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第三章 学園国家グラドレイ
第六十九話 成敗
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次の日、俺達は学園に来ていた。今日は第二回の魔法の授業と、初めての実技の授業があるからだ。俺の横には、テイマーズがいる。ソモルンも、ボムの頭の上にいた。そして、何故かプルーム様と雷竜王、ガルーダとタマもいた。モフリスト共も、ついてこようとしたが、授業参観ではないため、やめさせた。
「人数が多く、気になると思うが、気にしないでくれ。それでは、今日は魔素と適正属性の関係。それと、魔力感知と魔力操作について、進めていく」
俺は、昨日屋敷で話した説明をして、理解してもらった上で、話を進めた。ぶっちゃけ、これを教えれば、俺の授業ではやることがない。反復練習だけになってしまう。
「では、まずは魔力感知を教える。周囲にある魔力を感じることで、それを使うことができる。これが出来れば、魔力量は関係なくなるな。個人で持っている量よりも、周囲にある魔力の方が、質も量も高いのだから。さて、これが上位スキルになると、魔力把握になるが、とりあえず、今はいいだろう。それに、このスキルが上達すれば、索敵にも使える。全員、こちらがメインだと思っているが、索敵はおまけだ。ここまではいいな?」
周りを見渡し、頷いたのを確認して、話を進める。
「やり方は簡単だ。魔力を少しだけ出して、周囲に膜を作る。形は、球体が望ましいが、個人が想像しやすいもので、構わない。その膜で覆った中の、魔力だけを感じ取れるようにする。ここで使うのが、魔力操作になる。このスキルで、魔力膜の中の魔力を、揺らしてみる。感じ取れたら、水を落としたり、誰かに物を投げてもらったりして、確認していく。それも達成したら、膜を広げていく。これだけだ」
俺は、この方法で魔力感知の、スキルレベルを上げた。いきなり、空気中全てを感知するとか、無謀すぎる。すぐに、魔力もなくなるだろう。
「次に、魔力操作についてだ。これは、魔法を使う上で、最重要なスキルだ。上位スキルは、魔力制御になる。ちなみに、上位スキル二つがあって初めて、魔術が使えるようになる。これは、簡単で魔力感知の訓練と合わせてやってもいいが、得意属性を使っての訓練がある。まず、水属性なら最下級魔法で、水を出す。次に、それを球体にする。あとは、好きな形に変えたり、動かしてみたりする。これが出来たら、空の魔石に魔力を込める。そして、最後は魔晶石を作る。ここまで出来たら、魔術を使えるようになっているはずだ」
メモしながら、真剣に話を聞く生徒達。だが、注意点もある。
「後半伝えた、魔石のやり方は寝る前限定だ。俺の目の前以外でやろうとすると、慣れないうちは、限度が分からず、倒れることになるだろう。寝る前なら、起きたら魔力が回復しているし、魔力を空にしてから回復すると、魔力量が上がるため、効率もいい。空の魔石は、冒険者ギルドに行けばもらえるし、魔力を込めた魔石は、買い取ってもらえるから、小遣い稼ぎにもいいだろ? ボア達にいい物を食べさせてやれ。あと、ボア達の進化に重要なのは、魔境並みの濃度の魔力を、定期的に得ること。ただ、これは今の魔力量では難しいため、レベルを上げる方法を進める。ダンジョンでも行けば、いいだろう。ただ、死と隣り合わせになる。実力をつけてからだ。以上で、俺の授業でやることは、終了した。近々、元々の教師が戻って来るから、俺はお役御免だ」
「俺の調教師生活も終わりか……」
と、ボムが哀愁を漂わせていた。結構気に入っていたようだ。
『ありがとうございました』
『ブモー』
と、生徒とボアと、熊ゴーレムが、あいさつをしてきた。礼儀正しい者達で、良かった。俺がそう感傷に浸っていると、ドアの外に人集りが出来ていた。
「何だあれ? まぁ、授業は終わって、これから飯だからいいけど。男ばっかじゃん」
「あれは、カトレアの自称親衛隊なのじゃ。いわゆる、ストーカーなのじゃ。でも、ガルが守っているから、近寄れないのじゃ」
と、王女が解説してくれた。どうやら、この図々しい娘は、モテるようだ。本人は、ガルと手をつなぎ、普通にしている。
「庭で食べよ」
と、カトレアが誘ってきた。まあ、午後の実技では、このメンバーがそのまま来るのだ。別に構わないだろう。ボア一家も、連れて行くことにした。彼らは、「食堂で買わなきゃ」と、言っていたが、あの人集りに入ったら、出て来られなそうだったため、止めた。
「全員集合」
俺は、全員を集めて、まとめて庭に転移することにした。面倒は、嫌だったからだ。
――時空魔術《転移》――
庭に到着した俺達は、レジャーシートを敷き、料理を並べた。ボア一家は転移に驚き、俺に習えて良かったと、言っていた。料理も、全員で美味しく食べ終わった頃、ストーカー軍団が、やっと俺達を見つけたようだ。
「カトレア。婚約者の僕と、食事をともにする約束だったろ? 何故、ボアしか召喚出来ない、落ちこぼれ達なんかと。あと、ガキ教師とその愉快な仲間達なんかと」
ボム達はガキ教師で笑い、俺は愉快な仲間達で笑ってしまった。なかなか、面白いことを言う。これは、からかい甲斐があるかもしれない。だが、婚約者かどうかを確認しようと、口を開こうとしたら、プルーム様に睨まれた。どうやら、野暮な質問らしい。
「おやおや。同い年なのに、ガキとは。では、あなたも、ガキなのですね。そうですね、俺がガキ教師なら、あなたはガキストーカーですね。以前に会った、細かい機微が分からない奴は、男色愛好家でしたが、あなたは、ストーカーだったのですね。だから、モテないんですよ。見てて下さい」
俺がそう言いながら、カトレアに近づいても、ガルは俺を止めない。だが、カトレアがストーカーに近づこうとすると、ガルが止める。
「ねっ? あなたは、危険人物なんですよ。まぁお互いに、言いたいことはあるだろうが、このあと実技の授業があるんだ。そこで、ボア一家を馬鹿にしたくらい強い君が、カトレアと勝負して、力を示してから、迎え入れてはいかがだ? 授業が遅れることは、俺が口添えしておくよ」
俺の言葉に驚く、ストーカーとカトレア。だが、俺の黒い笑みを見たカトレアは、納得して返事をした。
「分かった。でも、私が勝ったら、アイツら含めて近寄らないで」
「いいだろう。僕とアグーで、勝ってやる」
コイツの召喚獣は、アグーというらしい。一瞬、豚かな? と、思ってしまったが、ボア一家を馬鹿にしていたため、違うのだろう。
「では、準備してきてくれ」
と、言って追い払い、カトレアに説明した。
「模擬戦なんだ。死ななければ、大丈夫。俺が治すから。それに、俺の戦闘を見ていれば、何をやるか分かるだろ? と言っても、見たことないか」
「ううん。ダンジョンで見た」
なら、大丈夫そうだ。同じようにはいかなくても、嫌がらせが大切だと、思ってくれれば。
「それでは、実技の最初の授業を始める。ここは、本来イケメンの先生が担当だから、女の子が多いのだな。安心してほしい。近々来る。さて、授業の前に、彼がカトレアを賭けて、カトレアと決闘をすることになった。実技の教材になりそうだから、よく見ておくように。模擬戦で、致命傷を負わせないようにすること。俺は、回復魔法を使える。大いに頑張ってくれ。では、始め!」
そう言って、始まる模擬戦だったが、開始と同時に行った、カトレアの攻撃により、全員を戦慄させた。
「《アースランス》」
と、言って発動させたのは、股間槍だった。ストーカーの体は、真上に浮き上がり、また同じところを強打して、横に転げ落ちた。彼は、あまりの痛さに、泡を吹いて痙攣していた。そして、彼の召喚獣のアグーとは、火炎属性の狼だった。きっと、派手風阿呆魔法士の生徒だろう。ちなみに、教師ではなく、魔法士なのは、魔法ギルドから来た臨時教師だからだ。
「勝者、カトレア」
と、宣言したのにもかかわらず、制御出来ていない、アグーがカトレアに、襲いかかろうとした。だが、近くには調教師がいるのだ。
「おい!」
調教師が声を掛けると、ピタリと止まるアグー。調教師のボムは近づき、諭し始めた。
「カトレアが勝ったのだ。コイツは、負けた。分かるよな? 戦えず満足できないなら、俺が代わってやる。お前の気持ちを考えずに、すまなかったな。どうする?」
そう言いながら、アグーの頭を鷲掴みして、魔力を込めていた。アグーはというと、震えていた。主人のように、プルプルと。
「おかしいな。返事の仕方を忘れてしまったのか?」
「クゥーン」
「うむ。分かってくれたなら、よかった」
と言って、俺の横に来た。褒めて欲しいのだろう。いつも通り、背中をポンポンした。そして、ボムにお礼を言う、カトレアを横目に、ストーカー君をどうするかと考えていると、見事に餌に食いついた、阿呆教師が阿呆面並べて、歩いて来るではないか。
「おい! ガキ! うちの生徒は、どこにいる?」
と、入学式で俺の口撃により失神した、ガチムチ風阿呆教師が、怒鳴ってきた。
「そこで、授業の邪魔をしていますよ。人の授業への乱入とか、迷惑なのでやめてもらえます? あなたも、あなたの生徒も。しかも、二人とも弱いんだから、乱入する暇があるなら、自己鍛錬に励んで下さいよ」
また顔を真っ赤にして、こめかみをピクピクさせていた。だが、今日は失神しないようだ。少しは強くなったじゃないか。と、一人思っていると、ガチムチ風阿呆教師が、殴り掛かってきた。
「貴様、ぶっ殺してやる!」
「と言っても、擦りもしませんが? そんなに、ガチムチな筋肉を作り上げ、パワーに自身あるんだぜ? って言っても、当たらなければ無意味。むしろ、そういう趣味の方のために、ガチムチになられたのですか? いいと思います」
「この! この! 避けるな!」
無茶を言う。当たらないからと言って、避けるなはないだろう。しかも、速度とかのレベルじゃない。赤ちゃんパンチみたいな、殴り方じゃ一生当たらない。これで本当に教師だから、終わっている。
「赤ちゃんパンチだと、当たりませんよ」
と、俺が言うと、生徒達はクスクス笑っていた。生徒の何人かは、ボムに触っていいか聞いていた。王女とカトレアの、友人のようだったため、少しならと言っていた。俺は、ボム達の様子を見ながら、適当にあしらっていたのだが、次の相手もあるため、ガチムチ風阿呆教師には、さっさと退場してもらうことにした。
「さらば」
そう言って、隙だらけの股間を、思いっ切り蹴り上げた。
「うっ……ぐぅ……」
と言って、ストーカー君と同じ運命を辿った。それを確認して、次に行くことにした。
「名前は、忘れてしまいましたが、派手風阿呆魔法士さん。お久しぶりです。まだ、おかしな術式の召喚魔法陣を、使っているのですか? あれでは、本当に相性がいい子とは、出会えませんよ」
「うるさい! お前だって、聖獣を従魔にしているではないか! 聖獣と出会うための、召喚魔法陣を使った、証拠ではないか!」
どうやら、勘違いしているようだ。俺は、魔法陣を使ったことはない。ボムは、最初からいたし、セルはボムが従魔にしていた。ニールは、ファフニールの腹から出しただけだ。あとは、従魔ではない。
「ボム達のことを言っているのなら、ただの偶然です。ボムは、生まれたときから、近くにいましたから。召喚魔法陣なんか、使ったことはありません。ただ、知識として知っているだけですよ。ちなみに、あなたじゃ聖獣とは、契約出来ませんよ。弱すぎて」
すると、ボム達が大爆笑している。近くには、アグーが伏せていた。何やら、相談しているようだった。
「うるさい! うるさい! うるさーい! 殺してやる! 来い、ロイド!」
そして、目の前に現れる、グリフォン。聖獣だった。ただ、首輪をしていた。こういうときは、調教師の出番だ。
「ボム。この子に説明よろしくな」
――神聖魔術《解呪》――
――生命魔術《完治》――
――生命魔術《聖水》――
――清潔――
自由になったグリフォンに、ボムが説明して、ソモルンと一緒に撫でていた。
「ば……馬鹿な……。犯罪だぞ? こんなことが許されていいわけない」
「俺を裁く法はない。だが、お前を裁く法なら、もうすぐ出来る。この国は、首輪を禁止するそうだ。実力もないくせに、あんなに可愛い子を……。許さん」
グリフォンは、その強さから恐れられているが、この子は、人懐っこくて可愛い子だった。我が家のテイマーズに大人気である。あのプルーム様も、撫でていた。
「《イ……インフェルノ》」
さすが派手好き。派手じゃなくても、勝てるということを、生徒に教える教材になってもらおう。まずは、発動が遅い上級魔法を潰すことにした。
「《ウインドカッター》」
恥ずかしいが、今後の計画のため我慢して、詠唱した。速さ重視の魔法で、インフェルノの魔法式と、魔素の収束を邪魔する。これだけ、妨害可能になる。ちなみに、コイツは手のひらを、俺に向けて詠唱したため、楽勝だった。つまり、無詠唱で放つ直前まで魔法式を隠しておけば、この方法は使えない。だが、コイツにはそれは無理だ。
「《アース》《ファイアー》《ウインド》」
最下級魔法を三連発。両足の部分の土を操り、足を膝まで固定して、服を燃やす。風で吹き飛ばし、全裸にした。すると、女の子達から悲鳴が上がった。いつものくせで、つい。
「《ストーンバレット》」
魔力操作で、大きめの石礫を出す。ストーンボールと言っても、いいくらいの大きさだ。それを、圧縮していく。すると、バレットという名に、ふさわしい大きさになった。
「や……やめろ! それで何をするつもりだ!」
「その防御の手は、邪魔ですね。手錠をはめておきましょう。《アースランス》」
両側に支柱を立て、十字架のように縛り付けた。そして、俺は石の弾丸に回転を加え、股間に向けて放った。さすがに、本気で当ててはいない。それだと、貫通してしまうからだ。そこそこの痛みを、何度も与え続けた。そして、泡を吹いて痙攣してしまった。
「残ったのは、魔力量至上主義風阿呆魔法士だけですが?」
どうやら、派手風阿呆魔法士をボコボコにしている間に、魔力構築を終えていたようだ。笑いながら、魔力を流していた。
「ドヤ顔で、笑っているところ悪いですが、量は関係ないんですよ」
俺は、魔力制御と魔力把握で、魔力量至上主義風阿呆魔法士の周りの魔力を全て、俺の周りに集めた。魔法式の構築が出来ても、肝心の魔力がなければ、どうすることも出来まい。それに気づき、魔力を放出しても、それも吸い集めた。
そして、魔力枯渇寸前まで追い込んだ、おばさんに向かって、ソックリそのまま、お返しをすることにした。もちろん、ガチムチと派手好きもまとめて。
――大地魔術《操岩》――
――暴嵐魔術《嵐撃大砲》――
大地魔術で大砲の筒を作り、三人を入れて、暴嵐魔術で発射した。周囲の魔力とおばさんの魔力を、大量に込めたから、星になって飛んでいった。その様子に驚く生徒達と、アグーとグリフォン。そして、爆笑しているボム達。ボムは、彼らの行き先が気になったようだ。
「アイツらは、何処に行ったんだ?」
と、笑いながら聞いてきた。
「地獄。と言いたいが、北の方向に飛んでいったから、ドワーフ王国の手前の山まで行ったかもな。その手前の川か、湖に落ちてくれればいいが」
そう答え、残ったストーカー君に、この学園の変態同好会に引き渡すための、無期限の首輪をつけた。その後、顧問を呼び引き渡した。今回も笑顔で、引き取っていった。股間は治してやった。そのときに、ドライディオス王国の国王と同じ、魔法陣を股に仕込んだ。俺の生徒に、ストーカー行為と、迷惑行為を行うと、痛みを再現する術式だった。
その後の授業は、身体強化の説明と、方法を教えた。上位スキルは身体制御だが、魔力纏というスキルも、別で存在することを。違いは、魔術や魔法の重ね掛けが出来るか出来ないか。もちろん、魔力纏は重ね掛けが出来る。重ね掛けをした結果が、属性纏だからだ。だが、身体強化だけを教えた。これが出来なきゃ無意味だからだ。
こうして、俺にとっての最初で最後の、実技の授業が終わるのだった。
「人数が多く、気になると思うが、気にしないでくれ。それでは、今日は魔素と適正属性の関係。それと、魔力感知と魔力操作について、進めていく」
俺は、昨日屋敷で話した説明をして、理解してもらった上で、話を進めた。ぶっちゃけ、これを教えれば、俺の授業ではやることがない。反復練習だけになってしまう。
「では、まずは魔力感知を教える。周囲にある魔力を感じることで、それを使うことができる。これが出来れば、魔力量は関係なくなるな。個人で持っている量よりも、周囲にある魔力の方が、質も量も高いのだから。さて、これが上位スキルになると、魔力把握になるが、とりあえず、今はいいだろう。それに、このスキルが上達すれば、索敵にも使える。全員、こちらがメインだと思っているが、索敵はおまけだ。ここまではいいな?」
周りを見渡し、頷いたのを確認して、話を進める。
「やり方は簡単だ。魔力を少しだけ出して、周囲に膜を作る。形は、球体が望ましいが、個人が想像しやすいもので、構わない。その膜で覆った中の、魔力だけを感じ取れるようにする。ここで使うのが、魔力操作になる。このスキルで、魔力膜の中の魔力を、揺らしてみる。感じ取れたら、水を落としたり、誰かに物を投げてもらったりして、確認していく。それも達成したら、膜を広げていく。これだけだ」
俺は、この方法で魔力感知の、スキルレベルを上げた。いきなり、空気中全てを感知するとか、無謀すぎる。すぐに、魔力もなくなるだろう。
「次に、魔力操作についてだ。これは、魔法を使う上で、最重要なスキルだ。上位スキルは、魔力制御になる。ちなみに、上位スキル二つがあって初めて、魔術が使えるようになる。これは、簡単で魔力感知の訓練と合わせてやってもいいが、得意属性を使っての訓練がある。まず、水属性なら最下級魔法で、水を出す。次に、それを球体にする。あとは、好きな形に変えたり、動かしてみたりする。これが出来たら、空の魔石に魔力を込める。そして、最後は魔晶石を作る。ここまで出来たら、魔術を使えるようになっているはずだ」
メモしながら、真剣に話を聞く生徒達。だが、注意点もある。
「後半伝えた、魔石のやり方は寝る前限定だ。俺の目の前以外でやろうとすると、慣れないうちは、限度が分からず、倒れることになるだろう。寝る前なら、起きたら魔力が回復しているし、魔力を空にしてから回復すると、魔力量が上がるため、効率もいい。空の魔石は、冒険者ギルドに行けばもらえるし、魔力を込めた魔石は、買い取ってもらえるから、小遣い稼ぎにもいいだろ? ボア達にいい物を食べさせてやれ。あと、ボア達の進化に重要なのは、魔境並みの濃度の魔力を、定期的に得ること。ただ、これは今の魔力量では難しいため、レベルを上げる方法を進める。ダンジョンでも行けば、いいだろう。ただ、死と隣り合わせになる。実力をつけてからだ。以上で、俺の授業でやることは、終了した。近々、元々の教師が戻って来るから、俺はお役御免だ」
「俺の調教師生活も終わりか……」
と、ボムが哀愁を漂わせていた。結構気に入っていたようだ。
『ありがとうございました』
『ブモー』
と、生徒とボアと、熊ゴーレムが、あいさつをしてきた。礼儀正しい者達で、良かった。俺がそう感傷に浸っていると、ドアの外に人集りが出来ていた。
「何だあれ? まぁ、授業は終わって、これから飯だからいいけど。男ばっかじゃん」
「あれは、カトレアの自称親衛隊なのじゃ。いわゆる、ストーカーなのじゃ。でも、ガルが守っているから、近寄れないのじゃ」
と、王女が解説してくれた。どうやら、この図々しい娘は、モテるようだ。本人は、ガルと手をつなぎ、普通にしている。
「庭で食べよ」
と、カトレアが誘ってきた。まあ、午後の実技では、このメンバーがそのまま来るのだ。別に構わないだろう。ボア一家も、連れて行くことにした。彼らは、「食堂で買わなきゃ」と、言っていたが、あの人集りに入ったら、出て来られなそうだったため、止めた。
「全員集合」
俺は、全員を集めて、まとめて庭に転移することにした。面倒は、嫌だったからだ。
――時空魔術《転移》――
庭に到着した俺達は、レジャーシートを敷き、料理を並べた。ボア一家は転移に驚き、俺に習えて良かったと、言っていた。料理も、全員で美味しく食べ終わった頃、ストーカー軍団が、やっと俺達を見つけたようだ。
「カトレア。婚約者の僕と、食事をともにする約束だったろ? 何故、ボアしか召喚出来ない、落ちこぼれ達なんかと。あと、ガキ教師とその愉快な仲間達なんかと」
ボム達はガキ教師で笑い、俺は愉快な仲間達で笑ってしまった。なかなか、面白いことを言う。これは、からかい甲斐があるかもしれない。だが、婚約者かどうかを確認しようと、口を開こうとしたら、プルーム様に睨まれた。どうやら、野暮な質問らしい。
「おやおや。同い年なのに、ガキとは。では、あなたも、ガキなのですね。そうですね、俺がガキ教師なら、あなたはガキストーカーですね。以前に会った、細かい機微が分からない奴は、男色愛好家でしたが、あなたは、ストーカーだったのですね。だから、モテないんですよ。見てて下さい」
俺がそう言いながら、カトレアに近づいても、ガルは俺を止めない。だが、カトレアがストーカーに近づこうとすると、ガルが止める。
「ねっ? あなたは、危険人物なんですよ。まぁお互いに、言いたいことはあるだろうが、このあと実技の授業があるんだ。そこで、ボア一家を馬鹿にしたくらい強い君が、カトレアと勝負して、力を示してから、迎え入れてはいかがだ? 授業が遅れることは、俺が口添えしておくよ」
俺の言葉に驚く、ストーカーとカトレア。だが、俺の黒い笑みを見たカトレアは、納得して返事をした。
「分かった。でも、私が勝ったら、アイツら含めて近寄らないで」
「いいだろう。僕とアグーで、勝ってやる」
コイツの召喚獣は、アグーというらしい。一瞬、豚かな? と、思ってしまったが、ボア一家を馬鹿にしていたため、違うのだろう。
「では、準備してきてくれ」
と、言って追い払い、カトレアに説明した。
「模擬戦なんだ。死ななければ、大丈夫。俺が治すから。それに、俺の戦闘を見ていれば、何をやるか分かるだろ? と言っても、見たことないか」
「ううん。ダンジョンで見た」
なら、大丈夫そうだ。同じようにはいかなくても、嫌がらせが大切だと、思ってくれれば。
「それでは、実技の最初の授業を始める。ここは、本来イケメンの先生が担当だから、女の子が多いのだな。安心してほしい。近々来る。さて、授業の前に、彼がカトレアを賭けて、カトレアと決闘をすることになった。実技の教材になりそうだから、よく見ておくように。模擬戦で、致命傷を負わせないようにすること。俺は、回復魔法を使える。大いに頑張ってくれ。では、始め!」
そう言って、始まる模擬戦だったが、開始と同時に行った、カトレアの攻撃により、全員を戦慄させた。
「《アースランス》」
と、言って発動させたのは、股間槍だった。ストーカーの体は、真上に浮き上がり、また同じところを強打して、横に転げ落ちた。彼は、あまりの痛さに、泡を吹いて痙攣していた。そして、彼の召喚獣のアグーとは、火炎属性の狼だった。きっと、派手風阿呆魔法士の生徒だろう。ちなみに、教師ではなく、魔法士なのは、魔法ギルドから来た臨時教師だからだ。
「勝者、カトレア」
と、宣言したのにもかかわらず、制御出来ていない、アグーがカトレアに、襲いかかろうとした。だが、近くには調教師がいるのだ。
「おい!」
調教師が声を掛けると、ピタリと止まるアグー。調教師のボムは近づき、諭し始めた。
「カトレアが勝ったのだ。コイツは、負けた。分かるよな? 戦えず満足できないなら、俺が代わってやる。お前の気持ちを考えずに、すまなかったな。どうする?」
そう言いながら、アグーの頭を鷲掴みして、魔力を込めていた。アグーはというと、震えていた。主人のように、プルプルと。
「おかしいな。返事の仕方を忘れてしまったのか?」
「クゥーン」
「うむ。分かってくれたなら、よかった」
と言って、俺の横に来た。褒めて欲しいのだろう。いつも通り、背中をポンポンした。そして、ボムにお礼を言う、カトレアを横目に、ストーカー君をどうするかと考えていると、見事に餌に食いついた、阿呆教師が阿呆面並べて、歩いて来るではないか。
「おい! ガキ! うちの生徒は、どこにいる?」
と、入学式で俺の口撃により失神した、ガチムチ風阿呆教師が、怒鳴ってきた。
「そこで、授業の邪魔をしていますよ。人の授業への乱入とか、迷惑なのでやめてもらえます? あなたも、あなたの生徒も。しかも、二人とも弱いんだから、乱入する暇があるなら、自己鍛錬に励んで下さいよ」
また顔を真っ赤にして、こめかみをピクピクさせていた。だが、今日は失神しないようだ。少しは強くなったじゃないか。と、一人思っていると、ガチムチ風阿呆教師が、殴り掛かってきた。
「貴様、ぶっ殺してやる!」
「と言っても、擦りもしませんが? そんなに、ガチムチな筋肉を作り上げ、パワーに自身あるんだぜ? って言っても、当たらなければ無意味。むしろ、そういう趣味の方のために、ガチムチになられたのですか? いいと思います」
「この! この! 避けるな!」
無茶を言う。当たらないからと言って、避けるなはないだろう。しかも、速度とかのレベルじゃない。赤ちゃんパンチみたいな、殴り方じゃ一生当たらない。これで本当に教師だから、終わっている。
「赤ちゃんパンチだと、当たりませんよ」
と、俺が言うと、生徒達はクスクス笑っていた。生徒の何人かは、ボムに触っていいか聞いていた。王女とカトレアの、友人のようだったため、少しならと言っていた。俺は、ボム達の様子を見ながら、適当にあしらっていたのだが、次の相手もあるため、ガチムチ風阿呆教師には、さっさと退場してもらうことにした。
「さらば」
そう言って、隙だらけの股間を、思いっ切り蹴り上げた。
「うっ……ぐぅ……」
と言って、ストーカー君と同じ運命を辿った。それを確認して、次に行くことにした。
「名前は、忘れてしまいましたが、派手風阿呆魔法士さん。お久しぶりです。まだ、おかしな術式の召喚魔法陣を、使っているのですか? あれでは、本当に相性がいい子とは、出会えませんよ」
「うるさい! お前だって、聖獣を従魔にしているではないか! 聖獣と出会うための、召喚魔法陣を使った、証拠ではないか!」
どうやら、勘違いしているようだ。俺は、魔法陣を使ったことはない。ボムは、最初からいたし、セルはボムが従魔にしていた。ニールは、ファフニールの腹から出しただけだ。あとは、従魔ではない。
「ボム達のことを言っているのなら、ただの偶然です。ボムは、生まれたときから、近くにいましたから。召喚魔法陣なんか、使ったことはありません。ただ、知識として知っているだけですよ。ちなみに、あなたじゃ聖獣とは、契約出来ませんよ。弱すぎて」
すると、ボム達が大爆笑している。近くには、アグーが伏せていた。何やら、相談しているようだった。
「うるさい! うるさい! うるさーい! 殺してやる! 来い、ロイド!」
そして、目の前に現れる、グリフォン。聖獣だった。ただ、首輪をしていた。こういうときは、調教師の出番だ。
「ボム。この子に説明よろしくな」
――神聖魔術《解呪》――
――生命魔術《完治》――
――生命魔術《聖水》――
――清潔――
自由になったグリフォンに、ボムが説明して、ソモルンと一緒に撫でていた。
「ば……馬鹿な……。犯罪だぞ? こんなことが許されていいわけない」
「俺を裁く法はない。だが、お前を裁く法なら、もうすぐ出来る。この国は、首輪を禁止するそうだ。実力もないくせに、あんなに可愛い子を……。許さん」
グリフォンは、その強さから恐れられているが、この子は、人懐っこくて可愛い子だった。我が家のテイマーズに大人気である。あのプルーム様も、撫でていた。
「《イ……インフェルノ》」
さすが派手好き。派手じゃなくても、勝てるということを、生徒に教える教材になってもらおう。まずは、発動が遅い上級魔法を潰すことにした。
「《ウインドカッター》」
恥ずかしいが、今後の計画のため我慢して、詠唱した。速さ重視の魔法で、インフェルノの魔法式と、魔素の収束を邪魔する。これだけ、妨害可能になる。ちなみに、コイツは手のひらを、俺に向けて詠唱したため、楽勝だった。つまり、無詠唱で放つ直前まで魔法式を隠しておけば、この方法は使えない。だが、コイツにはそれは無理だ。
「《アース》《ファイアー》《ウインド》」
最下級魔法を三連発。両足の部分の土を操り、足を膝まで固定して、服を燃やす。風で吹き飛ばし、全裸にした。すると、女の子達から悲鳴が上がった。いつものくせで、つい。
「《ストーンバレット》」
魔力操作で、大きめの石礫を出す。ストーンボールと言っても、いいくらいの大きさだ。それを、圧縮していく。すると、バレットという名に、ふさわしい大きさになった。
「や……やめろ! それで何をするつもりだ!」
「その防御の手は、邪魔ですね。手錠をはめておきましょう。《アースランス》」
両側に支柱を立て、十字架のように縛り付けた。そして、俺は石の弾丸に回転を加え、股間に向けて放った。さすがに、本気で当ててはいない。それだと、貫通してしまうからだ。そこそこの痛みを、何度も与え続けた。そして、泡を吹いて痙攣してしまった。
「残ったのは、魔力量至上主義風阿呆魔法士だけですが?」
どうやら、派手風阿呆魔法士をボコボコにしている間に、魔力構築を終えていたようだ。笑いながら、魔力を流していた。
「ドヤ顔で、笑っているところ悪いですが、量は関係ないんですよ」
俺は、魔力制御と魔力把握で、魔力量至上主義風阿呆魔法士の周りの魔力を全て、俺の周りに集めた。魔法式の構築が出来ても、肝心の魔力がなければ、どうすることも出来まい。それに気づき、魔力を放出しても、それも吸い集めた。
そして、魔力枯渇寸前まで追い込んだ、おばさんに向かって、ソックリそのまま、お返しをすることにした。もちろん、ガチムチと派手好きもまとめて。
――大地魔術《操岩》――
――暴嵐魔術《嵐撃大砲》――
大地魔術で大砲の筒を作り、三人を入れて、暴嵐魔術で発射した。周囲の魔力とおばさんの魔力を、大量に込めたから、星になって飛んでいった。その様子に驚く生徒達と、アグーとグリフォン。そして、爆笑しているボム達。ボムは、彼らの行き先が気になったようだ。
「アイツらは、何処に行ったんだ?」
と、笑いながら聞いてきた。
「地獄。と言いたいが、北の方向に飛んでいったから、ドワーフ王国の手前の山まで行ったかもな。その手前の川か、湖に落ちてくれればいいが」
そう答え、残ったストーカー君に、この学園の変態同好会に引き渡すための、無期限の首輪をつけた。その後、顧問を呼び引き渡した。今回も笑顔で、引き取っていった。股間は治してやった。そのときに、ドライディオス王国の国王と同じ、魔法陣を股に仕込んだ。俺の生徒に、ストーカー行為と、迷惑行為を行うと、痛みを再現する術式だった。
その後の授業は、身体強化の説明と、方法を教えた。上位スキルは身体制御だが、魔力纏というスキルも、別で存在することを。違いは、魔術や魔法の重ね掛けが出来るか出来ないか。もちろん、魔力纏は重ね掛けが出来る。重ね掛けをした結果が、属性纏だからだ。だが、身体強化だけを教えた。これが出来なきゃ無意味だからだ。
こうして、俺にとっての最初で最後の、実技の授業が終わるのだった。
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俺が死んでから始まる物語
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パーティでお荷物扱いされていたポーター(荷物運び)のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもないことは自分でも解っていた。
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備蓄スキルで異世界転移もナンノソノ
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久しぶりの早帰りの金曜日の夜(但し、矢作基準)ラッキーの連続に浮かれた矢作の行った先は。
見た事のない空き地に1人。異世界だと気づかない矢作のした事は?
異世界アニメも見た事のない矢作が、自分のスキルに気づく日はいつ来るのだろうか。スキル【備蓄】で異世界に騒動を起こすもちょっぴりズレた矢作はそれに気づかずマイペースに頑張るお話。
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【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
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※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
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神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
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事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
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貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
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加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
凡人がおまけ召喚されてしまった件
根鳥 泰造
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勇者召喚に巻き込まれて、異世界にきてしまった祐介。最初は勇者の様に大切に扱われていたが、ごく普通の才能しかないので、冷遇されるようになり、ついには王宮から追い出される。
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それらのお蔭で、才能は凡人でも、数多のスキルで能力を補い、熟練度は飛びぬけ、高難度クエストも熟せる有名冒険者となる。そして、裏では気配消去や不可視化スキルを活かして、暗殺という裏の仕事も始めた。
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捨て子の僕が公爵家の跡取り⁉~喋る聖剣とモフモフに助けられて波乱の人生を生きてます~
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物心がついた頃から孤児院で育った僕は高熱を出して寝込んだ後で自分が転生者だと思い出した。そして10歳の時に孤児院で火事に遭遇する。もう駄目だ! と思った時に助けてくれたのは、不思議な聖剣だった。その聖剣が言うにはどうやら僕は公爵家の跡取りらしい。孤児院を逃げ出した僕は聖剣とモフモフに助けられながら生家を目指す。
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