【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

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第134話 真実の愛

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「いい加減にしろっ! マリユス!
俺がお前を待っていたわけがないだろう!?
できることなら、二度と顔も見たくなかったよ!
お前のせいで、俺がどんな目に遭ったか……」

 マリユスが伸ばしてきた手を、俺は叩き落した。

「ああ、淫紋のことを言ってるんだね。あれは……、本当に悪かった。
でも、俺だってこんなことになるなんて、思いもよらなかったんだ。それに……」

「……っ」

 マリユスは強い力で、俺の右腕をつかんだ。

「ねえ、ジュール。淫紋が解除されなかったのは、君のせいでもあるんだよ。
……こんなことを言ったら、君は驚くかな?」

 深緑色の瞳が俺をのぞき込む。


「何を、馬鹿なことを……っ!」

「ああ、ジュール。君は一体、何人の男にその身体を許したのかな?
悔しくてたまらないよ……。今の俺の気持ちは、きっと君には想像もできないだろう」

 俺は歯を食いしばった。

「さあ、一体何人だったかな?
多すぎて、途中で数えるのをやめたくらいだよっ!」


 掴まれた腕を、俺はなんとか離そうを力を込める。
 だが、マリユスはそんな俺に楽し気に目を細めた。


「だが、その誰にも君の淫紋は解除できなかった……。
だから俺はわかったんだ。
やっぱり君には、俺が必要だったんだってね!
ジュール、俺が君に本当の愛を教えてあげる」

「……っ、馬鹿にするなっ!!」

 俺は掴まれた右腕を軸に、大きく振りかぶってマリユスの頬に左拳をめり込ませた。

 手ごたえはあった。マリユスの身体は大きく傾いで、その場で片膝をついた。


「……これは、ちょっと効いたな……。まさか、ジュールが俺を攻撃するなんて」

 俺の腕は自由になり、マリユスはその場でうずくまり、頬を手で覆った。


「なにが……っ、なにが本当の愛、だ!!
お前のせいで俺の人生はめちゃくちゃになった。俺だけじゃない、俺の家族も、そこにいるテオドールも、みんなお前の身勝手な行動に巻き込まれた!
俺は、お前だけは、絶対に許さない!!」

 ふらふらと立ち上がったマリユスの胴体に、もう一発拳を打ち込もうと俺は右手と右足を引いた。

 だが……。

 俺はあっという間にテオドールと同じように、マリユスの魔法で拘束されてしまった。


「……くっ」

「ジュール。すごく大切なことを、君に伝えておくよ」

 マリユスは動けなくなった俺の周りをゆっくりと歩きはじめた。


「淫紋解除の唯一の鍵は、君が『真実の愛』を知ることだ」

 マリユスは俺に手を伸ばし、耳たぶをそっと撫でた。

「……」

「わかっただろう? だから、これから、俺が君に本当の愛を教えてあげる。そうすれば、君は……」


「ふっ、ははっ、あはっ、あははははっ……!!」

 突然笑い出した俺に、マリユスの手が止まった。


「……ジュール?」

「『真実の愛』だって!? 最高じゃないか! 本当に、……最高に笑えるよ! それをお前の口から聞くことになるなんて!
教えてやるよ! ……聞いて驚くなよ、マリユス!
『真実の愛』なんて、そんなの、俺はもうとっくに知ってるんだ!!」

 俺はマリユスを睨みつけた。


「マリユス、確かに以前、俺はお前を愛した気になってた。でも、今から思えばあんなの全然愛じゃなかったよ。ただの憧れか、遊びの恋ってところだったかな?
俺は全然経験がなかったから、すっかりのぼせあがって、お前を愛したつもりになってただけだ。
……でも、あれが本当の愛なら、どんなによかったか! キラキラして、ドキドキして、ハラハラして、毎日が楽しくて……、できることなら、あれが真実の愛だって思ったまま、俺は死にたかったよ! でも」

 俺は、拘束されたまま、唖然とした表情で俺を見つめているテオドールに目をやった。
 テオドールの唇のはじからは、血が一筋伝っていた。


「俺はついに愛を知ったよ、マリユス! でも、あいにく俺は本当の愛なんて全然知りたくなかった。
俺は、自分がこんなに醜くて、汚くて、嫌らしい人間だって、思ってもみなかったよ。
今だって、こんな状況になっても、俺は心の奥ではこう思ってる。
――このまま、テオドールがこの試合で優勝しなければいい! そうしたら、テオドールはシャルロット王女と結婚しないで、ずっと俺の側にいてくれるはずだってね!!」




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