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約束のクレープ
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昔から私はよくいじめられていた私は、いつも夢花に助けられていた。そして、高校でもそうだった。幾度となくいじめられてきた私にとって、毎回助けてくれる夢花はヒーローで、夢花さえいれば、どんな悩みもどんな苦痛もどうとでもなる気がしていた。しかし現実はそんなに甘くなかった。夢花にだって限界はあるし、私だって強くならなきゃいけない。それを、高校生になって痛感した。今度こそ私は、夢花に頼らなくても何とかなるくらい、あるいは夢花と2人で、どんな困難にも立ち向かえるくらい強くならなければいけない。そう思った。
夢花と私は、学校に着くや否や、2人で職員室へ突撃した。あらかじめ嫌がらせの数々をまとめておいて、そのノートを2人で提出した。
「先生、私、あの子たちに嫌がらせとかで仕返ししたいわけじゃないんです。ただ、私は静かに学校生活を送りたい。私はただ授業の合間に少し友だちと話す時間があって、少し予習復習に打ち込む時間が欲しいだけなんです」
「あたしも、なんかいじめてやりたい!とかそういうわけじゃないんです。あたしはただ、あたしたちが平和に過ごせればいい。そう思ってるんです。先生にしか頼れません、どうにかしてもらえませんか」
「うん、なるほど。咲輝さんの成績が最近振るわなかったのは、もしかしてそれが……?」
ちょっと、あたしは?!と食い付く夢花を横目に、私は話を続けた。
「それはそうかもしれないです。移動授業のタイミングを狙って声をかけられていて、その後の授業のときにそのことで気が散ってしまう、みたいなことがよくあったので……」
「なるほど、よくわかりました。実は、他の子たちからも彼女たちの話はよく聞いていました。今回の件に関してもすぐに事実確認を行います。きっと解決してみせるので、安心してくださいね。それと、もうあの子たちに話しかけられても無視で大丈夫です。それで何か起きても、私が必ず解決してみせます」
そう先生が言ってくれたとき、私はこの絶望の中で、希望の光を見つけた気がした。
その後教室に入ると、例のギャルたちはニヤニヤしてこちらを見ていた。物怖じするまいと、見て見ぬふりを続けていたが、やがて向こうから声をかけてきた。
「2人ともむすっとしてどうしたの~、まーたあたしらにいじめられたくて学校来たの?たーくさんかわいがってあげるよぉ~」
ニヤニヤ顔がとても癪に触ったが、とにかく意地で無視を貫いた。やがてその無視が気に障ったようで、だんだん声を荒げて挑発し始めた。
「なんかムカつくなぁその顔。なんでなんも反応しないわけ?友だちいないあんたにわざわざ話しかけてあげてんのにさぁ、失礼ってもんじゃない?」
「なんとか言いなよほら、人の心がないの?」
「あたしが話しかけてやってるって言ってんの、わかんないの?!」
とうとう怒鳴り声にまでなったそのとき。
「美咲さん。怒鳴り声を上げてどうしたんですか?」
遂に先生が来てくれた。
「あなたの話は色々伺っていますよ。とりあえず、小会議室にでも行きましょうか」
その日中、ギャルと先生は帰ってこなかった。
家に着いてから、夢花と勝利を喜んだ。
「やったね、夢花!今日のこれは、私たちの勝ちじゃない?」
「ほんとサイキョー!無視貫いてよかった~!明日、美咲がどんな顔して学校くるか、ちょっと楽しみじゃない?」
「別にそんなことはないけど、これで大人しくなってくれるといいね!」
「えっ、咲輝、朝の先生へのあれ、もしかして本気で言ってたの?」
「え、夢花は本気じゃないの?私は別にほんと、うるさくしないでくれたらいいなぁって思ってたよ」
「えー!真面目だとはずっと言ってたけどあんたがそこまでバカ真面目だとは思わなかったわ。あたしは正直たっくさん痛い目見て反省してほしいなぁって思ったよ~」
「そうだったの?まぁ痛い目見ればいいとは思わないけど、痛い目見てても他の子みたく心配とかはしないかも」
「よかったぁ、あんたにもそういうとこあんだね、ちょっと安心したよ。いい感じに咲輝も強くなれてんじゃない?」
「ほんとに?強くなれてるかな」
「気にしないのはひとつの強さ、ってもんでしょ、偉いよ~」
「嬉しい!さて、明日も朝から勉強したいから私は先に寝るね?」
「も~、ほんっと真面目!じゃああたしも今日はちょっと早寝しちゃお!」
「そうしな~、じゃあおやすみ!」
「うん、おやすみ!また明日ね!」
「うん、またね~」
そう言って電話を切り、布団へ入った。今までずっと眠れなかったが、何故だか今日は何事もなくすっきり眠ることができた
次の日、例のギャルは学校へ来なかった。ホームルームで先生に、後で職員室へこいというお呼び出しを頂いたので、夢花と共に職員室へ向かった。
「昨日、しっかり私の前で言い逃れできないくらいの嫌がらせをしてくれたので、現行犯逮捕してしっかりお話できました。ちゃんと無視して凄かったですよ、咲輝さんなんか、ちょっと目元潤んでましたもんね?」
「そ、そんなこと、あるかもしれないですけどないです!」
「ふふ、偉かったですよ~。それで、美咲さんから聞いた話では彼女はただ構ってやろうとした~っていうふうに言ってるんですけど、咲輝さんたちからしたらどうですか?」
「「ぜんっぜんそんなことないです!」」
「ふふ、本当に仲が良いんですね。わかりました、校長先生にもそのように伝えておきますね。そう遠くないうちに美咲さんには処分が下るはずです。それまで彼女は出席停止になっているので、当分彼女が学校に来ることはないはずですよ、安心して予習復習してくださいね。ね、夢花さん?」
「うっ、はい、頑張ります」
「うん、よろしい。今回の件に関してはこれで私からできることは終わりかなと思います。もし今後、美咲さんに限らず何か嫌がらせがあれば、必ず対応するので、すぐ相談してくださいね。今回は相談していただいてありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます、本当に助かりました」
そう言って、その場は解散になった
「そうだ!咲輝!約束!」
「ん?約束?あっ!」
「「クレープ!」」
忙しくてすっかり忘れていたが、元々はクレープを食べるために頑張る、という名目のもとで学校に行っていた事を思い出した。
最近でたばかりの新作のクレープを2人して頼み、いつものカフェへ向かった。
「ねぇ、咲輝。あたしさ、正直、ここまで大きくなると思ってなかったし、これからずーっと嫌がらせされて過ごすんだって、ちょっと諦めてた。でもさ、こうやって、約束通りまたクレープ食べてるのも、今あんたとこうやって話せてるのも、あんたがちゃんと強くなったからなんだよ」
「奇遇だね、私もいじめられてたときはずっとそう思ってた。夢花が来れば、夢花さえいれば~ってずっと思ってた。もし夢花が私を誘ってくれなかったら、きっと2人して今も学校行けなかったかもしれないね」
「あんただってちゃんと成長してる、強くなってるんだよ、だからさ、もっと、ちゃんと泣いたっていいし、辛いときは辛いって言っていいのよ?あたしばっかそういう弱音吐いて、咲輝は全然言ってくれないの、なんだかずるいよ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
「……わかった、じゃあ、これからはもっと弱音吐く。けど、いつまでも守られてばっかじゃなくて、今度は私が夢花のこと守れるようにするからね?」
「うん、約束」
「約束!」
そう言って2人はクレープを食べた。
夢花と私は、学校に着くや否や、2人で職員室へ突撃した。あらかじめ嫌がらせの数々をまとめておいて、そのノートを2人で提出した。
「先生、私、あの子たちに嫌がらせとかで仕返ししたいわけじゃないんです。ただ、私は静かに学校生活を送りたい。私はただ授業の合間に少し友だちと話す時間があって、少し予習復習に打ち込む時間が欲しいだけなんです」
「あたしも、なんかいじめてやりたい!とかそういうわけじゃないんです。あたしはただ、あたしたちが平和に過ごせればいい。そう思ってるんです。先生にしか頼れません、どうにかしてもらえませんか」
「うん、なるほど。咲輝さんの成績が最近振るわなかったのは、もしかしてそれが……?」
ちょっと、あたしは?!と食い付く夢花を横目に、私は話を続けた。
「それはそうかもしれないです。移動授業のタイミングを狙って声をかけられていて、その後の授業のときにそのことで気が散ってしまう、みたいなことがよくあったので……」
「なるほど、よくわかりました。実は、他の子たちからも彼女たちの話はよく聞いていました。今回の件に関してもすぐに事実確認を行います。きっと解決してみせるので、安心してくださいね。それと、もうあの子たちに話しかけられても無視で大丈夫です。それで何か起きても、私が必ず解決してみせます」
そう先生が言ってくれたとき、私はこの絶望の中で、希望の光を見つけた気がした。
その後教室に入ると、例のギャルたちはニヤニヤしてこちらを見ていた。物怖じするまいと、見て見ぬふりを続けていたが、やがて向こうから声をかけてきた。
「2人ともむすっとしてどうしたの~、まーたあたしらにいじめられたくて学校来たの?たーくさんかわいがってあげるよぉ~」
ニヤニヤ顔がとても癪に触ったが、とにかく意地で無視を貫いた。やがてその無視が気に障ったようで、だんだん声を荒げて挑発し始めた。
「なんかムカつくなぁその顔。なんでなんも反応しないわけ?友だちいないあんたにわざわざ話しかけてあげてんのにさぁ、失礼ってもんじゃない?」
「なんとか言いなよほら、人の心がないの?」
「あたしが話しかけてやってるって言ってんの、わかんないの?!」
とうとう怒鳴り声にまでなったそのとき。
「美咲さん。怒鳴り声を上げてどうしたんですか?」
遂に先生が来てくれた。
「あなたの話は色々伺っていますよ。とりあえず、小会議室にでも行きましょうか」
その日中、ギャルと先生は帰ってこなかった。
家に着いてから、夢花と勝利を喜んだ。
「やったね、夢花!今日のこれは、私たちの勝ちじゃない?」
「ほんとサイキョー!無視貫いてよかった~!明日、美咲がどんな顔して学校くるか、ちょっと楽しみじゃない?」
「別にそんなことはないけど、これで大人しくなってくれるといいね!」
「えっ、咲輝、朝の先生へのあれ、もしかして本気で言ってたの?」
「え、夢花は本気じゃないの?私は別にほんと、うるさくしないでくれたらいいなぁって思ってたよ」
「えー!真面目だとはずっと言ってたけどあんたがそこまでバカ真面目だとは思わなかったわ。あたしは正直たっくさん痛い目見て反省してほしいなぁって思ったよ~」
「そうだったの?まぁ痛い目見ればいいとは思わないけど、痛い目見てても他の子みたく心配とかはしないかも」
「よかったぁ、あんたにもそういうとこあんだね、ちょっと安心したよ。いい感じに咲輝も強くなれてんじゃない?」
「ほんとに?強くなれてるかな」
「気にしないのはひとつの強さ、ってもんでしょ、偉いよ~」
「嬉しい!さて、明日も朝から勉強したいから私は先に寝るね?」
「も~、ほんっと真面目!じゃああたしも今日はちょっと早寝しちゃお!」
「そうしな~、じゃあおやすみ!」
「うん、おやすみ!また明日ね!」
「うん、またね~」
そう言って電話を切り、布団へ入った。今までずっと眠れなかったが、何故だか今日は何事もなくすっきり眠ることができた
次の日、例のギャルは学校へ来なかった。ホームルームで先生に、後で職員室へこいというお呼び出しを頂いたので、夢花と共に職員室へ向かった。
「昨日、しっかり私の前で言い逃れできないくらいの嫌がらせをしてくれたので、現行犯逮捕してしっかりお話できました。ちゃんと無視して凄かったですよ、咲輝さんなんか、ちょっと目元潤んでましたもんね?」
「そ、そんなこと、あるかもしれないですけどないです!」
「ふふ、偉かったですよ~。それで、美咲さんから聞いた話では彼女はただ構ってやろうとした~っていうふうに言ってるんですけど、咲輝さんたちからしたらどうですか?」
「「ぜんっぜんそんなことないです!」」
「ふふ、本当に仲が良いんですね。わかりました、校長先生にもそのように伝えておきますね。そう遠くないうちに美咲さんには処分が下るはずです。それまで彼女は出席停止になっているので、当分彼女が学校に来ることはないはずですよ、安心して予習復習してくださいね。ね、夢花さん?」
「うっ、はい、頑張ります」
「うん、よろしい。今回の件に関してはこれで私からできることは終わりかなと思います。もし今後、美咲さんに限らず何か嫌がらせがあれば、必ず対応するので、すぐ相談してくださいね。今回は相談していただいてありがとうございました」
「こちらこそありがとうございます、本当に助かりました」
そう言って、その場は解散になった
「そうだ!咲輝!約束!」
「ん?約束?あっ!」
「「クレープ!」」
忙しくてすっかり忘れていたが、元々はクレープを食べるために頑張る、という名目のもとで学校に行っていた事を思い出した。
最近でたばかりの新作のクレープを2人して頼み、いつものカフェへ向かった。
「ねぇ、咲輝。あたしさ、正直、ここまで大きくなると思ってなかったし、これからずーっと嫌がらせされて過ごすんだって、ちょっと諦めてた。でもさ、こうやって、約束通りまたクレープ食べてるのも、今あんたとこうやって話せてるのも、あんたがちゃんと強くなったからなんだよ」
「奇遇だね、私もいじめられてたときはずっとそう思ってた。夢花が来れば、夢花さえいれば~ってずっと思ってた。もし夢花が私を誘ってくれなかったら、きっと2人して今も学校行けなかったかもしれないね」
「あんただってちゃんと成長してる、強くなってるんだよ、だからさ、もっと、ちゃんと泣いたっていいし、辛いときは辛いって言っていいのよ?あたしばっかそういう弱音吐いて、咲輝は全然言ってくれないの、なんだかずるいよ」
「そういうもん?」
「そういうもん」
「……わかった、じゃあ、これからはもっと弱音吐く。けど、いつまでも守られてばっかじゃなくて、今度は私が夢花のこと守れるようにするからね?」
「うん、約束」
「約束!」
そう言って2人はクレープを食べた。
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