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第二章
第100話 アルファイド王国での王都観光 その三
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無事、買い物を終えて店を後にした私達は、あてもなく王都をぶらぶらと歩いていた。
隣を歩くヒデさんの表情は、ずっとニコニコとしており上機嫌である。
朝食を摂ったのが遅かったこともありぶらぶらと歩いていたが、そろそろお腹が空いてきた。
私は足を止めて皆に声をかけた。
「ねぇ、そろそろお腹空かない?」
その声を皮切りに、皆が口々に呟く。
「……そう言えばお腹空いたかなぁ」
『おなか減ったぁ――』
『ふむ。そうだな』
皆の意見は同じようだ。
私はニッコリと微笑むと、とある看板を指差して言った。
「あそこにちょうど『ジャポネ』って看板が見えているんだけど行ってみようか」
『グローブフォレスト商会』で散々店内を歩き回ったことで、さっきから腹の虫が騒がしいのだ。
ぶらぶらとしながら『ジャポネ』を探していたのは内緒ね。
皆が賛同したのを確認してから店の扉を開ける。
昼の混む時間帯はとうに過ぎていたにもかかわらず、店内は食事を摂る客で賑わっている。
さすが人気店。
しかし、このままでは昼食を摂れるのか心配だ。
どうしようかと困っていたら、私達に気づいた女性が小走りで駆け寄って来た。
「いらっしゃいませ。お食事ですか?」
若い女性に尋ねられて遠慮がちに答える。
「はい。……あの、人間二人と従魔が二匹なんですけど、店内に入っても大丈夫でしょうか?」
すっかり失念していたけど、店によっては従魔連れお断りの店もあるだろう。
私の場合はメイスもブロンも小型の魔物ということもあり、特に注意をされた記憶がなかった。
衛生面に関してはそこまで厳しくないのかもしれない。
しかし、よくよく考えてみれば食事を摂る場所でのペット同伴が可能な店は、日本でもそう多くはなかったように思う。
そんな思いから女性に尋ねてみたのだけど、女性はメイスとブロンをちらりと見ると私に顔を向けてニッコリと微笑んだ。
「従魔契約はお済みですよね?でしたら問題ありません。大型の従魔専用の部屋も用意していますし、お客様の従魔でしたら専用の部屋でなくても大丈夫でしょう」
なるほど、専用の部屋があるんだ。
それなら遠慮なくお邪魔させてもらおう。
「そうですか。説明ありがとうございます。では、席に案内してもらえますか?」
女性はニッコリと微笑むと、こちらですと席まで案内してくれた。
広々とした店内は隣り合うテーブルと適度に距離をとって設置されており、窮屈さを感じない。
あまり大きな声で話さなければ隣近所に迷惑をかけることもないだろう。
席に案内した女性は一旦厨房へ向かうと、水の入ったグラスと従魔用の器を載せたトレーを持って戻って来た。
女性はグラスをテーブルに置きながら説明をする。
「お待たせしました。こちらはお水です。お代わりは自由です。こちらがメニュー表です。注文の際はお声がけください」
脇に挟んでいたメニュー表をテーブルに置くと、女性は去って行った。
私はテーブルに置かれた透明のグラスを眺める。
多少分厚く、形は歪ではあるが、これはガラスだ。
この世界のガラスって高級品じゃなかったっけ?
小首を傾げて見つめていると、ヒデさんの興奮に満ちた声が聞こえた。
「わぁ~。グラスだ。けっこう分厚いけど、久しぶりに見た気がする」
私もヒデさんと同意見だ。
街から街へと旅を続けてきたが、はっきり言って文化のレベルは元の世界より明らかに劣っている。
それが決して悪いわけではないのだが、やはり便利で快適だった日本と比べると、どうしても気になってしまう。
しかし、人の手で造られたグラスも味わいがあって良い。
それと、この店のサービスは今まで寄った店とは違い、細かなところまで気配りが行き届いているように思う。
そう、まるで日本に居るのかと錯覚してしまうほどに。
きっと、この店を立ち上げた人は日本に関わりがあるのかもしれない。
一瞬、英雄の銅像が脳裏を過ったが、さすがにそれはないだろうと頭を振る。
それよりも、せっかく女将さんお勧めの『ジャポネ』に来たのだ。
今は食事に集中したい。
メニュー表を広げると、イラスト入りのメニュー表に目を見開く。
絵の上手さもさることながら、メニューの多さに脱帽する。
メニューの内容も日本人には馴染みのものばかりだった。
ヒデさんと私はメニュー表を見ながら、何を注文するか話し合う。
それから女性に声をかけて料理を注文すると、食事が運ばれて来るのを首を長くして待った。
隣を歩くヒデさんの表情は、ずっとニコニコとしており上機嫌である。
朝食を摂ったのが遅かったこともありぶらぶらと歩いていたが、そろそろお腹が空いてきた。
私は足を止めて皆に声をかけた。
「ねぇ、そろそろお腹空かない?」
その声を皮切りに、皆が口々に呟く。
「……そう言えばお腹空いたかなぁ」
『おなか減ったぁ――』
『ふむ。そうだな』
皆の意見は同じようだ。
私はニッコリと微笑むと、とある看板を指差して言った。
「あそこにちょうど『ジャポネ』って看板が見えているんだけど行ってみようか」
『グローブフォレスト商会』で散々店内を歩き回ったことで、さっきから腹の虫が騒がしいのだ。
ぶらぶらとしながら『ジャポネ』を探していたのは内緒ね。
皆が賛同したのを確認してから店の扉を開ける。
昼の混む時間帯はとうに過ぎていたにもかかわらず、店内は食事を摂る客で賑わっている。
さすが人気店。
しかし、このままでは昼食を摂れるのか心配だ。
どうしようかと困っていたら、私達に気づいた女性が小走りで駆け寄って来た。
「いらっしゃいませ。お食事ですか?」
若い女性に尋ねられて遠慮がちに答える。
「はい。……あの、人間二人と従魔が二匹なんですけど、店内に入っても大丈夫でしょうか?」
すっかり失念していたけど、店によっては従魔連れお断りの店もあるだろう。
私の場合はメイスもブロンも小型の魔物ということもあり、特に注意をされた記憶がなかった。
衛生面に関してはそこまで厳しくないのかもしれない。
しかし、よくよく考えてみれば食事を摂る場所でのペット同伴が可能な店は、日本でもそう多くはなかったように思う。
そんな思いから女性に尋ねてみたのだけど、女性はメイスとブロンをちらりと見ると私に顔を向けてニッコリと微笑んだ。
「従魔契約はお済みですよね?でしたら問題ありません。大型の従魔専用の部屋も用意していますし、お客様の従魔でしたら専用の部屋でなくても大丈夫でしょう」
なるほど、専用の部屋があるんだ。
それなら遠慮なくお邪魔させてもらおう。
「そうですか。説明ありがとうございます。では、席に案内してもらえますか?」
女性はニッコリと微笑むと、こちらですと席まで案内してくれた。
広々とした店内は隣り合うテーブルと適度に距離をとって設置されており、窮屈さを感じない。
あまり大きな声で話さなければ隣近所に迷惑をかけることもないだろう。
席に案内した女性は一旦厨房へ向かうと、水の入ったグラスと従魔用の器を載せたトレーを持って戻って来た。
女性はグラスをテーブルに置きながら説明をする。
「お待たせしました。こちらはお水です。お代わりは自由です。こちらがメニュー表です。注文の際はお声がけください」
脇に挟んでいたメニュー表をテーブルに置くと、女性は去って行った。
私はテーブルに置かれた透明のグラスを眺める。
多少分厚く、形は歪ではあるが、これはガラスだ。
この世界のガラスって高級品じゃなかったっけ?
小首を傾げて見つめていると、ヒデさんの興奮に満ちた声が聞こえた。
「わぁ~。グラスだ。けっこう分厚いけど、久しぶりに見た気がする」
私もヒデさんと同意見だ。
街から街へと旅を続けてきたが、はっきり言って文化のレベルは元の世界より明らかに劣っている。
それが決して悪いわけではないのだが、やはり便利で快適だった日本と比べると、どうしても気になってしまう。
しかし、人の手で造られたグラスも味わいがあって良い。
それと、この店のサービスは今まで寄った店とは違い、細かなところまで気配りが行き届いているように思う。
そう、まるで日本に居るのかと錯覚してしまうほどに。
きっと、この店を立ち上げた人は日本に関わりがあるのかもしれない。
一瞬、英雄の銅像が脳裏を過ったが、さすがにそれはないだろうと頭を振る。
それよりも、せっかく女将さんお勧めの『ジャポネ』に来たのだ。
今は食事に集中したい。
メニュー表を広げると、イラスト入りのメニュー表に目を見開く。
絵の上手さもさることながら、メニューの多さに脱帽する。
メニューの内容も日本人には馴染みのものばかりだった。
ヒデさんと私はメニュー表を見ながら、何を注文するか話し合う。
それから女性に声をかけて料理を注文すると、食事が運ばれて来るのを首を長くして待った。
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