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最終章 雨流射 霊也の秘密
何事も無かった
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「霊也君!私は隼歌よ!」
頭を抑えている霊也君に私は言った。
「隼歌…隼歌…そんなやつ、いないって、」
頭を抑えてうめく霊也君。
「私は愛澄花よ!雨流射君!」
「だから、そんな人…知らないよ、」
「夢叶よ!私達との日々を忘れたの?霊也君!」
「日々?僕にそんな幸せな日々なんて…」
「お兄ちゃん!私がお兄ちゃんの妹ですよ!霊夏ですよ!」
「僕に妹なんて…いない。」
霊也君は段々と声に張りがなくなって顔を布団に埋めていった。
「…考えさせてください。僕にはあなた達が本当に誰か…どんな人間か分からないんです。」
何だよ…隼歌、愛澄花、夢叶、霊夏…そして未咲紀。そんな名前の友人なんていなかった。僕の友人はたった2人。でもそれだけで充分なんだ。信用出来ない…。何を信じればいいんだよ…。信じたらまた怪我するかもしれない。あまとにも害が及ぶかもしれない。
「あぁ、もう考えるのをやめよう。どうせ僕にあの人達の心なんて読めないんだ。寝よう。それでいい。2人だけでいいんだ。」
そう一言残して、僕は意識を手放すのだった。
「…んあ?」
僕は目が覚めると草原にいた。
「ここは…あまり居たくないな…。またこの夢か…。なんで寝たんだろ…。確か隼歌と一緒に映画を見て…。そうか、僕はあの映画で思い出したんだ。あいつらのことを…。」
ハハッと僕は頭に手をやって笑った。
「過去に囚われ続けてるなぁ。思い出してからの記憶がないってことは…。何かあったんだろうな…。幼児退行したとか?まぁ理由はどうあれ…。まだ僕は強くなれそうにもないな…。」
僕は拳を固く握り締め、前を向いた。
「もっと強くならないと、あいつらは守れない。隼歌、愛澄花、夢叶、未咲紀、霊夏。同じ過ちは繰り返さない。絶対にこの日常を守り抜いてみせる。」
僕は前と同じように森に足を踏み入れた。すると視界は暗転した。
「気を付けろ!!!」
そんな声が聞こえた気がした。
「…見慣れた天井だな。また病院か。」
僕は体を起こし、周りを見渡した。傍には未咲紀がいた。
「なんで未咲紀がいるんだろうか…。」
出ていけと言われて30分。私達は霊也の様子をこっそりと覗いた。霊也は寝ていた。それだけならまだ良かったんだ…。
「おかしい…こんなに眠りに着くのはおかしい。」
先生はそう言った。それもそうだ。あれから1日、霊也は目を覚まさなかった。息も何故か浅くなっていた。
「霊也…。」
私達は丸一日霊也の傍にいた。
「君達!流石にもう帰りなさい!疲労困憊で倒れるよ!」
先生にそう言われた。確かに、みんな目の下に隈ができてる。どこか疲れてるようにも見れる。
「はい…。1回帰ろう。お母さんも心配してるだろうし。」
みんなが身支度をしている時、私だけが霊也のベッドから離れなかった。
「未咲紀?帰らないの?」
そう隼歌に聞かれた。私は
「帰らない!私はずっと傍にいるから。」
そう言った。
「でも…」
「私のことを忘れるなんて…許せない!次起きたとき、絶対に教育するんだから!」
未咲紀はすやすやとベットで寝ていた。顔だけを乗せて、すやすやと。そんな未咲紀をそっと僕は撫でた。何故撫でたか分からない。でもただ撫でたかった。未咲紀は撫でられたからか数秒して飛び起きた。
「霊也!?」
「未咲紀…ずっと傍に居てくれたの?」
「うん…。って霊也!記憶が戻ってる!?」
「その件についてはよく分からないけど…僕は霊也だよ。未咲紀の従者。」
僕がそう言うと未咲紀は抱きついてきた。突然のことに驚いたが、僕は受け止めた。
「おかえり!霊也!」
「ただいま。未咲紀。」
頭を抑えている霊也君に私は言った。
「隼歌…隼歌…そんなやつ、いないって、」
頭を抑えてうめく霊也君。
「私は愛澄花よ!雨流射君!」
「だから、そんな人…知らないよ、」
「夢叶よ!私達との日々を忘れたの?霊也君!」
「日々?僕にそんな幸せな日々なんて…」
「お兄ちゃん!私がお兄ちゃんの妹ですよ!霊夏ですよ!」
「僕に妹なんて…いない。」
霊也君は段々と声に張りがなくなって顔を布団に埋めていった。
「…考えさせてください。僕にはあなた達が本当に誰か…どんな人間か分からないんです。」
何だよ…隼歌、愛澄花、夢叶、霊夏…そして未咲紀。そんな名前の友人なんていなかった。僕の友人はたった2人。でもそれだけで充分なんだ。信用出来ない…。何を信じればいいんだよ…。信じたらまた怪我するかもしれない。あまとにも害が及ぶかもしれない。
「あぁ、もう考えるのをやめよう。どうせ僕にあの人達の心なんて読めないんだ。寝よう。それでいい。2人だけでいいんだ。」
そう一言残して、僕は意識を手放すのだった。
「…んあ?」
僕は目が覚めると草原にいた。
「ここは…あまり居たくないな…。またこの夢か…。なんで寝たんだろ…。確か隼歌と一緒に映画を見て…。そうか、僕はあの映画で思い出したんだ。あいつらのことを…。」
ハハッと僕は頭に手をやって笑った。
「過去に囚われ続けてるなぁ。思い出してからの記憶がないってことは…。何かあったんだろうな…。幼児退行したとか?まぁ理由はどうあれ…。まだ僕は強くなれそうにもないな…。」
僕は拳を固く握り締め、前を向いた。
「もっと強くならないと、あいつらは守れない。隼歌、愛澄花、夢叶、未咲紀、霊夏。同じ過ちは繰り返さない。絶対にこの日常を守り抜いてみせる。」
僕は前と同じように森に足を踏み入れた。すると視界は暗転した。
「気を付けろ!!!」
そんな声が聞こえた気がした。
「…見慣れた天井だな。また病院か。」
僕は体を起こし、周りを見渡した。傍には未咲紀がいた。
「なんで未咲紀がいるんだろうか…。」
出ていけと言われて30分。私達は霊也の様子をこっそりと覗いた。霊也は寝ていた。それだけならまだ良かったんだ…。
「おかしい…こんなに眠りに着くのはおかしい。」
先生はそう言った。それもそうだ。あれから1日、霊也は目を覚まさなかった。息も何故か浅くなっていた。
「霊也…。」
私達は丸一日霊也の傍にいた。
「君達!流石にもう帰りなさい!疲労困憊で倒れるよ!」
先生にそう言われた。確かに、みんな目の下に隈ができてる。どこか疲れてるようにも見れる。
「はい…。1回帰ろう。お母さんも心配してるだろうし。」
みんなが身支度をしている時、私だけが霊也のベッドから離れなかった。
「未咲紀?帰らないの?」
そう隼歌に聞かれた。私は
「帰らない!私はずっと傍にいるから。」
そう言った。
「でも…」
「私のことを忘れるなんて…許せない!次起きたとき、絶対に教育するんだから!」
未咲紀はすやすやとベットで寝ていた。顔だけを乗せて、すやすやと。そんな未咲紀をそっと僕は撫でた。何故撫でたか分からない。でもただ撫でたかった。未咲紀は撫でられたからか数秒して飛び起きた。
「霊也!?」
「未咲紀…ずっと傍に居てくれたの?」
「うん…。って霊也!記憶が戻ってる!?」
「その件についてはよく分からないけど…僕は霊也だよ。未咲紀の従者。」
僕がそう言うと未咲紀は抱きついてきた。突然のことに驚いたが、僕は受け止めた。
「おかえり!霊也!」
「ただいま。未咲紀。」
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