5 / 10
5
しおりを挟む鳴海健人くん……、かあ。
珍しい時期からの転校だなと思った。だって新学年が始まったばかり。
何か問題でも起こして学校を変わったのかな?なんて事が頭をよぎる。
クラスも皆もそう思っている子が多いようで、腫れ物を触るような目で見ている。何真質問したそうだけれど、でも何を聞けばいいのか……なんて、そんな雰囲気を感じるのだ。 けれども当人は飄々とした態度で顔色一つ変えない。というか、髪の毛と眼鏡で表情が読めないのだ。なんだか真面目そうだけれど不思議な雰囲気の子だな……と思った。
でも、わかりやすい表現で一言で言えば「イケてない男子」だった。
いわゆる陰キャの類いにはいりそうな感じ。
そんな事を考えていると先生が口を開いた。教室の中を見回して私の隣にぽつんといきなり置いてあった席に目を止める。
「鳴海の席はっと…」
今朝学校に来たらいきなり席が用意してあったのだ。少し不思議に思ったのだけれど、今日鳴海くんがくるというのならそういう事だったのか…と思う。
「私の隣?ですが?」
「お、良く気づいたな、瀬野川」
「朝来たらいきなり席が増えていれば」
「そう、じゃ鳴海。隣の瀬野川だ。何かわからない事があれば聞けばいい。いいやつだぞ」
「わかりました」
鳴海くんは私をチラリと見ると、先生にそう応えて隣の席に座った。
「鳴海くん。私、瀬野川さくらです。よろしく」
「あ?うん。よろしく」
鳴海くんが隣の席に座ったタイミングで私は笑顔を作って話しかける。
するとそっけないけれど返事が返ってくる。
彼は私の方を少し見て頭を下げると綺麗な仕草で席に座った。
(鳴海くんって…横顔綺麗だな…)
先ほど見た印象とは少し違う。
隣に座っている鳴海くんからは「少しイケてない男子」ではない雰囲気が漂っている。
そんなことを考えてながらつい横顔に見惚れていると、彼が私の方を向く。
「どうしたの?」
「ん?あ、ごめん、横顔に見惚れていた」
「え?」
「ああ、なんでもない!」
恥ずかしい事を口走ってしまった。
絶対に鳴海くん、変な子だと思ったはず。
私は熱くなった頬を両手で覆う。
少し冷たい温度が気持ち良い。
「あの…」
「え?」
そんな事を考えていると鳴海くんが私に声をかけた。
「あの、瀬野川さん」
「え?どうしたの?」
突然自分の名前を呼ばれたので驚いてしまった。
ちょっと変な顔をしているかもしれない。
「ふ、何そんなにびっくりしてるの?」
「し、してないよ!」
「それならいいのだけれど…」
鳴海くんはくくっと笑いを一生懸命にこらえている。
それが余計に恥ずかしくて、先ほど少しだ火照りのおさまった頬がまた熱をもつ。
(鳴海くんってやっぱりイケてない男子なんかじゃない!)
なぜか彼の声を聞くと心臓がドキドキとする。
「ねえ、瀬野川さん?」
「あ、うん」
「僕、教科書まだ持ってないから見せてくれないかな?」
「そ、そうだよね!気が付かなくてごめん」
そんな事を言っていると鳴海くんが席を寄せてくる。
(いい香り…)
私の机に彼の机がくっついた瞬間に柑橘系の香りがした。
(香水とかつけてるのかな?)
意外とおしゃれな…わけないか…。
「どうしたの?」
「ううん、なんでもない」
ボサボサ頭、分厚いメガネをかけている彼を見て「おしゃれ」なんて思った自分の考えを急いで訂正した。
0
あなたにおすすめの小説
同じアパートに住む年上未亡人美女は甘すぎる。
ピコサイクス
青春
大学生の翔太は、一人暮らしを始めたばかり。
真下の階に住むのは、落ち着いた色気と優しさを併せ持つ大人の女性・水無瀬紗夜。
引っ越しの挨拶で出会った瞬間、翔太は心を奪われてしまう。
偶然にもアルバイト先のスーパーで再会した彼女は、翔太をすぐに採用し、温かく仕事を教えてくれる存在だった。
ある日の仕事帰り、ふたりで過ごす時間が増えていき――そして気づけば紗夜の部屋でご飯をご馳走になるほど親密に。
優しくて穏やかで――その色気に触れるたび、翔太の心は揺れていく。
大人の女性と大学生、甘くちょっぴり刺激的な同居生活(?)がはじまる。
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします
二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位!
※この物語はフィクションです
流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。
当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜
深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。
処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。
なぜなら彼女は――
前世で“トップインフルエンサー”だったから。
処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。
空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。
タイトルは――
『断罪なう』。
王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。
すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、
国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。
そして宣言される、前代未聞のルール。
支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。
処刑台は舞台へ。
断罪はエンタメへ。
悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。
これは、
処刑されるはずだった悪役令嬢が、
“ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。
支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、
それとも――自由か。
お腹の子と一緒に逃げたところ、結局お腹の子の父親に捕まりました。
下菊みこと
恋愛
逃げたけど逃げ切れなかったお話。
またはチャラ男だと思ってたらヤンデレだったお話。
あるいは今度こそ幸せ家族になるお話。
ご都合主義の多分ハッピーエンド?
小説家になろう様でも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる