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第5章 雨流射 霊也を取り戻せ
想い1つに 【第5章 完】
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「おいおい…冗談きついぜ…」
僕は、未だに夢の世界にいた。真っ暗な空間で、僕は1人この世界の愚痴を零していた。
「風景とか、自分がメインの夢とかだったらいいんだが…真っ暗な空間はさすがに辛いぞ…。」
かれこれ3日は閉じ込められているだろう。こういう時に、霊夏や隼歌達の大切さを実感する。
「…ふぅー。落ち着け、僕はずっと1人だったんだ。何を怖がっている。今まで通りに過ごせばいいんだ。」
僕は自分に言い聞かせていた。いつ狂うか分からない自我を、必死に抑えていた。
「記憶、喪失…?」
私は、いや私達は、お兄ちゃんの目の前で立ち尽くしていた。みんな、言葉が出なかった。私は先生に事情を話すために、みんなを連れて病室の外に出た。…というのは建前だ。本当は、怖かったんだ。気が狂いそうだった。だって、私の大好きなお兄ちゃんは、私を忘れてしまったのだから。こんなに悲しいことはない。私は涙を堪え、隼歌さん達に言った。
「私、先生に事情を話してきます。」
そう言って、隼歌さん達を背に、廊下を進んだ。目からは大粒の涙が零れた。
「何で…なのよ。」
私は1人、誰も聞き取れないほどの声で呟いた。何故、霊也君だけこんな目に合うんだろう。私を救うためにいじめっ子に殴られたり、私を守って車に轢かれて大怪我をしたりもした。それで今度は銃で撃たれた。おまけに記憶喪失。死んでいないのが唯一の救いだった。私は泣きたくなった。でも、泣いちゃいけない。1番辛いのは彼のはず何だ。そんな彼は泣いてない。泣いたところを、見たことがない。泣いちゃダメだ。私はぐっと涙を堪えた。そして、愛澄花と夢叶に伝えた。
「ちょっとトイレに行ってくる。」
私は、2人に背を向けてトイレへ向かった。1人になりたかった。
「泣いちゃダメっていうのは分かるんだよ…でも…」
私は一呼吸置いて呟く。
「そんなの…無理だよ。」
私は、廊下を歩きながら声を抑えて泣いた。大粒の涙は止まることなく、流れるのだった。
何でこうなったのだろう。霊夏ちゃんは先生に事情を話しに、隼歌はトイレに行った。残された私と夢叶も、会話はなかった。会話する元気は無いのである。話を聞くに、彼はまた自分を犠牲に人を守った。いつもそうだ。私達は傷つかず、彼だけが傷付く。多少私達が傷ついても、彼はもっと傷付くだろう。私を救ってくれた時もそうだ。権力者である私の親に、真っ向から口論した。彼は作戦を伝える時に言った。
「たとえ、僕が社会的に消されても、光梨の親は僕が説得する。君が救われるのなら僕は喜んで消されるよ。」
と、彼は言ったのである。結果、社会的に消されることも無く、私の親を説得してくれた。彼は崖っぷちだった。私は王国に、彼は今にも落ちそうな橋の上だ。今回もそうだ。霊夏ちゃんを守るために彼は記憶を失った。彼は、雨流射 霊也は今どうなっているんだろう。泣いているのだろうか…。いや、きっと泣いてない。ずっと我慢してる。だから、私も我慢しなきゃ。
「ちょっと外の空気吸ってくるね。」
私は夢叶にそう告げて、廊下を歩いた。
「我慢しなきゃいけないのは分かる。」
でも、と私は呟いて、
「無理だよ。それだけ、貴方の存在は大きいんだよ…」
私の目からは光る何かが溢れ出た。それは、留まることを知らなかった。
初めて彼と会ったのは…病室だった。そこで私は一目惚れしたんだ。寝ている彼も笑っている彼も、全てが可愛かった。自分の物にしたいと思った。でもダメだった。私は余命があるから。ステージ4の末期癌。希望も何も無かった。そんななか、彼は私に生きる勇気と希望をくれた。一目惚れした私だったがそのことから、彼の人間性を知り、本当に好きになってしまった。そして私はまた、病室で彼と出会った。毎日会ってる彼じゃない。知らない彼とまた、病室で出会ってしまった。彼の記憶が無い。すなわち、あの時の彼はいない。その事実は、私の心に穴を開けた。
「何で…雨流射君は、何で記憶が無いの?撃たれたから?頭を打ったから?」
何にせよ私にとっては理由がどうであれ結果だけがのしかかった。彼は悲しんでいるだろうか。記憶が無い彼は、心のどこかにいるだろう。その彼は、悲しんでいるだろうか…。
「泣いちゃダメだよ。彼の方が泣きたいんだから…。」
必死に自分を制御しようとした。でも、
「やっぱり無理だよそんなの。君と過ごした時間も、何もかもが消えてるなんて、受け入れられないよ…。」
私は、1人彼の病室の前で泣きじゃくるのだった。
「…。だぁー!もう!」
あれからさらに時間が経ち、僕のストレスは溜まりに溜まり、爆発寸前だった。
「クッソ!どうすりゃいいんだよ!」
僕がイライラしながら辺りを右往左往していると、
「ハハっだいぶ気が立っているようだね。」
と、後ろからそんな声が聞こえた。
「誰だよ?」
僕が後ろを振り向くと、そこには僕がいた。
「僕か?」
いいや違う。僕じゃない。言うなればこいつは、僕の他の人格…みたいな感じか。
「あの頭を打った衝撃で僕の人格ができたんだよ。」
そいつは、ニヤニヤしながらそう言った。頭を打った衝撃…。あぁ、思い出した。僕がここにいるのは銃で撃たれたからだ。そしてこいつが生まれた。そしてここから出られないのはこいつのせい。つまり…
「僕の体を返してもらおう。」
返せと言うだけだ。だけどそいつは
「嫌だね」
そう言った。僕は思わず
「はぁ?」
と返した。
「だって君の周りは美人さんばっかりじゃん。その子達は僕の心配をしてくれてるんだよ?最高じゃん。」
僕はそいつが言ったことを
「はっ!」
と鼻で笑った。
「何がおかしい?」
そいつが訳が分からないと言うように聞いてきた。
「みんなが心配してるのはお前じゃない。僕だ。自意識過剰なんかじゃない。誰もお前を見てなんかいないさ。」
僕はいつものように煽る口ぶりで話した。
「何を言っているんだ?あいつらからしたら僕はお前なんだ。つまり心配しているのは僕だろう?バカなのか?」
そいつの言葉に僕は笑った。煽るように笑った。
「馬鹿なのはそっちだよ。お前は何一つ分かっちゃいない。」
ピキっと空間にヒビが入った。
「何!?」
「お前はみんなを知らない。だから僕のように勘が鋭いやつがいることも知らない。」
ピキッ。
「勘が鋭い…だって?」
「あぁ、自慢の妹だ。僕の心は読めないだろうが…下心丸出しのお前の心なんて読めて当然なんだよ。」
ピキッ。
「欲望に満ち、人を自分の道具のように扱う。そんな人間に、」
ピキッ。
「あいつらは騙されない!」
僕が叫んだ瞬間、空間が散った。
真っ白な世界で、僕は耳にした。みんなの言葉を。
「戻って来て!…」
「霊也君(お兄ちゃん)!」
私は、先生に事情を説明した。先生は、
「…初めての事例だからどうしようも無い…。すまない。」
と謝った。私はいいえ、と返した。謝らないで欲しかった。初めての事例なら分からなくて当然だ。私は皆を集めた。そして病室に入った。その男の顔をもう一度しっかり見るために。
「…ふーん。」
私は納得した。これは記憶喪失なんかじゃないと、分かった。
私は再度病室の外へみんなを連れ出した。
「今、あの男の思ってることが何となく分かりました。」
みんなは、
「…やっぱり霊也君の妹ね。そっくりだわ。」
と言った。私はありがとうございますと返して話を続けた。
「言うなればあれは欲望丸出しのチンパンジーですね!お兄ちゃんは記憶喪失になっても、あんな風にはなりません。きっとね。だから…別の人格みたいな感じだと思います。」
なるほど、とみんなが思ったのかは知らないが、私は話を続けた。
「だからきっと、お兄ちゃんの心に語りかければ、絶対お兄ちゃんは帰って来ます。だから、」
「みんなで念じる…かしら?」
そう夢叶さんが言った。私は頷いて、
「はい。想いを1つにすれば、お兄ちゃんも応えてくれるはずです。」
と答えたのだった。
「…。」
僕は目を覚ました。そこは病院で、周りには霊夏達がいた。みんなが訝しむように見てきたが、霊夏は、
「お兄ちゃんですー!」
と言って抱き着いてきた。
「全く思ってることが読めないです!これはお兄ちゃんぐらいしかいません。」
そう霊夏が言うと、みんな一斉に
「良かった…。」
と言った。
「…ありがとう。みんなのおかげで夢から出れたよ。」
「夢?ですか?」
「あぁ、真っ暗な空間で誰もいないんだ。そこに何十時間も居た。僕がイライラし始めた時に、あいつが来たんだ。」
みんなは、あいつかと思ったのだろう。そう、あいつだ。
「その時みんながあの空間を壊してくれた。おかげであの人格は粉々に砕け散ったよ。」
「良かったです!」
霊夏が涙混じりに言った。みんなも目を擦りながら、
「心配したんだから…!」
と、こぼした。
僕は今日、ある決心をした。何がなんでも、霊夏達は守らなくちゃいけない。二度と悲しい想いをさせないと僕は誓った。そして僕はみんなを見て一言、
「みんな…ありがとう…。
〝ただいま〟」
と言うのだった。
第5章 ~完~
次章 第6章 ーーーーーーの秘密
僕は、未だに夢の世界にいた。真っ暗な空間で、僕は1人この世界の愚痴を零していた。
「風景とか、自分がメインの夢とかだったらいいんだが…真っ暗な空間はさすがに辛いぞ…。」
かれこれ3日は閉じ込められているだろう。こういう時に、霊夏や隼歌達の大切さを実感する。
「…ふぅー。落ち着け、僕はずっと1人だったんだ。何を怖がっている。今まで通りに過ごせばいいんだ。」
僕は自分に言い聞かせていた。いつ狂うか分からない自我を、必死に抑えていた。
「記憶、喪失…?」
私は、いや私達は、お兄ちゃんの目の前で立ち尽くしていた。みんな、言葉が出なかった。私は先生に事情を話すために、みんなを連れて病室の外に出た。…というのは建前だ。本当は、怖かったんだ。気が狂いそうだった。だって、私の大好きなお兄ちゃんは、私を忘れてしまったのだから。こんなに悲しいことはない。私は涙を堪え、隼歌さん達に言った。
「私、先生に事情を話してきます。」
そう言って、隼歌さん達を背に、廊下を進んだ。目からは大粒の涙が零れた。
「何で…なのよ。」
私は1人、誰も聞き取れないほどの声で呟いた。何故、霊也君だけこんな目に合うんだろう。私を救うためにいじめっ子に殴られたり、私を守って車に轢かれて大怪我をしたりもした。それで今度は銃で撃たれた。おまけに記憶喪失。死んでいないのが唯一の救いだった。私は泣きたくなった。でも、泣いちゃいけない。1番辛いのは彼のはず何だ。そんな彼は泣いてない。泣いたところを、見たことがない。泣いちゃダメだ。私はぐっと涙を堪えた。そして、愛澄花と夢叶に伝えた。
「ちょっとトイレに行ってくる。」
私は、2人に背を向けてトイレへ向かった。1人になりたかった。
「泣いちゃダメっていうのは分かるんだよ…でも…」
私は一呼吸置いて呟く。
「そんなの…無理だよ。」
私は、廊下を歩きながら声を抑えて泣いた。大粒の涙は止まることなく、流れるのだった。
何でこうなったのだろう。霊夏ちゃんは先生に事情を話しに、隼歌はトイレに行った。残された私と夢叶も、会話はなかった。会話する元気は無いのである。話を聞くに、彼はまた自分を犠牲に人を守った。いつもそうだ。私達は傷つかず、彼だけが傷付く。多少私達が傷ついても、彼はもっと傷付くだろう。私を救ってくれた時もそうだ。権力者である私の親に、真っ向から口論した。彼は作戦を伝える時に言った。
「たとえ、僕が社会的に消されても、光梨の親は僕が説得する。君が救われるのなら僕は喜んで消されるよ。」
と、彼は言ったのである。結果、社会的に消されることも無く、私の親を説得してくれた。彼は崖っぷちだった。私は王国に、彼は今にも落ちそうな橋の上だ。今回もそうだ。霊夏ちゃんを守るために彼は記憶を失った。彼は、雨流射 霊也は今どうなっているんだろう。泣いているのだろうか…。いや、きっと泣いてない。ずっと我慢してる。だから、私も我慢しなきゃ。
「ちょっと外の空気吸ってくるね。」
私は夢叶にそう告げて、廊下を歩いた。
「我慢しなきゃいけないのは分かる。」
でも、と私は呟いて、
「無理だよ。それだけ、貴方の存在は大きいんだよ…」
私の目からは光る何かが溢れ出た。それは、留まることを知らなかった。
初めて彼と会ったのは…病室だった。そこで私は一目惚れしたんだ。寝ている彼も笑っている彼も、全てが可愛かった。自分の物にしたいと思った。でもダメだった。私は余命があるから。ステージ4の末期癌。希望も何も無かった。そんななか、彼は私に生きる勇気と希望をくれた。一目惚れした私だったがそのことから、彼の人間性を知り、本当に好きになってしまった。そして私はまた、病室で彼と出会った。毎日会ってる彼じゃない。知らない彼とまた、病室で出会ってしまった。彼の記憶が無い。すなわち、あの時の彼はいない。その事実は、私の心に穴を開けた。
「何で…雨流射君は、何で記憶が無いの?撃たれたから?頭を打ったから?」
何にせよ私にとっては理由がどうであれ結果だけがのしかかった。彼は悲しんでいるだろうか。記憶が無い彼は、心のどこかにいるだろう。その彼は、悲しんでいるだろうか…。
「泣いちゃダメだよ。彼の方が泣きたいんだから…。」
必死に自分を制御しようとした。でも、
「やっぱり無理だよそんなの。君と過ごした時間も、何もかもが消えてるなんて、受け入れられないよ…。」
私は、1人彼の病室の前で泣きじゃくるのだった。
「…。だぁー!もう!」
あれからさらに時間が経ち、僕のストレスは溜まりに溜まり、爆発寸前だった。
「クッソ!どうすりゃいいんだよ!」
僕がイライラしながら辺りを右往左往していると、
「ハハっだいぶ気が立っているようだね。」
と、後ろからそんな声が聞こえた。
「誰だよ?」
僕が後ろを振り向くと、そこには僕がいた。
「僕か?」
いいや違う。僕じゃない。言うなればこいつは、僕の他の人格…みたいな感じか。
「あの頭を打った衝撃で僕の人格ができたんだよ。」
そいつは、ニヤニヤしながらそう言った。頭を打った衝撃…。あぁ、思い出した。僕がここにいるのは銃で撃たれたからだ。そしてこいつが生まれた。そしてここから出られないのはこいつのせい。つまり…
「僕の体を返してもらおう。」
返せと言うだけだ。だけどそいつは
「嫌だね」
そう言った。僕は思わず
「はぁ?」
と返した。
「だって君の周りは美人さんばっかりじゃん。その子達は僕の心配をしてくれてるんだよ?最高じゃん。」
僕はそいつが言ったことを
「はっ!」
と鼻で笑った。
「何がおかしい?」
そいつが訳が分からないと言うように聞いてきた。
「みんなが心配してるのはお前じゃない。僕だ。自意識過剰なんかじゃない。誰もお前を見てなんかいないさ。」
僕はいつものように煽る口ぶりで話した。
「何を言っているんだ?あいつらからしたら僕はお前なんだ。つまり心配しているのは僕だろう?バカなのか?」
そいつの言葉に僕は笑った。煽るように笑った。
「馬鹿なのはそっちだよ。お前は何一つ分かっちゃいない。」
ピキっと空間にヒビが入った。
「何!?」
「お前はみんなを知らない。だから僕のように勘が鋭いやつがいることも知らない。」
ピキッ。
「勘が鋭い…だって?」
「あぁ、自慢の妹だ。僕の心は読めないだろうが…下心丸出しのお前の心なんて読めて当然なんだよ。」
ピキッ。
「欲望に満ち、人を自分の道具のように扱う。そんな人間に、」
ピキッ。
「あいつらは騙されない!」
僕が叫んだ瞬間、空間が散った。
真っ白な世界で、僕は耳にした。みんなの言葉を。
「戻って来て!…」
「霊也君(お兄ちゃん)!」
私は、先生に事情を説明した。先生は、
「…初めての事例だからどうしようも無い…。すまない。」
と謝った。私はいいえ、と返した。謝らないで欲しかった。初めての事例なら分からなくて当然だ。私は皆を集めた。そして病室に入った。その男の顔をもう一度しっかり見るために。
「…ふーん。」
私は納得した。これは記憶喪失なんかじゃないと、分かった。
私は再度病室の外へみんなを連れ出した。
「今、あの男の思ってることが何となく分かりました。」
みんなは、
「…やっぱり霊也君の妹ね。そっくりだわ。」
と言った。私はありがとうございますと返して話を続けた。
「言うなればあれは欲望丸出しのチンパンジーですね!お兄ちゃんは記憶喪失になっても、あんな風にはなりません。きっとね。だから…別の人格みたいな感じだと思います。」
なるほど、とみんなが思ったのかは知らないが、私は話を続けた。
「だからきっと、お兄ちゃんの心に語りかければ、絶対お兄ちゃんは帰って来ます。だから、」
「みんなで念じる…かしら?」
そう夢叶さんが言った。私は頷いて、
「はい。想いを1つにすれば、お兄ちゃんも応えてくれるはずです。」
と答えたのだった。
「…。」
僕は目を覚ました。そこは病院で、周りには霊夏達がいた。みんなが訝しむように見てきたが、霊夏は、
「お兄ちゃんですー!」
と言って抱き着いてきた。
「全く思ってることが読めないです!これはお兄ちゃんぐらいしかいません。」
そう霊夏が言うと、みんな一斉に
「良かった…。」
と言った。
「…ありがとう。みんなのおかげで夢から出れたよ。」
「夢?ですか?」
「あぁ、真っ暗な空間で誰もいないんだ。そこに何十時間も居た。僕がイライラし始めた時に、あいつが来たんだ。」
みんなは、あいつかと思ったのだろう。そう、あいつだ。
「その時みんながあの空間を壊してくれた。おかげであの人格は粉々に砕け散ったよ。」
「良かったです!」
霊夏が涙混じりに言った。みんなも目を擦りながら、
「心配したんだから…!」
と、こぼした。
僕は今日、ある決心をした。何がなんでも、霊夏達は守らなくちゃいけない。二度と悲しい想いをさせないと僕は誓った。そして僕はみんなを見て一言、
「みんな…ありがとう…。
〝ただいま〟」
と言うのだった。
第5章 ~完~
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