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【1.初陣】
しおりを挟む天空は、白を吐き出すのを諦めた――
雪が水へと戻る頃、林立する白樺の幹たちを左右に避けながら、ひたすら西へと向かう一つの隊列があった――
「グレン将軍! 伝令! 伝令です!」
残雪を四肢で弾き飛ばす一頭の人馬が隊列に追い付くと、一息を吸い込んで至急の要件を発した。
「伝令です!」
「伝令だそうです」
「伝令!!」
500名の最後尾。なめし革の防具を纏った槍兵が声を飛ばすと、白い息が前へ前へと伝わって、やがて金属の甲冑を纏った先頭の騎馬隊へと至った。
「伝令だと?」
最前列の男が後方へと睨みを利かせると、手綱を強く引いて馬体を翻した。
兵士にとっては、束の間の休息である。融雪の浸み込んだ泥濘の大地を歩き通してきた歩兵の緊張感は、随分と和らいだ。
四角い顔の将軍は勅書の入った木筒を受け取って、中で丸まっている紙片を無造作に取り出した。
「グレン様、何と?」
いったい何事か――
少年の面影を残す青年が馬を寄せると、岩のような両手から覗く麻色の紙片を見つめながら、緊張の面持ちで尋ねた。
「…グレン様?」
上司の指先が、小刻みに震えている。
整った顔立ちの若者が、呼び起こすように再びの声を送った。
「停止…だと?」
「は?」
「進軍停止だ! 今日の進軍は、ここまでとする!」
四角い顔が後方に怒りを放つと、動きの止まった若者に紙片を投げ渡した。
「何故ですか!? このまま進めば、スヴォロの地を確保できるというのに…」
「知らん!」
二人とも、勅書の内容には不満らしい。
若い男が紙片を広げると、そこには一言、荒っぽい崩れた字体で『進軍停止』 とだけ書かれてあって、右下の余白には『絶対厳守』 とでも言いたげに、新しく赴任した若い城主の赤字のサインが記されていた――
「勅書…には逆らえません…」
「分かっておるわ!」
例え小さな紙片であろうとも、勅書である。
改めて心情を指摘された将軍は、怒りを露わにしながらも、自身に言い聞かせるように吐き捨てた――
「ライエル、どう思う?」
星空の下。野営地の小さな焚火の前で、石の上に臀部を乗せた将軍が、滑らかな素肌を覗かせる若い副将に問い掛けた。
ゆらゆらと惑う紅い炎が、二人の男の落胆した横顔を照らしている――
「分かりません。急いで出立をしたのは、スヴォロを確保する為です。あの地は水源もあり、守るに易い…」
ライエルの、左右から垂らした金髪に覗く、朴直《ぼくちょく》な青い瞳が幾らか濁ると、整った顔立ちにも沈んだ表情が浮かんだ。
城外での戦い。糧食と水の確保が何よりも大事である。
それらを放棄する指令なのだから、当惑するのも無理はない。
「その後、伝令は無いのだな?」
「ありません…」
「城主には、思う所があるのだろうが…」
「そうですね…」
足元の小枝を拾うと、ライエルは沈んだ声を吐きながら茶褐色の地面に簡単な戦況図を描いた――
夜明けと共に出立したトゥーラを四角。次にスヴォロの地を丸く描く。その間を一本の線で結ぶと、城から始まって三分の一にも満たない箇所に、不満を込めたバツ印を力強く記した。
「我々は、予定の半分も進んでいません。敵の足を図るに、スヴォロにはもう布陣できません」
「そうだな…」
澱んだ空気が包み込む。
背中を丸めた将軍は、小さな焚火に向かって空しい嘆息を吐き出すと、脇に転がるこぶし大の石を拾い上げ、不満をぶつけるように暗闇の向こう側へと腕を振るった――
「……」
やがて、ガサッとした空しい音が昇った――
「それに、士気にも関わります…出立を急いでコレでは、兵も納得しないでしょう」
「……」
炎に揺れ浮かぶ若者からの発言は、至極真っ当なものである――
二人の間に、暫くの沈黙が流れた――
「だがな…」
冷静になれ――
不満を吐き出すばかりでは、先は暗い。
グレンが一呼吸を置いて満天の星々を見やると、ぽつりと口を開いた。
「スヴォロを確保したところで、過程に過ぎん。勝利という結果に、確信がある訳でもない」
「……」
「ワシらは、命令に従う立場だ。結果が出るまでは、従うしかなかろう…」
「それは……間違いだとしてもですか?」
グレンに顔を向けたライエルが、慎重になって尋ねた。
「そうだ。結果が出るまではな」
「……」
若々しい心身を、絶望のような感情が確かに襲った――
「覚えておけ。組織に入ることは、己を偽ることでもある」
「……」
自身にも言い聞かせるようにして、グレンは瞳を向けて訴えた。
「不満そうだな」
「あ、いえ…」
間違い。即ち、死。
そんな状況下であってもですか?
尊敬する上司であったが、ライエルの心には戸惑いが浮かんだ――
「……」
しかしながら、胸に灯った疑いは、逆方向の解をも連れてくる――
命令や規律。或いは共属感情…
それらの放棄は、軍の瓦解を招くに違いない――
加えてなによりも、反旗を翻す根拠が乏しい上に、度胸もない。
行き場を失った若い将兵は、それ以上の言葉を閉じるしかなかった――
勝利を招く鉄則は、要衝の確保にある――
新任の城主は、そんな事も知らぬのか?
理由のない勅命に、疑念の心は濃霧のように深まるばかりだったが、組織の一員としての発言が、それらを払ってゆく事を決した――
「先を急ぐぞ! 進め!」
夜明けが来る。
一晩経っても気分は晴れなかったが、それでもグレンは部隊に向かって気丈に号令を発した。
「だったら、昨日のうちに進めよ…」
「娘の帰りも待たずに、出てきたのに…」
当然ながら、士気は低い。
重たい恨み言のような声音が、後方でようようと立ち上がる兵士達の口からやってくる。
「くっ」
当然耳には障るが、叱責をしたところで士気の低下を招くだけ。
グッと奥歯を噛み締めて、組織の上に立つ者の矜持を保った男は、募る不満を押し殺した――
「グレン様!」
「お?」
そんなところへ、夜中に送った小柄な斥候が、馬を駆って戻ってきた。
情報は戦の要。グレンの元にライエルもやってきて、二人は馬上で報告を受け取った。
「敵は、正面に布陣せず、カルーガを経由してくるようです!」
「速攻で来たか…」
齎された報告は、敵がスヴォロに布陣した後、兵力差を生かして消耗戦を挑んでくると考えていたグレンには、少々意外なものであった。
「カルーガから向かってくるとなれば、敵は恐らく、あの林の向こうです。先を急いで戦うか、敵を待ち、ここで迎え撃つか…」
ライエルが、正面右手に見える、白樺の木々が立ち並ぶ小高い林を指差しながら、早口の助言を渡した。
「数は?」
「およそ、同数かと」
グレンの問いに、斥候兵がハッキリと答える。
見た目で同数ならば、それ以上と考えるのは当然で、明らかに分が悪い――
「全軍前進! 急ぐぞ!」
「はっ!」
即断即行。
迷いは時間と士気を削ぐ。
グレンは後方の隊列に声を発すると、手綱を振るって愛馬を前へと進めた――
「どう思う?」
進軍してしばらく、左右から垂らす金髪の前髪を、後ろに縛って意気込む若い副将に、グレンが馬上から意見を求めた。
「士気は、進んでこそ高まります。城の近くでは、退いた時に逃げ崩れる恐れがあります」
「相手次第だがな」
「はい。右の林を左手から回って正面から来るか、退路を断つ形で背後に回ってくるか…」
「そうだな」
「ですが、正面なら林を抜けた辺りで堂々と。背後なら、このまま進み、スヴォロの地を確保すれば良いでしょう。城からの援軍があれば、挟撃できます」
「よし。同意見だ!」
迷いは霧散した。
グレンは手綱をしごいて隊を前へと急がせた――
春の訪れは融雪を招き、馬にとっては歩きやすい。
しかしながら人間にとっては所々が泥濘んで、その行軍はどうしたって軽快とは呼べないものとなっていた――
特に槍兵は、刃先を常に天に向けて歩かなければばならない――
林の中を一時間も進むと、木漏れ日が地表に届くようになり、残雪も乏しくなって、馬の脚も細い土の地面を軽快に捉えるようになってきた。
「そろそろ、カルーガですね…」
「そうだな。しかし、正面からの気配は薄いな」
林を抜けると、途端に正面から吹き付けるような風がやってきて、右側に覗く小高い林と後方の白樺の木々を揺らした。
夏には草原となる正面に敵が居たならば、馬の臭いや蹄の音、土煙とはいかずとも、何かしらの気配が窺えそうなものである。
四角い顔を左右に振ったグレンは、警戒しながらライエルの声に応えた。
「……」
死線を何度も潜った経験が、根拠は無くとも危険な匂いを察知する。
幾ら杞憂に終われと望んでも、経験が願いを凌駕することを、殆どの者は知っている――
それでも願ってしまうのは、愚かなことだろうか――
「敵襲!!」
当然、叶う事はない。
叫び声が上がると、右手の小山から異質な銀色たちが白樺の木々を縫うようにして、駆け下りてくるのが視界に入った。
「来たぞ! 慌てず対処しろ!」
前でも後ろでもなかった。
側面を衝かれた形のグレンだったが、動揺を見せまいと、冷静になれと声を発した。
(まずいな…)
しかしながら、立ち振る舞いとは別に、内心には焦りが宿った。
伸びきった隊列の後方は残雪に残ったままで、このままでは分断され、孤立する事は明らかだ――
「山からの伏兵です! 敵の数は、決して多くはないと思われます!」
ライエルが寄ってきて、冷静な助言を飛ばした――
「そうだな。しかし、この数では抑えれまい」
味方を見渡すと、グレンは決断をした。
「退きながら、立て直す!」
「は!」
短いやりとりの間にも、敵の数はますます増えていく。
右からの伏兵が奇襲であれば、本隊は背後からやってくるに違いない。そうなれば、挟撃からの敗戦は必至となる――
ウォーオー
ウォオオオー
ウォーオオオー
その時だ。
歌声とは呼べないまでも、統率の取れた一団の、響き渡る野太い声と喇叭の音が風に乗ってやってきた。
「え!?」
「なんだ?」
戸惑いが、戦場の空気の中に湧き上がる――
敵味方。双方の足が鈍った――
「グレン様! 山の向こうです!」
「おお!」
応えて首を回すと、敵が埋伏していた小山の頂上付近から、数十本の矢羽が青い空を飛んでいた――
標的は、敵の背中に他ならない。
目の前で、かたびらを纏った槍兵たちが、突然の矢羽に戸惑い、或いは倒れていく――
「弓だ。弓を構え! 槍隊は前に出て、敵を止めろ!」
委縮は、伝播する。
勇気と勢いも、伝播する――
退路を断たれた兵士が向かってくる。
しかしながら、焦って闇雲となった雑兵たちに、どれほどの力があろうか――
「後は、相手の主力だが…」
グレンが周囲の警戒に首を回した。
「まもなく、全軍が林を出ます。ここさえ凌げれば、背後からの騎馬隊は迎え撃てましょう。それに…」
「そうだな…」
勝敗は、30分で決した――
城からの援軍が、向かってくる敵の背後を衝く事は想像に難くない。
隊列の後方で混乱が生じている気配が無い事も、それらを具現していた――
「この作戦は、ロイズ様が立てられたのでしょうか?」
「…恐らくは、そうであろう」
「進軍を止めたのは、伏兵を読んだ上で、挟撃を狙ったんですね…」
「それも、二方面からな…」
夕陽を背中に浴びながら、全軍での凱旋だ。
本来ならば、先頭で馬を並べる二人の気分が悪い筈はない。
しかしながら、いかつい体躯を誇るグレンの胸中には、小さな不満が燻っていた――
「グレン様!」
トゥーラの都市城門に人垣ができていることに気が付くと、ライエルは前方を人差し指で示した。
「おお、ロイズ様!」
顎を上げた将軍が見たものは、夕陽に光り輝くレンガ造りの城壁を背景にして、人垣の一番手前で青いマントを風に靡かせた城主自らの出迎えであった。
予想外の光景に瞳を開くと、グレン本人だけでなく、馬さえも嬉しそうに、軽快な足取りとなって駆け出した。
「ただいま、戻りました」
サッと下馬したグレンが、城主ロイズを前にして片膝を落とした。
「すみません。グレン将軍」
短いオリーブ色の髪。端正な顔立ちを備えた若い城主は、開口一番、前傾姿勢となって謝罪の言葉を口にした。
「は?」
存外な言葉がやってきて、グレンの四角い顔が思わず上がった。
「何を言われます? 味方は誰一人失う事無く、大勝したではありませんか?」
これ以上の戦果はあり得ない。
グレンは息子ほども年の離れた新米城主に、真意を求めた。
「いえ…作戦を伝えぬままの戦いは、不安であったかと…」
「あ、は…いや…」
心に翳った、不満の種。
概要が伝わっていれば、いらぬ不安を抱える事は無かった――
思わず本音が飛び出すと、グレンは必死になって誤魔化した。
「正直ですね」
「あ、いや…」
口角を上げた城主が端正な顔立ちに悪戯っぽい微笑みを浮かべると、グレンは思わず目線を逸らして細かく耳の上を掻きながら、ただただ恐縮を表した――
太陽が落ちるころ、トゥーラの城内では盛大な宴が催されていた。
城下でも宴は行われ、兵士として凱旋した一家の主を労おうと、全ての屋根の下で笑顔が溢れた。
「しかし凄い。初陣で、誰も死んでねえ!」
「敵の大将は、恐れをなして逃げ帰ったらしいぜ!」
「ロイズ様、万歳!」
戦いのあと、悲しみに暮れる家族が一つも無い事は奇跡に近い。
当然負傷者は出たが、命を落とす事に比べたら、名誉の負傷である。
「父ちゃん、頑張ったね」
「おう。頑張ったぞ」
とある家族の会話。
たとえ戦闘開始と共に足が滑って転ぼうと、凱旋したなら英雄なのだ。
(本当の事は、言えねえな)
一家の主は、一つの秘密を胸に刻んだ――
「城主様だ!」
「なに!?」
突然、城下に歓声が上がると、方々で驚きの声が上がった。
「ロイズ様!」
「城主様!」
「おお…」
食事を止めた一人の男が家から飛び出すと、数人の護衛を従えただけの若き城主が、感謝を伝える為に馬に乗って城下を労い歩いていた。
トゥーラの城主はこれまでに幾度も代わったが、こんな事は初めてだ。
その姿を一目見ようと人垣ができると、中には嗚咽を漏らす女性まで現れた――
「ご苦労さまです。皆さんも、宴に参加して下さい」
トゥーラの中央。城に戻った若い城主は、石畳の廊下を進むと、宴が開かれている広間の前で護衛の兵を労った。
「ありがとうございます」
扉の左右で屹立していたそれぞれの兵士は、同じ歩幅で一歩を下げると、揃って礼を発した。
「ロイズ様!」
宴の会場に戻ると、城主に気付いた将軍が四角い顔の表皮を真っ赤にして駆け寄ってきた。
むわっと酒臭い。
嗜む程度にしかアルコールを受け付けないロイズは、思わず仰け反って顔を背けた。
「ロイズ様には、本当に感謝しかありません! 進言した私を信じて下さり、軍議に掛けることなく、出陣させて頂けるとは…」
「そ、そうでしたね…」
正直逃げたかったが、一回り以上も年上の将軍相手に為せるような度胸は無い。
いかつい身体を寄せて述べられる感謝の言葉に、若い城主は仕方なく、作り笑いを浮かべて対処をするのだった――
「ロイズ様。初陣、お見事でした」
困っているところへ、若き美将軍ライエルもやってきた。
左右に垂らした金髪から覗く整った顔立ちは、どうやら正気のようである。
狩りに挑んだ山の中、夕暮れに帰る方向を見失ったところに、一つの明かりが遠くに灯る――
そんな状況に、ロイズは大いにホッとした。
「お二人には、これからも大変な役割を担ってもらう事になるでしょう。宜しくお願いします」
豪傑と呼ぶに相応しい岩のような体躯を持ち、多くの戦場で経験を積んできたグレンと、服の上からそれと分かる、鋼のような弾力のある筋肉を纏い、冷静な判断力を持った若いライエル。
二人の将軍は、トゥーラにとってもこの先無くてはならない存在だ。
交互に瞳を見据えると、若い城主は微笑んで、全幅の信頼を寄せてみた。
「ありがたきお言葉」
ロイズの丁寧な発言に、グレンは感激して一歩を下げると、厚い胸板に右手を添えて、下顎を引きながら瞼を閉じた。
上司に合わせるようにして、ライエルも同じ姿勢で敬った――
「さあ、私の事はいいから、部下を労ってやって下さい」
姿勢を正したロイズは二人に解散を促すと、ようやくこの場から逃れる事に成功をした――
(ふう…)
やっとこさ、荷が下りた。
遠ざかる二人の背中に向かって大きな一息を吐き出すと、若い城主は心の中で呟いた――
(とりあえず、今日の演目は終わったかな…)
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