい本だ。確かストーリー構成は妹が突然出来て何かすごい問題起こす感じの話だった気がする。母に勧められて読んでみたが、いまいちな感じだ。母も僕と同じで個性的な本が好きなのだろうか…。遺伝ってすごいんだな。と、僕はそんなどうでもいいことを考えるのだった。
下校、久しぶりに1人で帰りたくなった僕は、みんなと交渉して、無事許可された。夢叶は何か機嫌悪そうだったけど、そういう気分だったんだ。許してくれ。僕は1人で道を歩く。何時もは通らない道を、景色を見ながら進む。ふと、視界に景色と合わないような物が写った。僕は疑問に思い再びそこに視線を戻した。そこには、倒れている少女がいた。
「え…。」
僕はすぐその少女に駆け寄った。
「大丈夫か!?」
少女はぴくりとも動かない。僕は脈を確認した。大丈夫、生きてる。この細い道に救急車は通れない。なら選択肢は一つだ。
「ちょっと我慢してくれよ。」
僕はその少女を背負って、病院まで全力ダッシュするのだった。
病院で点滴を打たれ少しすると、彼女の意識は覚醒した。
「大丈夫?どうして倒れてたんだ?」
僕は彼女に問いかける。すると彼女は、
「実は…私、どこかの施設に居て、親は死んだらしいです。死因不明で…。その後、施設でいじめられて逃げ出して、住むところがなくて…変な人に連れていかれて…。」
そこで彼女は口を抑えた。
「…大丈夫か。」
大丈夫じゃない、見れば分かる。
「すみません。私どうしたら…。」
このままでは、この子は途方に暮れることになる。僕はスマホを取り出し、ある人に連絡した。
「あら珍しい、霊也ちゃんじゃないの。どうしたの?」
「今は霊也ちゃんには突っ込まないから今すぐ来てくれないかな。場所は病院で…。」
「怪我したの?」
「いや、そうじゃない。詳しくは病院で話すから。」
「わかったわ。10分ちょうだい。」
「わかった。」
そう言って電話はきれた。
「誰と電話したんですか…?」
少し怯えた様子で彼女は聞いてきた。電話に何かトラウマがあるのか?
「母さんだよ。君、行くあてないんでしょ?母さんは物知りだからそういうの分かるかなーって。」
「…なるほど。」
少しの沈黙。その後、ふと僕は気になって彼女に聞いた。
「そういえば名前は?」
「…名前はありません…。」
え…。
「今…なんて?」
「私は生まれて、気付いたらもう施設でした。施設では仮に、はっちゃんと呼ばれていました。」
嫌な感じだ。そのはっちゃんの由来が…とても酷い気がする。
「何で…そう呼ばれたんだ…。」
「実験体8の8からだったと思います。」
「…」
言葉が出なかった。アニメのように子供を実験体にするなんて…。
「どんな実験だ…?」
「あまり実験はされませんでした。私はあくまで補欠。可愛がられてたと思います。」
「…そうか。」
そうこうしていると、病室に母親が入ってきた。
「りょうちゃん、何かしら?」
僕は知る限りの情報を全て伝えた。すると母さんは、とんでもないことを言った。
「なら家族になりましょう!」
「「ふぇ?」」
僕と彼女は全く同じ反応をする。
「今日からあなたは雨流射っていう苗字よ!戸籍登録は任せて。」
話をどんどん進める母を置いて、僕は彼女に聞いた。
「本当に家族になるでいいのか?」
すると彼女は、
「はい!私は行くあてもないし、家族が欲しかったんですから!」
「…そっか。」
僕達は、母さんの話を聞いた。
「そうだ名前、ないんでしょ?私が決めるのもいいけど…りょうちゃんが決めなさい。」
「…それでいい?」
彼女はコクリと頷いた。
「うーん…霊に夏、それで霊夏(れいか)だ。」
「いい名前ですね!霊夏…気に入りました!お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃん!?」
「だってお兄ちゃんですもん!」
「そうなのか!?」
そんなこんなで霊夏が家族になった。
彼女は僕と同じ感じがする。彼女の考えていることが読めないのだ。唯一読めたのは電話にトラウマがあるということ。彼女も、僕と同じで、人のことがよく分かるのかもしれない。それを利用して、仮面を被っているのかもしれない。でもきっと秘密がある。それは、今まで以上に残酷かもしれない。霊夏。僕の妹。家族なら尚更、手を差し伸べよう。彼女は幸せにならないといけないんだ…。
僕は大きなため息を着いた。とてもつまらない授業である。それと、朝クラスの中1人で大きな声をだしたことによる精神的苦痛も上乗せでとてもだるいのである。寝ることは無いんだけど…ノートもとったし先生寝てるしどうすんねん。と、あまり使ったことの無い関西弁を使ってみる。てか授業中寝るってどういうことなん?先生なのに…。まぁいっか。そんなこんなで授業は終わり、僕の席の周りは一瞬で埋まった。愛澄花に隼歌に夢叶である。
「何か見たことあると思ったら…あなた霊也君と同じ病室にいた子ね!」
隼歌が、やっとわかった!という感じに話した。
「そうだよ。雨流射君のお陰で、私は今生きてるの。」
「大袈裟だよ。僕はそんな大層なことしてないよ。」
あくまで頑張れと言っただけだ。それで頑張った夢叶がすごいのである。
「大袈裟でもないと思うな。」
そう、愛澄花が言った。
「分かる。夢叶ちゃんも助けてもらったんでしょ?愛澄花も私も助けてもらったし…。大袈裟でもないと思うな。」
と続けて隼歌もそう言った。
「…まぁいいや。その辺は好きに捉えてくれ。」
僕は話に区切りをつけるためそう言った。
「…あ、そういえば霊也君って家族いるの?」
と隼歌が聞いてきた。
「いるよ、母さんが。」
僕の家は母子家庭だから母さんと僕の2人暮らしだ。姉も兄も弟も妹もいない。
「そうなんだ。何か勝手にいないと思ってたかも。」
確かにと、首を縦に振る3人。まぁアニメやマンガの主人公とは違うからね。そこら辺は現実だから。そして僕らは次の授業の準備をするために1度席に戻った。僕は準備を早めに終わらせ、本を取り出した。新しい本だ。確かストーリー構成は妹が突然出来て何かすごい問題起こす感じの話だった気がする。母に勧められて読んでみたが、いまいちな感じだ。母も僕と同じで個性的な本が好きなのだろうか…。遺伝ってすごいんだな。と、僕はそんなどうでもいいことを考えるのだった。
下校、久しぶりに1人で帰りたくなった僕は、みんなと交渉して、無事許可された。夢叶は何か機嫌悪そうだったけど、そういう気分だったんだ。許してくれ。僕は1人で道を歩く。何時もは通らない道を、景色を見ながら進む。ふと、視界に景色と合わないような物が写った。僕は疑問に思い再びそこに視線を戻した。そこには、倒れている少女がいた。
「え…。」
僕はすぐその少女に駆け寄った。
「大丈夫か!?」
少女はぴくりとも動かない。僕は脈を確認した。大丈夫、生きてる。この細い道に救急車は通れない。なら選択肢は一つだ。
「ちょっと我慢してくれよ。」
僕はその少女を背負って、病院まで全力ダッシュするのだった。
病院で点滴を打たれ少しすると、彼女の意識は覚醒した。
「大丈夫?どうして倒れてたんだ?」
僕は彼女に問いかける。すると彼女は、
「実は…私、どこかの施設に居て、親は死んだらしいです。死因不明で…。その後、施設でいじめられて逃げ出して、住むところがなくて…変な人に連れていかれて…。」
そこで彼女は口を抑えた。
「…大丈夫か。」
大丈夫じゃない、見れば分かる。
「すみません。私どうしたら…。」
このままでは、この子は途方に暮れることになる。僕はスマホを取り出し、ある人に連絡した。
「あら珍しい、霊也ちゃんじゃないの。どうしたの?」
「今は霊也ちゃんには突っ込まないから今すぐ来てくれないかな。場所は病院で…。」
「怪我したの?」
「いや、そうじゃない。詳しくは病院で話すから。」
「わかったわ。10分ちょうだい。」
「わかった。」
そう言って電話はきれた。
「誰と電話したんですか…?」
少し怯えた様子で彼女は聞いてきた。電話に何かトラウマがあるのか?
「母さんだよ。君、行くあてないんでしょ?母さんは物知りだからそういうの分かるかなーって。」
「…なるほど。」
少しの沈黙。その後、ふと僕は気になって彼女に聞いた。
「そういえば名前は?」
「…名前はありません…。」
え…。
「今…なんて?」
「私は生まれて、気付いたらもう施設でした。施設では仮に、はっちゃんと呼ばれていました。」
嫌な感じだ。そのはっちゃんの由来が…とても酷い気がする。
「何で…そう呼ばれたんだ…。」
「実験体8の8からだったと思います。」
「…」
言葉が出なかった。アニメのように子供を実験体にするなんて…。
「どんな実験だ…?」
「あまり実験はされませんでした。私はあくまで補欠。可愛がられてたと思います。」
「…そうか。」
そうこうしていると、病室に母親が入ってきた。
「りょうちゃん、何かしら?」
僕は知る限りの情報を全て伝えた。すると母さんは、とんでもないことを言った。
「なら家族になりましょう!」
「「ふぇ?」」
僕と彼女は全く同じ反応をする。
「今日からあなたは雨流射っていう苗字よ!戸籍登録は任せて。」
話をどんどん進める母を置いて、僕は彼女に聞いた。
「本当に家族になるでいいのか?」
すると彼女は、
「はい!私は行くあてもないし、家族が欲しかったんですから!」
「…そっか。」
僕達は、母さんの話を聞いた。
「そうだ名前、ないんでしょ?私が決めるのもいいけど…りょうちゃんが決めなさい。」
「…それでいい?」
彼女はコクリと頷いた。
「うーん…霊に夏、それで霊夏(れいか)だ。」
「いい名前ですね!霊夏…気に入りました!お兄ちゃん!」
「お、お兄ちゃん!?」
「だってお兄ちゃんですもん!」
「そうなのか!?」
そんなこんなで霊夏が家族になった。
彼女は僕と同じ感じがする。彼女の考えていることが読めないのだ。唯一読めたのは電話にトラウマがあるということ。彼女も、僕と同じで、人のことがよく分かるのかもしれない。それを利用して、仮面を被っているのかもしれない。でもきっと秘密がある。それは、今まで以上に残酷かもしれない。霊夏。僕の妹。家族なら尚更、手を差し伸べよう。彼女は幸せにならないといけないんだ…。
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