【完結】突然変異の訳アリ子持ちベータは、竜人の血を継ぐ執着系最強アルファ王太子に溺愛される

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24.友人

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「やあ、山深く、本当にのどかなところだねえ。美しい木々の緑が目に染みるようだ。心が洗われるとは、まさにこういうことを言うんだろうね」

「……」

 ――王宮に着くまでの道中、隙を見て逃げ出そうなどという考えが、いかに甘かったか。俺は、今さらながら思い知らされていた。

 豪華な馬車に押し込められた俺の隣にぴたりと張り付くように座っているのは、さきほどから上機嫌な様子のアレクシだ。
 アレクシはまるで物見遊山に来ているかのように、馬車の窓からの景色を見ては、楽し気な声を上げている。

「閣下。あれほどの金貨を頂戴した以上、俺は逃げたりしません。わざわざ閣下ご自身が見張っていただかなくても、誠実に勤めを果たすつもりです」

「ふふ、それはどうだろうね?」
 アレクシは口元に笑みを浮かべ、俺を横目に見た。

「うまく隠しているつもりかもしれないけれど、僕にはちゃんとわかっているよ。
他の騎士には君の見張りは任せられない。――そうだろう?」

 その青い瞳は、まるで心の奥まで透かし見るようだった。
 まったく、どこまでも嫌味なほど美しい男だ。ヴェリオスと同じ王族の血を引いているのだから、当然といえば当然なのかもしれないが……。

 ――竜人の一族は、例外なくこうも人の目を惹く容姿をしているのだろうか?


「閣下、俺は……」

「アレクシと呼んでくれ。ソル」

「それは……、いくら何でも」

 不意に砕けた呼び方を促され、思わず眉をひそめる。
 ――この王族は、一体何を考えている?

「そんなにかしこまらなくていいんだよ。僕は意外と親しみやすくて気さくな性格でね。それに、たぶん僕たちは年も近いだろう? 僕はヴェリオスより三つ年上だけれど、君はいくつかな?」

「二十四です。……アレクシ様」

 俺の言葉に、アレクシは大げさに目を見開いた。

「ほう! ではソルはヴェリオスとは同い年なのだな。ああ、それならなおさら様づけなど必要ない。そうだ。僕たちはいい友人になれそうじゃないか。君もそう思うだろう?
歳も近いし、これからは何でも腹を割って話してくれて構わないよ」

「……」
 俺は警戒感に、唇を引き結ぶ。

「そう緊張する必要もない。せっかく友人になれたんだ。少しばかりおしゃべりをしないかい?
ソル、ぜひ君に聞いてほしい話があるんだ」

 そういうとアレクシは、どこからか天鵞絨張りの小箱を取り出した。

「中を開けてみてくれ。これに、見覚えはないかな?」

 促されるまま、俺は恐る恐る箱の蓋を開けた。


 中にあったのは――、
 木彫りの、小さな鳥だった。
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