H・E・ S~せっかく桃太郎の世界に来たので逆に桃太郎を退治したいと思います~

D×H

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第一章桃チャンの世界…俺がまるっとハッピーエンドにしてやるぜ!

第5話イケおじには、角がありましたとさ☆

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なあ、普通さ……。
鬼って言ったらどんな姿を思い浮かべる?

俺なら、そうだな。……真似できない、勇者にしか着こなせない、大◎のおばちゃんが好んで着る柄、そう!!…ヒョウ柄出はなく、虎柄が眩しいパンいち姿に、フッサフサの天パ。
そして忘れちゃいけない角に牙。
武器は金棒だ。

そうだろう?……皆もそう思うよな。
良かったよ、満了一致で。
そう、解ってるって。
それが正しい日本の鬼の姿さ!
…って、誰に話かけてんのって、事なんだけど、俺の驚きを表現するには、ここまで必要だったんだ。
だって誰が思うよ、目の前の鬼は殺気こそ鋭く、その鋭い目は、その眼力だけでも獲物を射殺せそうだが。
角こそ生えてるが、姿形はいぶし銀のイケおじと来たものだから、まあ、驚くよね?

さらさらの絹のような長い黒髪を後でゆったりと結わえており、その服装は黒一色では有るけれど、平安時代の貴族の衣装を思わせた。
その目は切れ長で、なかなか御目にかかれない美丈夫。
身長も高く、その牙は吸血鬼のそれを彷彿とさせる。
頭に生えた一本の角すらとても彼には似合っていた。
恐ろしい威圧感さえなければ、ヒールは先程の襲ってきた男達の方だと思うだろう。

でも、……戦ったら一瞬で殺られる。
ずぶの素人の俺にでも、それくらい解る。

「そなた、面妖な格好をしているな……」

「え?……」

まさか普通に話しかけられるとは思っていなかったので間抜けな返事になってしまった。
だって鬼に話しかけられるとは思わないだろう?

「何処から来たのだ?……幸の敵では無いようだが……」

ん?……見知った名前に反応する。
今、幸って言ったか?このおっさん。

「あんた、幸の知り合いか?」

「そなたは幸の敵か?」

「あんなに可愛い娘の敵にだけはなりたくないね。……そこに転がっているおっさん達の敵になるなまだしもさ」

いや、今も正直びびりまくってますよ?
当然ですよね。
何せ、目の前に恐い鬼がいるんですから。
ええ、私も普通の男の子ですからね。
心の声がおかしくなっているのは容赦して頂きたい。
表面上、《私…普通ですけど、何か?》見たいな表情は勿論強がりだ。
びびったと思われたら、喧嘩は負けるのだ。

「フッ……同感だ……」

「え…………?」

まさか、目の前のイケおじに肯定されるとは思わず、またもお間抜けさんになってしまった。

「あんた幸の知り合いか?……もしかして、今まで幸を助けて来たのもあんたか?」

それなら、幸が今まで生きてこれたのも頷ける。
最強のガーディアンが付いているのだから。
しかもこのおっさん、良く見たら農民を一人も殺してはいなかった。
誰一人血を流していないし、彼らは息もしている。
だから、自然と恐怖も退いている。

「俺は、幸の父親だ」

「!!!!」

思った以上に衝撃的な言葉だ。
言われてみれば、何処と無く似ている。
ふとした表情とか。

「親父だったのか。……今まで幸を助けていたのも?」

「俺の娘だ。当然だろう」

「なら、何で幸の前に現れてやらない?」

幸は自分の父親を知らないと言っていた。
と言うことは、少なくともこのおっさんは幸の意識が有るときには姿を表していない事になる。

「……俺の子供だと知られてしまえば、余計に命を狙われてしまう。……だから、離れるしかなかった」

「何か複雑な思いが有るんだな……って待てよ、じゃあ何で今になって幸の目の前に現れたんだ?……幸は小屋の中でこちらを伺っているぜ?」

「ここからなら、小屋までは話し声は聞こえないだろうそれに……」

確かに争いながらも俺は小屋とは距離を取る努力をしていた。
そのかいあってか、少し小屋とは距離がある。

「それに?」

「初めて人間で幸を守ろうとする者が現れたのだ。……間近で見てみたいと思うのが親心だろうよ。……幸は、鬼の世界で生きてきた訳ではない」

「で?……おっさんはこれからどうすんのさ?」

目の前のイケおじは、何やら真剣な表情で思案中だ。
月の光効果で、イケメン率倍増だが、俺は男の子だから、正直目の前のおっさんが禿げたチビでもどうでも良い。
寧ろ、その方がイケおじよりも愛着がわくってもんだ。
更に俺にはないさらさらキューティクルは怨めしい。
自慢じゃないが、俺は天性の天パの赤毛だ。……別に染めている訳じゃないのに髪が生まれつき赤い。
天パがどうしても嫌で髪を短く切り、ツンツンに立てている。
それをどうだろう?……目の前の男はそんな悩みなど感じた事はないのだ。(俺が今そうに違いないと決めた)

俺が明後日の事を考えていると、目の前の幸父の考えは決まった様だった。

「お主に頼みがある」

「お主じゃなくて、瞬。……神白瞬だ。……親がつけてくれた立派な名前があるから、呼ぶなら名前で呼んでくれ」

「……瞬に頼みがある」

「何だ?…幸絡みか?おっさん」

「お前に名前が有るように、俺にも名はある。……羅刹と呼べ。……幸を守る瞬には呼ぶことを許そう」

「へーへー有難いこって……」

鬼が名を呼ばせるのがどれ程の事なのか知りもしない俺は、軽く返事をした。

「幸を連れ、ある人物を探して、幸に合わせて欲しい」

「それは、幸にとって必要な事か?」

「ああ」


「なら、引き受けた」

「済まない、恩に着る」

「恩を感じているなら、今じゃ無くても良いから、いつか幸に会ってやってくれよ。あのままじゃ、幸が可哀想だ」

「……解った……」

羅刹は、約束すると当面必要になるであろう賃金と幸の髪を隠す特種な被り物を俺に手渡した。

「まさか、危ない金じゃ無いだろうな?」

俺が疑惑ありげでで聞くと、羅刹は心配ないとだけいった。
半信半疑だが、信じるしかない訳で。
だって、お金は必要何ですもの。

「有り難く使わせて貰うよ……で、そいつの特徴とか居場所はあてがあるのか?」

「名前は桃太郎。……いる場所は、ここより北の方角にいる。……女の様な顔をした青年だ」

「え?…」

本日何度目かはもう解らないが、俺はまたも間抜けな返事をしてしまった。

「桃太郎って、桃太郎?」

「お前が言っている桃太郎かは解らぬが、」

そりゃそうか。俺たちにとって桃太郎は童話の英雄だ。
何故幸が英雄に会わなければならないのか、は解らないけど、でも、桃太郎の世界って、昔話のままなら鬼退治じゃ無いのか?
良いのだろうか?

「ま、いいや。……取り敢えず幸と一緒に朝になったら桃太郎探しの旅に出るよ」

有り難う……その言葉を残し、羅刹は暗闇に消えていった。

俺はと言うと、小屋に戻った後幸に質問攻めにあったのは言うまでもない。
帰るためには、何かをしなければいけないのだろうけど、何をしたら良いのか解らないのだから、取り敢えずの目標は無いよりあった方が良い。

さしあたっては幸を桃ちゃんに会わせないとな!
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