41 / 180
第一章
第41話 美味しい魔獣の肉
しおりを挟む
遠くを眺めて感慨に耽っていたメイスだったが、急にハッと我に返ると口を開いた。
『懐かしい話しに花を咲かせるのは良いが、もう少し先に進んでおいた方がよくはないか?』
そう言われて私もハッとする。
午後まで解体待ちをしていたから、街を発つのが遅くなってしまった。
今晩は、確実に野宿は確定しているが、出来れば少しでも距離を稼いでおきたいと考えていた。
「うん、そうだね。つもる話しは後でいくらでも出来るから、とりあえず今は先を急ごう」
防音壁を解除してメイスが肩に乗ったのを確認した私は、足早にその場を後にして先を急いだ。
やはり、発つのが遅くなったためか、街道ですれ違う人や馬車はなかった。
太陽は地平線の向こうに沈み始めていた。
ここは無理して先に進むより、野営地を探した方が賢明な気がする。
メイスにそのことを伝えようとしたら、先にメイスが提案してきた。
『ユーリ。ここいらで野営地を探してみてはどうだ?足元が明るいうちに野営地を確保しておくのも旅をする者としての常識だ』
メイスのありがたい提案に頷いた私は、さっそく野営地を確保するため動き始めた。
街道から少し逸れた場所に、野営をするにはうってつけの平たんな場所がすぐに見つかり、そこにテントを張る。
そして、魔物や盗賊の侵入を拒むように周囲を結界で覆う。
太陽が沈み切る前に全ての準備を終えて、地面に腰を下ろした。
二度目の野営にしては、手早くスムーズに出来たと思う。
満足気に周囲を見渡して一人頷く。
メイスは肩から飛び降りて辺りをぐるっと歩いた後、再び肩に飛び乗ると言った。
『二度目にしては上出来だ。あとは慣れだな』
メイスからの褒め言葉に、満面の笑みを浮かべて応えた。
「うん!もっと手早く準備出来るように頑張る!……ねぇ、メイス。お昼ご飯沢山食べたせいかもうお腹が空いちゃった。ご飯にしようよ」
お腹に手をあててアピールすると、メイスが笑い声を上げて肩から飛び降りた。
『ははっ!確かに、あの量を食せば腹は減るな。よし、今晩はあの魔獣の肉にしよう』
そう言うと、折り畳みのテーブルに出来立てほやほやの料理がどこからともなく現れた。
いつ料理を作っているのか分からないが、そんなことは今更気にしない。
だって、目の前に美味しい料理が並んでいるのに、小難しく考えるより美味しくいただいた方が良いに決まっている。
まぁ、要は考えるだけ無駄ってことなんだけどね。
この世界には不思議が沢山詰まっている、そんな認識で十分だろう。
テーブルに並べられた料理に手を伸ばして一口肉を齧る。
「っ!うんまぁ!口に入れた瞬間にほろほろと溶けるような、それでいてちゃんと肉の食感もある……はぁ……幸せ」
頬に手をあてて肉の味をじっくりと嚙みしめる。
何の魔獣の肉かビリーさんに聞いておけば良かったと若干後悔したが、カリーナさんが料理してくれた時より味に深みがあることに気がついて首を傾げた。
「カリーナさんの料理も美味しかったけど、それより柔らかくて深みがあって美味しい……。いくらでも食べられそうだわ」
『そうか。それは良かった。どんどん食せ。お代わりならあるぞ』
メイスはそう言いながら、美味しい魔獣の肉を上品に且つもの凄い勢いで胃袋に収めていく。
あれだけの量の肉があっという間に消えていくのを眺めていると、さっきまで悶々と抱えていた疑問がいつの間にか吹き飛んでいた。
「ふぃ~。食った食った。もう無理」
満腹になったお腹を擦りながら、ふと夜空を見上げる。
キラキラと輝きを放つ無数の星を眺めていると、ここが異世界なのか分からなくなってくる。
しかし、見慣れた星座が無いことに気づいて、やはりここが元の世界とは違うと改めて認識した。
「……オリオン座も北極星も見当たらない。やっぱり異世界なんだなぁ……」
独り言のように呟いたつもりだったが、メイスにはバッチリと聞こえていたようだ。
『アイツも似たようなことを言っていたな。あの夜空に浮かぶキラキラとしたものは、確かホシと呼んでいた記憶がある。お前達二ホン人というのは夢見がちな種族なのだな』
夢見がちというよりは、あの星々の中に地球があるかもしれないという期待を胸に見上げていたのではないだろうか。
英雄と呼ばれたその男性も、遠く離れた故郷を想って夜空を見上げていたに違いない。
男性の胸の内を推し量ることは出来ないけど、ほんの少しだけ分かるような気がして夜空を眺めた。
『懐かしい話しに花を咲かせるのは良いが、もう少し先に進んでおいた方がよくはないか?』
そう言われて私もハッとする。
午後まで解体待ちをしていたから、街を発つのが遅くなってしまった。
今晩は、確実に野宿は確定しているが、出来れば少しでも距離を稼いでおきたいと考えていた。
「うん、そうだね。つもる話しは後でいくらでも出来るから、とりあえず今は先を急ごう」
防音壁を解除してメイスが肩に乗ったのを確認した私は、足早にその場を後にして先を急いだ。
やはり、発つのが遅くなったためか、街道ですれ違う人や馬車はなかった。
太陽は地平線の向こうに沈み始めていた。
ここは無理して先に進むより、野営地を探した方が賢明な気がする。
メイスにそのことを伝えようとしたら、先にメイスが提案してきた。
『ユーリ。ここいらで野営地を探してみてはどうだ?足元が明るいうちに野営地を確保しておくのも旅をする者としての常識だ』
メイスのありがたい提案に頷いた私は、さっそく野営地を確保するため動き始めた。
街道から少し逸れた場所に、野営をするにはうってつけの平たんな場所がすぐに見つかり、そこにテントを張る。
そして、魔物や盗賊の侵入を拒むように周囲を結界で覆う。
太陽が沈み切る前に全ての準備を終えて、地面に腰を下ろした。
二度目の野営にしては、手早くスムーズに出来たと思う。
満足気に周囲を見渡して一人頷く。
メイスは肩から飛び降りて辺りをぐるっと歩いた後、再び肩に飛び乗ると言った。
『二度目にしては上出来だ。あとは慣れだな』
メイスからの褒め言葉に、満面の笑みを浮かべて応えた。
「うん!もっと手早く準備出来るように頑張る!……ねぇ、メイス。お昼ご飯沢山食べたせいかもうお腹が空いちゃった。ご飯にしようよ」
お腹に手をあててアピールすると、メイスが笑い声を上げて肩から飛び降りた。
『ははっ!確かに、あの量を食せば腹は減るな。よし、今晩はあの魔獣の肉にしよう』
そう言うと、折り畳みのテーブルに出来立てほやほやの料理がどこからともなく現れた。
いつ料理を作っているのか分からないが、そんなことは今更気にしない。
だって、目の前に美味しい料理が並んでいるのに、小難しく考えるより美味しくいただいた方が良いに決まっている。
まぁ、要は考えるだけ無駄ってことなんだけどね。
この世界には不思議が沢山詰まっている、そんな認識で十分だろう。
テーブルに並べられた料理に手を伸ばして一口肉を齧る。
「っ!うんまぁ!口に入れた瞬間にほろほろと溶けるような、それでいてちゃんと肉の食感もある……はぁ……幸せ」
頬に手をあてて肉の味をじっくりと嚙みしめる。
何の魔獣の肉かビリーさんに聞いておけば良かったと若干後悔したが、カリーナさんが料理してくれた時より味に深みがあることに気がついて首を傾げた。
「カリーナさんの料理も美味しかったけど、それより柔らかくて深みがあって美味しい……。いくらでも食べられそうだわ」
『そうか。それは良かった。どんどん食せ。お代わりならあるぞ』
メイスはそう言いながら、美味しい魔獣の肉を上品に且つもの凄い勢いで胃袋に収めていく。
あれだけの量の肉があっという間に消えていくのを眺めていると、さっきまで悶々と抱えていた疑問がいつの間にか吹き飛んでいた。
「ふぃ~。食った食った。もう無理」
満腹になったお腹を擦りながら、ふと夜空を見上げる。
キラキラと輝きを放つ無数の星を眺めていると、ここが異世界なのか分からなくなってくる。
しかし、見慣れた星座が無いことに気づいて、やはりここが元の世界とは違うと改めて認識した。
「……オリオン座も北極星も見当たらない。やっぱり異世界なんだなぁ……」
独り言のように呟いたつもりだったが、メイスにはバッチリと聞こえていたようだ。
『アイツも似たようなことを言っていたな。あの夜空に浮かぶキラキラとしたものは、確かホシと呼んでいた記憶がある。お前達二ホン人というのは夢見がちな種族なのだな』
夢見がちというよりは、あの星々の中に地球があるかもしれないという期待を胸に見上げていたのではないだろうか。
英雄と呼ばれたその男性も、遠く離れた故郷を想って夜空を見上げていたに違いない。
男性の胸の内を推し量ることは出来ないけど、ほんの少しだけ分かるような気がして夜空を眺めた。
196
あなたにおすすめの小説
異世界に来ちゃったよ!?
いがむり
ファンタジー
235番……それが彼女の名前。記憶喪失の17歳で沢山の子どもたちと共にファクトリーと呼ばれるところで楽しく暮らしていた。
しかし、現在森の中。
「とにきゃく、こころこぉ?」
から始まる異世界ストーリー 。
主人公は可愛いです!
もふもふだってあります!!
語彙力は………………無いかもしれない…。
とにかく、異世界ファンタジー開幕です!
※不定期投稿です…本当に。
※誤字・脱字があればお知らせ下さい
(※印は鬱表現ありです)
私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!
まったく知らない世界に転生したようです
吉川 箱
ファンタジー
おっとりヲタク男子二十五歳成人。チート能力なし?
まったく知らない世界に転生したようです。
何のヒントもないこの世界で、破滅フラグや地雷を踏まずに生き残れるか?!
頼れるのは己のみ、みたいです……?
※BLですがBがLな話は出て来ません。全年齢です。
私自身は全年齢の主人公ハーレムものBLだと思って書いてるけど、全く健全なファンタジー小説だとも言い張れるように書いております。つまり健全なお嬢さんの癖を歪めて火のないところへ煙を感じてほしい。
111話までは毎日更新。
それ以降は毎週金曜日20時に更新します。
カクヨムの方が文字数が多く、更新も先です。
転生無双なんて大層なこと、できるわけないでしょう! 公爵令息が家族、友達、精霊と送る仲良しスローライフ
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
アルファポリス様より書籍化!
転生したラインハルトはその際に超説明が適当な女神から、訳も分からず、チートスキルをもらう。
どこに転生するか、どんなスキルを貰ったのか、どんな身分に転生したのか全てを分からず転生したラインハルトが平和な?日常生活を送る話。
- カクヨム様にて、週間総合ランキングにランクインしました!
- アルファポリス様にて、人気ランキング、HOTランキングにランクインしました!
- この話はフィクションです。
ナイナイづくしで始まった、傷物令嬢の異世界生活
天三津空らげ
ファンタジー
日本の田舎で平凡な会社員だった松田理奈は、不慮の事故で亡くなり10歳のマグダリーナに異世界転生した。転生先の子爵家は、どん底の貧乏。父は転生前の自分と同じ歳なのに仕事しない。二十五歳の青年におまるのお世話をされる最悪の日々。転生チートもないマグダリーナが、美しい魔法使いの少女に出会った時、失われた女神と幻の種族にふりまわされつつQOLが爆上がりすることになる――
元チート大賢者の転生幼女物語
こずえ
ファンタジー
(※不定期更新なので、毎回忘れた頃に更新すると思います。)
とある孤児院で私は暮らしていた。
ある日、いつものように孤児院の畑に水を撒き、孤児院の中で掃除をしていた。
そして、そんないつも通りの日々を過ごすはずだった私は目が覚めると前世の記憶を思い出していた。
「あれ?私って…」
そんな前世で最強だった小さな少女の気ままな冒険のお話である。
魔王と噂されていますが、ただ好きなものに囲まれて生活しているだけです。
ソラリアル
ファンタジー
※本作は改題・改稿をして場所を移動しました。
現在は
『従魔と異世界スローライフのはずが、魔王と噂されていく日々』
として連載中です。2026.1.31
どうして、魔獣と呼ばれる存在は悪者扱いされてしまうんだろう。
あんなに癒しをくれる、優しい子たちなのに。
そんな思いを抱いていた俺は、ある日突然、命を落とした――はずだった。
だけど、目を開けるとそこには女神さまがいて、俺は転生を勧められる。
そして与えられた力は、【嫌われ者とされる子たちを助けられる力】。
異世界で目覚めた俺は、頼りになる魔獣たちに囲まれて穏やかな暮らしを始めた。
畑を耕し、一緒にごはんを食べて、笑い合う日々。
……なのに、人々の噂はこうだ。
「森に魔王がいる」
「強大な魔物を従えている」
「街を襲う準備をしている」
――なんでそうなるの?
俺はただ、みんなと平和に暮らしたいだけなのに。
これは、嫌われ者と呼ばれるもふもふな魔獣たちと過ごす、
のんびり?ドタバタ?異世界スローライフの物語。
■小説家になろう、カクヨムでも同時連載中です■
アルフレッドは平穏に過ごしたい 〜追放されたけど謎のスキル【合成】で生き抜く〜
芍薬甘草湯
ファンタジー
アルフレッドは貴族の令息であったが天から与えられたスキルと家風の違いで追放される。平民となり冒険者となったが、生活するために竜騎士隊でアルバイトをすることに。
ふとした事でスキルが発動。
使えないスキルではない事に気付いたアルフレッドは様々なものを合成しながら密かに活躍していく。
⭐︎注意⭐︎
女性が多く出てくるため、ハーレム要素がほんの少しあります。特に苦手な方はご遠慮ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる