単なるセフレだったはずの王宮騎士団のイケメンエースが、なぜか身分違いの俺に激しく執着しはじめて、周囲をドン引きさせているって本当ですか!?

.mizutama.

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60.捜索開始

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「いったいいつすり替えられたんだっ!? 絶対に、そんな隙はなかったはずだ!」

 サンカルは、ロハンから偽のアミュレットを奪い取るようにすると、すみずみまでそれを調べ始めた。

「怪盗がすり替えたものに違いありません。しかし、その偽物は、大変精巧に作られているもののようです。
我々も、イーサン様にその香りを指摘されるまでは、本物と信じて疑わなかったのですから。
この魔法鉱石の輝きも、一見したところでは本物と何ら遜色はありません」

 ハリスが顎に手を当てて考え込むようにして言った。


「ということは、この偽物を作ること自体に、かなりの労力がかかっていることになる。
それはかなり大掛かりなことだぞ。そこまでして、この怪盗は……」

 リシュ王子もその偽のアミュレットの精巧さには目を見張った。


「しかしこのアミュレットが偽物だと確信した今、我々は本物の『月光のアミュレット』を
何としても探し出さねばなりません!」

 シヴァの強い口調に、一同はうなずいた。

「すぐに舞踏会は中止し、招待客を一人ひとりくまなく調べましょう」

 とハリス。

「すぐに警護に当たらせている各騎士団に連絡する!
王宮の出入り口は封鎖だ! 怪しいものがいれば、有無を言わせずひっとらえる!」

 サンカルは言うと、慌てた様子で部屋を出て行った。


「シヴァ、ダンスどころではなくなったな。ことは急を要する。すぐにアミュレットの捜索を開始しよう。
アミュレットがすり替えられた可能性が一番高いのは、舞踏会の始まる直前。招待客はすべてチェックされている。途中退出はできないはずだ。
おそらくは、まだ本物のアミュレットは王宮内に存在するはずだ!」

 ロハンの言葉に、シヴァは唇を引き結んだ。

「わかった、すぐに捜索にあたろう。招待客の身の回りのものを調べて何も出てこないとなったら、王宮のどこかにまだ怪盗が紛れている可能性が高い!」


 シヴァは、俺をまっすぐな目で見つめた。

「すまない、イーサン、ここで待っていてくれ。俺が必ず怪盗を見つけ出す!」


 俺はシヴァに大きくうなずいて見せた。

「俺のことなら、大丈夫です! シヴァ、どうかかならずアミュレットを!」



「ああ、なんということでしょう。『月光のアミュレット』がすり替えられていたなんて!」

 マヤ王女が額に手をあて、ふらりと体を傾げた。


「マヤ、大丈夫だ。必ず怪盗をとらえ『月光のアミュレット』は戻ってくる!」

 リシュ王子は励ますように、妹のマヤ王女の肩を抱いた。


「でもお兄様、私の代で隣国との友好のしるしでもあるあのアミュレットを奪われたとなっては、隣国との関係にもひびが……」

「そんなことは考えなくてよい。とにかく、今は皆に任せよう。大丈夫だ、シヴァたちがきっと怪盗をとらえてくれる!」



 ――だが、シヴァたちの必死の捜索にも関わらず、一同は結局、深夜を回っても『月光のアミュレット』はおろか、怪盗の影さえ見つけることはできなかった。



 
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