カメラの外で抱きしめて

かれは

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13.打ち上げ

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イベントが終わると、会場近くのホテル宴会場でスタッフ打ち上げが開かれた。
 大きな丸テーブルがいくつも並び、中央にはオードブルやピザ、飲み物のボトルが山積みになっている。
 照明はステージより柔らかく、客席のざわめきも低く穏やかだ。
 けれど、俺の胸の奥はまだ、照明の熱が残っているみたいに落ち着かなかった。

「RENくん、こっち空いてるよ」
 進行役だったMCに呼ばれ、スタッフや出演者のテーブルへ腰を下ろす。グラスにジンジャーエールを注ぐと、背後の少し離れたテーブルに、黒いスタッフベストの颯真が視界に入った。

 彼は他のカメラマンや技術スタッフと談笑し、グラスを軽く傾けている。
 俺の視線に気づいたのか、一瞬だけ目が合う。
 すぐに視線を外したはずなのに、心臓がわずかに跳ねた。

「今日のRENくん、キレキレだったね!」
 向かいの出演者が笑顔でビールを掲げる。
「ありがとうございます」
 笑顔で返すけれど、意識の半分は後ろのテーブルに残っている。
 あれだけ近くにいるのに、さっきから一言も声をかけてこない。それが逆に、落ち着かない。




 宴もたけなわになり、各テーブルを回るスタッフがカメラを持って記念写真を撮り始めた。
「RENくん、こっち向いて!」
 何枚か笑顔で撮られ、別のテーブルへ移動しようと立ち上がる。

 その瞬間、後ろから軽く肘をつつかれた。
 振り返ると、颯真がすぐそこに立っていた。
「お疲れ」
「……ああ」
 わずかな間。
 スタッフカメラマンが近づいてくるのに気づいた瞬間、颯真が肩に手を置いた。

「ほら、笑え」
 低い声。自然な距離感。——第三者の目には、ただの旧友か仕事仲間にしか見えない。
 なのに、触れられた肩の温もりで呼吸が浅くなる。

 ——カシャ。
 フラッシュと共に、その瞬間が切り取られた。

 後で知った。
 その写真はSNSに上がり、すぐに数万リツイートされた。
《#RENくん彼氏説 再燃》のタグが、再びトレンド入りしたのは、その数時間後のことだった。
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