僕の周りの人達には秘密がある

第4章 雨流射 霊夏の秘密

誤解

あれから3日程だったある日。僕らは街を歩いていた。隣には、妹になった霊夏がいる。
｢今日はなんのために出たんですか？お兄ちゃん。｣
｢んー。特に考えないで出てきちゃったな。｣
｢ノープランですか！お兄ちゃん。｣
霊夏はびっくりしたような目で僕を見てくる。僕は機械じゃない。気ままに外に出ることだってある。
｢まぁ、いいじゃないか。2人でのんびり街を歩くのも。｣
｢私は文句があるわけじゃないですよ？ただ用意周到のお兄ちゃんがノープランだったのがびっくりして…。｣
ん？
｢なんで用意周到って思ったんだ？｣
僕は霊夏の前でそんな素振りしたことないと思うが…。
｢何でって言われても…。そう思ったって感じですかね。あ、私1つ自慢出来ることがあるんですよ！｣
それは、分かる。僕も似たような感じだからな。
｢相手の心情が他の人よりも読めるってことだろ？｣
｢はへっ？何でわかったんですか！？｣
霊夏は本当にびっくりしたようだ。驚きに満ちている。
｢まぁ、僕も霊夏と同じだからだよ。｣
｢同じって…なるほど理解しました。｣
理解が早いな。流石我が妹。僕に似ている。血は全く繋がってないけどね。
｢カフェでも行くか？｣
｢私はお兄ちゃんに着いていきます！｣
僕らはお互い他愛もない話で笑い合いながら道を進むのだった。







｢今日はどこ行くー？｣
私こと石神 隼歌は、友達の光梨 愛澄花、幻世 夢叶と街に遊びに来ていた。
｢取り敢えずゆっくり考えるためにカフェ行かない？｣
と、愛澄花が提案する。
｢そうしようか。｣
夢叶は落ち着いたようにそう言った。私達を姉妹に当てはめるなら、絶対に夢叶が長女だろう。1番大人気があって、モテる女性って感じだ。愛澄花は次女で、私が1番下かな？自分でも私は子供っぽいって思うし。愛澄花は最初暗い雰囲気があったけど、霊也君と話してからすごい明るくなったんだよね。彼の凄さは、私が1番わかってると思う。そんな彼に、私は惚れてしまっているのかもしれないな。でもそれは、ここにいるみんな同じだと思う。だから友達と共に、みんなはライバルだ。…って。
｢ねぇねぇねぇ！｣
｢何？隼歌。取り敢えず落ち着いて。ここ、人たくさんいるよ？｣
私は夢叶にそう言われて深呼吸をし、取り乱していた理由を説明した。
｢ねぇ、あれって霊也君じゃない？｣
｢｢へっ？｣｣
愛澄花と夢叶は同じタイミングで振り返った。
｢ほんとだ！｣
｢隣に女の子がいるね。…もしかして…。彼女？｣
夢叶がそんなことを言った。瞬間、私の胸は痛んだ。
｢…ちょっと追ってみない？あの方角、ちょうどカフェだし。｣
｢そうしよう。｣
そうして私たちは彼らを追うのだった。








｢うわぁ。｣
と、霊夏は目を輝かせていた。
｢…どうした？｣
シンプルに疑問に思った僕は彼女に聞いた。
｢いや、美味しそうなパフェだなって。｣
あぁなるほど。確かに僕はこのカフェに初めて入るが、すごい凝っているパフェばかりだった。
｢…どれがいい？僕が買うから好きなの頼みなよ。｣
｢…！！｣
声にならない声をあげた後、霊夏は1つのパフェを選んだ。
｢本当にそれでいいのか？｣
そのパフェは1番安いパフェで他のパフェよりシンプルな見た目だった。
｢…いいんです。贅沢言ってられませんから。｣
｢別に構わないよ。霊夏は十分辛い思いをしたんだパフェくらい欲張っても、罰なんて当たらないさ。｣
と、僕は彼女の頭を撫でてやった。
｢わにゃ～｣
と彼女は嬉しそうな顔をしながら、
｢じゃあこれにします。｣
と、イチゴとマンゴーが乗ったパフェを選んだ。てっきりもっと高いやつを選ぶんじゃないかと思ったが、彼女はフルーツが好きだからこの選択は必然なのかもしれない。対する僕は、キウイとみかんが乗ったパフェを選んだ。







｢仲良さそうね…。｣
と、夢叶が呟いた。
｢私も混ざる！｣
そう言って私はカフェに飛び込もうとしたが、愛澄花に止められた。
｢彼は、あの子が好きなのよ。それの中に入るのは野暮よ。｣
｢ぐぬぬぅ～｣
と私は唸った。
｢違う所に行こうか。｣
夢叶がそう言って私達も夢叶に続こうとしたその時。
｢あぁ、好きだよ。｣
そこに彼はいた。
｢！霊也。…どうしたの？彼女さんは？｣
私は何とか笑みを作ってそう聞いた。本当は泣きたいくらいだった。
｢彼女じゃないんだよね。｣
｢じゃあ何であんなに仲良さそうなの？あと今好きって｣
愛澄花が言葉を言い終える前に、霊也の後ろからひょこっとさっきの女の子が出てきた。
｢はい！私が、お兄ちゃんの彼女(笑)こと雨流射 霊夏でーす。｣
何だ彼女なんじゃん。(笑)ってなによ。…って、ん？ちょっと待って…。私と同じことを考えたのか夢叶と愛澄花と目が合った。そして霊也達の方を向いて言った。
｢｢｢雨流射！？｣｣｣