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---夏目と番になる---
【04】
しおりを挟む今日の10時ちょうどにアミュプラザ集合。
俺と夏目は緩いダボッとしたお揃いのTシャツとズボンを着ていた。雪也くんはひまわり色のオーバーオールに麦わら帽子を被っている。女の子にしか見えない格好でその後ろを佐野がついてくる。
佐野が前に歩く時は雪也くんと手を繋ぐのが2人のルールらしい。雪也くんは目を離すとすぐに遊びに行ってしまう困ったちゃんだ。
「おはよぉ、あーねみぃ」
「雪也が夜遅くまでゲームしてるからだよ。俺知ってるからね?夜中に明楽のメールボックスが雪也だらけになってたの。」
「げ、なんで明楽のスマホを見てんだよ」
「だって、俺ロックとかつけるのめんどくさいしそもそも隠すような事がないから見られてもどうも思わない」
事実そうだ。別に気にしないし隠すようなことをしてるつもりはない。なんなら自分から夏目に不安だからGPS入れてくれない?と自分のスマホを渡したぐらいだ。お互いの位置がいつもわかるから安心するけどあんまり見ていない。たまにまだ帰ってこないのかなと覗くことはあるけど覗いたら通知で夏目に知らされるから恥ずかしくて覗けない。
夏目は一日に最低5回は俺の位置を見ているが怖いと思わないし見ててくれることに安心感さえある。
「夏目、寒いから早く入ろう」
入ってからすぐの所にまだ水着のコーナーは残っていた。俺は一番安い海パンを持ってお会計に行こうとするが夏目は俺用の日焼け止めや色々余計なものを買い回っていた。雪也くんは色々迷っているようで佐野と同じところをグルグルと行ったり来たりしていた。
フードを被るのが日常になっていたため今でも首を隠したくなるが隠す意味がもう無くなってしまった。夏目が日常的に付けている酷い噛み跡を見て欲しいくらいだ。自分で俺の首を噛む癖に俺の首に薬を塗る矛盾をかかえた夏目を笑え。
俺は夏目達から少し離れ、サングラスを見ていた。必ず必要という訳ではないけどあった方が楽。俺は透明の綺麗なサングラスを見つけどれにしようかと悩んでいた。ショッピングカートの中には夏目が入れた俺の水着のカーディガン、日焼け止め、唾が広い帽子が沢山入っていた。俺が選んだ安い海パンの上には機能重視の白い海パンが置いてあった。サイズはM、俺様なのだろう。こういうことをするから夏目のお買い物は時間がかかる。
雪也くんも同じことを思ったのかプリプリしながら俺のところに来た。迷いながらお買い物をするのが楽しいのに迷うなら全部買っちまえと佐野に言われたらしく乙女のようにプリプリだ。
そして使ってるサングラスが壊れたことを思い出しこっちに来たというわけだ。
「あの二人は財布が潤いすぎてバカになったんだよ」
「マジ共感。欲しいって言ったらどんな値段のものでもホイホイホイホイ、レジでお会計する時の申し訳なさと庶民には見慣れない額に怖くなるよね」
「「はぁ…」」
俺と雪也くんはため息をつきながらお互いに激しく共感した。別に財布が潤ってて余裕なのは分かるし有名なグループの御曹司だったからレジで注目されてもなんも思わないのも理解はできる。けど、俺と雪也くんは一般的な家庭で育ってきたそういう俺たちの目線から2人を見ると恐ろしい。
「君たち俺らと遊ばね?」
俺と雪也くんがため息をついてると後ろから声をかけられた。さっそく睨みつけてる雪也くんとどうしたらいいか分からない俺。
小麦色に焼けた肌とチャチャラした見た目の若い男3人だ。
「俺らセックスも上手いよ?それにちんこもデカい」
断っても断っても強引に誘い、痺れを切らした男たちは俺たちにつかみかかってきた。無理矢理にでも連れていこうというのだ。
「ちょ、やめてください、」
俺は腕を捕まれ、身動きが取れない状態になっていた。雪也くんは外で喧嘩すんなと言いつけられているから何も出来ないし大声を出せばみんなに注目される。
「ねーぇー遊ぼーってば、可愛い女の子大好きだよ?」
「俺、男。はっ、なせぇっ、」
「オメガじゃん、ラッキーもう番いるのかぁ?寝取りたのしそー」
男たちは俺と雪也くんを引っ張り、出口の方まで連れていかれてしまった。
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