灼熱の風

夢野とわ

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商人見習い

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 翌朝、眩しい朝の光が射し込んでいるのをホセは感じると、起きてコップ一杯の冷たい水をごくごくと飲んだ。ホセは顔を洗うと、そのまま身支度をして、メロッサ中心街へと、向かった。ホセの上司に当たる男は、ロッペ・ガロンと言って、ベテランの商人だった。ホセは、まだ若い男であったから、四十代を迎えるまでは、流通の発注とお金の管理は任せられないとの事で、雑役に当たる体を使った仕事をしていた。ロッペの指示を受けて、荷物の運搬をすると、倉庫の中でも、メロッサの都市部でも、屈強なホセの体もくたくたになる。
生傷が耐えないのは、当然だった。
ホセが街を歩くと、子どもたちが、「ホセ! ホセ! マルティ・ホセ!」と、言って、働きに出ようとする、ホセに手を振っていた。
砂塵が吹いて、砂埃を巻き上げた。
ホセは、メロッサの運搬の仕事場所に付くと、親方に挨拶をして、早速荷物運びを始めた。
ホセは、こうして体を使った仕事が嫌いではなかった。体を使うと、食事も良く増すし、食事の味も美味しく感じると思うのであった。昼過ぎの休憩まで、親方の指示に合わせて、ひたすら荷役を勤める。商人見習いの身分と言っても、まだまだ雑役であった。
しかし、ホセはそのことを苦に思ったことは、一度もなかった。

日が正午の位置まで高くなるまで、ホセは真面目に働いた。
重い運搬の仕事をすると、筋肉がきしみ、ホセの体に圧力がかかった。
休むわけには、いかなかった。ホセはそう思った。
昼休憩になると、仲間うちで食事をとり、ホセは、煙草を吸った。
仲間うちの人間は、ホセには、マヤ・アンジョルという、美しい恋人がいることを、知っていたから、仲間たちは、皆羨ましがったし、ホセのことを、悪気はなく、はやし立てる仲間もいた。
ホセは、普段は物静かで、シャイであったから、ホセの嫌みのない、笑顔をみると、男たちは、自然と静まった。
午後からは、また日が落ちるまで、労働である。
時々、メロッサの遠くから、塩の香りのようなものが吹いてきて、この近くには、海があったか、とホセは思うのだが、それはホセの乾いた汗の匂いだった。
仕事が終わると、ロッペ・ガロンが、やって来た。
「マルティ、ホセ!」と、ロッペが呼んで、ホセは振り返った。
「ロッペさん、どうしてここへ?」と、ホセが聞くと、「何! 今日は給料日だろう、忘れなさんな」と、ロッペが言い、労をねぎらってくれた。
ロッペが、運搬の仕事は辛いだろうが、ずっと同じ繰り返しではないから、と言うと、ホセは、「僕はこの仕事は、嫌いではありません」と、言って、ロッペが安心したようだった。
また、メロッサの外れの家路に着く。
焦ることなく、急ぐことなく、メロッサの都市部を下って、家に向かうこの時間が、ホセは一番好きだった。
ホセは、子どもと動物が好きだったから、カルジョアー五世の治世時代のような、苦悩の印が、子どもたちの顔に浮かんでいないことが、何よりも良いと思うのだった。
メロッサに、日が沈んでいこうとしている。
ホセは、息を吐いた。しばらく歩くと、マヤ・アンジョルの背の高い姿が見えた。
今日は、仕事終わりのホセの、迎えに来てくれたのだった。
「ホセ! マルティ!」と、マヤが言った。
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