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2話
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街を再び出て、少し離れた森の入口。
辺りが徐々に暗くなる中一点明かりが灯っていた。
ゆらゆらとゆらめくオレンジの光と、倒木に腰掛ける人影。
場所から察するに昼間助けてくれたあの人が野営をしているのだろう。
私は駆け足で向かう。
「思ったより早い決断だね、もう会えないかと思った」
「お姉さん、なんで私に誘いをかけたんですか」
「君には力がある、そう思っただけだよ」
「力……?」
「私が君の手に触れた時、信じられないほど大きな魔力が流れ込んできた。つまりは、君は魔術師の素質があるってこと」
「魔術師……ですか」
「これ、試しに振ってみてよ」
そう言って差し出したのは青い透明な石が先端についた杖だった。
柄の部分に小さく装飾が施されていて、ダイヤ型の石が五つはめ込まれている。
「どうやって振れば」
「試しにそこの木に向かって振ってみなよ、そしたらわかるから」
言われた通り、木の正面に立って上から下へ振り下ろす。
すると青白いボルトが凄まじい速さで木へ放たれ、着弾。
一本の木が瞬く間に凍り付いてしまったのだった。
そして一つ、ダイヤ型の石が黒く変色した。
「な、魔道具は使用者の魔力に比例して威力・効果が上昇する。どこにでも売ってるその杖でそれだけの威力をだせるのは君が素晴らしい魔力を持ってる証拠さ」
「そ、そうなんですね……」
「その杖は持っておくといいよ、ダイヤ型の石の数だけ魔法を放てる。確かそれはアイスボルトの杖だった気がするなぁ」
「これで私も戦えますか?」
「まあ、ピンチの時はそれで身を守ろう程度に考えておいてよ」
「はい、わかりました」
「ここに再び来たってことは、一緒に来てくれるんだね」
「あ、あの私マナ結晶抗体が欲しくて」
「それで私をうまく利用できたら、と?」
「そうとも言えます……でも利用するというよりかは一緒に探してくれませんかってニュアンスで伝えたくて」
「なるほどねぇ……いいよ、その代わり私の目的にも付き合ってもらう、いいね?」
「は、はい! 大丈夫です」
「決まりだね、私はシアン。君は?」
「レイ、です。本当の名前かはわかりませんが、おばあちゃんがつけてくれた名前です」
「じゃあレイって呼ぶよ」
シアンはふわりと笑って見せると、手で自分の隣をぽんぽんと軽くたたく。
私は軽くお辞儀をして、隣に腰掛けた。
焚火を見ながら、気づけば他愛もない話で盛り上がっていた。
グリーティーのパンはまずい、だの山菜と間違って毒草を採って帰っただの、それはもうくだらない話をして、気づけば私は夢に落ちてしまっていた。
こんがりと肉の焼けた音で目を覚ます。
脂身が焼ける甘い匂いと、少しの焦げ臭さが食欲をそそる。
「夜、モンスターが近くにきたから狩ったんだ。食べる?」
「お肉なんて何年ぶりだろう……! 食べてもいいんですか?」
「食べなくてもいいけど、私一人じゃ余す量だからね、遠慮しなくていいよ」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
分厚くカットされた肉は、こんがりと焼けていて脂がきらきら光って見える。
はむ、と一口かじると、肉汁がだっぷりと口に流れ込み、旨味が広がる。
気づけば一口、また一口と噛り付いていた。
シアンはしばらく私の食事姿を見て笑っていて。
半分ほど食べたくらいで、シアンも肉をほおばりはじめる。
クールな見た目で、出会った時の口調も荒かったせいか姉御、みたいなイメージをもっていたが、一口が小さかった。
もっと豪快に噛り付くとばかり思っていたけど、意外だなぁなんて思ったりして。
「ふわぁー、おいしかったです」
「一息ついたら出発しよう、ちょっと東に用があるからね」
「東……ってエルフの国の方ですか?」
「あぁ、私の故郷なんだ」
「シアンさん、エルフの国出身なんですね」
「今気づいたのか? 耳がとがってるだろう」
「よく見ればほんとですね」
「……まあいい、行こう」
辺りが徐々に暗くなる中一点明かりが灯っていた。
ゆらゆらとゆらめくオレンジの光と、倒木に腰掛ける人影。
場所から察するに昼間助けてくれたあの人が野営をしているのだろう。
私は駆け足で向かう。
「思ったより早い決断だね、もう会えないかと思った」
「お姉さん、なんで私に誘いをかけたんですか」
「君には力がある、そう思っただけだよ」
「力……?」
「私が君の手に触れた時、信じられないほど大きな魔力が流れ込んできた。つまりは、君は魔術師の素質があるってこと」
「魔術師……ですか」
「これ、試しに振ってみてよ」
そう言って差し出したのは青い透明な石が先端についた杖だった。
柄の部分に小さく装飾が施されていて、ダイヤ型の石が五つはめ込まれている。
「どうやって振れば」
「試しにそこの木に向かって振ってみなよ、そしたらわかるから」
言われた通り、木の正面に立って上から下へ振り下ろす。
すると青白いボルトが凄まじい速さで木へ放たれ、着弾。
一本の木が瞬く間に凍り付いてしまったのだった。
そして一つ、ダイヤ型の石が黒く変色した。
「な、魔道具は使用者の魔力に比例して威力・効果が上昇する。どこにでも売ってるその杖でそれだけの威力をだせるのは君が素晴らしい魔力を持ってる証拠さ」
「そ、そうなんですね……」
「その杖は持っておくといいよ、ダイヤ型の石の数だけ魔法を放てる。確かそれはアイスボルトの杖だった気がするなぁ」
「これで私も戦えますか?」
「まあ、ピンチの時はそれで身を守ろう程度に考えておいてよ」
「はい、わかりました」
「ここに再び来たってことは、一緒に来てくれるんだね」
「あ、あの私マナ結晶抗体が欲しくて」
「それで私をうまく利用できたら、と?」
「そうとも言えます……でも利用するというよりかは一緒に探してくれませんかってニュアンスで伝えたくて」
「なるほどねぇ……いいよ、その代わり私の目的にも付き合ってもらう、いいね?」
「は、はい! 大丈夫です」
「決まりだね、私はシアン。君は?」
「レイ、です。本当の名前かはわかりませんが、おばあちゃんがつけてくれた名前です」
「じゃあレイって呼ぶよ」
シアンはふわりと笑って見せると、手で自分の隣をぽんぽんと軽くたたく。
私は軽くお辞儀をして、隣に腰掛けた。
焚火を見ながら、気づけば他愛もない話で盛り上がっていた。
グリーティーのパンはまずい、だの山菜と間違って毒草を採って帰っただの、それはもうくだらない話をして、気づけば私は夢に落ちてしまっていた。
こんがりと肉の焼けた音で目を覚ます。
脂身が焼ける甘い匂いと、少しの焦げ臭さが食欲をそそる。
「夜、モンスターが近くにきたから狩ったんだ。食べる?」
「お肉なんて何年ぶりだろう……! 食べてもいいんですか?」
「食べなくてもいいけど、私一人じゃ余す量だからね、遠慮しなくていいよ」
「じゃ、じゃあお言葉に甘えて」
分厚くカットされた肉は、こんがりと焼けていて脂がきらきら光って見える。
はむ、と一口かじると、肉汁がだっぷりと口に流れ込み、旨味が広がる。
気づけば一口、また一口と噛り付いていた。
シアンはしばらく私の食事姿を見て笑っていて。
半分ほど食べたくらいで、シアンも肉をほおばりはじめる。
クールな見た目で、出会った時の口調も荒かったせいか姉御、みたいなイメージをもっていたが、一口が小さかった。
もっと豪快に噛り付くとばかり思っていたけど、意外だなぁなんて思ったりして。
「ふわぁー、おいしかったです」
「一息ついたら出発しよう、ちょっと東に用があるからね」
「東……ってエルフの国の方ですか?」
「あぁ、私の故郷なんだ」
「シアンさん、エルフの国出身なんですね」
「今気づいたのか? 耳がとがってるだろう」
「よく見ればほんとですね」
「……まあいい、行こう」
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