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しおりを挟むアイドルの真夏くんは、私は中学3年生の時に彗星のごとく、音楽業界に現れた。私とおなじ歳のアーティスト「真夏」冬に「なごりゆき」という曲でデビューしたのだけれど、まるで夏をかんじさせるキラキラとした雰囲気はそのままだった。
私はすぐにあの「真夏」くんだとわかった。
その後、お母さんに真夏くんの話をしたのだけれどこのいきなりアーティストとしての人気を不動のものにしてしまった真夏くんがあの時の男の子である訳なんてないとすぐに否定されてしまったのだ。
それでもわたしは真夏くんの事をずっとあの時の彼だとおもっている。
「そっか、だからさくらの青春は真夏くんに全て奪われているのね」
「でも、青春とは少し違うと思う」
「りっぱな青春だと思うけれどなー」
「そうかな?青春ってのはあんな感じじゃない?」
友達の由真がいきなり教室の片隅でいちゃついているカップルを指さす。
「え?あれはちょっと違うんじゃないの?」
「まあね」
「まあ、私はさくらの青春、応援するよ」
「青春と違うっていったのは由真じゃん!」
「こっちの世界にも目を向けて欲しかったの」
「真夏くんは同じ世界の人間です!」
人差し指で私の鼻の頭をぷにっと由真が押さえて笑う。
「そうだね。でも私たちと会う事なんて一生ないじゃん」
「わかってる。そんな事」
自分で言っておきながら悲しくなった。
今。真夏くんはテレビの中で輝いていて。私には手の届かない存在になってしまったって。あの時、私と一緒に笑って夢を語ってくれた少年は夢を叶えて手の届かない場所にいるってわかっている。
だから余計にその事を言われたくなかったんだ。だって、悲しくなってくる。
嫌でも現実には出会う事のない人なんだって思い知らされるから…
*
「真夏くん、サイコーだ!」
「さくら、お風呂に入っちゃいなさい」
「だって、生放送だもん!SNSでみんなとこの後盛り上がるんだから」
「あんたは本当に真夏くんのことばかりね」
「本当に好きなんだから仕方がないじゃん」
スマホを片手に真夏くんのファンと一緒に生放送の音楽番組を見る。
今、真夏くんにはあの小学生の時に語っていたように多くのファンがいて、彼の歌声に、姿に魅了されている。
それが嬉しくもあり、なんだかさみしさを感じる。
「あー、同じ学校に真夏くんが転校して来ればいいのに」
「何バカな事言ってるの?早くお風呂入って」
でも、もしも、本当に真夏くんが同じ学校にいたら…私は彼に恋をしちゃうのかな?
そんなありえもしない事を考えながら私は夢物語を考えながら目を閉じた。
夢を見た。
真夏くんが私の学校に転校してきて、隣の席になっている夢を。
それはとても幸せでずっと続いて欲しいくらい現実にはあり得ないものだった。
だから人は言うのだ。夢。だと。
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