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第三章 学園国家グラドレイ
第七十八話 別れ
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「では、手続きしましたね。国の門を出たら、特別サービスで王都の辺境伯宅へ送りますから、そこでお別れです。国を出たらヴァルーの仲間も呼んで、一緒に首輪を外すからな」
「クゥーン」
「ラース。お別れって言わないで」
と、カトレアに言われた。何故だろう。プルーム様の顔が怖い。
「じゃあ……別行動?」
「うん。また後でね」
すぐにプルーム様の顔を見ると、笑顔に戻っていた。良かった……。
そして、手続きをして外に出た。しばらく進み開けた場所に来ると、カルラ達は別れを惜しんでいた。ボムは、子熊達に囲まれていた。親子の別れでもしているのだろう。セレール様とグレタも、プルーム様達にあいさつをしていた。
「ギンは、たまに転移してくるらしいが、タマも転移してくるのか? 子機あげたじゃん」
プルーム様が、リオリクス様に確認したところ、許可がおり俺に強請ってきた。お使いも達成してたし、幻影魔術という便利な魔術を、教えてもらったためあげたのだった。
「えぇ。皆で食べたり飲んだりするから、楽しく美味しいのです。一度、主の下へ帰らねばなりませんが、その後ギンのところに行きます。そして、たまに転移してきますので、よろしくお願いします」
コイツもなかなか図々しいヤツだった。そして、もちろん雷竜王とガルーダは残る。ガルーダはともかく、雷竜王の強かさはすごかった。自身の加護を餌に、ニールを味方に引き込んだ。雷竜王の加護は、属性纏の補正【極】だからだ。ニールにとっては、是が非でも欲しいだろう。そして俺らは、「ここにいていいの?」と、言えなくなった。
「じゃあ行きます」
――時空魔術《転移》――
「ではまた」
「えぇ。グリフォンの保護区で」
俺に逃げ場を与えないようにする、モフリスト筆頭だった。子熊達に囲まれる前に、子熊達の頭を撫で転移した。
「じゃあ、次はヴァルーだな」
「頼むぞ」
――時空魔術《転送門》――
目の前の草原を、埋め尽くすほどの魔物の群れ。全部が解放を望んでいないかもしれなかったため、聞いてみることにした。
「帝国に帰りたいよ! って言う方は、手を挙げて!」
……誰もいなかった。というか、確認するときに【神魔眼】で見たが、体を欠損しているものが山ほどいた。それを目にしたボムは悲しそうだった。
――神聖魔術《解呪》――
――神聖魔術《浄化》――
――生命魔術《状態回復》――
――生命魔術《再生》――
――生命魔術《完治》――
――生命魔術《聖水》――
――清潔――
俺は、スペシャルコースをプレゼントすることに。これで欠損部位も治せただろう。毒や病、怪我もなくなったはずだ。そして、その魔物の群れの先頭に、ヴァルー改めヴァルナが立ち、一同頭を下げて送還門に消えていった。
「ありがとな」
「どういたしまして。それじゃあ出発しますか」
俺は、バイク馬車を取り出した。いつもなら、俺だけが外にいて運転しているのだが、今日は違った。
「ラース。僕も何か運転したいの。ボムちゃんは、愛車があるんでしょ? 僕のは?」
好奇心旺盛のソモルンは、どうやら運転したいようだ。だが乗り物はない。しかし、目をキラキラさせている可愛い怪獣に、ないなんて言えない。そこで思い出した。遺跡で見つけた魔導機だ。魔導機工場もアンロックされた今、すぐに用意出来るはず。材料はギリギリだがある。
「さぁ、ソモルンの愛車だぞ。サイドカー二号だ。だが、ただのサイドカーじゃないぞ。水中にも、対応しているんだぞ。その代わり急いで造ったから、武器はついてないからな」
「本当? ありがとう。じゃあ、これで泉の中に入れるね」
「泉?」
俺は、どの泉に入るのか全然分からなかったが、ボムが教えてくれた。
「ここに来るときに寄ったところだ。ニールに会ったところだな。ソモルンとの約束は絶対なんだ。それに、泉の中に何かあったが、時間がなくて放置してきただろ? お宝があるかもしれないじゃないか♪」
「あ~あ。あれか。じゃあ泉に向かうんだな?」
「そうだ。俺のサイドカーも出せ。カルラとドライブするんだ」
「僕はニールと♪」
国外に出た瞬間、大はしゃぎするテイマーズ。とりあえず、泉に向かうのだった。
学園国家から泉へは数日かかる。もちろん転移で行けるが、ソモルンにとっては初めての旅である。そんな味気ないことはしたくなかったため、ゆっくりと向かった。そして、何事もなく到着するのだった。
と言いたいが、いくつかの問題があった。まず一つ目。閣下が、勝手に亜空間から出てきた。召喚時には大量の魔力を取られるのに、その時は何も感じなかったため、全然気づかなかった。それに、俺は外におり一人運転していたが、閣下はバイク馬車の中に現れたらしい。
そして、いつ気がついたかと言うと、休憩したときだった。目の前には、ニールと同じくらいの、角の生えた獅子がいた。最初は目の錯覚かと思ったが、ボムの腕に抱かれた閣下は本物だった。閣下を見たときの俺の第一声は、「なぜ?」だった。
理由は単純だった。寂しかっただけ。魔術で創った不思議系使い魔だが、生まれて間もない。さらに、召喚の度に大量の魔力を吸収していたのは、早く成長して、サイズ変更スキルを入手するためだったらしい。そして大会の時に見た、ボムとソモルンに会いたくて、勝手に出てきたというわけだ。
ちなみに、既に獅子王神様には似ていなかった。酒とつまみをたくさん食べて真ん丸な体になり、赤黒い獅子王神様とは違い赤紫色に変化していた。さらに、フルサイズボムと同サイズソモルンの、ぬいぐるみゴーレムをお願いをしてきた。
「ラース。この子に、名前をつけてあげなくていいのか? 閣下はあだ名だろ? 最初は、ヤキモチをやいてしまったが、今では可愛い弟だ。名前をつけてやらねば、可哀想だろう?」
名前をつけるのが面倒で、閣下と呼んでいたのもある。名前か……。
「じゃあ、『バロン』で。獅子の聖獣の名前で、そう言う名前があったはず」
「良い名前じゃないか。良かったな」
「グルァ(うん)」
名前が決まり喜んでいた閣下だが、ボムは不満そうだ。
「どうした?」
「なぁ、話せないのだが……」
「話したいのか?」
「もちろんだ」
と言うことで、閣下にも子機をつけてあげた。ゴーレムは、材料が集まり次第になった。モフリスト共とリオリクス様の注文で、消費してしまったからだ。一番必要なのは、ゴーレムの核だ。もちろん無傷の。現在、オークの国になっているダンジョンで手に入れた物は、既に使い切ってしまったからだ。
そして、閣下のことが一段落したとき、盗聴魔術から聞こえてきた、阿呆貴族共の悪巧み。賭けで大損し破産寸前の阿呆共は、俺達を襲撃するための、人を集めているらしい。だが、俺達がどこにいるか分からないため、作戦を変更するようだった。
その話を聞きながら、バイク馬車を運転していると、ようやく泉に着いたのだった。
「うわあー! 綺麗だー!」
大はしゃぎのソモルン。泉に向かって走る姿は、とても可愛い。すごく癒される。だが、カルラが丸呑みされた経験を活かし、周囲の警戒だけは決して怠らなかった。
「バロンも呼んだから、一緒に飯にしよう。そのあと探検な♪」
「うん♪」
ボムがソモルンを呼んで、予定を立てていた。そしてうちのおデブさんは、空腹のようだった。さらに、セルとカルラは、既におやつの相談をしていた。食いしん坊は、遺伝するのか? と、疑問に感じながらも、料理を出していくのだった。
そして、食後に探検を開始するのだが、ずっと気づいていたが、あえて触れないでいた問題について話をすることに。
「どうやって探検するんだ?」
「ソモルンの乗り物は、水中でも大丈夫なんだろ?」
「確かに。だが、泉の底には魔物がいて、サイドカー二号には武器はついてないぞ。攻撃されたらどうするんだ?」
「うーん……。雷霆魔術がある!」
「初めて船に乗った時みたいに故障するぞ」
水中という問題と、魔物の問題があったため、面倒になり放置していたのだったが、ボムはそう思っていなかったようだ。
「これが探検だな。困難を乗り越え、達成するから意味があると、言っていただろ? そして名案を思いついたぞ。ラースの魔術で、水を浮かせればいいと思うぞ」
満面の笑みを浮かべて、「やってくれるよな?」と、言いたげな目を向けてくる。これは、やらなければ落ち込むやつだ。拒否すると、モフモフ禁止令が出る、お願いモードだった。
「あまり長くは持たないからな。早くしてくれよ」
「任せろ! セルとカルラも手伝ってくれよ。おやつ権を譲るから!」
『やったー!』
どうやら、またリバーシ対決をして、権利を得ようとしていたが、譲られたため喜んでいた。カルラとセルは、モフリスト共や王女達と長くいたため、いろいろ教えてもらい甘い物に目覚めた。女子トークも、セルとするようになった。
そこにプルーム様の名前がないのは、甘い物よりも酒に興味があるからだ。だが、女子トークには、しっかりと参加していた。たまに、疑うときもあるが、女性であることを実感出来るのはいいことだと思う。そして、このお酒大好き美人も、お酒の要求をしてきた。俺には、了承以外の道はないことを知っているはずだが、一応聞いてきた。もちろん、答えは決まっている。
「楽しみにいていてください」
と、笑顔で返すのだった。
「じゃあ行くぞ!」
――流水魔術《操水》――
――重力魔術《軽岩》――
これで、少しなら空中に浮かせられるが、俺は無防備であるため早くして欲しい。
「行くぞー♪」
ご機嫌のボム達が走る。そして、水中にいた魔物は驚いていた。理由は、生物もまとめて水の中に入れたまま、持ち上げたからだ。探検のために討伐するのは、気が引けたからだ。
「おーい! そろそろ限界だぞー!」
三十分程経って、そろそろ限界を感じてきたため声を掛けると、ボム達が帰ってきた。全員いることを確認し、水を元に戻した。
「いい物あったか?」
「あぁ。プモルンを借りていって正解だったな。それからラースには、お土産があるぞ♪」
そう言って、ボムから手渡された物は、無属性の【オーブ】だった。これで二つ目である。
「ありがとな」
「いいってことよ!」
と言って、ツンデレ熊は照れていた。その後、おやつを食べ一泊した。
「これから行く場所で、お仕置きするんだろ? 俺も参加できるヤツにしてくれよ。ソモルンとバロンも、楽しみにしていたぞ。ニールは、お仕置きデビューだと言っていたな。この間の、クレーンゲームみたいなやつな♪」
お仕置きを娯楽にしているテイマーズ。確かに、クレーンゲームのときは、すごくはしゃいでいた。人間が飽きた後も、ずっとやっていた。これは何か考えなければと、一人考えていた。
そして、第一の目的地に到着した。そこは、阿呆貴族共の墓場。ドライディオス王国フェスティオ辺境伯領。つまり、カトレアの実家がある場所だ。カトレア達は、学園のために王都にいるのであって、以前はフェスティオ辺境伯領の領都に住んでいた。そして現在は、長男であり次期当主のエドガーが、代官をしていた。
俺達が到着した頃には、国境にある砦の周りに、帝国兵が隊列を組んでいた。あのゲリゲロ伯爵と、裏切り者のアハト子爵の兵にしては多く感じた。急遽集めたはずなのに、装備も揃っていたのだ。
ちなみに、このアハト子爵は、以前俺がオークの巣に送り込んだアハト公爵だ。国家転覆まで企て、呪殺しようとしたのに、爵位剥奪ではなく降爵だけで済んでいた。そして、爵位は子爵になったが、未だに派閥は存在し、再起を狙っていた。どうやらあの国王は、股間の痛みが消えなくても構わないらしい。
だが、今は目の前の問題だ。何故、五千近い兵がいるのかということだ。そこで、盗聴魔術を使ってみることに。
『将軍閣下が何故ここに?』
『知らないのか? 首輪をつけていた、強力な魔物が消えたんだ。既に宣戦布告も終わり、これから戦だって言うのに、戦力が激減したのでは話にならん。故に、奴隷獲得と金品の確保。それで、傭兵王国から奴隷を買うしかあるまい。お主らの兵は、後詰めにまわれ。まずはあの砦を崩す。そしたら、こちらのものよ』
『お任せあれ』
うーん……。俺のせいだった。これは、助力しなければならなくなったな。面倒だから、まとめて片付けよう。痺れさせて、オークの国へ送ることにしよう。もうすぐ、労働力が必要になるから、阿呆は多い方がいいだろう。
――大地魔術《大地鳴動》――
――流水魔術《瀑布》――
――大地魔術《地剣の舞》――
――磁力魔術《引力》――
――雷霆魔術《轟》――
――時空魔術《転送》――
――時空魔術《転送門》――
……あっ! 最後の転送門の座標を間違えた。子爵と伯爵を間違えて、蛇の巣の蛇の部屋に送ってしまった。転送された瞬間、大蛇に囲まれるとか……俺なら死ぬな。絶対無理だ。そして、ゲリゲロの娘とカトレアの噂を流したストーカー君は、そのままである。
理由は、カトレアとの決闘で去勢された彼は、その後変態の会の調……洗脳によって、新たな扉を開いてしまった。それに加え、去勢されてしまったため、誘拐疑惑があるカトレアよりも、結婚の相手を見つけることが難しくなった。今の彼は、カトレアと立場が逆になってしまったのだ。彼には是非、自分の嗜好に合う人を、見つけてもらいたい。
そして、自称ゲリゲロ商会次期会長には、負債地獄を味わってもらうことにした。商売をなめている阿呆には、金の大切さを是非とも知ってもらいたかったからだ。二人とも頑張って欲しい。父親は帰って来ないから。そしてアハト公爵も。
息子のアハト伯爵は、領民を殺す疫病をわざと流行らせたため、犯罪奴隷で鉱山に行ってしまった。これで、アハト家は滅亡が決定したようなものだ。あの阿呆国王は、いったいどうするのだろうか。対応が楽しみである。そして、あの阿呆国王を期間限定でオークの国体験に、行ってもらうのもありだろう。オークの統治能力を、学んできてもらいたい。もう少ししたら、行ってもらうことにしよう。体験型学習には、色々と準備が必要だからだ。
ようやく問題が片付き、気持ちよく教国に向かうのだった。
そこは、俺にとっては、全ての始まりの場所。そして、最初に死んだ場所でもあった。俺にとっては、重要な場所であることは、間違いなかった。あの狂信者達は、どんな顔を俺に見せてくれるのだろうか。
「クゥーン」
「ラース。お別れって言わないで」
と、カトレアに言われた。何故だろう。プルーム様の顔が怖い。
「じゃあ……別行動?」
「うん。また後でね」
すぐにプルーム様の顔を見ると、笑顔に戻っていた。良かった……。
そして、手続きをして外に出た。しばらく進み開けた場所に来ると、カルラ達は別れを惜しんでいた。ボムは、子熊達に囲まれていた。親子の別れでもしているのだろう。セレール様とグレタも、プルーム様達にあいさつをしていた。
「ギンは、たまに転移してくるらしいが、タマも転移してくるのか? 子機あげたじゃん」
プルーム様が、リオリクス様に確認したところ、許可がおり俺に強請ってきた。お使いも達成してたし、幻影魔術という便利な魔術を、教えてもらったためあげたのだった。
「えぇ。皆で食べたり飲んだりするから、楽しく美味しいのです。一度、主の下へ帰らねばなりませんが、その後ギンのところに行きます。そして、たまに転移してきますので、よろしくお願いします」
コイツもなかなか図々しいヤツだった。そして、もちろん雷竜王とガルーダは残る。ガルーダはともかく、雷竜王の強かさはすごかった。自身の加護を餌に、ニールを味方に引き込んだ。雷竜王の加護は、属性纏の補正【極】だからだ。ニールにとっては、是が非でも欲しいだろう。そして俺らは、「ここにいていいの?」と、言えなくなった。
「じゃあ行きます」
――時空魔術《転移》――
「ではまた」
「えぇ。グリフォンの保護区で」
俺に逃げ場を与えないようにする、モフリスト筆頭だった。子熊達に囲まれる前に、子熊達の頭を撫で転移した。
「じゃあ、次はヴァルーだな」
「頼むぞ」
――時空魔術《転送門》――
目の前の草原を、埋め尽くすほどの魔物の群れ。全部が解放を望んでいないかもしれなかったため、聞いてみることにした。
「帝国に帰りたいよ! って言う方は、手を挙げて!」
……誰もいなかった。というか、確認するときに【神魔眼】で見たが、体を欠損しているものが山ほどいた。それを目にしたボムは悲しそうだった。
――神聖魔術《解呪》――
――神聖魔術《浄化》――
――生命魔術《状態回復》――
――生命魔術《再生》――
――生命魔術《完治》――
――生命魔術《聖水》――
――清潔――
俺は、スペシャルコースをプレゼントすることに。これで欠損部位も治せただろう。毒や病、怪我もなくなったはずだ。そして、その魔物の群れの先頭に、ヴァルー改めヴァルナが立ち、一同頭を下げて送還門に消えていった。
「ありがとな」
「どういたしまして。それじゃあ出発しますか」
俺は、バイク馬車を取り出した。いつもなら、俺だけが外にいて運転しているのだが、今日は違った。
「ラース。僕も何か運転したいの。ボムちゃんは、愛車があるんでしょ? 僕のは?」
好奇心旺盛のソモルンは、どうやら運転したいようだ。だが乗り物はない。しかし、目をキラキラさせている可愛い怪獣に、ないなんて言えない。そこで思い出した。遺跡で見つけた魔導機だ。魔導機工場もアンロックされた今、すぐに用意出来るはず。材料はギリギリだがある。
「さぁ、ソモルンの愛車だぞ。サイドカー二号だ。だが、ただのサイドカーじゃないぞ。水中にも、対応しているんだぞ。その代わり急いで造ったから、武器はついてないからな」
「本当? ありがとう。じゃあ、これで泉の中に入れるね」
「泉?」
俺は、どの泉に入るのか全然分からなかったが、ボムが教えてくれた。
「ここに来るときに寄ったところだ。ニールに会ったところだな。ソモルンとの約束は絶対なんだ。それに、泉の中に何かあったが、時間がなくて放置してきただろ? お宝があるかもしれないじゃないか♪」
「あ~あ。あれか。じゃあ泉に向かうんだな?」
「そうだ。俺のサイドカーも出せ。カルラとドライブするんだ」
「僕はニールと♪」
国外に出た瞬間、大はしゃぎするテイマーズ。とりあえず、泉に向かうのだった。
学園国家から泉へは数日かかる。もちろん転移で行けるが、ソモルンにとっては初めての旅である。そんな味気ないことはしたくなかったため、ゆっくりと向かった。そして、何事もなく到着するのだった。
と言いたいが、いくつかの問題があった。まず一つ目。閣下が、勝手に亜空間から出てきた。召喚時には大量の魔力を取られるのに、その時は何も感じなかったため、全然気づかなかった。それに、俺は外におり一人運転していたが、閣下はバイク馬車の中に現れたらしい。
そして、いつ気がついたかと言うと、休憩したときだった。目の前には、ニールと同じくらいの、角の生えた獅子がいた。最初は目の錯覚かと思ったが、ボムの腕に抱かれた閣下は本物だった。閣下を見たときの俺の第一声は、「なぜ?」だった。
理由は単純だった。寂しかっただけ。魔術で創った不思議系使い魔だが、生まれて間もない。さらに、召喚の度に大量の魔力を吸収していたのは、早く成長して、サイズ変更スキルを入手するためだったらしい。そして大会の時に見た、ボムとソモルンに会いたくて、勝手に出てきたというわけだ。
ちなみに、既に獅子王神様には似ていなかった。酒とつまみをたくさん食べて真ん丸な体になり、赤黒い獅子王神様とは違い赤紫色に変化していた。さらに、フルサイズボムと同サイズソモルンの、ぬいぐるみゴーレムをお願いをしてきた。
「ラース。この子に、名前をつけてあげなくていいのか? 閣下はあだ名だろ? 最初は、ヤキモチをやいてしまったが、今では可愛い弟だ。名前をつけてやらねば、可哀想だろう?」
名前をつけるのが面倒で、閣下と呼んでいたのもある。名前か……。
「じゃあ、『バロン』で。獅子の聖獣の名前で、そう言う名前があったはず」
「良い名前じゃないか。良かったな」
「グルァ(うん)」
名前が決まり喜んでいた閣下だが、ボムは不満そうだ。
「どうした?」
「なぁ、話せないのだが……」
「話したいのか?」
「もちろんだ」
と言うことで、閣下にも子機をつけてあげた。ゴーレムは、材料が集まり次第になった。モフリスト共とリオリクス様の注文で、消費してしまったからだ。一番必要なのは、ゴーレムの核だ。もちろん無傷の。現在、オークの国になっているダンジョンで手に入れた物は、既に使い切ってしまったからだ。
そして、閣下のことが一段落したとき、盗聴魔術から聞こえてきた、阿呆貴族共の悪巧み。賭けで大損し破産寸前の阿呆共は、俺達を襲撃するための、人を集めているらしい。だが、俺達がどこにいるか分からないため、作戦を変更するようだった。
その話を聞きながら、バイク馬車を運転していると、ようやく泉に着いたのだった。
「うわあー! 綺麗だー!」
大はしゃぎのソモルン。泉に向かって走る姿は、とても可愛い。すごく癒される。だが、カルラが丸呑みされた経験を活かし、周囲の警戒だけは決して怠らなかった。
「バロンも呼んだから、一緒に飯にしよう。そのあと探検な♪」
「うん♪」
ボムがソモルンを呼んで、予定を立てていた。そしてうちのおデブさんは、空腹のようだった。さらに、セルとカルラは、既におやつの相談をしていた。食いしん坊は、遺伝するのか? と、疑問に感じながらも、料理を出していくのだった。
そして、食後に探検を開始するのだが、ずっと気づいていたが、あえて触れないでいた問題について話をすることに。
「どうやって探検するんだ?」
「ソモルンの乗り物は、水中でも大丈夫なんだろ?」
「確かに。だが、泉の底には魔物がいて、サイドカー二号には武器はついてないぞ。攻撃されたらどうするんだ?」
「うーん……。雷霆魔術がある!」
「初めて船に乗った時みたいに故障するぞ」
水中という問題と、魔物の問題があったため、面倒になり放置していたのだったが、ボムはそう思っていなかったようだ。
「これが探検だな。困難を乗り越え、達成するから意味があると、言っていただろ? そして名案を思いついたぞ。ラースの魔術で、水を浮かせればいいと思うぞ」
満面の笑みを浮かべて、「やってくれるよな?」と、言いたげな目を向けてくる。これは、やらなければ落ち込むやつだ。拒否すると、モフモフ禁止令が出る、お願いモードだった。
「あまり長くは持たないからな。早くしてくれよ」
「任せろ! セルとカルラも手伝ってくれよ。おやつ権を譲るから!」
『やったー!』
どうやら、またリバーシ対決をして、権利を得ようとしていたが、譲られたため喜んでいた。カルラとセルは、モフリスト共や王女達と長くいたため、いろいろ教えてもらい甘い物に目覚めた。女子トークも、セルとするようになった。
そこにプルーム様の名前がないのは、甘い物よりも酒に興味があるからだ。だが、女子トークには、しっかりと参加していた。たまに、疑うときもあるが、女性であることを実感出来るのはいいことだと思う。そして、このお酒大好き美人も、お酒の要求をしてきた。俺には、了承以外の道はないことを知っているはずだが、一応聞いてきた。もちろん、答えは決まっている。
「楽しみにいていてください」
と、笑顔で返すのだった。
「じゃあ行くぞ!」
――流水魔術《操水》――
――重力魔術《軽岩》――
これで、少しなら空中に浮かせられるが、俺は無防備であるため早くして欲しい。
「行くぞー♪」
ご機嫌のボム達が走る。そして、水中にいた魔物は驚いていた。理由は、生物もまとめて水の中に入れたまま、持ち上げたからだ。探検のために討伐するのは、気が引けたからだ。
「おーい! そろそろ限界だぞー!」
三十分程経って、そろそろ限界を感じてきたため声を掛けると、ボム達が帰ってきた。全員いることを確認し、水を元に戻した。
「いい物あったか?」
「あぁ。プモルンを借りていって正解だったな。それからラースには、お土産があるぞ♪」
そう言って、ボムから手渡された物は、無属性の【オーブ】だった。これで二つ目である。
「ありがとな」
「いいってことよ!」
と言って、ツンデレ熊は照れていた。その後、おやつを食べ一泊した。
「これから行く場所で、お仕置きするんだろ? 俺も参加できるヤツにしてくれよ。ソモルンとバロンも、楽しみにしていたぞ。ニールは、お仕置きデビューだと言っていたな。この間の、クレーンゲームみたいなやつな♪」
お仕置きを娯楽にしているテイマーズ。確かに、クレーンゲームのときは、すごくはしゃいでいた。人間が飽きた後も、ずっとやっていた。これは何か考えなければと、一人考えていた。
そして、第一の目的地に到着した。そこは、阿呆貴族共の墓場。ドライディオス王国フェスティオ辺境伯領。つまり、カトレアの実家がある場所だ。カトレア達は、学園のために王都にいるのであって、以前はフェスティオ辺境伯領の領都に住んでいた。そして現在は、長男であり次期当主のエドガーが、代官をしていた。
俺達が到着した頃には、国境にある砦の周りに、帝国兵が隊列を組んでいた。あのゲリゲロ伯爵と、裏切り者のアハト子爵の兵にしては多く感じた。急遽集めたはずなのに、装備も揃っていたのだ。
ちなみに、このアハト子爵は、以前俺がオークの巣に送り込んだアハト公爵だ。国家転覆まで企て、呪殺しようとしたのに、爵位剥奪ではなく降爵だけで済んでいた。そして、爵位は子爵になったが、未だに派閥は存在し、再起を狙っていた。どうやらあの国王は、股間の痛みが消えなくても構わないらしい。
だが、今は目の前の問題だ。何故、五千近い兵がいるのかということだ。そこで、盗聴魔術を使ってみることに。
『将軍閣下が何故ここに?』
『知らないのか? 首輪をつけていた、強力な魔物が消えたんだ。既に宣戦布告も終わり、これから戦だって言うのに、戦力が激減したのでは話にならん。故に、奴隷獲得と金品の確保。それで、傭兵王国から奴隷を買うしかあるまい。お主らの兵は、後詰めにまわれ。まずはあの砦を崩す。そしたら、こちらのものよ』
『お任せあれ』
うーん……。俺のせいだった。これは、助力しなければならなくなったな。面倒だから、まとめて片付けよう。痺れさせて、オークの国へ送ることにしよう。もうすぐ、労働力が必要になるから、阿呆は多い方がいいだろう。
――大地魔術《大地鳴動》――
――流水魔術《瀑布》――
――大地魔術《地剣の舞》――
――磁力魔術《引力》――
――雷霆魔術《轟》――
――時空魔術《転送》――
――時空魔術《転送門》――
……あっ! 最後の転送門の座標を間違えた。子爵と伯爵を間違えて、蛇の巣の蛇の部屋に送ってしまった。転送された瞬間、大蛇に囲まれるとか……俺なら死ぬな。絶対無理だ。そして、ゲリゲロの娘とカトレアの噂を流したストーカー君は、そのままである。
理由は、カトレアとの決闘で去勢された彼は、その後変態の会の調……洗脳によって、新たな扉を開いてしまった。それに加え、去勢されてしまったため、誘拐疑惑があるカトレアよりも、結婚の相手を見つけることが難しくなった。今の彼は、カトレアと立場が逆になってしまったのだ。彼には是非、自分の嗜好に合う人を、見つけてもらいたい。
そして、自称ゲリゲロ商会次期会長には、負債地獄を味わってもらうことにした。商売をなめている阿呆には、金の大切さを是非とも知ってもらいたかったからだ。二人とも頑張って欲しい。父親は帰って来ないから。そしてアハト公爵も。
息子のアハト伯爵は、領民を殺す疫病をわざと流行らせたため、犯罪奴隷で鉱山に行ってしまった。これで、アハト家は滅亡が決定したようなものだ。あの阿呆国王は、いったいどうするのだろうか。対応が楽しみである。そして、あの阿呆国王を期間限定でオークの国体験に、行ってもらうのもありだろう。オークの統治能力を、学んできてもらいたい。もう少ししたら、行ってもらうことにしよう。体験型学習には、色々と準備が必要だからだ。
ようやく問題が片付き、気持ちよく教国に向かうのだった。
そこは、俺にとっては、全ての始まりの場所。そして、最初に死んだ場所でもあった。俺にとっては、重要な場所であることは、間違いなかった。あの狂信者達は、どんな顔を俺に見せてくれるのだろうか。
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目指すは“のんびり自由な冒険者ライフ‼︎“
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勇者召喚に巻き込まれ、異世界転移・貰えたスキルも鑑定だけ・・・・だけど、何かあるはず!
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9月11日、12日、ファンタジー部門2位達成中です!
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この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
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