【完結】究極のざまぁのために、俺を捨てた男の息子を育てています!

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第138話 捕縛

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「私がお呼びしたのです。彼女はノエミ・ベルトラン。マリユス・ロルジュの実の母親です」

「母親……」


「マリユス・ロルジュにはさまざまな問題がありましたが、彼の生い立ちを顧みると、情状酌量の余地があることがわかりました。
ですので、その罰の一貫として、ノエミにはマリユスの育て直しを命じます。ノエミ、必要なものはこちらで用意しますので、準備が整い次第、すぐに国外へ出なさい。マリユスが成人するまで、我が国に戻ることは許されません」

「ああ、殿下っ、殿下……、本当にありがとうございます! 罪を犯した私達にも情けをかけていただいて……」

 マリユスを抱いたノエミは、その場に膝をついて頭を垂れた。


「マリユス……」

 俺は母親に抱かれて、幸せそうに微笑む赤ん坊に目をやった。


「叔父様……、これで、良かったのでしょうか?」

 テオドールが俺の肩を抱く。


「うん、良かったんだよ。これで……。マリユスも、きっと……」

 俺はテオドールにうなずいてみせた。



 マリユスが赤ん坊になってしまったことで、その魔力によって維持されていた結界と帳はすこしずつ消え始めている。

 観客席のどよめきが、俺たちにも伝わってくる。

 

「はあ……、さすがに30年以上の時を遡るのは、私の魔力の限界を超えてしまったようです……。
黒の聖騎士、これで借りはすべて返しましたよ!
私は……、すこし……、休みます……」

 シャルロット王女の身体が、ぐらりと傾いた。


「殿下っ!」


「シャルロットぉおおおおっ!!」

 突如として瞬間移動で現れたのは、オーバンだった。


 オーバンはシャルロットの身体をしっかりと支えた。


「シャルロット、大丈夫かっ!? 死ぬなっ、死ぬんじゃないっ!!」

 オーバンはシャルロットの頬をぺちぺちと叩いた。

 シャルロットはゆっくりとまぶたを開け、そのブルーの瞳でオーバンを見つめた。


「オーバン。相変わらずあなたは、どれほど早とちりなんでしょう?
こんなうっかり者のあなたを残して、私が死ねるはずはないでしょう?
無事、黒の聖騎士の婚儀が整ったなら、次は私達の式の日取りを決めることとしましょう……」

 シャルロットは、心配そうなオーバンの頬にそっと触れた。

「え? 式っ?? だって、シャルロット、お前は、テオドールとっ!!」


「やっぱり何もわかっていなかったのですね……。婚約を一時解消すると言った時、私は伝えたはずです。
この騒動が全て終わってから、もう一度関係をもとに戻しましょうって……。
あの時泣きながら走っていってしまったので、やはり最後まで私の話をきちんと聞いていなかったのですね……」

「ばっ……、バカッ! 俺はあの時泣いてなんかっ!」

 ゆでダコのように真っ赤になるオーバン。


「こんなあなただからこそ、私は放っておくことはできないのです。
オーバン、私は6歳のころから覚悟していますよ。
こんなあなたと添い遂げられるのは、世界広しといえども私しかいない、と……」


「シャルロットぉおおおおお!!!!」

 シャルロット王女を力の限り抱きしめるオーバン。



「オーバン君っ、良かったね! 本当に良かった!」

 涙ぐむ俺に、傍らのテオドールはその美しい顔を近づけた。


「叔父様、これでようやく叔父様の誤解も解けましたね。
私がシャルロット殿下と結婚する、などという荒唐無稽な妄想はっ!!」

「……っ!!!!」

 今度は俺は赤面する番だった。
 そうだ、俺は、オーバンの言っていることをすべて鵜呑みにして、テオドールがシャルロット殿下と結婚すると勘違いして、それが原因で俺とテオドールの関係はますますこじれて……!


「叔父様、もう逃しはしませんよ」

 耳元で囁かれ、俺はわなわなと唇を震わせた。


「だって、テオだって、否定しなかったじゃないかっ! それに……、そうだよっ、ナイムっ!
ナイムは君だったんだな! なのに、どうして……」

 テオドールは俺の腰を抱くと、ぎゅっと自分に引き寄せた。


「これ以上他の男に叔父様の肌を晒すことを、俺が我慢できたと思いますか?
でも俺のことを叔父様はきっぱりと拒絶されたので、仕方なくっ……、俺は……、プライドをかなぐり捨てて……っ、
それなのに、叔父様ときたら……っ、『ナイム』にまで情けをかけて、俺の心をめちゃくちゃに翻弄して……っ、
叔父様……、俺は、もう……っ、いろいろと、我慢の限界ですっ!!
叔父様……、今夜は、覚悟してくださいね……」

「ヒィっ……」

 もはや怨念のような声で囁かれ、俺は思わず身を引くが、テオドールはますます俺の拘束を強めた。



「観念してください。もうどうあがいたって無駄ですよ。どこにも逃げ場なんてありませんから……」 


 テオドールの瞳が、赤く光った気がした……。

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