15 / 15
14.エピローグ
* * *
それから後のことは、まるで熱に浮かされていたようで、細かな記憶はあまり残っていない。
ただ――あの日。
俺はロランにうなじを噛まれ、正式にその番となった。
そして奇しくも、そのときの交わりによって、俺はロランの子を腹に宿していた。
その後の展開は、驚くほど速かった。
ロランの言葉通り、俺たちの関係はすでに周囲に整えられており、俺は戸惑う間もなく、ラ・トゥール家の一員として迎え入れられた。
シュヴァリエ・ダルジャン騎士団でも、俺たちは温かく受け入れられ、祝福の言葉を数多くもらった。
混乱したのは、むしろ俺の家族のほうだった。
ずっとベータだと思っていた息子がオメガだったこと。
その俺が、最高位のアルファであるロランと結婚すること。
さらにその子どもを身ごもっていること――。
一度にすべてを告げられた両親は大いに取り乱したが、ロランとその両親が間に入ってくれたおかげで、やがては落ち着きを取り戻し、最終的には涙ながらに俺たちの結婚を祝ってくれた。
ロランと俺の母の強い勧めもあり、結婚式は急ぎ執り行われることとなった。
気がつけば準備は整い、俺は何もかもに圧倒されたまま、その日を迎えていた。
式典は、息を呑むほどに華やかなものだった。
白の礼装に身を包んだ騎士たちが整列し、剣を掲げて祝福する――セレモニー・ド・レペが厳かに執り行われる。
その中を、ロランと並んで歩いたとき――胸がいっぱいになった。
大勢の人々の視線と祝福に包まれながら、俺はようやく実感する。
――ああ、俺は本当に、この人の伴侶になったのだと。
あの夜、俺を追い詰めた出来事も、やがて静かに決着を迎えた。
俺をヴォードレール伯爵の契約番にする計画を画策したクレマンス・ド・ボーモンは、今回の一件が明るみに出たことで両親から叱責を受け、しばらく修道院に強制的に送られることになったと聞く。
また、ヴォードレール伯爵も、ロランの怒りに触れて以降、表舞台から姿を消した。
どうやらあの日、ロランの強力なアルファの威嚇オーラにあてられて失神した伯爵は、その後、完全に性的に不能になってしまったそうだ。
伯爵に囲われていたオメガたちはすべて解放され、後日、感謝の言葉を綴った手紙と贈り物が、連名で俺たちのもとへ届いた。
そして、驚くことに俺は騎士団長から、出産が終わり落ち着いたら騎士団に戻ることが許可された。
今後は、オメガであっても、番がいれば入団を認める方針だという。
すべてが終わり、すべてが動き出した。
そして、今――
あのとき、手放そうとした未来の中で
俺は今、ロランの隣にいる。
この先、何があっても――
もう二度と、この手を離すことはない。
(了)
*****
ここまで読んでいただきありがとうございました!
これでいったん完結ですが、もう少し元気がでたら、この物語の補完の意味も込めて、攻め視点も書こうとおもっています!
「攻め視点も読みたい」と思っていただけましたら、❤、お気に入り登録、エールで応援、ぜひぜひお願いします!
6月に新刊発売予定ですのでそちらもどうぞよろしくおねがいします
皆様の応援が、次の糧となります!!
それから後のことは、まるで熱に浮かされていたようで、細かな記憶はあまり残っていない。
ただ――あの日。
俺はロランにうなじを噛まれ、正式にその番となった。
そして奇しくも、そのときの交わりによって、俺はロランの子を腹に宿していた。
その後の展開は、驚くほど速かった。
ロランの言葉通り、俺たちの関係はすでに周囲に整えられており、俺は戸惑う間もなく、ラ・トゥール家の一員として迎え入れられた。
シュヴァリエ・ダルジャン騎士団でも、俺たちは温かく受け入れられ、祝福の言葉を数多くもらった。
混乱したのは、むしろ俺の家族のほうだった。
ずっとベータだと思っていた息子がオメガだったこと。
その俺が、最高位のアルファであるロランと結婚すること。
さらにその子どもを身ごもっていること――。
一度にすべてを告げられた両親は大いに取り乱したが、ロランとその両親が間に入ってくれたおかげで、やがては落ち着きを取り戻し、最終的には涙ながらに俺たちの結婚を祝ってくれた。
ロランと俺の母の強い勧めもあり、結婚式は急ぎ執り行われることとなった。
気がつけば準備は整い、俺は何もかもに圧倒されたまま、その日を迎えていた。
式典は、息を呑むほどに華やかなものだった。
白の礼装に身を包んだ騎士たちが整列し、剣を掲げて祝福する――セレモニー・ド・レペが厳かに執り行われる。
その中を、ロランと並んで歩いたとき――胸がいっぱいになった。
大勢の人々の視線と祝福に包まれながら、俺はようやく実感する。
――ああ、俺は本当に、この人の伴侶になったのだと。
あの夜、俺を追い詰めた出来事も、やがて静かに決着を迎えた。
俺をヴォードレール伯爵の契約番にする計画を画策したクレマンス・ド・ボーモンは、今回の一件が明るみに出たことで両親から叱責を受け、しばらく修道院に強制的に送られることになったと聞く。
また、ヴォードレール伯爵も、ロランの怒りに触れて以降、表舞台から姿を消した。
どうやらあの日、ロランの強力なアルファの威嚇オーラにあてられて失神した伯爵は、その後、完全に性的に不能になってしまったそうだ。
伯爵に囲われていたオメガたちはすべて解放され、後日、感謝の言葉を綴った手紙と贈り物が、連名で俺たちのもとへ届いた。
そして、驚くことに俺は騎士団長から、出産が終わり落ち着いたら騎士団に戻ることが許可された。
今後は、オメガであっても、番がいれば入団を認める方針だという。
すべてが終わり、すべてが動き出した。
そして、今――
あのとき、手放そうとした未来の中で
俺は今、ロランの隣にいる。
この先、何があっても――
もう二度と、この手を離すことはない。
(了)
*****
ここまで読んでいただきありがとうございました!
これでいったん完結ですが、もう少し元気がでたら、この物語の補完の意味も込めて、攻め視点も書こうとおもっています!
「攻め視点も読みたい」と思っていただけましたら、❤、お気に入り登録、エールで応援、ぜひぜひお願いします!
6月に新刊発売予定ですのでそちらもどうぞよろしくおねがいします
皆様の応援が、次の糧となります!!
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(4件)
あなたにおすすめの小説
最悪の婚姻から始まるただ一つの愛
統子
BL
最悪の婚姻だった。
皇太子の正室として迎えられながら、
与えられたのは祝福ではなく、冷たい部屋と拒絶だけ。
触れられることすら恐ろしく、
ただ静かに時間が過ぎるのを待つしかなかった。
けれど——
差し出された手は、思っていたものとは違っていた。
無理に触れない。
急がない。
ただ、こちらの様子を確かめるように、少しずつ距離を縮めてくる。
気づけば、隣に座ることが当たり前になり、
言葉を交わす時間が、夜の習慣になっていた。
触れられるたびに怖さは消え、
代わりに残るのは、離れがたい温もり。
これは、最悪の婚姻から始まった関係が、
やがて“ただ一人”へと変わっていく物語。
望まれなかったはずのはじまりが、
いつしか、何よりも大切なものになるまでの——
静かで、優しい、溺れるような愛の記録。
『偽物の番』だと捨てられた不憫な第三王子、隣国の冷徹皇帝に拾われて真実の愛を教え込まれる
レイ
BL
「出来損ない」と捨てられた場所は、私の居場所ではありませんでした。
ラングリス王国の第三王子・フィオーレは、王族の証である『聖種の紋様』が現れなかったことで「偽物の番」と罵られ、雪降る国境へと追放される。
死を覚悟した彼の前に現れたのは、隣国アイゼン帝国の「冷徹皇帝」ヴォルフラムだった。
大好きな婚約者を僕から自由にしてあげようと思った
こたま
BL
オメガの岡山智晴(ちはる)には婚約者がいる。祖父が友人同士であるアルファの香川大輝(だいき)だ。格好良くて優しい大輝には祖父同士が勝手に決めた相手より、自らで選んだ人と幸せになって欲しい。自分との婚約から解放して自由にしてあげようと思ったのだが…。ハッピーエンドオメガバースBLです。最後におじいさまの番外編を追加しました。
「出来損ない」オメガと幼馴染の王弟アルファの、発情初夜
鳥羽ミワ
BL
ウィリアムは王族の傍系に当たる貴族の長男で、オメガ。発情期が二十歳を過ぎても来ないことから、家族からは「欠陥品」の烙印を押されている。
そんなウィリアムは、政略結婚の駒として国内の有力貴族へ嫁ぐことが決まっていた。しかしその予定が一転し、幼馴染で王弟であるセドリックとの結婚が決まる。
あれよあれよと結婚式当日になり、戸惑いながらも結婚を誓うウィリアムに、セドリックは優しいキスをして……。
そして迎えた初夜。わけもわからず悲しくなって泣くウィリアムを、セドリックはたくましい力で抱きしめる。
「お前がずっと、好きだ」
甘い言葉に、これまで熱を知らなかったウィリアムの身体が潤み、火照りはじめる。
※ムーンライトノベルズ、アルファポリス、pixivへ掲載しています
【完結済】極上アルファを嵌めた俺の話
降魔 鬼灯
BL
ピアニスト志望の悠理は子供の頃、仲の良かったアルファの東郷司にコンクールで敗北した。
両親を早くに亡くしその借金の返済が迫っている悠理にとって未成年最後のこのコンクールの賞金を得る事がラストチャンスだった。
しかし、司に敗北した悠理ははオメガ専用の娼館にいくより他なくなってしまう。
コンサート入賞者を招いたパーティーで司に想い人がいることを知った悠理は地味な自分がオメガだとバレていない事を利用して司を嵌めて慰謝料を奪おうと計画するが……。
生徒会長の公爵家嫡男に見初められました!
統子
BL
真面目な新入生が、生徒会長に目をつけられた。
ただそれだけのはずなのに、
気づけば逃げられなくなっていた。
これは、最初から決まっていた“出会い”の話。
孕めないオメガでもいいですか?
月夜野レオン
BL
病院で子供を孕めない体といきなり診断された俺は、どうして良いのか判らず大好きな幼馴染の前から消える選択をした。不完全なオメガはお前に相応しくないから……
オメガバース作品です。
エールもポチもやりました❗
いつの間にか、すっかり囲い込みをやっていたロランの攻め視点、読みたいです🥳 お願いします🥰
なんとなんと!!エールモポチも!!
ありがとうございます、ありがとうございます!!!
ロラン視点読みたいといってくださって嬉しすぎます。ぜひ書きます🥰
裏側から見ると全然違う世界になっているかもしれないです……!
GW中ずっと更新を楽しみに過ごしてました✨
攻め視点はぜひぜひ!!
私にとって攻め視点はご褒美です💕
GW中読んでいただけていたなんて嬉しすぎる!!!!
攻め視点需要アリなんですね✨
うれしーい🥰
喜んで書きます!(キャラ崩壊注意かもですが…笑)
ぜひとも続篇読ませていただきたいです!
楽しみにしております^_^
わーうれしいです!!読みたいといっていただけるなら絶対書きます!!
しばしお待ちいただけると嬉しいです💖