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第103話 エルフの里 演劇
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会計をすませると、皆の胃袋は満たされていた。
「美味しかったな。ガイドブックには午後から東エリアで演劇を上演するらしいな」
「演劇ね……」
キシャナはガイドブックを広げて午後から始まるイベント欄に演劇がある事を教えてくれた。
正直に言うと、サリーニャに恥ずかしい台詞を録音されたり、ルトルスと芝居を演じて大変な目に遭ったりと散々な思い出しかない。
「面白そうだな。またサリーニャに芝居をやらされた時の参考になるかもしれない」
「いや、今度からは正規にお金を払って錬金の依頼をするからね」
ルトルスの向上心に水を差すようで悪いが、サリーニャの思い付きに付き合うのは御免だ。
残念そうにするルトルスだが、また暴走されてはたまらない。
「上演が終わったら、お土産でも買っていこうかな。サリーニャは甘い物が好物だから、お茶菓子になりそうな物を探していくよ」
「こういう場所で、お土産の定番と言えば温泉饅頭とかだよな。私も何か買っていこうかな」
シェーナは普段から世話になっているサリーニャにお土産を買った後、手配した宿にチェックインしようと思う。キシャナも同様にお土産を記念になる物を模索して、上演後は各自にお土産を買う時間を設けることになった。
シェーナはグラナの傍に寄って、周囲に聞かれないように耳元で囁く。
「後で本屋に付き合ってあげるから、サンドイッチにしないで普通に買ってきな」
「い……いいのか?」
「まあ、普段からグラナには色々と魔法で世話になっているし、皆には内緒だぞ?」
「ありがとう!? シェーナ、愛してるぜ」
「わっ……バカ! 皆が見ているぞ」
金貨一枚をグラナの懐に入れてあげると、グラナは興奮しながら感謝の言葉を述べる。
皆はシェーナに抱き付くグラナを見ると、ルトルスは頬を膨らませて二人を引き離す。
演劇はチケットを購入しないと見れないらしいので、東エリアのチケット売り場に並んだ。
「そういえば、演劇ってどんな話のストーリーなのかな?」
「えっと、『騎士に恋した姫君』ってタイトルだな。キシャナが好きそうな恋愛系っぽいけどな」
キシャナはどんな演劇なのか訊ねると、シェーナはガイドブックにある演劇のタイトルを読み上げた。
並んでいる列をよく見ると、女性の割合が九割を占めている。
おそらく、シェーナの推察通り恋愛系の演劇なのだろう。
「私も恋愛に関する書物は大好きなので楽しみですね」
「嘘つけ。中二病設定の冒険漫画だろうに」
「ち……違いますよ! たしかに昔は好きでしたけど、恋愛も好きなんです」
「そんな女子力アピールされても、昔のお前を知っていると、とてもそんな風には見えないけどなぁ」
「先輩は黙って下さい!」
怒ったペトラはグラナの足を踏みつけると、大袈裟にグラナは片足を突き出して痛がっている。シェーナも女子力は皆無に等しいので、あまり偉そうなことは言えないが、あんな風に言われたらペトラが怒るのも無理もない。
「女子力か……シェーナとグラナには無縁だな」
「いや、お前に言われたくはないけどな」
キシャナは女子力と言う言葉に反応して、シェーナとグラナを交互に見る。
十八年以上前はお互い男子学生だったが、キシャナは普段から女子力が高いところがあるから否定しきれないのが悔しい。
「美味しかったな。ガイドブックには午後から東エリアで演劇を上演するらしいな」
「演劇ね……」
キシャナはガイドブックを広げて午後から始まるイベント欄に演劇がある事を教えてくれた。
正直に言うと、サリーニャに恥ずかしい台詞を録音されたり、ルトルスと芝居を演じて大変な目に遭ったりと散々な思い出しかない。
「面白そうだな。またサリーニャに芝居をやらされた時の参考になるかもしれない」
「いや、今度からは正規にお金を払って錬金の依頼をするからね」
ルトルスの向上心に水を差すようで悪いが、サリーニャの思い付きに付き合うのは御免だ。
残念そうにするルトルスだが、また暴走されてはたまらない。
「上演が終わったら、お土産でも買っていこうかな。サリーニャは甘い物が好物だから、お茶菓子になりそうな物を探していくよ」
「こういう場所で、お土産の定番と言えば温泉饅頭とかだよな。私も何か買っていこうかな」
シェーナは普段から世話になっているサリーニャにお土産を買った後、手配した宿にチェックインしようと思う。キシャナも同様にお土産を記念になる物を模索して、上演後は各自にお土産を買う時間を設けることになった。
シェーナはグラナの傍に寄って、周囲に聞かれないように耳元で囁く。
「後で本屋に付き合ってあげるから、サンドイッチにしないで普通に買ってきな」
「い……いいのか?」
「まあ、普段からグラナには色々と魔法で世話になっているし、皆には内緒だぞ?」
「ありがとう!? シェーナ、愛してるぜ」
「わっ……バカ! 皆が見ているぞ」
金貨一枚をグラナの懐に入れてあげると、グラナは興奮しながら感謝の言葉を述べる。
皆はシェーナに抱き付くグラナを見ると、ルトルスは頬を膨らませて二人を引き離す。
演劇はチケットを購入しないと見れないらしいので、東エリアのチケット売り場に並んだ。
「そういえば、演劇ってどんな話のストーリーなのかな?」
「えっと、『騎士に恋した姫君』ってタイトルだな。キシャナが好きそうな恋愛系っぽいけどな」
キシャナはどんな演劇なのか訊ねると、シェーナはガイドブックにある演劇のタイトルを読み上げた。
並んでいる列をよく見ると、女性の割合が九割を占めている。
おそらく、シェーナの推察通り恋愛系の演劇なのだろう。
「私も恋愛に関する書物は大好きなので楽しみですね」
「嘘つけ。中二病設定の冒険漫画だろうに」
「ち……違いますよ! たしかに昔は好きでしたけど、恋愛も好きなんです」
「そんな女子力アピールされても、昔のお前を知っていると、とてもそんな風には見えないけどなぁ」
「先輩は黙って下さい!」
怒ったペトラはグラナの足を踏みつけると、大袈裟にグラナは片足を突き出して痛がっている。シェーナも女子力は皆無に等しいので、あまり偉そうなことは言えないが、あんな風に言われたらペトラが怒るのも無理もない。
「女子力か……シェーナとグラナには無縁だな」
「いや、お前に言われたくはないけどな」
キシャナは女子力と言う言葉に反応して、シェーナとグラナを交互に見る。
十八年以上前はお互い男子学生だったが、キシャナは普段から女子力が高いところがあるから否定しきれないのが悔しい。
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