40 / 165
第40話 俺の知らないテオドール
しおりを挟む
「以前彼に関する報告書を読んだことがある。テオドール・ダンデスは、入学初日にそのオスマン騎士団長の息子から、喧嘩をふっかけられた。まあ、新入りによくある洗礼みたいなものだ」
「やっぱり!!」
あの凶暴な目つき! やはりなにかやらかしていると思っていた! あんな危険人物を、初等部に放置しておいていいはずがない!!
「だが……、ものの数秒でのされたセルジュ・オスマンは、そのテオドールの強さに感服して、そのまま自身の所属する剣術部に勧誘した、と報告書にはあった」
「のさ、れた……? ものの、数秒、で……」
劇場での、セルジュとテオドールのやり取りが脳裏に浮かぶ。
たしかに、あの時、テオドールはセルジュの胸ぐらを掴んでなにか言っていたが……。
「そして、オーバン・ノアイユについてだが、彼もまた、入学してしばらくたったあと、確かにテオドールに個人的に接触している。これは、まあ、なんというか……、テオドールをそういう意味で誘惑した、らしい……」
「誘惑っ!!??」
あのオーバンの美しい容貌を思い出し、俺はぞっとした。
なんということだ。テオドールの底なしの魅力は、学園の女の子だけでなく、美少年まで惹きつけてしまっていたとは!!
しかし、あんなに綺麗な子に言い寄られたら、男女関係なく、ふらっといってしまうこともあるかもしれない。
俺は悔しさに歯ぎしりした。
ーー許せない、俺のテオドールをっ!!
「だがこれも、ものの数秒で振られたようだ。そして、その後もオーバンはテオドールにつきまとっているらしいが、テオドールはあまり相手にしていない、と女性教員たちから聞いている」
「……」
俺の頭は混乱していた。
「ジュール、熱心なのはわかるが、お前の勘違いだ。テオドールは、そんなにやわな男ではない。お前が思うほど、テオドールは子どもではないし、お前の庇護も必要としていない」
「でも……、でも……」
あんなに可愛くてキラキラしたテオドール。はにかみ屋で、すぐに真っ赤になって、いつも自分のことより俺を優先してくれるテオドール。
ーーそれが、あんな野蛮な生徒を一瞬でやっつけてしまうくらい、強くなっていたなんてっ!
しかも、誰もが引っかかってしまいそうな危険な美少年すら寄せ付けないストイックぶり!!
俺はすっくと立ちあがった。
「エリオット先輩! 俺が、間違っていました。テオドールは知らないうちに立派に成長していたんですねっ! 俺っ、感激しました!!」
「ジュール、シャンタルさんから聞いていはいたが、なかなかの親バカぶりだな……」
エリオットは呆れたようにいうと、紅茶の入ったカップを手に取った。
「俺の勘違いでお騒がせして申し訳ありませんっ! でも良かったです。学園でのテオドールの様子がわかって! では失礼しますっ!」
お辞儀をして、そそくさと退出しようとする俺。
だが……、
「待て、話はまだ終わっていない!」
俺はエリオットに呼び止められてしまった。
「やっぱり!!」
あの凶暴な目つき! やはりなにかやらかしていると思っていた! あんな危険人物を、初等部に放置しておいていいはずがない!!
「だが……、ものの数秒でのされたセルジュ・オスマンは、そのテオドールの強さに感服して、そのまま自身の所属する剣術部に勧誘した、と報告書にはあった」
「のさ、れた……? ものの、数秒、で……」
劇場での、セルジュとテオドールのやり取りが脳裏に浮かぶ。
たしかに、あの時、テオドールはセルジュの胸ぐらを掴んでなにか言っていたが……。
「そして、オーバン・ノアイユについてだが、彼もまた、入学してしばらくたったあと、確かにテオドールに個人的に接触している。これは、まあ、なんというか……、テオドールをそういう意味で誘惑した、らしい……」
「誘惑っ!!??」
あのオーバンの美しい容貌を思い出し、俺はぞっとした。
なんということだ。テオドールの底なしの魅力は、学園の女の子だけでなく、美少年まで惹きつけてしまっていたとは!!
しかし、あんなに綺麗な子に言い寄られたら、男女関係なく、ふらっといってしまうこともあるかもしれない。
俺は悔しさに歯ぎしりした。
ーー許せない、俺のテオドールをっ!!
「だがこれも、ものの数秒で振られたようだ。そして、その後もオーバンはテオドールにつきまとっているらしいが、テオドールはあまり相手にしていない、と女性教員たちから聞いている」
「……」
俺の頭は混乱していた。
「ジュール、熱心なのはわかるが、お前の勘違いだ。テオドールは、そんなにやわな男ではない。お前が思うほど、テオドールは子どもではないし、お前の庇護も必要としていない」
「でも……、でも……」
あんなに可愛くてキラキラしたテオドール。はにかみ屋で、すぐに真っ赤になって、いつも自分のことより俺を優先してくれるテオドール。
ーーそれが、あんな野蛮な生徒を一瞬でやっつけてしまうくらい、強くなっていたなんてっ!
しかも、誰もが引っかかってしまいそうな危険な美少年すら寄せ付けないストイックぶり!!
俺はすっくと立ちあがった。
「エリオット先輩! 俺が、間違っていました。テオドールは知らないうちに立派に成長していたんですねっ! 俺っ、感激しました!!」
「ジュール、シャンタルさんから聞いていはいたが、なかなかの親バカぶりだな……」
エリオットは呆れたようにいうと、紅茶の入ったカップを手に取った。
「俺の勘違いでお騒がせして申し訳ありませんっ! でも良かったです。学園でのテオドールの様子がわかって! では失礼しますっ!」
お辞儀をして、そそくさと退出しようとする俺。
だが……、
「待て、話はまだ終わっていない!」
俺はエリオットに呼び止められてしまった。
180
あなたにおすすめの小説
何も知らない人間兄は、竜弟の執愛に気付かない
てんつぶ
BL
連峰の最も高い山の上、竜人ばかりの住む村。
その村の長である家で長男として育てられたノアだったが、肌の色や顔立ちも、体つきまで周囲とはまるで違い、華奢で儚げだ。自分はひょっとして拾われた子なのではないかと悩んでいたが、それを口に出すことすら躊躇っていた。
弟のコネハはノアを村の長にするべく奮闘しているが、ノアは竜体にもなれないし、人を癒す力しかもっていない。ひ弱な自分はその器ではないというのに、日々プレッシャーだけが重くのしかかる。
むしろ身体も大きく力も強く、雄々しく美しい弟ならば何の問題もなく長になれる。長男である自分さえいなければ……そんな感情が膨らみながらも、村から出たことのないノアは今日も一人山の麓を眺めていた。
だがある日、両親の会話を聞き、ノアは竜人ですらなく人間だった事を知ってしまう。人間の自分が長になれる訳もなく、またなって良いはずもない。周囲の竜人に人間だとバレてしまっては、家族の立場が悪くなる――そう自分に言い訳をして、ノアは村をこっそり飛び出して、人間の国へと旅立った。探さないでください、そう書置きをした、はずなのに。
人間嫌いの弟が、まさか自分を追って人間の国へ来てしまい――
冷淡彼氏に別れを告げたら溺愛モードに突入しました
ミヅハ
BL
1年前、困っていたところを助けてくれた人に一目惚れした陽依(ひより)は、アタックの甲斐あって恩人―斗希(とき)と付き合える事に。
だけど変わらず片思いであり、ただ〝恋人〟という肩書きがあるだけの関係を最初は受け入れていた陽依だったが、1年経っても変わらない事にそろそろ先を考えるべきかと思い悩む。
その矢先にとある光景を目撃した陽依は、このまま付き合っていくべきではないと覚悟を決めて別れとも取れるメッセージを送ったのだが、斗希が訪れ⋯。
イケメンクールな年下溺愛攻×健気な年上受
※印は性的描写あり
ブラコンすぎて面倒な男を演じていた平凡兄、やめたら押し倒されました
あと
BL
「お兄ちゃん!人肌脱ぎます!」
完璧公爵跡取り息子許嫁攻め×ブラコン兄鈍感受け
可愛い弟と攻めの幸せのために、平凡なのに面倒な男を演じることにした受け。毎日の告白、束縛発言などを繰り広げ、上手くいきそうになったため、やめたら、なんと…?
攻め:ヴィクター・ローレンツ
受け:リアム・グレイソン
弟:リチャード・グレイソン
pixivにも投稿しています。
ひよったら消します。
誤字脱字はサイレント修正します。
また、内容もサイレント修正する時もあります。
定期的にタグも整理します。
批判・中傷コメントはお控えください。
見つけ次第削除いたします。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
【BL】正統派イケメンな幼馴染が僕だけに見せる顔が可愛いすぎる!
ひつじのめい
BL
αとΩの同性の両親を持つ相模 楓(さがみ かえで)は母似の容姿の為にΩと思われる事が多々あるが、説明するのが面倒くさいと放置した事でクラスメイトにはΩと認識されていたが楓のバース性はαである。
そんな楓が初恋を拗らせている相手はαの両親を持つ2つ年上の小野寺 翠(おのでら すい)だった。
翠に恋人が出来た時に気持ちも告げずに、接触を一切絶ちながらも、好みのタイプを観察しながら自分磨きに勤しんでいたが、実際は好みのタイプとは正反対の風貌へと自ら進んでいた。
実は翠も幼い頃の女の子の様な可愛い楓に心を惹かれていたのだった。
楓がΩだと信じていた翠は、自分の本当のバース性がβだと気づかれるのを恐れ、楓とは正反対の相手と付き合っていたのだった。
楓がその事を知った時に、翠に対して粘着系の溺愛が始まるとは、この頃の翠は微塵も考えてはいなかった。
※作者の個人的な解釈が含まれています。
※Rシーンがある回はタイトルに☆が付きます。
婚約破棄を提案したら優しかった婚約者に手篭めにされました
多崎リクト
BL
ケイは物心着く前からユキと婚約していたが、優しくて綺麗で人気者のユキと平凡な自分では釣り合わないのではないかとずっと考えていた。
ついに婚約破棄を申し出たところ、ユキに手篭めにされてしまう。
ケイはまだ、ユキがどれだけ自分に執着しているのか知らなかった。
攻め
ユキ(23)
会社員。綺麗で性格も良くて完璧だと崇められていた人。ファンクラブも存在するらしい。
受け
ケイ(18)
高校生。平凡でユキと自分は釣り合わないとずっと気にしていた。ユキのことが大好き。
pixiv、ムーンライトノベルズにも掲載中
【完結】愛執 ~愛されたい子供を拾って溺愛したのは邪神でした~
綾雅(りょうが)今年は7冊!
BL
「なんだ、お前。鎖で繋がれてるのかよ! ひでぇな」
洞窟の神殿に鎖で繋がれた子供は、愛情も温もりも知らずに育った。
子供が欲しかったのは、自分を抱き締めてくれる腕――誰も与えてくれない温もりをくれたのは、人間ではなくて邪神。人間に害をなすとされた破壊神は、純粋な子供に絆され、子供に名をつけて溺愛し始める。
人のフリを長く続けたが愛情を理解できなかった破壊神と、初めての愛情を貪欲に欲しがる物知らぬ子供。愛を知らぬ者同士が徐々に惹かれ合う、ひたすら甘くて切ない恋物語。
「僕ね、セティのこと大好きだよ」
【注意事項】BL、R15、性的描写あり(※印)
【重複投稿】アルファポリス、カクヨム、小説家になろう、エブリスタ
【完結】2021/9/13
※2020/11/01 エブリスタ BLカテゴリー6位
※2021/09/09 エブリスタ、BLカテゴリー2位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる