僕の周りの人達には秘密がある

ノア オリバー

文字の大きさ
16 / 46
第4章 雨流射 霊夏の秘密

突然

しおりを挟む
「なるほど…。」
と、隼歌が頷いた。現在、皆の誤解を解くために、霊夏との関係、出会った経緯等を話した。
「…ごめんなさい。失礼な態度をとったわ。」
と、夢叶が謝った。少し、涙が混じったような声音だった。
「謝らないでくれ。ずっと黙ってた僕も悪いんだ。」
霊夏のことは何となく秘密にしとこうと思っていたから話さなかったが。こんなことになるなら話せばよかった。
「…このままじゃなんか嫌だし、皆さん一緒に遊びに行きましょー!」
と、霊夏がノリノリのテンションでオーと手を挙げた。それに僕は思わず笑みをこぼし、
「そうだな。みんなも折角あったんだ、どこかに遊びに行こう。」
すると隼歌、愛澄花、夢叶は
「「「うん!」」」
と、賛成してくれるのであった。









「今日はありがとう!楽しかったよ!」
と、愛澄花が言った。
「いやいや、それはこっちのセリフだよ。遊んでくれてありがとう。」
僕もありがとうと伝えた。いやはや、今日は何かドタバタした1日だったな。






「ねぇねぇ。」
と、隼歌さんが話しかけてくれました。
「何ですか?」
と、私は聞き返しました。
「いいお兄ちゃんを持ったね!」
そう、こっそり言われ、私は満面の笑みで言った。
「はい!ありがとうございます!…隼歌さんも恋愛、上手くいくといいですね!」
彼女は赤面をしながらあたふたとしていました。その時の私は思わず、可愛いと思ってしまうのでした。









「なぁ」
と僕は隣を歩く霊夏に声をかけた。
「何ですか?お兄ちゃん。」
「…楽しかった後に聞くことじゃないんだが、ずっと気になってたことがある。…聞いてもいいか?」
彼女の秘密は、きっとどす黒い。人に言えるような秘密じゃないことはわかってる。でも、聞かなきゃいけない。彼女に手を差し伸べるには。
「…何ですか?」
彼女も僕の真剣そうな態度に、真剣な態度で返した。
「霊夏、施設から逃げてきた訳じゃ無いんだろ?」
「…」
無言を返す彼女に、僕は追い討ちをかけた。
「多分、施設にいたのは本当だろう。逃げ出したのも本当。でも、逃げたした理由は施設でいじめを受けたからなんかじゃないと思うんだ。」
「…」
「きっと君は誰かに引き取られたんだ。そこから逃げた。違うか?」
「…」
それまで無言を返していた彼女だったが、ゆっくりと口を開けた。
「…そうです。お兄ちゃんには敵いませんね。…私は施設でみんなと仲良く暮らしていました。でも、私は引き取られた。優しそうな男の人でした。でも…」
「でも?」
「優しそうな態度は最初だけで、その人の家に入った瞬間、私は拘束されました。爪を剥がれたり、殴られたりしました。ストレスを解消する、おもちゃと思って、引き取ったのかも知れません。だから私は逃げたしました。今までご飯もろくに食べていなくて、倒れてしまいました。そこで、貴方に拾って貰ったんです。」
絶句した。酷すぎる彼女の過去に、僕は何も返せなかった。
「最初、お兄ちゃんが電話をかけた時は、あの男の人に連絡したのかと思いました。」
だからあの時、怯えていたのか。
「でも違った。それ以上に、貴方は私の安全を確保してくれた。そして家族として迎え入れてくれた。本当に貴方は最高のお兄ちゃんですよ。」
霊夏は笑った。痛々しい笑顔だった。僕はそんな彼女に言った。
「…きっとその記憶は忘れられないだろう。でも、君の心の傷は、僕が癒す。辛い思いをした君を絶対に幸せにしてみせるよ。だって霊夏は僕の妹だから。」
そう言って僕は彼女を抱きしてた。彼女も泣きながら僕の胸に顔を埋めている。そんな時だった。急ブレーキをかけて僕達の近くに車が止まった。
「やっと見つけたよ、俺のお、も、ちゃ、 ちゃん♪」
そう言って僕から無理やり霊夏を引き離した。
「ふざけんな。離せ!」
僕がそいつに蹴りを入れようとした時、パァン。と乾いた音が鳴った。直後に激痛が走った。
「ぐぁ!?」
咄嗟に僕は膝を着いた。僕が膝を着いている間に、霊夏の泣き叫ぶ声と、車が遠ざかっていく音が聞こえた。
「あ、あぁ…。く、そ!」
僕は左肩を抑えて立ち上がった。急いで僕は止血をした。
「待ってろよ霊夏。絶対、助けに行く!」
僕は激痛が走る左腕を無理やり振って、さっきの車を全力で追うのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

隣に住んでいる後輩の『彼女』面がガチすぎて、オレの知ってるラブコメとはかなり違う気がする

夕姫
青春
【『白石夏帆』こいつには何を言っても無駄なようだ……】 主人公の神原秋人は、高校二年生。特別なことなど何もない、静かな一人暮らしを愛する少年だった。東京の私立高校に通い、誰とも深く関わらずただ平凡に過ごす日々。 そんな彼の日常は、ある春の日、突如現れた隣人によって塗り替えられる。後輩の白石夏帆。そしてとんでもないことを言い出したのだ。 「え?私たち、付き合ってますよね?」 なぜ?どうして?全く身に覚えのない主張に秋人は混乱し激しく否定する。だが、夏帆はまるで聞いていないかのように、秋人に猛烈に迫ってくる。何を言っても、どんな態度をとっても、その鋼のような意思は揺るがない。 「付き合っている」という謎の確信を持つ夏帆と、彼女に振り回されながらも憎めない(?)と思ってしまう秋人。これは、一人の後輩による一方的な「好き」が、平凡な先輩の日常を侵略する、予測不能な押しかけラブコメディ。

女帝の遺志(第二部)-篠崎沙也加と女子プロレスラーたちの物語

kazu106
大衆娯楽
勢いを増す、ブレバリーズ女子部と、直美。 率いる沙也加は、自信の夢であった帝プロマット参戦を直美に託し、本格的に動き出す。 一方、不振にあえぐ男子部にあって唯一、気を吐こうとする修平。 己を見つめ直すために、女子部への入部を決意する。 が、そこでは現実を知らされ、苦難の道を歩むことになる。 志桜里らの励ましを受けつつ、ひたすら練習をつづける。 遂に直美の帝プロ参戦が、現実なものとなる。 その壮行試合、沙也加はなんと、直美の相手に修平を選んだのであった。 しかし同時に、ブレバリーズには暗い影もまた、歩み寄って来ていた。

月弥総合病院

僕君☾☾
キャラ文芸
月弥総合病院。極度の病院嫌いや完治が難しい疾患、診察、検査などの医療行為を拒否したり中々治療が進められない子を治療していく。 また、ここは凄腕の医師達が集まる病院。特にその中の計5人が圧倒的に遥か上回る実力を持ち、「白鳥」と呼ばれている。 (小児科のストーリー)医療に全然詳しく無いのでそれっぽく書いてます...!!

夫婦交換

山田森湖
恋愛
好奇心から始まった一週間の“夫婦交換”。そこで出会った新鮮なときめき

むっつり金持ち高校生、巨乳美少女たちに囲まれて学園ハーレム

ピコサイクス
青春
顔は普通、性格も地味。 けれど実は金持ちな高校一年生――俺、朝倉健斗。 学校では埋もれキャラのはずなのに、なぜか周りは巨乳美女ばかり!? 大学生の家庭教師、年上メイド、同級生ギャルに清楚系美少女……。 真面目な御曹司を演じつつ、内心はむっつりスケベ。

罰ゲームから始まった、五人のヒロインと僕の隣の物語

ノン・タロー
恋愛
高校2年の夏……友達同士で行った小テストの点を競う勝負に負けた僕、御堂 彼方(みどう かなた)は、罰ゲームとしてクラスで人気のある女子・風原 亜希(かざはら あき)に告白する。 だが亜希は、彼方が特に好みでもなく、それをあっさりと振る。 それで終わるはずだった――なのに。 ひょんな事情で、彼方は亜希と共に"同居”することに。 さらに新しく出来た、甘えん坊な義妹・由奈(ゆな)。 そして教室では静かに恋を仕掛けてくる寡黙なクラス委員長の柊 澪(ひいらぎ みお)、特に接点の無かった早乙女 瀬玲奈(さおとめ せれな)、おまけに生徒会長の如月(きさらぎ)先輩まで現れて、彼方の周囲は急速に騒がしくなっていく。 由奈は「お兄ちゃん!」と懐き、澪は「一緒に帰らない……?」と静かに距離を詰める。 一方の瀬玲奈は友達感覚で、如月先輩は不器用ながらも接してくる。 そんな中、亜希は「別に好きじゃないし」と言いながら、彼方が誰かと仲良くするたびに心がざわついていく。 罰ゲームから始まった関係は、日常の中で少しずつ形を変えていく。 ツンデレな同居人、甘えたがりな義妹、寡黙な同クラ女子、恋愛に不器用な生徒会長、ギャル気質な同クラ女子……。 そして、無自覚に優しい彼方が、彼女たちの心を少しずつほどいていく。 これは、恋と居場所と感情の距離をめぐる、ちょっと不器用で、でも確かな青春の物語。

処理中です...