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第7章 時の思い出

エイ画の始まリ

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「うーん…」
僕は何故か唸っている隼歌の横で棒立ちしていた。
「どうしたの?隼歌。」 
そう聞くと、隼歌はスマホを見ながら
「どの映画にしようか迷ってるの…。 」
スマホを僕に突きつけそう言った。
「恋愛、恋愛、恋愛、アニメ、アニメ…。なんか系統が2つしかないような…。」
見せつけられたスマホに表示されている映画を読んでいるとどれもこれも同じような系統だった。隼歌はスマホを自分の方に戻し、画面をスワイプした。
「恋愛が見たいのか?」
僕がそう聞くと、隼歌は顔を赤らめて言った。
「そういう事じゃなくて…あ、そうだ…このシリーズ昔に見たことあって続編なの。だから見たいなーって。」
目を逸らしてカタコトと言う隼歌。嘘だと言っているのと同じだよ…。
「じゃあそれを見ようよ。」
「う、うんそうだね。」
僕達が見るのはアニメだ。早速チケット売り場にチケットを買いに行ったが、店員さんに
「お気をつけください。グロテスクな表現が多々ある映画です。精神に異常をきたす場合がございます。大丈夫でしょうか?」
そう聞かれた。そ、そんなアニメが好きだったのか、隼歌。
「だ、大丈夫だよな?隼歌。これで。」
僕が隼歌に聞くと、隼歌は目をキラッキラさせて、
「グロいのには耐性あるし、フィクションだしこのアニメいっつもそうだから大丈夫!」
「そっか。僕は大丈夫かな…。」
初めての映画が注意される映画なんて…。ある意味ホラーより怖いな…。と、僕がそんなことを考えていると、
「霊也君!ポップコーンとか見に行こ!」
僕の腕を掴みズルズルと引きずろうとする隼歌に僕は笑って、
「そんなに焦らないで。ちゃんと僕は歩くしむしろ、」
僕は逆に隼歌の腕を掴み隼歌の前を歩いた。
「僕が今度は引っ張ってやる!」
さっきのお返しだ!隼歌はへっ?と言わんばかりで僕に引っ張られるのだった。








ポップコーンなども買い、指定された座席に僕らは座った。回りには数人の客がいた。
「なんか初めての映画だからワクワクするな。」
僕が少し浮かれていると、隼歌が
「結構これグロイと思うよ?怖くなったら私に抱きついてもいいよ。」
少し顔を赤らめながら言う隼歌に、僕は
「それはちょっと恥ずかしいな。」
僕も少し恥ずかしくなって下を向いた。少し経つと横から、
「始まるよ。」
そう聞こえたため僕は顔をあげた。ふと横を見ると目を輝かせて今か今かと待っている隼歌がいた。オープニングの前みたいな感じかな?もう少し落ち着いて、僕は心の中でそう呟いてポップコーンを食べた。あ、美味しい。初めて食べた…映画館でね。僕はまだ知らない。映画の内容が…トラウマをくすぐる内容ということを…僕はまだ知らなかった。
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