7 / 15
大瀬仁菜子
しおりを挟む
「え?圭ちゃん、帰って来てるの?」
学校から帰ると、お母さんがいきなり「圭くんが帰っているみたいよ」なんて言うから思わず叫んでしまった。
「行ってもいいかな?いいかな?」
「もう少し待った方がいいんじゃない?先程着いたばかりみたいだから、圭くんも疲れているでしょうし」
「そっかー。そうだよねー」
制服のままリビングのソファに座り込むと、手元にあったテレビのリモコン電源ボタンを押した。画面には夕方の地方番組のアナウンサーが出ていて、皆で楽しそうに流行のお店の紹介をしていた。私は画面をぼーっと見つめると、暫くそのままの姿勢で動きを止める。
今すぐにでも圭ちゃんに会いたい。顔が見たい。だって、圭ちゃんの太陽のような笑顔を見るだけで、私はいつだって笑っていられる。泣きたい事があっても圭ちゃんの大きな掌で頭を撫でてもらって「大丈夫」って言ってもらえると本当に大丈夫な気がして来る。つまり私は圭ちゃんの事が本当に大好きなのだ。
けれど、偶然に数日前に見た圭ちゃんと、圭ちゃんの隣に並ぶ女の人。最初は偶然に街で会った友達かな……とか無理がありながらも思う事にした。けれど、絶対そんなワケないと心がざわざわと音を立てていた。
圭ちゃんには好きな女の人が居て、その人は彼からの愛情を一心に受けている。私の大好きだった圭ちゃんの大きな手はその彼女と手を繋ぐためにある。頭を撫でてくれた大好きな掌は私のものではない。今はその彼女が独り占めしているのだ。
そんな事を考えていると、悲しい気持ちと、苛々する気持ちがごちゃまぜになって私自身、何がしたいのかわからなくなった。例えば小さな頃、絵の具で綺麗な色を作ろうとして色々な綺麗な色を混ぜた結果、真っ黒になってしまったというそんな感覚に似ている。
「仁菜子?どうしたの?おいしいお菓子があるんだけれど、食べる?」
じーっと何を見るでもなくテレビの画面を見ながら圭ちゃんの事を考えていると、お母さんの言葉によって急に現実へと気持ちが戻って来る。私は後ろを振り向くと、無理矢理笑顔を作った。
「食べるー!」
あまり食欲は湧かなかったけれども、思いっきり元気良くソファから立ち上がる。私が居なくなったその場所から見えるテレビにはかわいい系のアナウンサーが写っていて、いつものように圭日の天気予報を伝えていた。
学校から帰ると、お母さんがいきなり「圭くんが帰っているみたいよ」なんて言うから思わず叫んでしまった。
「行ってもいいかな?いいかな?」
「もう少し待った方がいいんじゃない?先程着いたばかりみたいだから、圭くんも疲れているでしょうし」
「そっかー。そうだよねー」
制服のままリビングのソファに座り込むと、手元にあったテレビのリモコン電源ボタンを押した。画面には夕方の地方番組のアナウンサーが出ていて、皆で楽しそうに流行のお店の紹介をしていた。私は画面をぼーっと見つめると、暫くそのままの姿勢で動きを止める。
今すぐにでも圭ちゃんに会いたい。顔が見たい。だって、圭ちゃんの太陽のような笑顔を見るだけで、私はいつだって笑っていられる。泣きたい事があっても圭ちゃんの大きな掌で頭を撫でてもらって「大丈夫」って言ってもらえると本当に大丈夫な気がして来る。つまり私は圭ちゃんの事が本当に大好きなのだ。
けれど、偶然に数日前に見た圭ちゃんと、圭ちゃんの隣に並ぶ女の人。最初は偶然に街で会った友達かな……とか無理がありながらも思う事にした。けれど、絶対そんなワケないと心がざわざわと音を立てていた。
圭ちゃんには好きな女の人が居て、その人は彼からの愛情を一心に受けている。私の大好きだった圭ちゃんの大きな手はその彼女と手を繋ぐためにある。頭を撫でてくれた大好きな掌は私のものではない。今はその彼女が独り占めしているのだ。
そんな事を考えていると、悲しい気持ちと、苛々する気持ちがごちゃまぜになって私自身、何がしたいのかわからなくなった。例えば小さな頃、絵の具で綺麗な色を作ろうとして色々な綺麗な色を混ぜた結果、真っ黒になってしまったというそんな感覚に似ている。
「仁菜子?どうしたの?おいしいお菓子があるんだけれど、食べる?」
じーっと何を見るでもなくテレビの画面を見ながら圭ちゃんの事を考えていると、お母さんの言葉によって急に現実へと気持ちが戻って来る。私は後ろを振り向くと、無理矢理笑顔を作った。
「食べるー!」
あまり食欲は湧かなかったけれども、思いっきり元気良くソファから立ち上がる。私が居なくなったその場所から見えるテレビにはかわいい系のアナウンサーが写っていて、いつものように圭日の天気予報を伝えていた。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】少年の懺悔、少女の願い
干野ワニ
恋愛
伯爵家の嫡男に生まれたフェルナンには、ロズリーヌという幼い頃からの『親友』がいた。「気取ったご令嬢なんかと結婚するくらいならロズがいい」というフェルナンの希望で、二人は一年後に婚約することになったのだが……伯爵夫人となるべく王都での行儀見習いを終えた『親友』は、すっかり別人の『ご令嬢』となっていた。
そんな彼女に置いて行かれたと感じたフェルナンは、思わず「奔放な義妹の方が良い」などと言ってしまい――
なぜあの時、本当の気持ちを伝えておかなかったのか。
後悔しても、もう遅いのだ。
※本編が全7話で悲恋、後日談が全2話でハッピーエンド予定です。
※長編のスピンオフですが、単体で読めます。
「妹の方が可愛い」と不倫夫に捨てられた私。どうぞ借金まみれの実家ごと引き取って。私が肩代わりしていた負債、すべてお二人に引き継いでおきました
唯崎りいち
恋愛
「お前より妹の方が可愛い」
不倫した夫は私を追い出し、略奪した妹と笑った。
どうぞ、その「可愛い妹」と地獄までお幸せに。
私が肩代わりしていた実家と店の多額の借金、すべてお二人に引き継いでおきましたから。
「財布」を失った元夫と、逃げ場を失った妹。
身の丈に合わない贅沢を望んだ寄生虫たちの、惨めな末路を特等席で眺めさせていただきます。
【完結】私たち白い結婚だったので、離婚してください
楠結衣
恋愛
田舎の薬屋に生まれたエリサは、薬草が大好き。薬草を摘みに出掛けると、怪我をした一匹の子犬を助ける。子犬だと思っていたら、領主の息子の狼獣人ヒューゴだった。
ヒューゴとエリサは、一緒に薬草採取に出掛ける日々を送る。そんなある日、魔王復活の知らせが世界を駆け抜け、神託によりヒューゴが勇者に選ばれることに。
ヒューゴが出立の日、エリサは自身の恋心に気づいてヒューゴに告白したところ二人は即結婚することに……!
「エリサを泣かせるなんて、絶対許さない」
「エリサ、愛してる!」
ちょっぴり鈍感で薬草を愛するヒロインが、一途で愛が重たい変態風味な勇者に溺愛されるお話です。
【完結】小さなマリーは僕の物
miniko
恋愛
マリーは小柄で胸元も寂しい自分の容姿にコンプレックスを抱いていた。
彼女の子供の頃からの婚約者は、容姿端麗、性格も良く、とても大事にしてくれる完璧な人。
しかし、周囲からの圧力もあり、自分は彼に不釣り合いだと感じて、婚約解消を目指す。
※マリー視点とアラン視点、同じ内容を交互に書く予定です。(最終話はマリー視点のみ)
花言葉は「私のものになって」
岬 空弥
恋愛
(婚約者様との会話など必要ありません。)
そうして今日もまた、見目麗しい婚約者様を前に、まるで人形のように微笑み、私は自分の世界に入ってゆくのでした。
その理由は、彼が私を利用して、私の姉を狙っているからなのです。
美しい姉を持つ思い込みの激しいユニーナと、少し考えの足りない美男子アレイドの拗れた恋愛。
青春ならではのちょっぴり恥ずかしい二人の言動を「気持ち悪い!」と吐き捨てる姉の婚約者にもご注目ください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる