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ただ一度だけ、あなたに会いたい。
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前の杏先輩に戻っていたある日のこと。それは卒業式も終わって、春休みに入ってすぐのことだった。
『そういえば悠くん、バレンタインもらったことないんですよね?ボク、お菓子作りが苦手なのでこんなもので申し訳ないんですが……ボクからのバレンタイン、受け取ってもらえませんか?だいぶ遅くなってしまいましたけど…』
とあるチョコ菓子のギフト券が画面に映っていた。
『ほんと初めてもらうチョコがこんなので申し訳ないです』
『いえいえ!むしろ僕がもらっちゃっていいんですか?陸斗先輩とかもっと他の方には……?』
『悠くんだけの特別、ですよ?』
『杏先輩がいいなら喜んでいただきます!ありがとうございます!!!』
『喜んでもらえて良かったです。それと、今日この後お時間あれば、会ってお話できませんか?』
『余裕で暇してるのでできますよ!どこで待ち合わせにしますか?』
『じゃあ、悠くんはこの街の1番高いところってどこか知ってますか?そこにしようと思うんですけど』
『知ってます、あの一本だけある常緑樹が有名な公園ですよね?』
『そうです、その木の下が分かりやすいと思うのでそちらで待ってますね』
『分かりました!今からすぐ向かうので30分くらいかかると思います!』
先輩の姿を浮かべながら猛ダッシュで約束の場所へ向かった。
「遅かったですね、レディを待たせるなんて男の子失格ですよ?」
「す、すみません!最大限急いだんですけどちょっといいこと思いついちゃって」
「ほう?そのいいことによっては許しましょう」
「これ、先輩からもらったチョコです、交換してきました」
そう言って僕はさっきもらったギフト券で交換したものと一緒に、先輩の分も取り出した
「これ、先輩のです。一緒に食べましょ?」
「ぐぬ、確かにいいことでした……。いいでしょう、ここは後輩の顔を立ててあげることにします」
笑い合いながら食べたチョコは今まで食べたどのチョコよりも美味しかった。そう考えるとほぼ同時に先輩が口を開いた。
「実は、ここにあなたを呼んだのはあなたに大事な話があったからなんです」
「大事な、話……?」
「はい。実は、ボクは本当のボクじゃないんです。本当のボクは自分のことを私と呼ぶし、こんな敬語を話せたりしません。あなたも一度話したことがありますよね。あの子こそが本当のボクです」
「本当の?前に話したあの人が?」
「いきなりこんなこと言われてもついてこれないと思うので順を追って説明しますね。とってもヘビーになっちゃうのでとても簡単に説明します。まず、ボクの家やボクの周りの人間はとても過酷な環境でした。そのうえボクは、ボクもそうですが本当のボクも、ストレス解消が下手でした。だからどんどん色んなことがストレスになって、上手く解消できずだんだん1人で耐えられないレベルに至ってしまいました。そして本当のボクは今のボクを生み出しました。つまり早い話、ボクは二重人格なのです」
「二重、人格……?」
「そうです。そうして生み出されたボクはいわゆる代わりなんです。辛いことを全て肩代わりするための代わりです」
「代わりだなんて、そんな」
「代わりなんです。それは誰がなんと言おうと揺らぐことはありません。でも、ボクはそれでいいんです。だって、あなたに出会えたから」
「僕に……?」
「はい。悠くんと話してたのはとても楽しくて、とても心地よかった。ずっと忘れていた安心感さえ取り戻しました。でもそれはボクだけじゃないんです」
「もう1人の、先輩……」
「そうです。もう1人のボクは、ボクが安心や安らぎを覚えるごとに徐々に心を落ち着かせ、回復することに成功しました。ボクは作り出されたものなので、あくまで向こうの意思には逆らえません。そして彼女は、1人になることを選びました。これから1人で生きていくことを」
「ひとりで?」
「ボクのことも消して、高校卒業の今と同時に家を出て、周りの環境を全て変えてしまおうと考えたみたいです。全てを新しくやり直して、今度こそ幸せを掴もうと考えたみたいです。そしてボクは、寂しいことですがそれでもそれを応援したい。だってボクが言うことなんですもん。そりゃ、そうしたくなったっておかしくないでしょう?」
「先輩……」
この辺りから、僕が口に出せることはほぼ無くなってしまった。
「きっと今日を最後に、あなたと話せる日は二度と来なくなってしまうと思います。そこであなたに、最後のお願いをしてもいいですか?」
「最後の、お願い?」
「はい。ボクが何を言っても、何をお願いしても、全てにごめんなさい、と返してほしいです」
「それって…?」
「ダメですか……?」
ずるすぎる。最後だとか、こんな泣きそうな顔、震えた声、天然モノの上目遣い。ここまでの要素が揃ってて、もはや僕に断る余地は残っていなかった。
「ダメ、じゃないです。僕にできることなら全部したい」
「じゃあ早速行きますね。ボクは、悠くんのことがずっと大好きでした。ボクと、付き合ってください」
なんの恥じらいもなくまっすぐ僕の目を見て、先輩はそう言った
「えっ……と、ごめん、なさい」
「じゃあお友だちならどうですか?」
「えっと、それなら……」
「悠くん」
「はい、ごめんなさい」
「わかりました。じゃあボクが好きだってこと、絶対忘れちゃダメです。それならどうですか?」
「っ……ごめん、なさい……」
「ありがとうございました。お願いはここまでです」
「わかりました」
「さっきのは全部本心です。でも、君はごめんなさいと言いました。それが本心であれどうであれあなたはそれを絶対に守ってください。ボクのことは寂しくてもさっさと忘れてください」
「先輩。僕からも少し話して、いいですか?」
「はい、なんでも聞きますよ、最後ですし」
「僕もずっと前から、いつの間にか、大好きになってました。付き合えたらいいなとか、色んなこと想像して楽しくなったり悲しくなったりして、あぁ僕、恋してるんだなぁってたまになっちゃうくらいです。でも、先輩の事情を聞いてなお付き合って欲しいとは言えません、きっとその気持ちは先輩と同じです」
「そうでしょうね、あなたはそう言う人です」
「先輩だってそう言う人ですもんね、自分で言うのも変ですけど、そういう不器用に優しい人だ」
「優しいですよ、ボクもあなたも、立派に優しい」
「ありがとうございます。それで…僕はきっと、これからもずっと先輩のこと忘れられないと思います。でもこの一年に満たないこの恋は、先輩が大好きなお花で例えると月下美人、ってとこですかね」
「そうですね、儚い恋、切ない恋。ボクたち2人の恋を言い表すのにこれ以上の言葉は見当たらないくらい、ピッタリだと思います」
「それだけじゃないです。ただ一度だけ、僕はあなたと会えただけでも充分なんです。願わくば今日が終わってもまた、ただ一度だけ、僕はあなたに会いたい」
「あぁ、ほんとに、ボクたちの恋はどこまでもどこまでも儚くて、切ないモノですね」
「先輩がもし生まれ変わったら、僕は絶対先輩を見つけます。もし先輩が僕に気付いてくれたら、そのときは付き合ってくれますか」
「……当たり前、じゃないですか」
「絶対見つけます、何があっても」
「そろそろ時間なのでボクは行きますね。ありがとうございました」
「いつか、またどこかで。」
ああ、やっぱり僕は
ボクは
「「ただ一度だけ、あなたに会いたい」」
『そういえば悠くん、バレンタインもらったことないんですよね?ボク、お菓子作りが苦手なのでこんなもので申し訳ないんですが……ボクからのバレンタイン、受け取ってもらえませんか?だいぶ遅くなってしまいましたけど…』
とあるチョコ菓子のギフト券が画面に映っていた。
『ほんと初めてもらうチョコがこんなので申し訳ないです』
『いえいえ!むしろ僕がもらっちゃっていいんですか?陸斗先輩とかもっと他の方には……?』
『悠くんだけの特別、ですよ?』
『杏先輩がいいなら喜んでいただきます!ありがとうございます!!!』
『喜んでもらえて良かったです。それと、今日この後お時間あれば、会ってお話できませんか?』
『余裕で暇してるのでできますよ!どこで待ち合わせにしますか?』
『じゃあ、悠くんはこの街の1番高いところってどこか知ってますか?そこにしようと思うんですけど』
『知ってます、あの一本だけある常緑樹が有名な公園ですよね?』
『そうです、その木の下が分かりやすいと思うのでそちらで待ってますね』
『分かりました!今からすぐ向かうので30分くらいかかると思います!』
先輩の姿を浮かべながら猛ダッシュで約束の場所へ向かった。
「遅かったですね、レディを待たせるなんて男の子失格ですよ?」
「す、すみません!最大限急いだんですけどちょっといいこと思いついちゃって」
「ほう?そのいいことによっては許しましょう」
「これ、先輩からもらったチョコです、交換してきました」
そう言って僕はさっきもらったギフト券で交換したものと一緒に、先輩の分も取り出した
「これ、先輩のです。一緒に食べましょ?」
「ぐぬ、確かにいいことでした……。いいでしょう、ここは後輩の顔を立ててあげることにします」
笑い合いながら食べたチョコは今まで食べたどのチョコよりも美味しかった。そう考えるとほぼ同時に先輩が口を開いた。
「実は、ここにあなたを呼んだのはあなたに大事な話があったからなんです」
「大事な、話……?」
「はい。実は、ボクは本当のボクじゃないんです。本当のボクは自分のことを私と呼ぶし、こんな敬語を話せたりしません。あなたも一度話したことがありますよね。あの子こそが本当のボクです」
「本当の?前に話したあの人が?」
「いきなりこんなこと言われてもついてこれないと思うので順を追って説明しますね。とってもヘビーになっちゃうのでとても簡単に説明します。まず、ボクの家やボクの周りの人間はとても過酷な環境でした。そのうえボクは、ボクもそうですが本当のボクも、ストレス解消が下手でした。だからどんどん色んなことがストレスになって、上手く解消できずだんだん1人で耐えられないレベルに至ってしまいました。そして本当のボクは今のボクを生み出しました。つまり早い話、ボクは二重人格なのです」
「二重、人格……?」
「そうです。そうして生み出されたボクはいわゆる代わりなんです。辛いことを全て肩代わりするための代わりです」
「代わりだなんて、そんな」
「代わりなんです。それは誰がなんと言おうと揺らぐことはありません。でも、ボクはそれでいいんです。だって、あなたに出会えたから」
「僕に……?」
「はい。悠くんと話してたのはとても楽しくて、とても心地よかった。ずっと忘れていた安心感さえ取り戻しました。でもそれはボクだけじゃないんです」
「もう1人の、先輩……」
「そうです。もう1人のボクは、ボクが安心や安らぎを覚えるごとに徐々に心を落ち着かせ、回復することに成功しました。ボクは作り出されたものなので、あくまで向こうの意思には逆らえません。そして彼女は、1人になることを選びました。これから1人で生きていくことを」
「ひとりで?」
「ボクのことも消して、高校卒業の今と同時に家を出て、周りの環境を全て変えてしまおうと考えたみたいです。全てを新しくやり直して、今度こそ幸せを掴もうと考えたみたいです。そしてボクは、寂しいことですがそれでもそれを応援したい。だってボクが言うことなんですもん。そりゃ、そうしたくなったっておかしくないでしょう?」
「先輩……」
この辺りから、僕が口に出せることはほぼ無くなってしまった。
「きっと今日を最後に、あなたと話せる日は二度と来なくなってしまうと思います。そこであなたに、最後のお願いをしてもいいですか?」
「最後の、お願い?」
「はい。ボクが何を言っても、何をお願いしても、全てにごめんなさい、と返してほしいです」
「それって…?」
「ダメですか……?」
ずるすぎる。最後だとか、こんな泣きそうな顔、震えた声、天然モノの上目遣い。ここまでの要素が揃ってて、もはや僕に断る余地は残っていなかった。
「ダメ、じゃないです。僕にできることなら全部したい」
「じゃあ早速行きますね。ボクは、悠くんのことがずっと大好きでした。ボクと、付き合ってください」
なんの恥じらいもなくまっすぐ僕の目を見て、先輩はそう言った
「えっ……と、ごめん、なさい」
「じゃあお友だちならどうですか?」
「えっと、それなら……」
「悠くん」
「はい、ごめんなさい」
「わかりました。じゃあボクが好きだってこと、絶対忘れちゃダメです。それならどうですか?」
「っ……ごめん、なさい……」
「ありがとうございました。お願いはここまでです」
「わかりました」
「さっきのは全部本心です。でも、君はごめんなさいと言いました。それが本心であれどうであれあなたはそれを絶対に守ってください。ボクのことは寂しくてもさっさと忘れてください」
「先輩。僕からも少し話して、いいですか?」
「はい、なんでも聞きますよ、最後ですし」
「僕もずっと前から、いつの間にか、大好きになってました。付き合えたらいいなとか、色んなこと想像して楽しくなったり悲しくなったりして、あぁ僕、恋してるんだなぁってたまになっちゃうくらいです。でも、先輩の事情を聞いてなお付き合って欲しいとは言えません、きっとその気持ちは先輩と同じです」
「そうでしょうね、あなたはそう言う人です」
「先輩だってそう言う人ですもんね、自分で言うのも変ですけど、そういう不器用に優しい人だ」
「優しいですよ、ボクもあなたも、立派に優しい」
「ありがとうございます。それで…僕はきっと、これからもずっと先輩のこと忘れられないと思います。でもこの一年に満たないこの恋は、先輩が大好きなお花で例えると月下美人、ってとこですかね」
「そうですね、儚い恋、切ない恋。ボクたち2人の恋を言い表すのにこれ以上の言葉は見当たらないくらい、ピッタリだと思います」
「それだけじゃないです。ただ一度だけ、僕はあなたと会えただけでも充分なんです。願わくば今日が終わってもまた、ただ一度だけ、僕はあなたに会いたい」
「あぁ、ほんとに、ボクたちの恋はどこまでもどこまでも儚くて、切ないモノですね」
「先輩がもし生まれ変わったら、僕は絶対先輩を見つけます。もし先輩が僕に気付いてくれたら、そのときは付き合ってくれますか」
「……当たり前、じゃないですか」
「絶対見つけます、何があっても」
「そろそろ時間なのでボクは行きますね。ありがとうございました」
「いつか、またどこかで。」
ああ、やっぱり僕は
ボクは
「「ただ一度だけ、あなたに会いたい」」
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