僕の周りの人達には秘密がある

第6章 谷海合 未咲紀の秘密

正夢

僕は夢を見ていた。遊園地で殺されかけた、少女が出てきた。その少女は、周りにボディーガードを付けて歩いていた。あの時の僕の忠告を聞き入れたらしい。その少女はショッピングモールへ行ったようだった。そこで少女は誰かに会っていた。誰かは分からない。その誰かの顔に、モヤがかかっているからだ。少女は驚いていた、そして場面は急展開する。視界が暗転したかと思うと、そこは前見たような倉庫だった。モヤがかかった誰かと、少女は椅子に縛られていた。そして2人の頭に銃が当てられ…。







僕はそこで目を覚ました。悪夢…という訳ではなかったが、どこか気味が悪かった。夢の内容は全て覚えている。明晰夢というやつだろうか。それだけじゃないような気がする…。僕は身震いをして、熱を測るのだった。








無事平熱に戻り、僕は妹である霊夏の誕生日プレゼントを買いにショッピングモールへやってきた。霊夏の誕生日を知ったのはつい最近で、平熱に治った今日しか買いに行く日がなかったのだ。



僕がアクセサリー屋でプレゼントになりそうなものを探していると、
｢え！貴方は…。｣
という声が聞こえた。僕は振り向いて、声の主を確認した。そこには、
｢谷海合財閥のお嬢様じゃないか。｣
そこにはあのお嬢様がいた。
｢ボディーガードつけてるか？｣
と僕が声を発して、気付く。１回、こんな会話をしたことがあるんじゃないか？とデジャブを感じたのである。そして思い出す。あの夢と全く同じ光景ということに。
｢えぇ、あなたに言われた通りちゃんとつけてるわ！貴方のおかげで今の私がいるのよね…。本当に感謝しているわ。｣
｢別に…助けたってつもりじゃないんだが…。｣
と僕らが話し合っていると、シュンと言ってショッピングモール中の電気が消えた。危険を感じたのか、ボディーガードがしっかりと周りを囲む、しかし次の瞬間、ぐぁ、という悲鳴と共に、僕の意識は刈り取られるのだった。










『速報です。ショッピングモール遊芽ヶ丘店(ゆうめがおかてん)が、突如原因不明の停電が発生しました。現場には怪我人が数名倒れていたとの情報が入っています。…あ、速報です！ショッピングモールの電気を全て管理する電気管理室の機械が全て破壊されていたようです。怪我人は、｢お嬢、様ともう1人の男の方が…連れ去られた。｣と言っていたそうです。次のニュースです…』











おいおいここどこだよ。僕は口を開いて喋ったつもりだった。でも喋れなかった。そして僕は理解した。口が塞がっていることに…。腕も、足も、身動きが取れないように縛られていることに、僕は気づいた。僕は冷静に現在の状況を把握していると、声が聞こえてきた。
｢仲間の仇だ。こいつはあいつらをぶっ飛ばしたやつだろ？呆気ないな。さっさと殺そう。谷海合財閥の令嬢もいたんだ。｣
カチャッとリロードする音が聞こえた。隣からは
｢ひっ｣
と怯えるような声が聞こえた。正夢だ。あの夢と…全く同じだ。この後どうすればいい…。

答えは…簡単。前に決めたじゃないか。また会ったら助けてやるって…なら、
(命を懸けて命を助けよう。)
僕は額に押し当てられた銃口を…