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第4章 雨流射 霊夏の秘密
突然
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「なるほど…。」
と、隼歌が頷いた。現在、皆の誤解を解くために、霊夏との関係、出会った経緯等を話した。
「…ごめんなさい。失礼な態度をとったわ。」
と、夢叶が謝った。少し、涙が混じったような声音だった。
「謝らないでくれ。ずっと黙ってた僕も悪いんだ。」
霊夏のことは何となく秘密にしとこうと思っていたから話さなかったが。こんなことになるなら話せばよかった。
「…このままじゃなんか嫌だし、皆さん一緒に遊びに行きましょー!」
と、霊夏がノリノリのテンションでオーと手を挙げた。それに僕は思わず笑みをこぼし、
「そうだな。みんなも折角あったんだ、どこかに遊びに行こう。」
すると隼歌、愛澄花、夢叶は
「「「うん!」」」
と、賛成してくれるのであった。
「今日はありがとう!楽しかったよ!」
と、愛澄花が言った。
「いやいや、それはこっちのセリフだよ。遊んでくれてありがとう。」
僕もありがとうと伝えた。いやはや、今日は何かドタバタした1日だったな。
「ねぇねぇ。」
と、隼歌さんが話しかけてくれました。
「何ですか?」
と、私は聞き返しました。
「いいお兄ちゃんを持ったね!」
そう、こっそり言われ、私は満面の笑みで言った。
「はい!ありがとうございます!…隼歌さんも恋愛、上手くいくといいですね!」
彼女は赤面をしながらあたふたとしていました。その時の私は思わず、可愛いと思ってしまうのでした。
「なぁ」
と僕は隣を歩く霊夏に声をかけた。
「何ですか?お兄ちゃん。」
「…楽しかった後に聞くことじゃないんだが、ずっと気になってたことがある。…聞いてもいいか?」
彼女の秘密は、きっとどす黒い。人に言えるような秘密じゃないことはわかってる。でも、聞かなきゃいけない。彼女に手を差し伸べるには。
「…何ですか?」
彼女も僕の真剣そうな態度に、真剣な態度で返した。
「霊夏、施設から逃げてきた訳じゃ無いんだろ?」
「…」
無言を返す彼女に、僕は追い討ちをかけた。
「多分、施設にいたのは本当だろう。逃げ出したのも本当。でも、逃げたした理由は施設でいじめを受けたからなんかじゃないと思うんだ。」
「…」
「きっと君は誰かに引き取られたんだ。そこから逃げた。違うか?」
「…」
それまで無言を返していた彼女だったが、ゆっくりと口を開けた。
「…そうです。お兄ちゃんには敵いませんね。…私は施設でみんなと仲良く暮らしていました。でも、私は引き取られた。優しそうな男の人でした。でも…」
「でも?」
「優しそうな態度は最初だけで、その人の家に入った瞬間、私は拘束されました。爪を剥がれたり、殴られたりしました。ストレスを解消する、おもちゃと思って、引き取ったのかも知れません。だから私は逃げたしました。今までご飯もろくに食べていなくて、倒れてしまいました。そこで、貴方に拾って貰ったんです。」
絶句した。酷すぎる彼女の過去に、僕は何も返せなかった。
「最初、お兄ちゃんが電話をかけた時は、あの男の人に連絡したのかと思いました。」
だからあの時、怯えていたのか。
「でも違った。それ以上に、貴方は私の安全を確保してくれた。そして家族として迎え入れてくれた。本当に貴方は最高のお兄ちゃんですよ。」
霊夏は笑った。痛々しい笑顔だった。僕はそんな彼女に言った。
「…きっとその記憶は忘れられないだろう。でも、君の心の傷は、僕が癒す。辛い思いをした君を絶対に幸せにしてみせるよ。だって霊夏は僕の妹だから。」
そう言って僕は彼女を抱きしてた。彼女も泣きながら僕の胸に顔を埋めている。そんな時だった。急ブレーキをかけて僕達の近くに車が止まった。
「やっと見つけたよ、俺のお、も、ちゃ、 ちゃん♪」
そう言って僕から無理やり霊夏を引き離した。
「ふざけんな。離せ!」
僕がそいつに蹴りを入れようとした時、パァン。と乾いた音が鳴った。直後に激痛が走った。
「ぐぁ!?」
咄嗟に僕は膝を着いた。僕が膝を着いている間に、霊夏の泣き叫ぶ声と、車が遠ざかっていく音が聞こえた。
「あ、あぁ…。く、そ!」
僕は左肩を抑えて立ち上がった。急いで僕は止血をした。
「待ってろよ霊夏。絶対、助けに行く!」
僕は激痛が走る左腕を無理やり振って、さっきの車を全力で追うのだった。
と、隼歌が頷いた。現在、皆の誤解を解くために、霊夏との関係、出会った経緯等を話した。
「…ごめんなさい。失礼な態度をとったわ。」
と、夢叶が謝った。少し、涙が混じったような声音だった。
「謝らないでくれ。ずっと黙ってた僕も悪いんだ。」
霊夏のことは何となく秘密にしとこうと思っていたから話さなかったが。こんなことになるなら話せばよかった。
「…このままじゃなんか嫌だし、皆さん一緒に遊びに行きましょー!」
と、霊夏がノリノリのテンションでオーと手を挙げた。それに僕は思わず笑みをこぼし、
「そうだな。みんなも折角あったんだ、どこかに遊びに行こう。」
すると隼歌、愛澄花、夢叶は
「「「うん!」」」
と、賛成してくれるのであった。
「今日はありがとう!楽しかったよ!」
と、愛澄花が言った。
「いやいや、それはこっちのセリフだよ。遊んでくれてありがとう。」
僕もありがとうと伝えた。いやはや、今日は何かドタバタした1日だったな。
「ねぇねぇ。」
と、隼歌さんが話しかけてくれました。
「何ですか?」
と、私は聞き返しました。
「いいお兄ちゃんを持ったね!」
そう、こっそり言われ、私は満面の笑みで言った。
「はい!ありがとうございます!…隼歌さんも恋愛、上手くいくといいですね!」
彼女は赤面をしながらあたふたとしていました。その時の私は思わず、可愛いと思ってしまうのでした。
「なぁ」
と僕は隣を歩く霊夏に声をかけた。
「何ですか?お兄ちゃん。」
「…楽しかった後に聞くことじゃないんだが、ずっと気になってたことがある。…聞いてもいいか?」
彼女の秘密は、きっとどす黒い。人に言えるような秘密じゃないことはわかってる。でも、聞かなきゃいけない。彼女に手を差し伸べるには。
「…何ですか?」
彼女も僕の真剣そうな態度に、真剣な態度で返した。
「霊夏、施設から逃げてきた訳じゃ無いんだろ?」
「…」
無言を返す彼女に、僕は追い討ちをかけた。
「多分、施設にいたのは本当だろう。逃げ出したのも本当。でも、逃げたした理由は施設でいじめを受けたからなんかじゃないと思うんだ。」
「…」
「きっと君は誰かに引き取られたんだ。そこから逃げた。違うか?」
「…」
それまで無言を返していた彼女だったが、ゆっくりと口を開けた。
「…そうです。お兄ちゃんには敵いませんね。…私は施設でみんなと仲良く暮らしていました。でも、私は引き取られた。優しそうな男の人でした。でも…」
「でも?」
「優しそうな態度は最初だけで、その人の家に入った瞬間、私は拘束されました。爪を剥がれたり、殴られたりしました。ストレスを解消する、おもちゃと思って、引き取ったのかも知れません。だから私は逃げたしました。今までご飯もろくに食べていなくて、倒れてしまいました。そこで、貴方に拾って貰ったんです。」
絶句した。酷すぎる彼女の過去に、僕は何も返せなかった。
「最初、お兄ちゃんが電話をかけた時は、あの男の人に連絡したのかと思いました。」
だからあの時、怯えていたのか。
「でも違った。それ以上に、貴方は私の安全を確保してくれた。そして家族として迎え入れてくれた。本当に貴方は最高のお兄ちゃんですよ。」
霊夏は笑った。痛々しい笑顔だった。僕はそんな彼女に言った。
「…きっとその記憶は忘れられないだろう。でも、君の心の傷は、僕が癒す。辛い思いをした君を絶対に幸せにしてみせるよ。だって霊夏は僕の妹だから。」
そう言って僕は彼女を抱きしてた。彼女も泣きながら僕の胸に顔を埋めている。そんな時だった。急ブレーキをかけて僕達の近くに車が止まった。
「やっと見つけたよ、俺のお、も、ちゃ、 ちゃん♪」
そう言って僕から無理やり霊夏を引き離した。
「ふざけんな。離せ!」
僕がそいつに蹴りを入れようとした時、パァン。と乾いた音が鳴った。直後に激痛が走った。
「ぐぁ!?」
咄嗟に僕は膝を着いた。僕が膝を着いている間に、霊夏の泣き叫ぶ声と、車が遠ざかっていく音が聞こえた。
「あ、あぁ…。く、そ!」
僕は左肩を抑えて立ち上がった。急いで僕は止血をした。
「待ってろよ霊夏。絶対、助けに行く!」
僕は激痛が走る左腕を無理やり振って、さっきの車を全力で追うのだった。
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