悪魔な君に恋した

かれは

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1.出会い

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片山 じん

18歳。

俺はそれまで平凡な生活を送っていた。

そう。その日の朝までは。


高校3年の7月。

俺は高校を卒業したら何をするか決められずにフラフラしていた。

勉強も得意じゃなかったし特にやりたいことも見つからない。

目つきが悪いせいかほとんどの人は怖がって近寄ってこない。

ただ一つ楽しいと思えることは、恋人のミカと話すこと。

2ヶ月前に告白されて付き合うことになった。

好きって何なのか俺はまだわからなかったけれど、彼女と話したりどこかに出かけたりすることはとても楽しかった。


それなのに突然、彼女は切り出した。

「ごめん。私、他に好きな人ができた。」

振られた。

俺はただ一言言った。

「うん。分かった。今まで楽しかった。ありがとな。」

それで終わった。それで良かった。

他に好きな人ができたのなら仕方がない。今までこんな俺と付き合っぁてくれたことに感謝だ。

俺はその日は、一人で下校した。

最近は隣にミカがいた。だけどこれからは一人だ。

最近は当たり前のように思っていたけどいざいなくなってみると寂しいものだ。

そして家までまだ距離があるところで突然の雨。

今日は雨の予報なんてなかったのに。

傘を持ってきていなかった。

ずぶ濡れになりながら帰った。

道の途中。僕は2匹並んだカエルを見かけた。

「はぁ、なんなんだこの気持ちは。」

これまで別にモテなかったわけじゃない。だけど誰かを好きっていう気持ちが分からなかった。だから誰とも付き合わなかった。

だけど彼女と出会って、俺の何かが変わってしまっていたのかもしれない。

もうミカとは話せないのかな。

その時、しゃがみこんで水溜りを覗き込んだ俺は自分の後ろに誰かが立っているのに気づいた。

「よう。落ち込んでる?お前。食ってやろうか。」

見上げると一人の子供のような笑顔の青年が立っていた。












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