【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

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第94話 黒の聖騎士

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「テオドール、なんで? その格好……、聖騎士パラディンってどういうこと?」

 驚く俺に、テオドールは一瞬だけ優しい笑みを浮かべたが、すぐにブロイに向き直った。


「必要があって聖騎士になったまでのこと。私は国の基準にのっとり聖騎士であると認定された。
もし、聖騎士が光属性でなければいけないというなら、法を変える必要があるだろう」

 淡々と話すテオドールに、ブロイは怒りで顔を赤く染めた。

「ふざけたことをっ! だからお前は気に食わないんだっ! 
陛下や殿下が認めても、私だけはお前を認めない! お前に本当の魔力を見せてやる!
喰らえっ、これが真の光の攻撃だっ!」

 ブロイが振りかざした手から、また光の惨撃が繰り出される。今度は複数。

 しかし、テオドールは顔色を変えず、素早い動きでその攻撃をすべて剣で跳ね返していく。


「……魔法剣ですらないこの剣でたやすく御されるとは、貴方のいう魔法というのも大したことがない」

 テオドールは涼しい顔で剣を一振りすると、肩のあたりに剣を構えた。 


「っ!! やめろ! 私は大臣だぞっ! 私を害すれば、聖騎士といえどもただでは……」

 テオドールのただならぬ殺気におびえたブロイは後ずさる。


「残念ながら私は聖騎士という称号にそれほど魅力を感じてはいない。
……だが、貴方だけは許すことはできない!!」

 テオドールは言うと、一瞬でブロイの背後に回り込む。


「やめろっ、嫌だっ! 死にたくないっ!!」

 ブロイの叫びに、テオドールはその剣を背後から首筋に当てた。


「まだ聞きたいことがある。大丈夫だ。殺しはしない……、今は」

「ヒィイっ!!!!」


「セルジュ、さっき逃げた雑魚を全員捕えろ。他のものは子どもたちと怪我をしたものの救助を!
オーバン、すぐに叔父様の保護と手当をしろ! 私はコイツを締め上げておく!」

 ブロイを捕獲したテオドールは、声を張り上げた。


「了解っ!」

「御意!!」

「はいはい、相変わらず聖騎士様は人使いが荒いねえ!」

 気づくとそこには、テオドールと同じ漆黒の騎士服を身にまとった見覚えのある青年が二人……。


 テオドールに言われてすぐに外へ飛び出していったのは、見覚えのある背の高いオレンジ色の髪の青年。


 そして、いま目の前にいるのは……、


「あーあ、しばらく見ないうちに、またすっかり色っぽくなっちゃって……。
髪もこんなに伸ばして……、これじゃウチの聖騎士様もご立腹なはずだよ……」

 ため息混じりに俺を見ると、その青年は俺に向かってウィンクをした。


「久しぶり、ジュール叔父様!」

 背が高く、すらりと長い手足。瞳の色は明るいグリーンで、金色の巻き毛が青年の甘く整った顏にとても似合っている。

「君っ、もしかして、オーバン、君っ!?」

「愛しの婚約者のこと、忘れたとは言わせないよ?」

 テオドールには聞こえないように、小声でオーバンが囁く。


 それにしても成長しすぎだ。小柄だったオーバンだが、少なく見積もっても俺よりも頭一つ分は背が高い。
 テオドールに至っては、見上げないと目を合わすこともできないほどだ。

「あーあ。あちこち泥だらけ。手も傷だらけじゃん! ん? でもこれってさっきついた傷じゃないの、かな?」

 オーバンは農作業で傷だらけになっている俺の両手を確かめた後、顎をくいと持ち上げた。

「オーバンっ! 気安く叔父様に触れるなっ!」

 途端に飛ぶテオドールの怒号。


「はいはい、ったく、叔父様に再会したとたんに『いい子のテオドール』に逆戻りかよ!? 泣く子も黙る『黒の聖騎士パラディン』の名がすたるよね!」

 言いながら、オーバンは俺の身体に手をかざした。

「まあ、俺の魔力は一流だから、もちろん触れなくても治療可能だけどね。叔父様、傷口は塞ぐだけだよ。古傷は今度しっかりなおしてあげるからね。
あと、ついでに洗浄魔法でその泥汚れもきれいにしておいてあげる」

 わけもわからないまま、俺は緑色の光に包まれた。
 そして、ものの数十秒で、血がにじんでいた俺の指先の傷はふさがっていった。

「オッケー。任務完了っと!」

「オーバン君、いったいどういうことなんだ? なんで、君たちが、ここに?
テオドールもオーバン君も騎士になったの?
それに、テオドールは何で黒の聖騎士って呼ばれてるの?」

「はいはい、質問はまとめてご本人にどーぞ。ほら、聖騎士様の方も終わったようだし、これから感動のご対面といきますか!
――おい、礼拝堂から全員退去させろ、入り口はふさげ。誰も入れるなよ!」


「御意!」

 漆黒の騎士服に身を包んだ年若い騎士たちが、オーバンの指示により教会の礼拝堂から退去していく。

 気を失っているシスターもシモンも、騎士たちに保護され、運ばれていった。


 捕らえられたブロイも、両手を後ろでに縛り上げられ、猿轡を噛まされた状態で連行されていく。



 ーーそして礼拝堂には、俺とテオドールだけが、残された。


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