僕の周りの人達には秘密がある

第4章 雨流射 霊夏の秘密

弾丸

｢あぁ、痛てー。銃何で持ってんだよ。銃刀法違反だぜ？全くよ。｣
僕は痛む左肩を無理やり振って走っている、あの変な男の愚痴もこぼしつつ、全力で車を追う。
そして…僕は大きな倉庫に辿り着いた。横にもさっきのナンバーの同じ車が止めてあった。
｢…ふぅー｣
と僕は深呼吸をした。目を閉じ、今からどうするか考える。すると、僕の頭には1つの案思いつく。
｢これしかないか…。｣
多少の怪我は仕方がない。妹が助かるならそれでいい。妹を、家族を守ってこその兄だ。僕は意を決して、倉庫を…








私は、あの男に誘拐された。私は今震えている。そして必死に祈っている。私が拷問を受けるのはいい、私が祈っているのは撃たれたお兄ちゃんが、私を思って追ってこないこと。私は死んでもいいから、お兄ちゃんは死なせてはいけない。お兄ちゃんは私の最愛の人で、それは隼歌さん達も同じだ。お兄ちゃんはたくさんの人に愛されている。だからここで死なす訳にはいかない。だから、追わないでと私は祈る。そんなことを考えていると、倉庫に辿り着いた。
｢さぁ早く入りな。ここは君のために買った最高の〝アソビバ〟だよ。｣
私は、あの男に押されて倉庫の中に入った。そこには、ありとあらゆる拷問器具があった。
｢…い、いやだ。ここから出して！｣
｢ははっ、それは出来ないな。｣
そう言って男は私を椅子に縛り付けた。出して欲しいのはもちろんだが、椅子に縛られたらもうどうしようもない。だから私は、お兄ちゃんが来ないことを祈った。来たらお兄ちゃんが、殺される。そんな時だった。突然…


  




倉庫のドアを思いっきり蹴りつけた。ドアは凄いスピードで飛んでいき、あの男を押し倒した。
｢ふぅー良かったぁ～。 霊夏がドアの前に居なくて…。｣








ドアが凄まじい音と共に飛んできた。
｢何！？｣
男はドアの下敷きになった。…へ？ど、どういう状況？そんなふうにパニックになっていた時だった。
｢ふぅー良かったぁ～。 霊夏がドアの前に居なくて…。｣
と、今最も来ないで欲しいと祈り、だけど1番会いたかった人の声が聞こえた。
｢お、お兄ちゃん。｣
来ないでほしかったのに！何て言葉は、私の口からでなかった。
｢こ、こわがったよぉ～。う、うわぁーん。｣
私は泣き叫び、お兄ちゃんに飛びつくのだった。








うわっとと。
僕は突然飛びついてきた霊夏を抱きしめた。
｢怖かったな。でも大丈夫だ。僕は絶対に霊夏を守るから。さぁ、帰ろう。あ、ちょっと下がってて。｣
霊夏は何で先に倉庫から出るのか不思議がっていたが、僕の意図がわかったのか、真剣な表情をして頷いた。
｢死なないでよ…お兄ちゃん。｣
涙混じりに言ってくる霊夏に僕は。
｢あぁ任せろ。あいつが、一生霊夏に付きまとわないようにするからよ。｣
その言葉を聞いた霊夏は後ろに下がるのだった。







｢…待っててくれるなんて、優しいですね。｣
｢まぁ素敵な兄妹愛を見るのは楽しかったんでね。｣
｢そーですか。じゃあ、今からどーなるかもわかるよな？｣
｢ふふっ、いいねその目。何人か殺してるんじゃない？君？｣
｢まさか。この手で殺めたり何かしてませんよ。｣
まぁ、と僕は一呼吸置いて。
｢今から殺めちゃうかもしれねーがな。｣
そう言って僕は男に殴りかかった。あまりのスピードについて来れなかったのだろう。男はなされるがままに殴られた。霊夏の分と僕の分、その10倍は返してやった。男は気絶した。腕、顔、足、全てに置いて満遍なく殴った。まぁ先に撃ったのはこいつだ。正当防衛だから僕は悪くない。僕はクルッと振り返って、霊夏の方を向いた。霊夏は流石お兄ちゃんと言った感じに、
｢武器持ちの相手に勝つなんて凄いですね。｣
と言われた。
｢霊夏も警察と救急車呼んでくれたんだろ？｣
｢はい！お兄ちゃんの意図を読み、警察を呼びました。｣
｢流石僕の妹だな。｣
外からパトカーのサイレンがなってきた時だった。嫌な予感を感じた。霊夏は外を見ていた。僕は霊夏と反対方向を見た。そこには、気絶していたはずの男が銃を構えて立っていた。パァンと音がなった。凄まじい速さの弾丸は、ある所で止まった。そして…








僕の腹から血が出ていた。男は力尽き倒れ、僕も倒れた。薄れゆく意識の中、ただはっきりと聞こえたのは誰かの絶叫と、
｢死なないで…｣
だった。