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第一章
基本的人権
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「ところで、先ほどの話で少し気になることがあります」
詩音は、口に運んだ月餅のかけらを飲み込んでから、疑問に思っていた点を指摘した。
「城下町で出会って……ということにしましたが、あんな事件のあった後で、そもそも皇帝陛下が城下へ行けるものなのですか?」
遥星はなんてことない、という風に答える。
「あぁ、まぁ公にではなく、こっそりとな。城下に行ったのは、実は本当だ。人には顔は知られてないし、変装すれば大丈夫だ」
「あの日、暗殺されかけたのになんて暢気な。しかも犯人の一人は捕まっていないのでしょう?」
「まぁまぁ、結果的に何もなかったのだから。それに、今そなたからそれを咎められても、どうしようもあるまい」
「……そ、それはそうですね。出過ぎたことを、申し訳ありません」
「ん。気にするな」
結構自由にフラフラ歩き回ってるようなところが、詩音は気になっていた。皇帝とはもう少し縛られている、というか周りにいつも人がいるようなイメージがあったからか、逆に心配になる。
皇帝らしくない、
というか皇帝らしい要素が見当たらない。
若いというよりも子供っぽくて威厳はないし。
こう見えて実は.....とか、プラスの要素を隠し持っているならいいけれど。
「それと、もうひとつ。私は貴方より幾分か年齢が上だと思うんですが、それは大丈夫ですか?」
遥星はきょとんとして答える。
「年齢が上だと問題があるのか? 別に、子供が産める年齢なら構わないと思うが。后に求められるものは、品格と教養じゃ。たぐいまれな才能があればなお良し。要は、優秀な世継ぎを産んで育てられるかどうか、だ。年上だろうが人妻だろうがな」
「ひ、人妻?」
自ら質問した年齢云々よりも別のところが気になって、つい聞き返す。
ついでに、「品格」「教養」「才能」……どれをとっても自分は中途半端なその条件は、聞かなかったことにした。それらが必要だと言うなら、確かに大臣の言う通り貴族の人間から選ぶのは、至極当然と言えるだろう。
「あぁ。私の兄の正妻は、攻め落とした城主の妻だったのを戦利品として攫ってきた女なんだ。有名な美人でのう」
(.......はい? え? いやいやいやいや。なんか凄いことサラッと言ってますね? モノ扱いっていうのは、まさにこういうこと? いやなんかもう、物理的に物じゃん、おいおい)
意図せずに聞いてしまったことで、うっかりこの世界との常識のギャップを突きつけられてしまった。
先程、自分を妻にするかどうかとの大臣との話し合いに、当人である詩音がまったく入れなかったことを思い出し、妙に納得した。
そして、安易に結婚の承諾してしまったことを、後悔した。この調子だと、この世界で「女」に人権はないに等しいのかもしれない。
(とんでもないところに、嫁いでしまったのかも……)
詩音は変な汗が出てくるのを、密かに感じた。
詩音は、口に運んだ月餅のかけらを飲み込んでから、疑問に思っていた点を指摘した。
「城下町で出会って……ということにしましたが、あんな事件のあった後で、そもそも皇帝陛下が城下へ行けるものなのですか?」
遥星はなんてことない、という風に答える。
「あぁ、まぁ公にではなく、こっそりとな。城下に行ったのは、実は本当だ。人には顔は知られてないし、変装すれば大丈夫だ」
「あの日、暗殺されかけたのになんて暢気な。しかも犯人の一人は捕まっていないのでしょう?」
「まぁまぁ、結果的に何もなかったのだから。それに、今そなたからそれを咎められても、どうしようもあるまい」
「……そ、それはそうですね。出過ぎたことを、申し訳ありません」
「ん。気にするな」
結構自由にフラフラ歩き回ってるようなところが、詩音は気になっていた。皇帝とはもう少し縛られている、というか周りにいつも人がいるようなイメージがあったからか、逆に心配になる。
皇帝らしくない、
というか皇帝らしい要素が見当たらない。
若いというよりも子供っぽくて威厳はないし。
こう見えて実は.....とか、プラスの要素を隠し持っているならいいけれど。
「それと、もうひとつ。私は貴方より幾分か年齢が上だと思うんですが、それは大丈夫ですか?」
遥星はきょとんとして答える。
「年齢が上だと問題があるのか? 別に、子供が産める年齢なら構わないと思うが。后に求められるものは、品格と教養じゃ。たぐいまれな才能があればなお良し。要は、優秀な世継ぎを産んで育てられるかどうか、だ。年上だろうが人妻だろうがな」
「ひ、人妻?」
自ら質問した年齢云々よりも別のところが気になって、つい聞き返す。
ついでに、「品格」「教養」「才能」……どれをとっても自分は中途半端なその条件は、聞かなかったことにした。それらが必要だと言うなら、確かに大臣の言う通り貴族の人間から選ぶのは、至極当然と言えるだろう。
「あぁ。私の兄の正妻は、攻め落とした城主の妻だったのを戦利品として攫ってきた女なんだ。有名な美人でのう」
(.......はい? え? いやいやいやいや。なんか凄いことサラッと言ってますね? モノ扱いっていうのは、まさにこういうこと? いやなんかもう、物理的に物じゃん、おいおい)
意図せずに聞いてしまったことで、うっかりこの世界との常識のギャップを突きつけられてしまった。
先程、自分を妻にするかどうかとの大臣との話し合いに、当人である詩音がまったく入れなかったことを思い出し、妙に納得した。
そして、安易に結婚の承諾してしまったことを、後悔した。この調子だと、この世界で「女」に人権はないに等しいのかもしれない。
(とんでもないところに、嫁いでしまったのかも……)
詩音は変な汗が出てくるのを、密かに感じた。
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