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狂う神の夢
どの世界も誰かの夢かも知れない
しおりを挟むとある世界の中心に、
神様と呼ばれるただ一人の存在が居た。
言葉一つで全てを“有”とする。
“言霊”の神様。
それ故に狂ってしまった唯一の存在。
小さな世界も、大きな世界も、その一人の“想い”の結晶の欠片。
何度も何度も“想い”が紡がれ、
何度も何度も“想い”が壊れて行く。
それは“想い”が全ての始まりで“想い”が全ての終わりにもなり得る。
それは神の夢の中、
“想い”一つで世界は揺らぎ、
“想い”一つで世界は崩壊へと歩みを進め、
“想い”一つで世界は救われる。
神の夢は、一雫の白い珠。
そこに産声を上げるのは、果たして何であるのか?
神自身にも、それは解らない。
ひび割れた白い珠が、床のあちらこちらと散らばって、キラキラと輝いている。
その中心には透明の柩が在り、上空に新たな白い珠が浮いていた。
柩は、ただ静かに、そこに在った。
一人の男が傍らに佇んで、静かにそれを見下ろして居る。
「……真に逢えるのは、何時になるのか?」
男は柩に手の平を当て、体を曲げる。
そしてその形の整った顔を歪め、愛おしそうに柩に唇を押し当てた。
返ってくるのは、ひんやりとした冷たさと、彼自身の顔が映る柩。
その中に居る、金に輝く髪の者は、ただ、静かに横たわって居た。
「まだ、次もある。ただ……僕が───……」
男は項垂れる。
言葉にしたら、それは現実になりそうで恐ろしく、その怖さを知っているからこそ、口を噤む。
柩の上空に光る白い珠を、男は静かに見上げ、祈る様に瞳を閉じた。
事はまだ、また、始まったばかりなのだから。
男はただ、愛した人の目覚めを待ち続け、眠る彼の人はただ二人の幸福を夢に見る。
これは、この世界の始まりで、終わりになるかもしれない物語の始まり。
隠された真実を紐解く事が、救いになるかどうかは、まだ、誰にも判りはしない。
新たな白い珠がほんのりと輝きを増す。
その世界は活発に動き出した。
どの白い珠もそれぞれの独立した世界。
けれども、どの世界にも同じ魂の物語が息づいている。
それは、柩の中の神様と、それを想い待ち続ける男の……
優月と朗の、
魂の物語。
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