悪魔な君に恋した

かれは

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「だっ、誰だよ。」

こんなやつは知らない。見たことがなかった。

同級生の顔ぐらいはちゃんと覚えているが少なくともこんなやつはいなかったはずだ。他のクラスでもこれだけ目立つやつなら見たことはあるはずだが。

黒ずくめ。パーカーを羽織り、フードを被っている。

端正な顔立ち、肌はとても白い。

年齢は同い年ぐらいだろうか。

学校にここまでのレベルがいただろうかと思うほどの超絶美男子。

「なーに、固まってんのさ。話しかけてんの。わかる?」

そう言って覗き込んでくる。

「お前、突然なんだよ。」

まったく。

「そんなに怒らなくたっていいじゃないかー。」

「い、いや、怒ってはないけど。」

「ならよかった。僕は君に用があってきたんだ。片岡じん。」

ん?名前言ってないよな。

「どうして、」

「どうして名前知ってんのかって?それは僕が悪魔だからさ。君のことはよく知ってる。」

少しの間沈黙の時間が流れた。

俺はそそくさとその場を後にする。

「おいおいおい。ちょっと待てやー。」

俺は足を止めずに、振り向かずに歩いた。

「待てって、言ってんだろがいっ。」

ガツンッ。

大きな音と共に俺は頭部を強打され。ふらついた。

「何すんだ。」

振り返ると。

誰もいない。

わけではなく、下を見るとなぜか正座していた。

「いや、なんかごめんなさい。本当に。待ってください。殴ったのはごめんなさい。」

急に反省し出した。こいつ、本当によくわからない。

「で、俺に何の用なんだよ。悪魔様が。」

「あのよ。」

悪魔様はなぜかもじもじしだした。

「おいおい、はっきり言えって。」

「あのさ、じん。お前、」

「お前の体、よこせ。」

「はぁ?」

「って、言わせんなよー。言葉にするのは違うってのー。」

バンッバンッ。

肩を思いっきり叩かれた。

感情の起伏が激しいやつだ。

「と、とりあえず、これからこれからはじん。お前と一緒に暮らす。」

「なんで?」

「後で話すから案内しろ。悪魔様の命令だ。聞かないと怖いことが起こるぜー。」

「怖いことって?」

「んー、そうだなー。」

彼は顎に手を当てて考える素振りをする。

しかしすぐに答えが出たようだ。

「立てなくなるかもね。」
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