転生少女と黒猫メイスのぶらり異世界旅

うみの渚

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第二章

第67話 チートが過ぎるもふもふ達

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『あっ!おねえちゃん!あそこに魔物がいるよ!』

 ブロンの声に反応して、慌ててスキルを発動させる。
 すると、発動させたスキルの範囲内に、辛うじて数体の魔物の気配が引っかかった。
 あんな遠くの魔物の気配をいち早く察知するなんて、ブロンの気配察知スキルは相当高いな。
 しかし、当の魔物はその場所から動く気配がない。
 街道に近いのであれば狩っておく必要があるが、そうでなければ態々狩りに向かうのははっきり言って面倒くさい。

「ん~。街道から遠いし、こっちに来る気配もないみたいだし放っておいていいんじゃない?」

 私がそう言うと、ブロンはあからさまにがっかりとした声色を出す。

『えぇ~。魔物だよ?やっつけないの?』

 ブロンは魔物が気になるらしく、魔物が居る方向を頻りと見ている。
 見かねたメイスが助け舟を出してくれた。

『ユーリ、こいつに任せてみてはどうだ?どうせ退屈で暇を持て余しているのだろう。体を動かせばしばらく大人しくなるんじゃないか?』

 見た目は子供、中身は成人した私と違い、ブロンは大きな体をしていても中身はまだ幼い子供だ。
 メイスの言うように、運動することでストレスが解消するなら私としても助かる。

「そうだね。ブロン、私達はここに居るから魔物をやっつけてもらえるかな?あっ、でも深追いはしないでね」

『うん!パパッとやっつけてくるから待ってて!』

 弾んだ声で返事をしたブロンは腕から飛び降りると、一瞬で元の大きさに戻ると魔物の方へもの凄い速さで駆けて行った。
 その白いふさふさの尻尾は、ぶんぶんとはち切れんばかりである。
 ブロンの後ろ姿を見送りながら、私は苦笑を浮かべて呟いた。

「ブロン、嬉しそう」

 私の呟きにメイスが返す。

『だろうな。アイツがずっと大人しくしていた方が珍しいからな。思いっきり体を動かせるのが嬉しいのだろう』

 メイスの言葉に、まるで犬みたいだと笑みが零れる。
 最低一日に一回は運動をさせた方が良いだろうと考えて、メイスに提案してみた。

「ねぇ、メイス。ブロンのために一日に一回は運動をさせようと思うの。ずっと子犬の姿のままだと可哀想でしょう?運動することで大人しくしてくれるなら、それくらいは容認してもいいかなって。メイスはどう思う?」

『ああ。俺もその意見には賛成だ。元来、アイツはじっとしていられる性格ではない。運動させることで大人しくなってくれるのなら、俺としても余計な心配をしなくて済むのはありがたい』

 メイスの口ぶりから、ブロンには苦労させられてきたのが嫌というほど伝わってきた。
 苦労には縁遠いと思っていたが、メイスもそれなりに苦労してきたみたい。
 ブロンが魔物を狩っている間、私はメイスが用意してくれた椅子に座りお茶を飲んで待つことにした。






 体感にして十分が経った頃、遠くから大きな白い物体が視界を捉えた。
 ブロンだ。
 何か咥えているようだが、あれは……魔物?
 ん?
 ブロンの後ろに浮かんでいるのは何?
 ……あれも魔物?
 もしかして、ブロンの魔法で浮かせて運んでいるのだろうか?
 軽やかに跳ねるように帰って来たブロンは、咥えていた魔物を地面に下ろして誇らしげに言った。

『やっつけてきたよ!』

 褒めて欲しそうなブロンを見た後、地面に下ろされた魔物に視線を移す。
 赤茶けた硬そうな毛と、額から生えた赤黒いサイのような角。
 ブラッディホーンボアだ。
 しかも、私が討伐したものよりひと回り大きい。
 それが三匹も……。
 ブロンはあっけらかんとした様子だが、ブラッディホーンボアを倒すには銀級並みの強さが必要じゃなかったっけ?
 まるで、ちょっと散歩に行って遊んで来たみたいな感じだが、余裕綽々のブロンを見ていたら考えるだけ馬鹿らしくなってきた。
 口の周りは魔物の返り血に塗れていて見た感じ怪我をしているようには見えなかったが、一応声をかけて全身に視線を巡らせた。

「おかえり。怪我はしていない?大丈夫?」

『ケガ?ケガしてもすぐ治るからだいじょうぶだよ。おねえちゃん、みてみて!おっきいでしょ!』

 誇らしげに魔物を見せるブロンに、私は内心動揺した。
 怪我をしてもすぐ治るってチートじゃん!
 魔法に長けたメイスといい、体力お化けのブロンといい、私の下に集まるもふもふはチートが過ぎる。


 口をポカンと開けたままの私に構わず、ブロンは楽しげに魔物を自慢していた。
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