灰色が幸せだった

ゆーり

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ハッピーエンド

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発信音が心地悪く耳元で鳴っている。

電話は苦手だ。


『…もしもし?』

「あ、もしもし。華です。」

『久しぶりだね。覚えてる?陽。』

「もちろんです。ご無沙汰してます。」

『ずいぶん他人行儀だな~』



一瞬にして昔を思い出すような変わらない陽さんの声は少し笑いを含んだような声だった。

本当に8年も経ったのか不思議になる。



「突然どうしたんですか?」

『用事なくちゃだめ?』

「いや、別に…。何かなと思って。」

『この前たまたま遥香に会ってさ、それで華さんのこと思い出したんだよね。』



大山遥香おおやまはるかは陽さんの元カノ。

私の友達だった人。


遥香が彼氏が欲しいと言ってセッティングした合コンで出会った2人が後日付き合ったと聞いた。


その時、ショックでも受けてれば私は陽さんのことを好きだと思ったんだろうけど何も思わなかった。

ただ別れたと聞いた時に、遥香から私が陽さんに迫ったとかあることないことを言われて、こんな面倒なことになるなら好きになんかならないわと思った記憶ならある。



実際、陽さんはモテた。

顔は特別いいわけでもない。

ただ、女性の扱いがうまかったんだと思う。


一緒にいる私も、私のことを好きなんじゃないかと勘違いするぐらいには優しかった。


だからこそ一緒にいて、楽しかった思い出より面倒だった思い出がある。


遥香のこともそう。




『でも、元気そうでよかったよ。』

「陽さんも。」

『もうあの辺の友達とは遊んでないの?』

「全然、連絡取ってないですね。」

『華さんらしいや。』




『華さん、まだ地元に住んでたんだね。』

「え、あ、はい。」

『よく知ってるでしょ。僕、華さんのことなら何でも知ってるの。』

「なんですか、それ。」

『ふふ。久しぶりにご飯行こうか。』

「あー…。でも年末忙しくて。」

『じゃあ、年始。』

「うーん…。」




少し悩んだ。




もう二度と会わないつもりだった。



あの頃は面倒くさいことを避けたいという思いで、好きになることはなかった。


でももし陽さんが変わってなければ、もう一度会えばその確証はない。







恋愛は面倒くさい。





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