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夏の光
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家に戻ると、母が起きていた。
先ほどよりも、体調が良さそうに見える。
「おにぎり買ってきたの? 良いわね」と、母が言う。
「うん。一応。お腹空いたから」と、僕が言った。
おにぎりを、母の前で、もそもそと食べる。
母が、ゆっくりと緑茶をいれてくれた。
二人で、お茶を飲んでしばらく過ごしていると、いつの間にか、学校の時間が近くなってしまった。
「ごめんね……。朝からご飯作れなくて」と、母が言う。
「帰ってきたらで、大丈夫だから」と、僕が言う。
そのまま、おにぎりをのせていた、お皿を軽く流しで洗うと、服を着替えて、そのまま学校に向かうことにした。
新見高校に着くと、生徒たちがしんとしていた。
校門の前は、騒がしくて、教室はしんとしてるから、どうも様子がいつもより違っているように思った。
「幸人?」と、声がした。隣には、広人がいる。いつの間にか、気づかない間に、そばにやってきたらしい。
「ちょっとこっちに来れる?」と、広人が言った。
そのまま、連られて、教室の外へと出て行く。
「長谷川さんのこと知っている?」と、広人が興奮した口調で、僕に聞く。
「長谷川さん……? 知らない。今日はまだ会っていないよ」と、僕が言った。
「うん」と、広人が先ほどよりも、少し落ち着いた表情で言った。
「長谷川さん。昨日の夜から姿が見えないんだって……」と、広人が言う。
「事件?」と、思わず僕が、あまり口にしてはいけないことを、言ってしまう。
「たぶん違うと思うけど……。最近、長谷川さんと、長谷川さんのお母さんがあまり仲が良くなくて、お兄さんのいる山梨まで出て行っちゃったんじゃないか、って言う話しらしい」と、広人が色々と、説明をしてくれた。
有紀がいなくなってしまったらしい。
僕は、急に記憶が遠くなるような感じがした。
あまり、最近感じなかった、怖れのような感覚が、体に染み込む感じを急に覚える。
「まだ来ていない?」と、僕が言った。
「うん……。そうみたい」と、広人が言う。
そのまま、教室で生徒たちが集まって、先生から長谷川有紀のことの説明が有った。
長谷川さんは、一時的に登校していないだけだから、気にしないで勉強するということ。
色々、興奮して、あらぬ噂を立てないこと。
母親と父親から、きちんと話しを聞いているから、思い付いたようなことを言わないこと。
そのような説明だった。
そのまま、授業が始まって、僕も真剣に授業に耳を傾けた。
有紀? どこに行ってしまったのだろうか。
ペン先が、静かに震えている。
僕は、そう考えていた。
昨日の、冷たい雨も流されてすっかり消えてしまっていた。
窓の外では、夏の光が、鈍く滲んでいる。
僕は、大きく息を机の上で吐くと、また有紀のことを、考えた。
さらさらとした真夏の光の下で、先生の黒板のチョークだけが、ただ静かに動いていた。
先ほどよりも、体調が良さそうに見える。
「おにぎり買ってきたの? 良いわね」と、母が言う。
「うん。一応。お腹空いたから」と、僕が言った。
おにぎりを、母の前で、もそもそと食べる。
母が、ゆっくりと緑茶をいれてくれた。
二人で、お茶を飲んでしばらく過ごしていると、いつの間にか、学校の時間が近くなってしまった。
「ごめんね……。朝からご飯作れなくて」と、母が言う。
「帰ってきたらで、大丈夫だから」と、僕が言う。
そのまま、おにぎりをのせていた、お皿を軽く流しで洗うと、服を着替えて、そのまま学校に向かうことにした。
新見高校に着くと、生徒たちがしんとしていた。
校門の前は、騒がしくて、教室はしんとしてるから、どうも様子がいつもより違っているように思った。
「幸人?」と、声がした。隣には、広人がいる。いつの間にか、気づかない間に、そばにやってきたらしい。
「ちょっとこっちに来れる?」と、広人が言った。
そのまま、連られて、教室の外へと出て行く。
「長谷川さんのこと知っている?」と、広人が興奮した口調で、僕に聞く。
「長谷川さん……? 知らない。今日はまだ会っていないよ」と、僕が言った。
「うん」と、広人が先ほどよりも、少し落ち着いた表情で言った。
「長谷川さん。昨日の夜から姿が見えないんだって……」と、広人が言う。
「事件?」と、思わず僕が、あまり口にしてはいけないことを、言ってしまう。
「たぶん違うと思うけど……。最近、長谷川さんと、長谷川さんのお母さんがあまり仲が良くなくて、お兄さんのいる山梨まで出て行っちゃったんじゃないか、って言う話しらしい」と、広人が色々と、説明をしてくれた。
有紀がいなくなってしまったらしい。
僕は、急に記憶が遠くなるような感じがした。
あまり、最近感じなかった、怖れのような感覚が、体に染み込む感じを急に覚える。
「まだ来ていない?」と、僕が言った。
「うん……。そうみたい」と、広人が言う。
そのまま、教室で生徒たちが集まって、先生から長谷川有紀のことの説明が有った。
長谷川さんは、一時的に登校していないだけだから、気にしないで勉強するということ。
色々、興奮して、あらぬ噂を立てないこと。
母親と父親から、きちんと話しを聞いているから、思い付いたようなことを言わないこと。
そのような説明だった。
そのまま、授業が始まって、僕も真剣に授業に耳を傾けた。
有紀? どこに行ってしまったのだろうか。
ペン先が、静かに震えている。
僕は、そう考えていた。
昨日の、冷たい雨も流されてすっかり消えてしまっていた。
窓の外では、夏の光が、鈍く滲んでいる。
僕は、大きく息を机の上で吐くと、また有紀のことを、考えた。
さらさらとした真夏の光の下で、先生の黒板のチョークだけが、ただ静かに動いていた。
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