僕の周りの人達には秘密がある

第7章 時の思い出

変わる日常

｢…っ。｣
僕はいきなりのことに声が出なかった。好き…。その言葉を理解するのには結構な時間がかかった。
｢…雨流射君？｣
僕が放心状態になっているのに気付いて、愛澄花がそう聞いてきた。改めて見ると、愛澄花の顔は真っ赤だった。それは嘘じゃないことの証明で、僕はますますパニックになった。
｢…返事…待ってるから…。｣
愛澄花はゆっくりと僕から降りて、玄関を出た。1人取り残された僕
｢…え？｣
としか言えないのであった。







｢遅い！遅いよ！霊也君！｣
隼歌に怒られてしまった。
｢…私と初めてのショッピングの時と同じだね。｣
夢叶にそう言われた。昨日までの僕だったら相槌とかを返せたと思う。だけど今の僕はそんな余裕は無かった。口から出たのは、
｢…遅れてごめん。｣
それだけだった。




それから僕達はショッピングモールで買い物やゲームを楽しんだ。愛澄花はニコニコしながらみんなと買い物を楽しんでいた。僕は朝の出来事が頭から離れず、素直に楽しめなかった。



｢今日霊也静かすぎない？流石におかしいと思うわ。｣
｢そうよね。公園で怒った時から返答の歯切れが悪すぎると思うのよね。｣
｢…愛澄花…どうして俯いて黙ってるの？何か悲しいことでもあった？｣




僕のことを愛澄花が好き？そんなことあるのか？イタズラなのか…でもそれは違うと本能が言っている。本気…なのか？愛澄花。






｢私、霊也君に




告白したの。｣

｢｢｢！！！？？？｣｣｣






お泊まり会は、みんなが家に戻ると同時に1度解散になった。これはちょうど良かった。まだ頭の整理がつかないからである。








愛澄花が霊也君に告白した。霊也君はOKしたのだろうか。私は霊也君のことが好きだ。そしてライバルである愛澄花に先を越された。私もそろそろ…行動にでなくちゃ…！







愛澄花が告白した。私は病院で初めて彼を見た時に好きになった。彼は初恋の相手。愛澄花が告白したのだとしても、私は彼を諦めきれない。私も…想いを伝えなきゃ。









霊也が告白された。私と彼は主従関係。でも心の中はモヤモヤしていた。このことを考えると、霊也は私の心を埋めていたんだ。愛澄花に取られたら…私の心には穴が空く…。彼が取られるのは嫌だ…。私は霊也が好き…。大好き…。この初めての想いを…霊也にぶつけるんだ。






みんな一斉に雨流射君にアタックする。私も遅れを取る訳にはいかない。1番最初に告白した私が有利なはず…。絶対に負けない。雨流射君は私のものにする…！








この日から僕の…僕達の日常は変わっていくのだった。