【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

.mizutama.

文字の大きさ
138 / 165

第138話 捕縛

しおりを挟む
「私がお呼びしたのです。彼女はノエミ・ベルトラン。マリユス・ロルジュの実の母親です」

「母親……」


「マリユス・ロルジュにはさまざまな問題がありましたが、彼の生い立ちを顧みると、情状酌量の余地があることがわかりました。
ですので、その罰の一貫として、ノエミにはマリユスの育て直しを命じます。ノエミ、必要なものはこちらで用意しますので、準備が整い次第、すぐに国外へ出なさい。マリユスが成人するまで、我が国に戻ることは許されません」

「ああ、殿下っ、殿下……、本当にありがとうございます! 罪を犯した私達にも情けをかけていただいて……」

 マリユスを抱いたノエミは、その場に膝をついて頭を垂れた。


「マリユス……」

 俺は母親に抱かれて、幸せそうに微笑む赤ん坊に目をやった。


「叔父様……、これで、良かったのでしょうか?」

 テオドールが俺の肩を抱く。


「うん、良かったんだよ。これで……。マリユスも、きっと……」

 俺はテオドールにうなずいてみせた。



 マリユスが赤ん坊になってしまったことで、その魔力によって維持されていた結界と帳はすこしずつ消え始めている。

 観客席のどよめきが、俺たちにも伝わってくる。

 

「はあ……、さすがに30年以上の時を遡るのは、私の魔力の限界を超えてしまったようです……。
黒の聖騎士、これで借りはすべて返しましたよ!
私は……、すこし……、休みます……」

 シャルロット王女の身体が、ぐらりと傾いた。


「殿下っ!」


「シャルロットぉおおおおっ!!」

 突如として瞬間移動で現れたのは、オーバンだった。


 オーバンはシャルロットの身体をしっかりと支えた。


「シャルロット、大丈夫かっ!? 死ぬなっ、死ぬんじゃないっ!!」

 オーバンはシャルロットの頬をぺちぺちと叩いた。

 シャルロットはゆっくりとまぶたを開け、そのブルーの瞳でオーバンを見つめた。


「オーバン。相変わらずあなたは、どれほど早とちりなんでしょう?
こんなうっかり者のあなたを残して、私が死ねるはずはないでしょう?
無事、黒の聖騎士の婚儀が整ったなら、次は私達の式の日取りを決めることとしましょう……」

 シャルロットは、心配そうなオーバンの頬にそっと触れた。

「え? 式っ?? だって、シャルロット、お前は、テオドールとっ!!」


「やっぱり何もわかっていなかったのですね……。婚約を一時解消すると言った時、私は伝えたはずです。
この騒動が全て終わってから、もう一度関係をもとに戻しましょうって……。
あの時泣きながら走っていってしまったので、やはり最後まで私の話をきちんと聞いていなかったのですね……」

「ばっ……、バカッ! 俺はあの時泣いてなんかっ!」

 ゆでダコのように真っ赤になるオーバン。


「こんなあなただからこそ、私は放っておくことはできないのです。
オーバン、私は6歳のころから覚悟していますよ。
こんなあなたと添い遂げられるのは、世界広しといえども私しかいない、と……」


「シャルロットぉおおおおお!!!!」

 シャルロット王女を力の限り抱きしめるオーバン。



「オーバン君っ、良かったね! 本当に良かった!」

 涙ぐむ俺に、傍らのテオドールはその美しい顔を近づけた。


「叔父様、これでようやく叔父様の誤解も解けましたね。
私がシャルロット殿下と結婚する、などという荒唐無稽な妄想はっ!!」

「……っ!!!!」

 今度は俺は赤面する番だった。
 そうだ、俺は、オーバンの言っていることをすべて鵜呑みにして、テオドールがシャルロット殿下と結婚すると勘違いして、それが原因で俺とテオドールの関係はますますこじれて……!


「叔父様、もう逃しはしませんよ」

 耳元で囁かれ、俺はわなわなと唇を震わせた。


「だって、テオだって、否定しなかったじゃないかっ! それに……、そうだよっ、ナイムっ!
ナイムは君だったんだな! なのに、どうして……」

 テオドールは俺の腰を抱くと、ぎゅっと自分に引き寄せた。


「これ以上他の男に叔父様の肌を晒すことを、俺が我慢できたと思いますか?
でも俺のことを叔父様はきっぱりと拒絶されたので、仕方なくっ……、俺は……、プライドをかなぐり捨てて……っ、
それなのに、叔父様ときたら……っ、『ナイム』にまで情けをかけて、俺の心をめちゃくちゃに翻弄して……っ、
叔父様……、俺は、もう……っ、いろいろと、我慢の限界ですっ!!
叔父様……、今夜は、覚悟してくださいね……」

「ヒィっ……」

 もはや怨念のような声で囁かれ、俺は思わず身を引くが、テオドールはますます俺の拘束を強めた。



「観念してください。もうどうあがいたって無駄ですよ。どこにも逃げ場なんてありませんから……」 


 テオドールの瞳が、赤く光った気がした……。

しおりを挟む
感想 63

あなたにおすすめの小説

BL小説家ですが、ライバル視している私小説家に迫られています

二三@冷酷公爵発売中
BL
BL小説家である私は、小説の稼ぎだけでは食っていけないために、パン屋でバイトをしている。そのバイト先に、ライバル視している私小説家、穂積が新人バイトとしてやってきた。本当は私小説家志望である私は、BL小説家であることを隠し、嫉妬を覚えながら穂積と一緒に働く。そんな私の心中も知らず、穂積は私に好きだのタイプだのと、積極的にアプローチしてくる。ある日、私がBL小説家であることが穂積にばれてしまい…? ※タイトルを変更しました。(旧題 BL小説家と私小説家がパン屋でバイトしたらこうなった)2025.5.21

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

伝説のS級おじさん、俺の「匂い」がないと発狂して国を滅ぼすらしいい

マンスーン
BL
ギルドの事務職員・三上薫は、ある日、ギルドロビーで発作を起こしかけていた英雄ガルド・ベルンシュタインから抱きしめられ、首筋を猛烈に吸引。「見つけた……俺の酸素……!」と叫び、離れなくなってしまう。 最強おじさん(変態)×ギルドの事務職員(平凡) 世界観が現代日本、異世界ごちゃ混ぜ設定になっております。

【完結 一気読み推奨】片想いの相手が「そろそろ恋愛したい」と言ったので、用済みの俺はニートになることにしました。

はぴねこ
BL
 高校生の頃、片想いの親友に告白した。  彼はノンケだったから玉砕して友人関係も終わるものだと思っていた。  もしかすると気持ち悪いと軽蔑される覚悟までしていたのに、彼は「今は恋愛をしている時間がないんだ」と自分の夢を語ってくれた。  彼は会社を興した祖父のことをとても尊敬していて、自分も起業したいと熱く語ってくれた。  そして、俺の手を握って「できれば親友のお前には俺の右腕になってほしい」と言われた。  同性愛者の俺のことを気持ち悪いと遠ざけることもせずに、親友のままでいてくれた彼に俺は感謝して、同じ大学に進学して、大学の頃に彼と一緒にゲームを作成する会社を起業した。  あれから二十年間、本当に二人三脚で駆け抜けてきた。  そして、昨年売り出したVRMMOが世界的に大ヒットし、ゲーム大賞を取ったことを祝うパーティーで親友が語った言葉に俺の覚悟も決まった。 「俺もそろそろ恋愛したい」  親友のその言葉に、俺は、長年の片想いを終わらせる覚悟をした。  不憫な拗らせアラフォーが”愛”へと踏み出すお話です。

[離婚宣告]平凡オメガは結婚式当日にアルファから離婚されたのに反撃できません

月歌(ツキウタ)
BL
結婚式の当日に平凡オメガはアルファから離婚を切り出された。お色直しの衣装係がアルファの運命の番だったから、離婚してくれって酷くない? ☆表紙絵 AIピカソとAIイラストメーカーで作成しました。

美人なのに醜いと虐げられる転生公爵令息は、婚約破棄と家を捨てて成り上がることを画策しています。

竜鳴躍
BL
ミスティ=エルフィードには前世の記憶がある。 男しかいないこの世界、横暴な王子の婚約者であることには絶望しかない。 家族も屑ばかりで、母親(男)は美しく生まれた息子に嫉妬して、徹底的にその美を隠し、『醜い』子として育てられた。 前世の記憶があるから、本当は自分が誰よりも美しいことは分かっている。 前世の記憶チートで優秀なことも。 だけど、こんな家も婚約者も捨てたいから、僕は知られないように自分を磨く。 愚かで醜い子として婚約破棄されたいから。

愛され少年と嫌われ少年

BL
美しい容姿と高い魔力を持ち、誰からも愛される公爵令息のアシェル。アシェルは王子の不興を買ったことで、「顔を焼く」という重い刑罰を受けることになってしまった。 顔を焼かれる苦痛と恐怖に絶叫した次の瞬間、アシェルはまったく別の場所で別人になっていた。それは同じクラスの少年、顔に大きな痣がある、醜い嫌われ者のノクスだった。 元に戻る方法はわからない。戻れたとしても焼かれた顔は醜い。さらにアシェルはノクスになったことで、自分が顔しか愛されていなかった現実を知ってしまう…。 【嫌われ少年の幼馴染(騎士団所属)×愛され少年】 ※本作はムーンライトノベルズでも公開しています。

いい加減観念して結婚してください

彩根梨愛
BL
平凡なオメガが成り行きで決まった婚約解消予定のアルファに結婚を迫られる話 元々ショートショートでしたが、続編を書きましたので短編になりました。 2025/05/05時点でBL18位ありがとうございます。 作者自身驚いていますが、お楽しみ頂き光栄です。

処理中です...